今や一大産業を成し,EU圏を中心に世界中へ 運動が広まった。アメリカ,アルゼンチン,ブラ ジル,日本ではオーガニックに関する法整備を進 めており,カナダにも同様の動きがある。国によ って多少の差異があり,多国籍企業にとって新製 品開発上の障害となっている。ある会社が日本か ら輸入したオーガニック緑茶を使った新製品の開 発を試みた時,使用緑茶は日本のJASの認定は受 け て い た が, 農 務 省 のNOP(National Organic Program)の基準は満たしていなかったというこ ともあった。
どのくらいオーガニックか
NOPでは以下の4段階を設定している。
・100%オーガニック
・オーガニック
・オーガニック素材使用
・非オーガニック(オーガニック素材が70%以下)
製品がどの段階に属するかは使用素材,コスト,
機能性素材の使用度合いなどが考慮される。「非 オーガニック」という表示はおかしな感じを受け るが,それなりに利点もある。従来の綿花栽培は 防虫剤と化学薬品に依存していたが,Nike社で は2010年までに全製品の5%に使用するという目 標を設定し,オーガニック綿花栽培を支援すると いう方針を定めた。2003年に2.5%とオーガニッ ク綿花300万ポンド以上に相当する使用量を実現,
2004年には100%オーガニック綿花使用ラインを
導入した。同社の取り組みに刺激を受け,オーガ ニック綿花栽培に切り替える農家が増えている。
食品業界でも同様の動きがあり,消費者に好意的 に受け止められると共に,LOHASの理念に忠実 で環境に敏感な企業というイメージ戦略にもかな う。
オーガニック度の算出
オーガニック度合いを計算する際,製品に使用 する水と塩は除かれる。濃縮果汁の還元に使う水 は果汁の一部分をなす(オーガニック農法生産素 材と解釈される)ため,オーガニック度の計算に 入れられる。ところが豆乳や乳製飲料などに加え る水は,農産品ではないとして算入されない。
NOPリスト
NOP中でオーガニック製品メーカーが最も留 意すべきは許可・禁止品目リストである。リスト に掲載されていればオーガニック,掲載されてい なければ非オーガニックとされる。リスト605で は非農産物が(a)非合成物・許可と(b)合成物・
許可とに分けられている。農務省サイトを活用し,
メーカーから消費者に対してオーガニックである ことを立証できるのが望ましい。リストは定期的 に更新され,代替品が出てきた際など品目の削 除・追加が行われている。
外部的課題
オーガニック製品開発は,大規模メーカーであ るほど素材の確保が難しい。肉や乳製品の場合,
オーガニック飼料が限られている上,農場をオー ガニック認定レベルへ転換するまでに3年はかか るため,素材の供給は常にタイトな状態である。
2008年にはオーガニック市場を左右する2つの大 きな動きがあった。一つは穀物価格の高騰で,バ イオ燃料原料としてトウモロコシの需要が拡大し
オーガニック食品・natural食品開発の課題
( )12(ʼ08・12)
文献 №5452
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食 品 と 容 器 2009 VOL. 50 NO. 5
た結果,農家が他の穀物生産を減らしたため,農 産物全体が値上がりした。オーガニック農場への 切り替えにかかる費用負担を躊ちゅうちょ躇する農家が増え た。もう一つはアメリカ発の世界的金融危機であ る。消費者の可処分所得が減り,オーガニック製 品に対する財布の紐ひもが固くなった。
Naturalとは何か
FDAは1988年に定めた「naturalとは人工物・合 成物が含まれたり添加されたりしていないもの」
という曖あいまい昧な規定を堅持している。これはメーカ ーには都合よく解釈され,消費者は混乱を巻き起 こした。近年メーカーからFDAに対し,natural定 義の詳細を求めた請求は,食品安全性優先として 却下された。一方農務省のFood Safety and Ins-pection Service(FSIS)では管轄農産品(畜肉・
家禽肉・卵)のnatural表示を奨励,オーガニッ ク関連規制にも力を入れ,それが従来品より「さ らにnatural」を意味するとの誤解を生み,消費 者はますます混乱した。FDAが素材だけを対象 としているのに対し,FSISでは加工の程度にも 着目する点でも両者のnatural解釈は大きく異な っている。
さらなる混乱
新技術の開発も混乱に拍車をかけている。ジア セチルは非乳製品由来のバター用香料として数年 前に登場した。最近では発酵技術によりバニリン が開発された。発酵はnaturalな加工方法と考え られるため,FDAやFlavor Extract Manufacture Association(FEMA)では生成香料も同様とし ている。しかし,消費者はバニラビーンズ由来で ないバニラ香料を受け入れるだろうか? オーガ ニック業界もnatural定義については沈黙を守り,
現時点では個人の判断に委ねられているようだ。
当局が放任主義をとっている状況下では,各メ ーカーが独自に消費者調査を行い,基準を設置す るしかない。事実,小売店やメーカーはこれまで,
naturalとは何かを市場戦略の一環として明確化 し,消費者に伝えることで信頼を勝ち取ってきた。
市場戦略とnatural
オーガニック市場が強力な技術陣を必要とする なら,natural市場には消費者調査が不可欠とな る。後者においては,消費者が何をnaturalと考 えているのかを,市場戦略部門が知らなければな らない。食品素材や加工方法が本当にnaturalか どうか,消費者が理解できない場合や消費者は naturalでないと判断しても,メーカー側では逆 の判断をする場合もある。
後者の例として高果糖コーンシロップ(HFCS)
を挙げることができる。HFCSの食品使用に否定 的な消費者が多いため,ラベル表示を非natural としながらも,メーカーではHFCSをさほど問題 視していない。
新製品戦略
オーガニックが厳格に規定された単語であると すれば,naturalは非常に曖あいまい昧な点で正反対とい える。natural市場への新製品導入を考える際は,
自社独自の戦略をとり,変化を続ける消費者の意 見に敏感であることが重要である。
また,内部/外部調達のいずれであっても素材 の出自に目を光らせ,naturalな代替品や加工方 法があれば即座に切り替えられるよう,社内体制 を整えなくてはならない。ただし「言うはやすし」
であり,素材情報は社外秘の場合もあることに留 意すべきである。
Natural対オーガニック?
