特別レポート
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食 品 と 容 器 2009 VOL. 50 NO. 5
写真1
用は容易ではなく,容器,包装業界からの革新的 な提案が待たれる。
さらに昨年は経済産業省が音頭を取り「カーボ ンフットプリント」(以下CFP)制度の研究会を 立ち上げた。温室効果ガス排出量の 見える化 として「製品の原材料調達から廃棄・リサイクル までのライフサイクル全般で排出された温室効果 ガスをCO2に換算し,CO2排出量の数値を統一ロ ゴマークとともに製品に表示」する制度であり,
企業と一般家庭双方にCO2排出量を 把握し,意識することを啓蒙して低 炭素社会の実現を目指すもの。今年 3月には経産省の指導のもと,東京 都,京都府,埼玉県,愛知県のスー パーマーケットやコンビニエンスス トアでCFP商品の試験販売を実施し た。2010年度以降に市場流通を予定 していることから,生活者の身近に ある日用品,化粧品の容器製造や廃 棄で生じるCO2の重要性は,今後さ らに増していくものと思われる。
このように容器の「エコノミー&
エコロジー」はコストダウン,ごみ の減量による経費・家計削減,さら に環境配慮として,企業,生活者双 方に求められている。以下に,各社 の具体的な取り組みを紹介する。
加速する「薄肉化」
各社が積極的に取り組んでいるの が,プラスチック使用量のダイレク トな削減となる容器の薄肉化だ。業 界メーカー14社が加盟する日本石鹸洗剤工業会で は,容器の薄肉化を始め,製品の濃縮化・コンパ クト化,詰め替え用の発売などにより容器包装に おけるプラスチック使用量の削減努力を続けてき た。その結果,07年度のプラスチック使用量は63 万7000トンで,製品出荷量の伸長に伴い前年比で 5.6%増加したものの,95年との比較では,11.7%
の削減となった。また,製品内容量当たりのプラ スチック使用量(原単位)は,前年に比べて0.2
%減,95年比では31.8%の削減に成功している。
その1社であるP&Gは,構造解析技術を用い て容器の薄肉化を図っている。07年〜08年度にか けて,布用消臭スプレー「ファブリーズ」の詰め 替えパウチを軽量化し,プラスチック使用量を6
%削減。07年における同社の国内製品のプラスチ ック使用量は,95年比で製品出荷量当たり34%減 になった。
同社は89年に国内の洗濯洗剤で初めて詰め替え パウチを導入しており,詰め替え用のさらなる普 ◆TOPICS 〜製品の思想は容器に現れる〜
キッチンや浴室,トイレで使用される種々の洗剤は,清潔な暮 らしには欠かせないアイテムである一方,さまざまな化学物質を 含んでいる。生活が豊かになるとともに洗浄剤も増え,自然本来 の浄化力では浄化しきれなくなり,環境への影響が懸念されてい る。 環境保護意識の高いドイツで開発されたバイオ洗浄剤「グリュ ーネヘクセ」(緑の魔女)は,バイオの力で洗浄し,さらに排水 によって環境を汚染することなく,逆に微生物による自然の浄化 力を高めて環境を浄化・回復させる役目を果たすとして,一般家 庭で長く親しまれている。
同製品はバイオの力で洗浄するという第一の目的を果たした後,
排水パイプの中を流れる際に,洗浄液に配合しておいた成分「グ ロースファクター」が排水パイプに棲む微生物を活性化するとい う作用を果たす。これにより,微生物の 汚れを食べる力(生分解力)が高まるた め,排水パイプの汚れが分解されてきれ いになるという仕組みだ。
日本では,ミマスクリーンケアが「緑 の魔女」(写真)を,食器用,お風呂用,
トイレ用,洗濯用,食器洗い機用として シリーズ展開している。国内販売に当た り,同社は折りたたんで捨てられる,薄 型の特製容器へと改良を施した。一層の 省資源化を図ることで,製品の内容や思 想に合致した容器へと,その存在を高め た好例だろう。
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及に努めるとともに,何度も詰め替えて使用する 本体容器の耐久性の向上と,詰め替えやすさの改 良を進めている。洗濯洗剤はもちろんエアケア,
ヘアケアなどすべての詰め替え用について,本体 ボトルの注ぎ口にピッタリと合うよう設計(写真 1)。詰め替え時のこぼれやすさを改善している。
また開口部分にレーザー光で微細加工をすること で,簡単に手で切れる工夫を施している。
また,エステーが09年3月に発売した消臭芳香 剤「無香DE消臭エコパック300g」,「微香DE消 臭エコパック300g」(写真2)も,PETボトル をリサイクルした再生プラスチックを使用して薄 肉化に取り組んだもの。簡単につぶして捨てるこ とができ,ゴミの軽減にも役立つ。PETボトル 協議会から認定を受けており,フタ上部に「つぶ せる省ゴミ容器」,「再生PET使用」と表示した 横に「PETボトルリサイクル推奨マーク」を表 示している。本体中央には商品名「エコパック」
を大きく記載するなど,エコ製品であることを前 面に出してアピールした商品だ。
昭和40年に日本で初めて詰め替え用を発売した ミヨシ石鹸も,ユニークな詰め替え用を展開する。
通常の「スタンディングタイプ」に比べて,プラ スチック使用量をその4分の1,本体ボトルに対し てはわずか10分の1に抑えた「ピロータイプ」は,
