• 検索結果がありません。

イノベーション創出に向けた取り組み

ドキュメント内 電磁波研究所 ビジョンとミッション (ページ 48-52)

43

44

3.2 社会展開の方策

3.2.1 国民へのサービスの向上

NICT が国民に対して提供するサービスのうち、電磁波研究所が担当しているものは以下の 3 つの業 務である。サービス向上の観点から、それぞれの業務における実施方針は以下のとおりである。

 日本標準時関連の業務(周波数標準値の設定、標準電波の発射、標準時の通報)

東京都小金井市の本部で運用している日本標準時関連システムの安定的な運用を継続す るとともに、兵庫県神戸市に同システムの副局を設置し、同局の安定した定常運用を実現する ことで、日本標準時の発生および供給における耐災害性を向上させる。また、10年以上を経過 したシステムの老朽化対策として、本部で運用しているシステムを更新する。

 宇宙天気予報関連の業務(電波の伝わり方についての観測、予報・警報の送信など)

電波の伝わり方に影響を与える電離圏の特性の観測を着実に行う。また、その結果等に基 づいて、電波の伝わり方が場所や時間でどのように変化するかの予報や、突発的に発生する 電離圏の異常により電波の伝わり方が変化する場合の警報の送信、太陽活動や地磁気、宇宙 放射線の状況の通報を可能な限り早期かつ正確に行えるよう、研究開発の成果と連携した宇 宙天気予報システムの性能の向上を図る。

 無線設備の機器の較正業務

0Hz(直流)から300 GHzを超える電波の測定に必要な電力計やアンテナ等の較正を着実に

実施する。特に、300GHzまでの電力計の較正を開始することを目標とする。また近年、WPTな どで利用が進む 30MHz 以下の周波数帯における無線設備のワンストップ・テスティング、すな わち電波法に基づく較正結果と、計量法の規定によるトレーサビリティが求められる校正結果 が共用可能な試験の実現に向けて、研究開発成果との連携により、電磁界計測に不可欠なル ープアンテナの較正精度を向上させる。

3.2.2 民間等への技術の移転

当研究所の研究開発成果が社会に還元されるための方法として、培った技術を知的財産の形で産業 界等へ移転するスキームがある。NICT では「知的財産ポリシー」を定めて、知的財産を活用した技術移 転に係る方針を示しており、それに従って当研究所も以下を基本方針として進める。

 社会のニーズを鑑みた適切な権利化スキームを選択し、技術移転に結びつく効果的な方策を 講じる。

 研究開発成果に基づいた特許出願が効果的に技術移転に結びつくよう、強固な特許網の構 築に向けた活動に取り組む。

45

上記「適切な権利化スキームの選択」にあたっては、3.1 節に示す④及び⑤が特に民間等への技術移転 が期待できる技術であることから、新たに研究開発した技術が論文等で公知にする前に知的財産の権利 化を進めることに留意する。

3.2.3

観測データ等の利活用

当研究所のもつ大きな特徴の一つとして、多種多様の観測データを大量に有しているという点があげ られる。当研究所で実施している研究課題の多くは 30年以上継続的に実施している歴史を有しており、

また、1 章で示したように、自然現象や人為現象を研究開発のターゲットとしていることから、研究開発の 結果として得られるデータは、原子レベルから宇宙スケールまで、多種多様である。さらに、年単位の長 期にわたり継続的に測定して得られたデータも多い。

当研究所では、我々の所有する観測データ等を国民全体としての財産であると認識するとともに、そ れらの利活用の促進を図っていく。そのために、我々の所有する観測データ等へのアクセシビリティを高 めることを推進していくとともに、外部に対して我々の所有する観測データ等の存在と活用方法を知らし めるための広報も行っていく。

特に近年では、「ビッグデータ」という言葉が一般社会にまで浸透し、複数種の大量データを組み合わ せて解析することにより、従来では発見できなかった社会的・科学的な現象に辿り着く可能性があるとさ れ注目されている。このビッグデータ解析に、当研究所の有する観測データ等の活用を図りたい。さらに、

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用して、これまで不可能だった多種・多量のデータを収 集する手法や、AI(人工知能)技術などの新たなデータ解析手法などを当研究所で実施するプロジェクト においても導入し、ビッグデータによる新たな社会的・科学的価値を導くことにチャレンジする。このチャ レンジには、これまで当研究所で培ってきた技術ではない新たな技術が必要であり、異分野の研究者・

技術者との交流・協業が必須である。そのため、NICT 内部署ではソーシャルイノベーションユニット統合 ビッグデータ研究センターとの連携や、外部の大学や企業の研究者との連携を構築し、オープンイノベ ーションを目指して、様々な観点からのビッグデータ解析に貢献していきたい。

【電磁波研究所が有する観測データ等(抜粋)】

• フェーズドアレイ気象レーダー観測データ

• 航空機搭載合成開口レーダー観測データ

• 宇宙天気サービス (宇宙天気情報に関する各種情報)

• タイムビジネス用公開データベース

• テラヘルツデータベース (テラヘルツ帯分光スペクトルの情報)

• 人体解剖モデルデータベース

3.2.4 学術への貢献

NICTが研究機関としての大きな役割は、当然のことながら、学術への貢献である。当研究所に所属す る研究者は、ほぼ全員が学術への貢献を常に意識していると言え、日常より何らかの形で学術活動を行 っている。その主たる活動は学術組織への論文発表である。

46

それぞれの研究開発がタイムライン上のどの段階にあるかにより、発表の手段(口頭での発表、国際会 議での発表、査読のある論文発表など)は異なるが、より効果的な発表となるよう、各研究者が意識する。

また、より質の高い論文誌や、よりサイテーション(学術的に参照される度合い)が高い論文誌に掲載され ることを目指して各研究者がチャレンジするとともに、研究所全体としてそれをサポートする。

なお、3.1 節で述べたように、企業等への技術移転が期待できる研究成果については、論文等で公知 にする前に知的財産の権利化を進めることに留意する。

47

ドキュメント内 電磁波研究所 ビジョンとミッション (ページ 48-52)

関連したドキュメント