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図3 - 2 0 a) 7 Hzとb) 9 Hz刺激時のローレンツプロ ット(30秒) .
9 Hzの場合は10Hzと同様、 位相ジャンプが不明瞭なために推定誤差 が他より大きくなるとい う問題点は ある が、 概ね図3 - 1 5、 図3
- 1 7に示した位相 揺らぎの周波数特性 がローレンツプロットにお いても間欠性の強弱という形で表出したと思われる。
位相 揺らぎと空間分布の変動との関係を調べる ため、 図3 - 2 1、
図3ー22に図3 - 1 3と異なる被験者の10Hzおよび11Hz 刺激時の クロノトポグラフとそれに対応する02の位相曲線をそれぞれ示す。
図3 - 2 1では図3 - 1 3と同様に 、 振幅は後頭部優位、 位相差分 布は 逆相ノ守ターンをそれぞれ基調とし、 位相曲線の変動に対 応 して 緩やかに推移している。 とこ ろが、 10Hz�外の刺激では これと異な り、 特に位相差分 布には図3 - 2 2にみら れるような動的な振る舞 いが観測された。 例えば、 1.2s付近の位 相同期(L )に伴い、 位相 差分布は 02付近のギャ ップのために大きく乱れ(p )、振幅は一様 に低レベルで平坦に 分布している(A )。 ところがその後、 02で位 相ずれが始まるとF p2--- C 4にギャップのある逆相ノミターンが形成さ れ、 振幅 分布では後頭部が優勢になる。 この 時(1. 5 s付近〉の 振幅 ・ 位相差分布は 10Hz刺激下での典型的ノマターンと合致する。 このよう な位相のずれと戻りは0.6、 1.6 、 2.8s付近でも繰り返されており、
その都度、 同様の特徴的な分布変動がみられた。
この ように、 位相の間欠的な時間変動 は空間分布の変動として等 価的に捉え得ることが示唆され、 α波の多様な揺らぎ、 中でも 位相 揺らぎ の本質を探る上で、 時間的かっ空間的挙動を併せて研究する 重要性が示された。
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2 1 1 OHz刺激時の a)振幅とb)0 2基準の位相差 クロノトポグラフおよび c) 0 2の位相曲線a) b) c)
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図3
-
2 2 11 Hz刺激時の a)振幅とb)0 2基準の位相差 クロノトポグラフおよび c) 0 2の位相曲線102
3.
5 議 論
安静時の振幅 ・ 位相挙動は複合 振動子 系のみ ならず、 ニューラル ネットワークやセルオートマトンなど広範なシステムでシミュレー
トが可能であり、 候補の多様さに較べて得られて いる情報は少な く、それだけでは具体的なシステムを特定するのは容易ではな い。 確か に、 逆 相や振幅の前後優勢等の巨視的秩序とも いえる ある程度まと まった構造を示す以上、 複数の振動子が相互結合して引き込み合う 協同作用を生み出していることは容易に推察される が 、 それにも関 わらずリズムが複雑に揺らぐのは、 振動子全体が完全に周期する程 強力に結合しておらず、 むしろ振動子聞の結合力が弱いため個々の 振動子 がかなり勝手に振舞っていることを示唆している。 この よう な観点に立って、 本章では、 α振動子系に振動ペースメーカとして 様々な周波数の強制外力〈閃光刺激〉を加えて各振動子を拘束する
ことにより、 集約 ・ 単純化された系の非線形動特性の抽出を試みた。
その 結果、 閃光 刺激に対して良好な引き込みを起こす被験者は既 述の通りタイプEの内でも限られており、 この事実 からもα振動子 系の多様性が示唆 されている。 つまり、 振動子相互の結合力が強 い と外力によって駆動されにく いし、 逆に弱いと 引き込まれ易 い。 さ らに、 相互結合の弱い場合は集団の協同作用も弱く、 各振動子固有 の挙動が反映される形で系全体の揺らぎが大きくなると考えれば、
タイプIよりも複雑 な挙動を示す事実を説明することが可能である。
加えて、 タイプEの脳波スペクトルが多数の成分によって構成され ていることもこのことを支持している ように思われる。 従って、 タ
イプI のα波は比較的結合 の強い系に由来し、 一方、 タイプE は結 合の弱いルーズな 系によ るものと推定される。 引き込み状態での振 幅 ・位相ノ々ターンがタイプIのそれと似ていることからしても53)、両 者のシステムに本質的な相違を見い出すのは難しい。
また、 タイプEの過渡応答 は刺激に対する柔軟な性質を示してお
り、 既に述べたように刺激開始から引き込み状態、に至る 時間 はわず か1 s以下であった。 この間にα波は大きく分けて2つの過程を経由 するこ と が分かっ た。 最初の過程において、 各部位でみられる 振幅 極小と 位相ジャンプはその時点の前後におけるα波の時間的コ ヒー レンスの切断を、 振幅 ・ 位相分布の平坦化は安静時の空間的特性で ある頭部前後の振幅優勢と逆相関係の解 消をそれぞれ意味すること から、 これによって時間的にも空間的にも刺激以前の記憶を消去し、
