• 検索結果がありません。

83

た魚群を対象とした

2

回の試験操業で釣獲したタチ ウオは

1

尾のみであった。

2009

2

月は豊予海峡 北側の通称「深り」漁場においてタチウオと判断さ れる魚群反応が多数みられた。タチウオひき縄釣漁 船

1

2

隻が操業していた海域の近くで延べ

6

回の 試験操業を行いタチウオ

10

尾、クログチ

3

尾を釣 獲した。採集された水深はタチウオ

100

180

m、

クログチ

170

210

mであった。

5.資源解析

1)年級別漁獲尾数

くにさき(富来地区)、姫島、臼杵の

3

地区を合 計した年級別漁獲尾数(補正値)は、

2002

年以降 増加傾向にあったが、

2008

年は前年を大きく下回 った(図

8

)。これまでと同様に漁獲魚の大半を1 才魚が占め、当才魚は漁獲対象となっていない。

2004

年以降は

2

才魚(銘柄;

9

12

本)が増え、最近 ではその比率は

2007

年が最も高くなっている。

図8 タチウオ年級別漁獲尾数の変化

2)資源量と漁獲割合

計算に使用した資源特性値は以下のとおり。

寿命:

6

自然死亡係数(

M

):

0.4

成熟割合:

0

才-

0

1

才-

0.5

2

才以上-

1.0

産卵数:体重(相対成長式から算出)から換算 ただし、くにさき(富来地区)地区の

2000

年と

2001

年のデータは欠測。

資源重量は

2001

年が最も少なく

2002

年以後増加 傾向にある。一方、資源量に占める漁獲量の比率(漁 獲割合)は

2000

年をピークに

2003

年まで減少傾向 にあったが、

2004

年以降はやや増加傾向に転じて いる(図

9

)。

また、臼杵支店(ひき縄釣)の

2003

年からの

CPUE

の推移は資源重量と同傾向を示しており、最近のタ チウオ資源量は増加ないし横ばい傾向にあることが 示唆される(図

10

)。

図9 タチウオ資源量と漁獲割合の推移

3)再生産関係

次にタチウオの再生産関係について解析した。

1998

年から

2008

年におけるそれぞれタチウオの産

卵親魚量とその翌年の

0

才魚の加入尾数の関係か

ら、右肩上がりの傾向がみられ、両者に正の相関関

係がある。

2008

年は産卵親魚重量が前年より減少

したものの

0

歳魚加入尾数は前年と同水準であった

84

図12 タチウオ0歳魚加入尾数の推移

4) 資源評価

現状の漁獲係数(

F

)と漁獲量、親魚量及び各種

F

について図

13

に示す。現状の

F

current

)は

1.22

で資源回復計画策定時の

1.10

に比べて

0.12

増加し た。これは資源に対する漁獲圧力が増していること を示す。また

F

current

)は

F

Max

)を越えてい ることから、依然として成長乱獲(漁獲開始年令が 早い状態)にある可能性か強い。

図13 漁獲係数と親魚量及び漁獲量の関係

5)タチウオ資源量の将来予測

現状の漁獲努力として漁獲係数には過去

3

カ年平 均値を用い、

2008

年を基準年としてコホート解析

VPA

)前進法により

2013

年までの資源量を算定 した。

その結果、資源回復計画策定時の

2007

年を

100

として現在の漁獲努力が継続した場合は、

2013

年 には

63

にまで減少すると予想された。また漁獲努 力を

5

%、

10

%、

15

%、

20

%と段階的に減少させ たときは、

2013

年にはそれぞれ

67

72

77

83

と なると予想された(図

14

)。

6)資源管理手法の検討

2007

年 に お け る タ チ ウ オ 雌 の 生 殖 腺 熟 度 指 数

GSI

)の月別変化および魚体サイズ別の成熟状況 ならびに

2005

1

月から

2007

12

月までの間の 臼杵釣りにおける平均出漁日数から、休漁日の設定

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400

1998 2000 2002 2004 2006 2008

タチウオ 0歳魚 (万尾)

図14 タチウオ資源量指数の将来予測

図15 休漁期間と漁獲圧力の関係

と漁獲圧力の関係について検討した。仮に毎週土曜 日を休漁とすることを

4

月から

9

月まで継続した場 合、漁獲圧力は約

15

%減少すると推定された(図

15

)。

今後の課題

タチウオの資源管理が実践段階に移行した以後も 調査を継続し、資源量をモニタリングする必要があ る。さらに、タチウオの資源水準が低下した場合は、

管理方策の見直しが適宜求められることから、資源 管理の方向性に資する産卵状況等の生態的な知見を 蓄積するとともに、資源解析および管理シミュレー ションによる将来予測のための基礎資料を整備して おく必要がある。

文 献

1

) 末吉 隆.伊予灘及び豊後水道におけるタチウ オの回遊状況.南西外海の資源・海洋研究.

