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第 3 章  協同問題解決能力調査で出された問題

3.2   協同問題解決能力の問題例

2015

年調査の協同問題解決能力の公開問題は,大問が

1

,小問が

12

題である。以下,

本調査で使用された「ザンダー国」

25

について解説する。

画面

1

:はじめに

最初の画面「はじめに」では,生徒に活動の概要とコンテストで優勝するための条件 が示される。

25

大問「ザンダー国」は,

OECD

の以下のウェブサイトから体験することができる。

http://www.oecd.org/pisa/

大問「ザンダー国」では,調査問題を解く生徒(以下単に「生徒」という。 )と二人の コンピュータ上の友人(computer agents)がチームでコンテストに参加し,チャット を用いて相談しながら,架空の国であるザンダー国の地理,人口,経済に関する問題に 答えていく。

この大問には,グループの意思決定とグループ内の調整が必要な問いが含まれており,

合意形成のための協同が求められる。また,問題の文脈は学校,私的,非テクノロジー である。

本節では,まず課題文の画面とともにその文脈に関する簡単な説明を提示し,これに

各問いの画面とその説明が続く形で解説していく。

なお,より自然な流れでチャットを進められるよう,調査問題に解答する前の練習問 題では次の画面が表示され,生徒は自分の性別を選択することとなっており,その後の チャットにおける生徒の表現は,選択した性別に即したものとなる。本節では,「男 性」を選択した場合の画面を表示している。

練習問題の画面

大問「ザンダー国」は,四つの独立したパートで構成されている。生徒がどの選択

肢を選んでも,全ての生徒が次の同じ問いへ移ることになる。

54

パート

1

コンテストの理解

画面

2

:パート

1

説明

パート

1

は次の画面から開始する。生徒はここでコンテストの進め方を理解する。画 面の左枠には「チャット」,右枠にはコンテストに必要な情報を探すための「ボタン」,

「スコアカード」といった,生徒が使用できる機能が表示される。

画面の説明では,先生がチームに,コンテストが始まる前に問題を見たり,答えを探 したりしないようお願いするとともに,コンテストをどう進めればよいかについて,チ ームメートとチャットを使ってしばらく話し合うよう求めている。

アイテム

ID CC100101

正答 「チャットに参加する」をクリックし,かつ右枠のボタン

(「地理」「人口」「経済」)をどれもクリックしない。

分類

(C3)

参加のルールに従う(例えば,他のメンバーに課題 を実行するよう促す)

難易度

314

点(習熟度レベル

1

未満)

この問いの日本の生徒の正答率は

85.6

%であり,

OECD

平均は

82.1

%であった。

画面

3

:パート

1.1

コンテストの理解

あかねさんと三郎君がチャットを開始する。生徒は,進め方についてチャットを用 いて会話を続け,チームが目の前の課題に取り組む手助けをする必要がある。

アイテム

ID CC100102

正答 たぶん,はじめにやり方を決めたほうがいいんじゃないかな?

分類

難易度

502

点(習熟度レベル

2

(C1)

実行予定/実行中の行動についてチームメンバーとコミ

ュニケーションをとる

正答は,三郎君が戦略を考えずに解答を始めたいと言っているのに対し,はじめに やり方を決めておくべきというものである。

この問いでは,次のチャットマップ

26

のとおり,生徒がどの選択肢を選んでも,あかね さんからは戦略を立てておくことが重要だという答え( 「始める前に,計画を立てるのが 絶対にいいと思う。 」 )が返ってくる。そして,全ての生徒は次のチャットに移動する。

56 CC100102

のチャットマップ

この問いの日本の生徒の正答率は

72.6

%であり,

OECD

平均は

55.7

%であった。

1 CC100102 あかねさん 一番いい方法はどれ?

2

三郎君 とにかく始めようよ。

7

あかねさん

始める前に,計画を立て るのが絶対にいいと思う。

8 CC100103へ 三郎君 僕たち,問題にはできる だけ早く解答しなくちゃ いけないんだよ。

3 選択肢1

あなた

他のチームは もう始めたかな。

4 選択肢2

あなた

問題が簡単だったら いいのになぁ。

5 選択肢3(正答)

あなた たぶん,はじめにやり方 を決めた方がいいんじゃ ないかな?

6 選択肢4

あなた あかねさん,始めたら 分かると思うよ。

7へ 7へ 7へ

画面

4

:パート

1.2

戦略の合意

次の画面では,あかねさんが計画を立てておいた方がいいと主張するのに対し,三 郎君は優勝するには問題に早く解答する必要があることをチームに念押ししている。

生徒はコンテストを進めるための最善の方法を決める必要がある。

アイテム

ID CC100103

正答 そうだけど,どうすればいいのかな?

