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第6節
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11. Brown, P. M.; Russell, J.; Thomson, R. H.; Wylie, A. G. J. Chem. Soc. C, 1968, 842.
12. Bernini, R.; Cacchi, S.; Fabrizi, G.; Forte, G.; Petrucci, F.; Prastaro, A.; Niembro, S.; Shafir, A.; Vallribera, A.Green Chem. 2010, 12, 150.
13. Tao, B.; Goel, S. C.; Singh, J.; Boykin, D. W. Synthesis 2002, 1043.
14. Hoover, J. R. E.; Chow, A. W.; Stedman, R. J.; Hall, M. N.; Greesbe, H. S.; Dolan, M. M.; Ferlau, R. J. J. Med. Chem. 1964, 7, 245.
15. Korolev, D.; Bumagin, N. A. Tetrahedron Lett. 2006, 47, 4225.
16. Moynehan, H. J. Chem. Soc. 1959, 1563.
17. Meltzer, P. C.; Blundell, P.; Yong, Y. F.; Chen, Z.; George, C.; Gonzalez, M. D.;
Madras, B. K. J. Med. Chem. 2000, 43, 2982.
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総括
本論文では、遷移金属触媒によるカルボン酸の活性化法に着目し、中間体で あるアシル金属種および、これより変換されるアルキルおよびアリール金属種 の反応性を利用した効率的分子変換反応の開発について述べたものである。
第 1 章では、天然に豊富に存在している長鎖脂肪族カルボン酸の脱カルボニ ル化反応によるオレフィン合成について検討を行った。これまでに報告された 脂肪族カルボン酸の脱カルボニル化反応は、Pd や Rh といった遷移金属触媒を 用いる末端オレフィンの選択的合成に限定されていた。そこで、各種合成中間 体として有用な内部オレフィンの選択的合成を検討した結果、Ir錯体を触媒とし て用いることで良好に達成されることを明らかにした。また、同様の触媒系に おいて、より低温下で反応を行うことで末端オレフィンの選択的合成にも成功 した。さらに、安価で豊富な元素であるFeに着目し、検討した結果、Fe触媒を 用いても脂肪族カルボン酸の脱カルボニル化反応が効率的に進行することを明 らかとした。本系においても Ir 触媒系の時と同様に内部オレフィンと末端オレ フィンそれぞれを選択的に合成することができる。Fe 触媒によるカルボニル化 合物の減炭反応は、これまでに報告のない新たな反応例である。
第2章では、2-アリーロキシ安息香酸の脱カルボニル的環化反応によるジベン ゾフラン合成について検討を行った。以前に 2-アリーロキシ安息香酸からジベ ンゾフランを合成する反応として、Pd 触媒を用いた脱炭酸型環化反応が報告さ れているが、本研究では脱カルボニル型の反応系の開発を目指した。その結果、
Rh触媒を用いることで2-アリーロキシ安息香酸の脱カルボニル化を伴った環化 反応が進行し、ジベンゾフラン類が高収率で得られることを見出した。本反応 の基質適応範囲は広く、特にPd法では困難とされる臭素などのハロゲン置換基 は本触媒系においては許容された。また、反応機構に関する研究からは、一酸 化炭素の発生を確認し、本反応が脱カルボニル化を伴った環化反応であること を明らかとした。
第3章では、ビアリールカルボン酸の分子内アシル化反応によるフルオレノ ン類の合成について行った。フルオレノンの一般的な合成法としては、ビアリ ールカルボン酸のFriedel-Crafts型分子内アシル化反応が挙げられるが、この方 法の場合、当量以上のルイス酸を必要としている。遷移金属錯体を用いたビア リールカルボン酸からの触媒的なフルオレノン合成を検討した結果、Rh触媒を 用いることで目的の反応が効率よく達成されることを見出した。本反応におい ては、脱カルボニル化は生起せず、選択的に目的のフルオレノン類を合成でき
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る。
以上のように、本研究では種々の遷移金属触媒がカルボン酸を活性化するこ とを利用し、複数の効率的分子変換反応を新規に見出した。これらの反応は、
安価かつ容易に調製可能な種々のカルボン酸から有用化合物へと効率的に変換 することができることから、有機合成化学的に有用である。
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論文リスト
Publications
1. “Efficient Iridium-Catalyzed Decarbonylation Reaction of Aliphatic Carboxylic Acids Leading to Internal or Terminal Alkenes”
Maetani, S.; Fukuyama, T.; Suzuki, N.; Ishihara, D.; Ryu, I.