1999

; 第

15

号:

69-79

0.60 0.70 0.80 0.90 1.00

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 50

60 70 80 90 100 110

2007 2008 2009 2010 2011 2012 201��

�����

20%減 15%減 10%減 5%減 10%増 現在の漁獲圧

大 分 県 水 試 事 業 報 告

84

大 分 県 水 試 事 業 報 告

85

平 成

20

年 度

付図1 2008年におけるタチウオ卵の月別出現状況

85

平 成

20

年 度

86

立体的魚礁漁場開発事業

(国庫補助)

西山雅人・真田康広

事業の目的

既存の人工魚礁群の中に新たに中層魚礁が

2005

2007

年度に設置された。本事業は、既存の人工 魚礁群と中層魚礁から構成された立体的な魚礁漁場 について、蝟集魚類量、漁獲状況、および魚礁利用 実態等から魚礁の効果を明らかにすることを目的と している。今年度は、

2006

1

14

日に中層魚礁

(コスモフロート

2

基)が設置された佐賀関漁場、

2006

9

14

日に中層魚礁(コスモフロート

1

基、

AK

中層魚礁

1

基)が設置された津久見漁場、およ び

2007

9

18

日に中層魚礁(

AK

中層魚礁

2

基)

が設置された臼杵漁場を対象に調査を実施した(図

1

)。

調査の結果は平成

20

年度立体的魚礁漁場開発事 業調査報告書に記載したので、ここでは概要のみの 報告とした。

事業の方法

1.蝟集効果・生物調査 1)計量魚探調査

佐賀関漁場において中層魚礁設置前後の蝟集状況 を確認するため、調査船搭載の計量魚群探知機(カ イジョー社製

KFC-3000

)により調査した。

2008

4

28

日、

7

15

日、

10

9

日及び

2009

1

21

日に実施した。

2)魚類蝟集調査 佐賀関漁場

佐賀関では、

2008

4

16

日、

5

15

日、

7

13

日、

10

9

日、

2009

1

21

日および

2009

3

9

日にダイバーによる目視観察により、中層魚礁 ならびに既存の魚礁(

1988

年度設置)に蝟集して いる魚種・大きさ・個体数を調べた。なお、中層魚 礁では目視観察に加えて固定カメラを用いたインタ ーバル撮影によって調べた。

津久見漁場

2008

5

22

日、

9

28

日および

12

11

日に

ダイバーによる目視観察により、中層魚礁ならびに 既存の魚礁(

1989

年度設置)に蝟集している魚種

・大きさ・個体数を調べた。なお、中層魚礁では目 視観察に加えて固定カメラによるインターバル撮影 によって調べた。

臼杵漁場

2008

4

10

日・

11

日、

7

22

日、

10

15

日 および

2009

1

13

日にダイバーによる目視観察 によって、中層魚礁ならびに既存の魚礁(

1990

年 度沈設)に蝟集している魚種・大きさ・個体数を調 べた。なお、中層魚礁は目視観察に加えて固定カメ ラによるインターバル撮影によって調べた。

3)標本船等による試験操業調査

佐賀関漁場では、用船した漁船に調査員が乗船し 釣りによる試験操業を行い、魚礁の漁獲効果を把握 した。津久見漁場および臼杵漁場では、大分県漁業 協同組合津久見支店および臼杵支店にそれぞれ所属 する漁業者(各

1

名)に委託し、中層魚礁を設置す る魚礁域において一本釣りによる試験操業を行い、

魚礁設置前および設置後の魚礁の漁獲効果を把握し た。調査は佐賀関が

6

26

日から

2

16

日までの 計

8

回、津久見が

4

23

日から

11

5

日までの計

8

回、臼杵が

5

22

日から

12

28

日までの計

8

回、

1

操業あたり

5

7

時間を基準とした。この際、

併せて付近の僚船の出漁状況を確認した。

4)テレメトリーによる魚群滞留調査

佐賀関漁場において、腹腔内に超音波発信機(ピ ンガー)を埋め込んだイサキを中層魚礁周辺に放流 し、中層魚礁・給餌ブイに設置した固定式受信機で 信号を受信し、イサキの滞留の有無を把握した。ピ ンガー装着魚(スパゲティー型タグも併せて装着)