分類

(B1)

共 通の表 象を構築し問題の意味を交渉する(共通基盤)

難易度

471

点(習熟度レベル

2

正答は,コンテストの目的を達成する最善の方法に議論を集中させることであり,そ

うすることで問題解決を進めることができる。

58 CC100103

のチャットマップ

この問いの正答率は

OECD

平均で

59.2

%であった。

日本の生徒の正答率については,この問いは他の問いとの関連が弱く,したがって 尺度化

27

に用いるには不適切であるとして除外されたため,正答率も欠損値となって いる。

27

調査問題の困難度及び識別力を算出し,各問題の項目パラメータを推定するステップのこ

8 CC100103 三郎君 僕たち,問題にはできる だけ早く解答しなくちゃ いけないんだよ。

15

あかねさん

みんな,チームとしてど うやるか考えましょうよ。

16 CC100104へ 三郎君

早くやればいいだけだよ。

そんなに難しいことかな。

9 選択肢1

あなた そうだね。全部の問題に 最初に正解したチームが 優勝するんだからね。

10 選択肢2(正答)

あなた

そうだけど,どうすれば いいのかな?

11 選択肢3

あなた

全部のチームが同じ問題 に答えるの?

12 選択肢4

あなた まず,このコンテストに 勝ったら何がもらえるの か聞いてみようよ。

15へ 15へ

15へ

13

三郎君 そうだね。そうじゃない と不公平なコンテストに なるもんね。

14

三郎君 ザンダー国旅行だよ。

と。詳細は国立教育政策研究所(2016)付録を参照。

画面

5

:パート

1.2

戦略の合意(続き)

一つ前の問いで生徒がどの選択肢を選んでも,あかねさんはチームとしての戦略が必 要だと主張するが,三郎君はその意義を考えず,優勝するために個人的な戦略( 「早く やればいいだけだよ。そんなに難しいことかな。」 )を繰り返す。ここで生徒は問題解決 のための戦略を提案する必要がある。

アイテム

ID CC100104

正答 問題をみんなで分担すれば,たくさんの問題に答えられるよ。

分類

(B1)

共 通の表 象を構築し問題の意味を交渉する(共通基盤)

難易度

524

点(習熟度レベル

2

正答は,協同的な戦略を提案することである。

この問いでは,次のチャットマップのとおり,生徒がどの選択肢を選んでも,あかね

さんは問題を分担することが重要だと主張する(「それに,みんなで同じ答えを探して

いたら遅くなるわ。 」) 。

CC100104

のチャットマップ

この問いの日本の生徒の正答率は

75.4

%であり,

OECD

平均は

51.7

%であった。

16 CC100104 三郎君

早くやればいいだけだよ。

そんなに難しいことかな。

22 CC100105へ 三郎君

そうか!やっとわかった。

17 選択肢1

あなた コンテストのルールは 簡単そうだけど。

とにかくベストを つくしてやろうよ。

20 選択肢4(正答)

あなた

問題をみんなで分担すれ ば,たくさんの問題に 答えられるよ。

18 選択肢2

あなた

みんな早くできるけど,

チームの中にもっと早く できる人がいると思う。

19 選択肢3

あなた

だれが何問答えるかは 関係ないよ。勝てばいい んだから。

21

あかねさん

それに,みんなで同じ 答えを探していたら 遅くなるわ。

21へ 21へ 21へ

画面

6

:パート

1.3

最適な方法の明確化

前述のとおり,一つ前の問いで生徒がどの選択肢を選んでも,あかねさんは全員が同 時に同じ問題の答えを探すと遅くなると言う。生徒は「地理」 「人口」 「経済」の問題に 答えるための最も効果的な方法を示し,チームメートをそれぞれ異なる分野の問題に取 り組ませる必要がある。

アイテム

ID CC100105

正答 ひとりずつ別の分野をやろうよ。

分類

(B3)

役割とチーム組織を記述する(コミュニケーションの決

難易度

434

点(習熟度レベル

1

正答は,メンバーがそれぞれ別の分野に答えることを提案し,チームとしての具体 的な戦略を示すものである。

まり/参加のルール)

CC100105

のチャットマップ

この問いの日本の生徒の正答率は

72.6

%であり,

OECD

平均は

72.3

%であった。

22 CC100105 三郎君

そうか!やっとわかった。

24 選択肢2

あなた

優勝したら,賞金はみん なで公平に分けようね。

23 選択肢1(正答)

あなた

ひとりずつ別の分野を やろうよ。

25 選択肢3

あなた

コンテストでチームとし てのやり方が分かるよう になるよ。

26 選択肢4

あなた じゃあ,始めようよ。

27

パート1終了

27へ 27へ

27へ

パート

2

選択についての合意形成 画面

7

:パート

2

説明

生徒がパート

でどの選択肢を選んでも,パート

の冒頭に次の画面が表示され,メ

ンバーそれぞれが別の分野を担当することになる。パート

の目的は,チーム内で分担

を決め,誰がどの分野を担当するのかについて合意を得ることである。