ズに合 わせた 個別 の 検討が 必要で ある と 考えら れる .本研 究 が取扱 う反射 防止 膜に 生じ る色 むら 欠 陥に つい ても 同様 で あり ,欠 陥発 生の メ カニ ズム の解 明 , 欠陥の 観測に 最も 適 した光 学系の 構築 が 重要で ある.
本章 では ,光学 シ ミュレ ーショ ンに よ る欠陥 発生の メカ ニ ズム解 析を行 い実 験検証 する .色む ら という 感覚的 な量 を ,品質 管理 項目に 相 当する 等価膜 厚と いう 特徴 量に 変換 す るこ とに より 色む ら の程 度を 定量 化す る 手法 を提 案す る . また,観測 条件と 色 むらの 見え方 の関 係 を明ら かにし ,実 際 に製品 が使用 され る状況 下で最 もむ ら が見え やすい とい う 現象に ついて 述べ る .
5.2 検査対象と色むら欠陥
検 査 対 象 は 液 晶 な ど の デ ィ ス プ レ イ の 表 面 に 用 い ら れ る ア ク リ ル シ ー ト 等 の部材 である .これ らの部 材の表 面に は ,通 常,ディ スプレ イに背 景光が 映り 込むこ とを防 止す る ための 反射防 止膜 と よばれ る薄膜 が形 成 されて いる.
反射 防止膜 は通 常 ,図
5.1 (a)
に示すよ うに何 層かの 薄膜(
膜厚は 数10 nm〜
100 nm
程度)
から な り ,膜 の 表 面 お よ び 裏 面で の 反 射 光 が 互 い に干 渉 し て弱 めあう ことに よっ て 低反射 率を得 る.一 般に,形成 する薄 膜 が多層 になる ほど 広い波 長域に わた っ て反射 率を低 くす る ことが できる .層 の 数が少 ない場 合は 可視光 全域で 均一 な 低反射 率を得 るこ と が困難 なため ,目 の 可視感 度の高 い緑 色領域(
波長550 nm
付近)
で反射 率が 最小に なるよ うな 膜 厚が選 択され る.同図
(b)
は2
層 から なる反 射防止 膜の 分 光反射 率の例 であ る .層の 数は用 途に よって 異なる が,デ ィスプ レイ用 途に は 品質と コスト との 関 係か ら1
層な いし2
層のも のが よく用 いられ る.本 章では このう ち,比 較的色 むらが 目立ち やす いとさ れる2
層品 を 取扱う .色む ら欠陥 は分 光 反射率 の不均 一に よ って発 生する .人 の 目に知 覚され る色 は物体 のもつ 分光 反 射率と 照明の 分光 分 布とに よって 決ま る が,反 射防 止膜の 場合,膜厚 が局所 的 に変化 してい ると そ の部分 の分光 反射 率 が異な るため ,周 囲と異 なった 色に 見 える.なお ,膜の 屈 折率が 変動し た場 合 も同様 の現象 が生 じるが ,実 際の製 造 ライン におい て屈 折 率が局 所的に 変動 す ること はまれ であ るため ,本章 では 膜 厚の変 動によ る色 む らに限 定する .
5.3 色むら発生の原理
こでは各光線の振幅と位相の計算についてのみ説明する.
いま,空気層を第
0
層として,表面から順に第1
層,第2
層,基材を第3
層 と呼ぶことにし,各層の屈折率をn
i,膜厚をd
i( i = 0,1,2 )
とする.このとき,第i
層と第i+1
層の境界における振幅反射率R
および振幅透過率T
はそれぞれ以下 の式で与えられる.1 1
1 1
cos cos
cos cos
+ +
+ +
⋅ +
⋅
⋅
−
= ⋅
i i
i i
i i
i is i
n n
n R n
θ θ
θ
θ (5.1)
i i
i i
i i
i ip i
n n
n R n
θ θ
θ θ
cos cos
cos cos
1 1
1 1
⋅ +
⋅
⋅
−
= ⋅
+ +
+
+
(5.2)
1 1
cos cos
cos 2
+ +
⋅ +
⋅
= ⋅
i i
i i
i is i
n n
T n
θ θ
θ (5.3)
i i
i i
i ip i
n n
T n
θ θ
θ cos cos
cos 2
1
1
+ ⋅
⋅
= ⋅
+ +
(5.4)
ここで,添え字のp, s
はそれぞれp
偏光およびs
偏光を表す.角度θ
iとθ
i+1との間にはスネルの法則
1 1
sin
sin =
+⋅
+⋅
i i ii
n
n θ θ (5.5)
が成り立っている.また,境界における光パワーの反射率および透過率は,たと えば
s
偏光についてはそれぞれ次式で与えられる.これらの和は常に1
となりエ ネルギー保存を満たしている.1 1
_ cos cos
cos 2
+ + ⋅ +
⋅
= ⋅
i i
i i
i s i
poewr
n n
R n
θ
θ θ (5.6)
i i
i i
i p i
power
n n
T n
θ
θ θ
cos cos
cos 2
1 1
_ ⋅ + ⋅
= ⋅
+ +
(5.7)
空気層から反射防止膜の第
1
層( n
1= 1.44 )
へ入射する光について,振幅反射率,振幅透過率,およびパワー反射率を計算した結果を図
5.2
に示す.この図からも 分かるように,振幅反射率は負値をとりうる.これは各層の屈折率値の大小関係 によって固定端反射となるときの位相変化を表している.特に,p偏光において は入射角の増加に伴い振幅反射率の符号が反転する角度があり,この角度を境に 反射時の位相変化がゼロからπ
にシフトする.この入射角においてパワー反射率 はゼロとなる.この入射角はブルースター角としてよく知られている.式
(5.1)
〜(5.5)
を用いて,任意の経路を通って空気層へ出射する光の振幅は,各層の境界における反射および屈折の回数だけ振幅反射率・振幅透過率を掛ける ことにより容易に求めることができる
(
ただし,ここでは各層における減衰は考 慮していない).
次に,複雑な経路を通って表面へ出射した光の光路長から位相を求める.まず,
図
5.3 (a)
のように第1
層を1
度だけ通過したときの光路差はスネルの法則を用いて次のように求められる.
1 1 1
1
AB BE - HE 2 cos θ
δ = + = n d (5.8)
次に,同図
(b)
のように第2
層まで通過したときの光路差は,2 2 2 1 1 1 2