状態の初期化を行っていると考えられる。 一方、 後者の場合、 振幅 増大と位相の緩や かな変化 はコヒーレンスの増大を、 後頭部振幅の 増大と 逆相の形成は新しい空間関係の構築を示しており、 刺激への 周期過程といえる 。 このこと はα波が引き込み状態へは連続的に遷 移でき ないことを示唆しており、 その非 線形性に関連して 非常に興 味深い。 振幅の時間変動との対応でいえば、 このよう な現象はvan
d er P 01やDu ffing振動子などの非線形系でもみられており、 示唆に富 んでいる。 また、 刺激停止応 答に関して は、 外からの刺激に合わせ るよりも、 束縛を解かれた ときの方 が状態移 行は容易であろうから、
特別な過程を必要とせずに速やかに安静状態に復帰しているものと 思われる。
良好な引き込み を起こす被験者の場合、 かなり広い刺激周波数範
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-囲で十分な反応が認められる。 刺激に対する慣れの問題や被験者の 耐性への配慮も あって、 正確な共鳴特性の評価は困難であるが、 ほ ぼα帯域すべて(7 ---13Hz)で引き込みを起こす例も稀ではない。
この時、 刺激に対する平均的な位相差は概ね周波数に比例 して変化 し、 周波数が速く なるほど追随が遅れる傾向がみられた。 このよう な位相特性については既に中沢らの詳細な報告52)があり、 定性的に は我々の結果もこれに一致しているが、 その意義について は未だ明 らかでない。 また 、 刺激周波数の上昇、 下降時に、 引き込みの程度 がヒステリシスを示すとの報告も あって52)122)、 これ らの結果から、
かなり具体的な非線形方程式が検討されている。 しかしながら、 先 に指摘した個人差の問題や刺激に対する過渡な応答、 振幅 ・ 位相の
空間ノぐターンなどを併せて考えた場合、 単純なモデルで説明可能か どうかは疑問であり、 さ らに振動子系の性質を統合的に捉える こと が必要と思われる。
本研究において最も注目するのは、 引き込み状態、における位相の 間欠揺らぎであり、 しかもそれが空間的にも、 逆相関係が崩れ た後 に再び形成されていく振舞いと 結びついている点である。 即ち、 引 き込み状態にあっても、 位相は刺激に完全に同期しているわけでな く、 そこには刺激とα波の競合によって生じた位相ギャ ップのよう な 空間的な歪みを蓄積し伝送するメカニズムがあると考えられる。
このような現象を表現するためには、 系にある種の冗長性、 言い換 えれ
ば
付加的な自由度が必要 であって、 少なくとも2次元位相平面 内での記述は難しいと思われる。 位相揺らぎの大きさが単なる揺ら ぎと呼び得る範障を越えて位相変動に支配的となっている事実からも、 再び多自由度複合系の必然性が理解される。
この間欠位相揺 らぎについて、 本研究で得られたローレンツプロ ットは 、 強制外力 の周波数とα波の固有周波数帯がずれている場合 に強い間欠性 を示し、 固有周波数帯域内の刺激に対してははっきり とした性質を示さなかった。 後者の場合 はα波が刺激に強力に引き 込まれているため に揺らぎ自体がかなり抑制されている状態と推察 される。 いわ ば過同期状態と も解釈されるが、 その 様な場合におい ても振幅 ・位相のスペクトルは1/ f J,/タイプを示し、 また、 空間分 布の変動か らみても揺らぎの本質は安静時と較べて不変である 可能 性が考えられる。 一方、 前者 の場合では強制外力とα波が競合する ことによって特徴的な揺らぎが現れるも のと考えられるが、 こ の場 合も質的変化が起こったとする証拠は得られな かっ た。 これまで述 べてきたように、 安静時α波の場合は様々な固有周波数を持つ振動 子が相互作用していることが予想され、 異なる周波 数の振動子間で 競合が起こること は十分に考えられる。 従って、 競合の対象が内在 振動子 か ら強制外力へと移り 、 同時にその強さが増大したと解釈す れば、 間欠的な位相揺らぎは 安静時の揺らぎを端的に集約した もの と捉えることも可能と思われる。 ま た 、 タイプIでも全ての振動子 が同ーの固有周波 数を持っていることは考え難く、 むしろタイプE よりも固有周波数の分散が小さいために相互引き込みがより強力に なって 安静時でも閃光刺激下のタイプEと同様の状況になっている と推定される。 即ち、 ローレンツプロ ットに示された位相ジャンプ の間欠性はそのま ま安静時α波の位相ジャンプの間欠性に対応する と思われる。
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