Organometallics 2011, 30, 1389.
2. “Iron-Catalyzed Decarbonylation Reaction of Aliphatic Carboxylic Acids Leading to -Olefins”
Maetani, S.; Fukuyama, T.; Suzuki, N.; Ishihara, D.; Ryu, I.
Chem. Commun. 2012, 48, 2552.
3. “Rhodium-Catalyzed Decarbonylative C-H Arylation of 2-Aryloxybenzoic Acids Leading to Dibenzofuran Derivatives”
Maetani, S.; Fukuyama, T.; Ryu, I.
J. Am. Chem. Soc. submitted.
4. “Synthesis of Fluorenone Derivatives through Rhodium-Catalyzed Intramolecular Acylation of Biarylcarboxylic Acids.
Maetani, S.; Miyagawa, K.; Fukuyama, T.; Ryu, I.
In preparation.
Other Publication
1. “Copper-free Sonogashira Coupling Reaction in Phosphonium Amino Acid Ionic Liquids”
Fukuyama, T.; Rahman, M. T.; Maetani, S.; Ryu, I.
Chem. Lett. 2011, 40, 1027.
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学会発表
国際学会
1. “Sonogashira reaction in phosphonium-type ionic liquids”, ○Shinji Maetani, Takahide Fukuyama, Md. Taifur Rahman, Ilhyong Ryu, 『2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies』, Hawaii, America, December 2010, 486 (Poster)
2. “Iron Can Catalyze Decarbonylation Reaction of Aliphatic Carboxylic Acids to Terminal Alkenes”, ○Shinji Maetani, Takahide Fukuyama, Nobuyoshi Suzuki, Daisuke Ishihara, and Ilhyong Ryu,『16th IUPAC International Symposium on Organometallic Chemistry Directed Towards Organic Synthesis』, Shanghai, China, July 2011, P-312 (Poster)
3. “Rhodium-Catalyzed Decarbonylative Cyclization of 2-Aryloxybenzoic Acids Leading to Dibenzofurans”, ○Shinji Maetani, Takahide Fukuyama, and Ilhyong Ryu,『The Twelfth International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry』, Kyoto, Japan, November 2012, PA-025 (Poster)
国内学会
1. 「鉄触媒を用いた脂肪族カルボン酸の脱カルボニル化反応によるオレフィ ンの合成」、○前谷臣治、福山高英、柳 日馨、田原秀雄、鈴木叙芳、石原 大輔、『第57回有機金属化学討論会』、東京、2010年9月、P3C-22、ポスタ ー
2. 「鉄触媒による減炭反応」、○前谷臣治、福山高英、鈴木叙芳、石原大輔、
柳 日馨、『第38回有機反応懇談会』、大阪、2011年8月、P-52、ポスター 3. 「Rh触媒によるカルボン酸およびエステルの脱カルボニル化を伴うジベン
ゾフラン骨格の合成反応」、前谷臣治、福山高英、柳 日馨、『第59回有機 金属化学討論会』、大阪、2012年9月、P2C-26、ポスター
4. 「ロジウム触媒を用いる2-アリロキシ安息香酸の脱カルボニル的環化反応 によるジベンゾフラン類の合成」、○前谷臣治、福山高英、柳 日馨、『日 本化学会第93春季年会（2013）』、滋賀、2013年3月、4F5-15、口頭
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5. 「ロジウム触媒を用いるビアリールカルボン酸の分子内アシル化反応によ るフルオレノン類の合成」、前谷臣治、○宮川和紗、福山高英、柳 日馨、
『日本化学会第93春季年会（2013）』、滋賀、2013年3月、4F5-16、口頭