誕生当時の詰め替え用を基本としたもの。「ピロー タイプ」は非常にやわらかく,立たせて並べるこ とができない。ピロー( 枕まくら)という名前のとおり,
横に寝かせて陳列することになるため店頭での見 栄えなど課題もあるが,エコノミー&エ
コロジー商品として普及を目指してい る。陳列しやすい専用 什じゅう器を用意してい るほか,09年2月末より「液体せっけん そよ風」(写真3)にもピロータイプ を追加するなどして拡充を図っている。
「薄肉化」に新技術
このように一般的にボトルに比べて パウチ(袋型)の方が,プラスチック 使用量が少ないため,詰め替え用はパ ウチが主流だが,さらに新たな容器が 登場した。
花王は一般的な詰め替え用パウチと同等の樹脂 量で,変形しにくい立体構造のボトル形状容器を 成型する「超薄肉成型技術」を開発。08年9月に 発売した「キュレル薬用シャンプーつめかえ用」
(写真4),「同コンディショナーつめかえ用」に,
この技術を用いたボトル状プラスチック容器を採 用した。本品ボトル容器と比べて樹脂量を約76%,
廃棄時の体積では約95%削減し,容器の厚さを本 写真2
写真3
写真4
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品ボトルの約半分に抑えた。また本体容器の表面 に貼はるラベルの厚さについても,従来の約半分に 薄肉化している。
同時に,誰だれでも使いやすいよう,パウチではな くボトルだからこそできるユニバーサルデザイン を随所に取り入れた。濡ぬれた手や弱い力でも簡単 に手で切って開封できるよう,新たに「プルリン グ方式」を採用。缶飲料のプルトップのように穴 の開いたプラスチックの取っ手は,力を掛けやす い形状。弱い力で済むように,プルリング穴の角 度についても最適化を図った。また,詰め替え時 に逆さまにすると本体容器の首部分に詰め替え容 器のつまみがかかるよう設計し,ぐらつきにくく 安定して注ぐことができるよう配慮した。容器を 丸めてムダなくしぼり出せるなど,扱いやすさも 向上している。さらに,手触りでシャンプーかど うか識別できるよう,通常,シャンプーの本体ボ トル側面についている「きざみ」を,詰め替え用 で初めて付けることができた。
強度を保ちつつ,プラスチックを薄く成型する
「超薄肉成型技術」について,同社は「環境対策 の一環ではない。他の商品に採用する計画はな い」としているが,技術的には扁平状や円筒状な ど,さまざまな形状で可能としており,注目の技 術であることは間違いない。
新たなバイオ資源も
資生堂は08年10月,化粧品容器の廃棄・焼却時 のCO2排出を抑制することを目的に,南米最大の 化学メーカーであるブラスケン(ブラジル)と豊 田通商との3社間で,2011年までにブラスケンが 世界で初めて商業生産を開始する「サトウキビ由 来ポリエチレン」の化粧品容器への活用に向けた 共同開発契約を結んだ。
ブラジルのサトウキビは世界でも有数の生産量 を誇る非穀物由来のバイオ資源であり,将来にわ たって安定的に供給しうる持続可能性や潜在供給 力に優れていることから,資生堂は2011年以降に 同容器への切り替えを積極的に促進していく。廃 棄や焼却時に大気中のCO2濃度を増加させない取 り組みを強化するなど,トータルで地球環境にや さしい商品を開発していく考えだ。
廃棄時まで配慮
また近年は,使用時の快適性に加え,廃棄時の 簡便性,利便性も商品機能の重要な要素のひとつ としてクローズアップされている。
制汗剤などスプレータイプの製品は,キャップ を外した後にヘッド部分を押してスプレーすると いう使い方が一般的だが,ライオンの制汗剤
「Ban」シリーズは,スプレーボタンとキャップ が一体型となった,キャップを外さずに使える
「ワンタッチキャップ」を採用している。キャッ プがない分ゴミが出ない。また「残ガス排出機 構」を装備しており,キャップを引き抜いて反対 向きに差して押し込むと,残ったガスを簡単に抜 くことができる。
さらに,今年から店頭POPも工夫。輸送用の段 ボールを裏返すと什器になるという「段ボールレ ス」を実現した。その他のトレイについても,従 来のプラスチックからコーティングした紙性に変 更し,ゴミの削減に努めている。
コーセーコスメポートの「サロンスタイルヘア スプレー」,「フレッシュケアボディデオドラント スプレー」も残ガス排出機構を装備。そのほか
「サロンスタイル寝ぐせ直しウォーターつめか え」は小さくつぶせるボトルを採用,「ヒアロチ ャージホワイト」,「同モイスチュア」は 簡単分 別対応商品 として,胴巻きの紙をはがしやすく し,ゴミを分別しやすくしている。
独自エコマークでアピール
このように薄肉化,新技術の開発,利便性の向 上などに各社とも余念がないと同時に,そうした 取り組みを生活者へアピールすることにも一層力 を入れている。
ユニ・チャームは,紙オムツや生理用品といっ た使い捨て商品を製造・販売する企業としての社 会的責任を果たすため,原材料や生産工程のエネ ルギー使用量削減,ゼロエミッションの推進など に取り組んでいるほか,独自のエコラベル「エコ チャーミングマーク」(写真5)の表示を実施し ている。
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