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1.企画趣旨

 平成26年度の学術交流フォーラム(以下フォーラム)は2014年12月20日(土)と21日(日)

の二日間に渡って行われた。フォーラムの最初のセッションである口頭発表セッションは二 つの会場(国立民族学博物館第3セミナー室・第5セミナー室)に分かれて、20日(土)13 時20分から15時20分の2時間で実施され、各基盤機関・専攻の先生・研究員と院生計6人が 研究発表を行った。

 本稿は口頭発表セッションの企画・準備・実施と今後の課題について報告するものである。

まずは本セッションの企画趣旨を紹介する。

口頭発表セッションは、文化科学研究科の異なる分野の研究内容を、自分の研究の今後 の糧とすることを目的とすると共に、全く違う分野の人に自分の研究分野の方法及び意 義をわかりやすく伝える練習と、この場が研究を通じた交流の広がりに繋がることを目 的とします。

今回は、国立民族学博物館、国際日本研究、日本歴史研究、メディア社会文化、日本文 学研究の各基盤機関・専攻から6名の研究員・学生が2会場に分かれて口頭発表を行い ました。普段の学会や研究会より質疑応答の時間を長めに設置し、また、事前にひとつ の発表につき、クジ引きでコメンテーターを2名選んで、各専攻の先生方・学生の皆様 からたくさんのご質問・ご意見を頂きました。発表者にとっても、参加の皆様にとって も、専攻の壁を越えた有意義な討論になったと思います。

 上記の予稿集に掲載した企画趣旨の通り、本セッションはフォーラムの主旨のひとつでも ある各専攻・各分野を横断する学術的な交流を目指したものであり、そのために、発表者の 分野が重ならないように、それに、質疑応答の時間にできるだけ相違する分野の先生・院生 から多くの質問を頂くように工夫した。詳細は次の部分にてご報告することとする。

2.準備の経過

 何回かの学生企画委員会を経て、2014年9月頃、今年度のフォーラムのテーマと大体のプ ログラムが決まった。自分の研究分野で取り扱う資料・史料を使って、違う分野の先生・院 生に自分の研究内容を伝えると同時に、普段の勉強・研究では耳にするチャンスが少ない、

違う分野の先生・院生の質問と意見を聞くという主旨で、口頭発表セッションが発案された。

 当初は、学術的な交流を促すために、発表者に希望のコメンテーター4名を挙げて頂き、

その中の2名に来て頂くように依頼する予定であったが、コメンテーターの日程を調整する ことの難しさなどの問題を考慮して、当日の受付でクジ引きでコメンテーターを決めるとい う学生委員の中からの提案が採用された。ひとりの発表者の時間配分は研究発表20分+質疑 応答18分+発表者移動2分というように、本セッションのプログラムは下記のようになった。

第2部 研究成果の公開状況

         第3セミナー室      第5セミナー室

13:20~14:00  オープニングと一人目の発表    オープニングと一人目の発表 14:00~14:40  二人目の発表       二人目の発表

14:40~15:20  三人目の発表とクロージング    三人目の発表とクロージング

 普通の学会や研究会での研究発表に比べて、質疑応答の時間を長めに設置した。それから、

ひとつの発表に対し、当日の受付でクジ引きでふたりのコメンテーターを付くことで、異分 野の先生・院生から貴重な意見を頂き、学融合的な研究視点が生み出されれば幸いであり、

また、参加される側としても緊張感を持って会場に臨むことができるのではないかと考えた。

3.当日の様子

 口頭発表セッションはフォーラム最初のセッションであり、会場の設営の初日の朝から始 まった。当初は円卓形式を考えたが、参加者の人数とセミナー室の広さの関係で、机は講 義形式の配置となった。発表者はPowerPointと当日配付資料を両方使うので、開会の前に、

パソコンの起動や配付資料の確認など、準備作業が順調に進んでいた。2会場に分かれてい るので、スタッフの人数とマイクの数が足りない問題があって、質疑応答の時間に司会とタ イムキーパーがマイクを持って会場を走り回ることとなり、バタバタしていたが、大きな問 題はなかった。

 6人の発表者はそれぞれの研究内容を報告し、事前にクジ引きで決めたコメンテーターか ら質問と意見を頂き、それからフロアーから質問を受け付けた。20分という研究発表として 長いとは言えない時間であったが、それぞれ完成度の高い発表であったという印象を受けた。

また、ひとつの会場でこのように多様なテーマの研究発表が聞けるのは貴重な体験であった。

しかし、当初予想していたほど、活発な討論になっていなかったことと、クジ引きで決めた コメンテーターは発表者と同じ分野の場合もあったので、今後はさらなる工夫する必要があ る。

第3セミナー室の口頭発表の様子 第5セミナー室の口頭発表の様子

4.今後の課題

 前述したように、本セッションは専攻・分野の壁を越えた学術的な交流を目指したもので ある。しかし、長めの質疑応答を設置したにもかかわらず、会場では予想していた程、活発 な討論になっていなかった。異分野の人に自分の研究内容とその意義を伝えることの難しさ と、異分野の人に質問する難しさを改めて認識させられた。どのようにしてこの困難を解消 し、本当の「異分野コミュニケーション」を生み出すことができるのかは今後大きな課題と なる。

 また、クジ引きでコメンテーターを決めるという発案は一定の強制力を持って会場の交流 を促す効果があったが、参加者の方はせっかく来て頂いたので、聞きたい発表があればそれ を優先することを考慮し、先着順でコメントする発表を選んで頂くという形を取ったが、や はり同じ分野の発表が聞きたいので、そのコメンテーターになることを希望した場合もある ので、コメンテーターを決める形式もさらなる工夫が必要であると考える。

 最後に、本口頭発表セッションを実施するにあたり、多くの方のお力添えを頂いた。発表 者・参加者の皆様、国立民族学博物館の皆様、基盤総括事務係、各基盤機関事務の皆様、ま た学生企画委員、フォーラム事務局、アルバイトスタッフの皆様の御協力を頂いたおかげで、

本セッションは無事に実施することができた。心より御礼申し上げる。

(日本文学研究専攻 黄昱)

口頭発表セッションプログラム(2014年12月20日(土))

時間 第3セミナー室 第5セミナー室

13:20~14:00 サウセドダニエル(国立民族学博物 館外来研究員)

「ペルー北海岸における考古遺産の 研究」

西田彰一(国際日本研究専攻)

「大正期の憲法学者としての筧克彦 の位置づけについて」

14:00~14:40 大石真澄(国際日本研究専攻)

「台所と食に関するプロトタイプの 中のモノに見る高度成長期日本の

「生活」と「身の回り」―女性用家 庭百科を例に―」

中尾教子(メディア社会文化専攻)

「教科指導におけるICT活用に影響 を与える要因に関する事例研究」

14:40~15:20 君島彩子(日本歴史研究専攻)

「戦没者慰霊におけるマリア観音の 諸相―グアム島・サイパン島の事例 を中心に―」

屋代(高野)純子(日本文学研究専攻)

「日本近現代文学における「観相」

言説研究へのアプローチ―「観相」

は「科学」なのか―」

第2部 研究成果の公開状況