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第 3 章 匂い源における匂いの領域分割と 濃度推定濃度推定

3.3 実験結果

3.3.2 匂い源濃度の推定

各匂い源に対する12枚の蛍光変化画像のうち,分光条件11における蛍光変化画像を 図3.2に示す.匂い源の位置にしたがって円状の蛍光変化が異なる強度で発生している.

各匂い源に対する蛍光変化パターンを表3.3に示す.こられのデータをR言語を用いて,

重回帰分析を行った.ここでは目的変数として,ベンズアルデヒド濃度CBA,サリチル アルデヒド濃度CS A,ヘキサン酸濃度CHAを用い,説明変数を各分光条件における蛍光 変化 fnとして,下式のような回帰式を用いた.

CBA =a1f1+a2f2+· · ·+a6f6 CSA =b1f1+b2f2+· · ·+b6f6 CHA =c1f1+c2f2+· · ·+c6f6

重回帰分析による回帰式に蛍光変化パターンを代入し,推定した匂い源の匂い物質濃 度を表3.4に示す.ベンズアルデヒド,サリチルアルデヒド,ヘキサン酸の元濃度に対す る推定濃度の相関係数はそれぞれ0.83,0.66,0.97となった.ベンズアルデヒドとヘキ サン酸に関しては,元の匂い源濃度との相関係数が0.9以上あり,強い相関を示してい ることから濃度推定に成功している.一方で,サリチルアルデヒドに関しては,強い相 関は得られなかった.

しかしながら,表3.5に示すようにアルデヒド濃度と酸濃度として考えた場合,アル デヒド濃度と酸濃度の相関係数が0.93,0.97となり,共に強い相関が得られる.ベンズ アルデヒドとサリチルアルデヒドの情報が分離できていないことは,領域分割で酸領域 とアルデヒド領域のみにしか分離できていないことと一致する.この原因は分光条件10

〜12におけるマルチ蛍光アガロースゲルフィルムの蛍光強度が他の分光条件と比べて大 きく,分光条件10〜12の蛍光強度変化が強く反映されてしまったためである.これは,

蛍光プローブ濃度比率の調整,新たな蛍光プローブの追加による情報量の増加,解析手

表3.2 匂い源に対する蛍光変化画像

法の改良を通じて十分に改善可能である.

表3.3 各匂い源濃度に対する蛍光変化パターン

表3.4 匂い源の推定濃度

濃度[µM] ベンズアルデヒド  サリチルアルデヒド ヘキサン酸

C1 538 288 -101

C2 218 245 -124

C3 -90 70 340

C4 564 394 -4

C5 403 268 626

C6 376 105 672

C7 1366 1186 -44

C8 846 1121 31

C9 218 594 1694

C10 355 583 694

C11 285 441 464

C12 369 649 1067

C13 898 971 1323

C14 2143 1578 1849

相関係数 0.83 0.66 0.97

表3.5 アルデヒド濃度と酸濃度

濃度[µM] アルデヒド濃度 酸濃度  アルデヒド推定濃度 酸推定濃度

C1 500 0 826 -101

C2 500 0 463 -124

C3 0 500 -20 340

C4 1000 0 958 -4

C5 500 500 671 626

C6 500 500 481 672

C7 2000 0 2552 -44

C8 2000 0 1967 31

C9 0 2000 812 1694

C10 1500 500 938 694

C11 1500 500 726 464

C12 1000 1000 1018 1067

C13 2000 1000 1869 1323

C14 4000 2000 3721 1849

相関係数 0.93 0.97

3.4 まとめ

本章では,空間中に漂っている特定の匂いの分布と分布を検出するための技術への足 がかりとして,マルチ蛍光アガロースゲルフィルムを用いて複数の匂い物質を同時に検 出し,それぞれの匂い物質が存在する領域毎に分割した.また,複数の匂い物質が混ざ り合った匂い源における匂い物質濃度の推定を行った.本章では問題を簡単化している ため,実環境中の特定の匂いを検出するには情報量が不足しており,分析手法も最適化 されていないが,将来的にはマルチ蛍光アガロースゲルフィルムはそれぞれの要素技術 から特定の匂いを空間的定量的に検出する技術と成り得る.

第 4 章 マルチ蛍光 PVC フィルムを用い

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