11

尾、スパゲティー型タグ標識魚

9

尾、計

20

尾を放 流した。

生残試験

標識イサキの放流と並行して、ピンガー挿入手術 による生残試験を

2008

6

13

日から

8

12

日 までの

2

ヵ月間実施した。試験には実際にイサキに 使用するピンガーと同じ形状のダミーを用いた。イ 平 成

20

年 度

86

大 分 県 水 試 事 業 報 告

87

サキ供試魚(

1

尾)の腹部を切開したのち腹腔内へ ピンガーを挿入し、傷口を縫合糸によって縫い合わ せ、海面筏から垂下した活かしカゴに収容し経過観 察をした。

放流

ピンガー装着魚

11

尾(スパゲティ型タグによる 個体識別に併せて実施)、タグ標識魚

9

尾、計

20

尾 について標識放流を実施した。供試魚は佐賀関漁場 において調査員自ら試験操業によって釣獲したイサ キ

5

尾、及び周辺海域のイサキ漁場において地元漁 業者が釣獲したものを購入したもの

6

尾を用いた。

図1 大分県における海洋牧場と調査位置

事業の結果

1.蝟集効果・生物調査 1)計量魚探調査 佐賀関漁場

毎回、中層魚礁付近に魚群反応が認められた。

4

月と

7

月、

1

月は礁体の上部から下部を覆うような 反応が得られた。

10

月は礁体の上部に反応が得ら れた。

2)潜水目視調査 佐賀関漁場

出現した魚類は種類数は既設魚礁では

4

11

種 類、

5

17

種類、

7

月以降は

11

15

種類であった。

中層魚礁では

7

月に

9

種類、他は

5

7

種類であっ た。

蝟集量は既設魚礁では

4

月から

3

月にかけて

0.4

/

m3

1.1

/

m3

であった。

4

月から

3

月ま での既設魚礁の平均蝟集量は、

0.7

/

m3

であっ た。中層魚礁の

4

月から

3

月までの平均蝟集量は、

インターバル撮影が

88.5

/

基、目視観察が

0.8

/

基とインターバル撮影が約

100

倍多く、出現種類数 と同様にインターバル撮影の有効性が確認された

(図

2

)。後述する津久見漁場と臼杵漁場において も同様にインターバル撮影の有効性が確認された。

出現した魚種のうちイサキは既設魚礁、中層魚礁 ともに周年にわたって確認された。特に中層魚礁で は

7

月には

245.2

/

基と最大値に達した。

4

月から

3

月までの平均蝟集量は、既設魚礁が

0.5

/

m3

、 中層魚礁が

71

/

基であった。他の魚種に比べて平 均蝟集量が高いことから、イサキは当該漁場の優占 種と推測され、

4

月および

7

月に蝟集量が多くなる 傾向が確認された。

図2 中層魚礁における魚類の蝟集量の推移

津久見漁場

既設魚礁における魚類の出現種類数は、

5

月は

6

種類、蝟集生物量は

0.1

/

m3

であった。

9

月は 出現魚種は

3

種類、蝟集生物量は

0.1

/

m3

に減 少した。

12

月は出現魚種は

5

種類、蝟集生物量は

0.3

/

m3

に増加した。これらの変動はマアジの出現 の有無に寄るところが大きい。

中層魚礁における魚類の出現種類数は、目視観察 調査、インターバル撮影調査ともに

2

6

種類とほ ぼ一定であった。

2

基の中層魚礁における

10

月か ら

12

月までの平均蝟集量は、インターバル撮影で

3.4

/

基、目視観察で

1.8

/

基とインターバル撮影 が約

2

倍多かった。

中層魚礁タイプの違いによる蝟集生物量を比較し たところ、

10

月から

12

月までの目視観察による平 均蝟集量は、コスモフロート

0.6

/

基、

AK

中層魚 礁

3.1

/

基であった(図

3-1

)。また、インターバ ル撮影では

1.9

/

基、

4.9

/

基であった(図

3-2

)。

AK

中層魚礁での蝟集量が高いのは

5

月にチダイの 蝟集量が増加したことによる。この調査日を除いて は出現種類数同様に、

2008

年度時点では、構造の 違いによる蝟集量の明確な差は確認されなかった。

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000

4月 (3ヶ月)

7月 (6ヶ月)

10月 (9ヶ月) 1月 (12ヶ月)

4月 (15ヶ月)

7月 (18ヶ月)

10月 (21ヶ月) 1月 (24ヶ月)

4月 (27ヶ月)

5月 (28ヶ月)

7月 (30ヶ月)

10月 (33ヶ月)

1月 (36ヶ月)

3月 (38ヶ月)

g/

g/

調査年月(経過年月)

インターバル撮影 目視観察

2006年 2007年 2008年

大 分 県 水 試 事 業 報 告 平 成

20

年 度

87

関連したドキュメント