Natural食品とオーガニック食品はLOHAS市場 を大きく左右する二大要素である。オーガニック という標語は市場誕生のきっかけとなったが,規 制が厳しく,素材の確保も難しいなどの理由から,
メ ー カ ー は 消 費 者 受 け が 良 く コ ス ト も 安 い naturalへと流れた。しかし事実上の規制不在と 消費者心理の変化から来るリスクも抱え込むこと になった。どちらを取るにしろ,メーカーではそ れぞれの問題点を把握しておかなければならない。
(力丸みほ)
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食 品 と 容 器 2009 VOL. 50 NO. 5
今月のPACKAGING NEWSは2009年のFlexible Packaging賞を受賞したフレキシブル容器を紹介 する。
ここでは7点の金賞と最高賞(Highest Achieve-ment Award)および特別賞(Special Citation for Social Resposibility)を紹介する。
生鮮アスパラガスの真空包装(写真1)
従来,スーパーマーケットなどで販売される生 鮮カットアスパラガスは,陳列と崩れ防止のため ゴムバンドで束ねられていた。Sealed Air Corp.
のCryovac Food Packaging部門は洗練された方 法でグリーンアスパラガスの新鮮さを長期間維持 するパッケージを開発した。
プレメイドの黒のポリプロピレントレイに8オ ンスのクリーンな生鮮カットアスパラガスを収納 し,真空スキンパックにより3次元で観察できる。
気体透過性が高い呼吸可能(breathable)なス キンフィルムを採用し,電子レンジで2〜4分で 加熱できる。3mil(76μm)のポリオレフィン スキンフィルムのパッケージは,その存在をアピ ールするため,立てて陳列することができる。
シェルフライフは,製品の品質や温度制御によ るが,10〜14日で,従来の生鮮アスパラガス包装 よりかなり長い。MA(modified atmosphere)
は導入していないが,製品の呼吸により受動的に パッケージ内の環境はMA状態となる。酸素がパ ッケージに透過し,炭酸ガスを追い出す。
電子レンジでスチーム加熱ができるが,レンジ
から取り出したトレイは触っても熱さを感じない でディナーテーブルに置くことができる。また,
蒸気抜きは必要ない。加熱されると,フィルムが 膨らみ,その後自然にベントされる。トレイは 212゚F(100℃)までの耐熱性をもつといわれる。
本容器は,Packaging Exellenceの金賞と同時に最 高賞を受賞した。
ワクチンを保護する携帯バッグパック(写真2)
Cold Pack System社は,高価なものや壊れや すいものを輸送するため気体を入れて膨らませる ことができる“AirLiner”と称する折りたたみ式 の環境に優しいパッケージを開発した。保温用ラ イナーをもち,内部にクーラーを入れることがで きる段ボールの輸送用ケースである。この技術は ワクチンなどを地方に容易に輸送できる。シェル フライフは温度変動に大きく影響される。
ナイロン製のバッグパックがAirLinerを保持し ている。熱バリアはAirlLinerを膨らませるのに 用いられる熱伝導の低い空気やアルゴンガスおよ び放射率の低い金属蒸着フィルムによって得られ る。フィルムは外層より,3milのナイロン共押 出フィルム(PEのスキン層含む)/金属蒸着PE で構成されている。
27のサイズと3種の厚みがあり,ワクチン輸送 システムとして認可され,世界保健機構(WHO)で も用いられている。容器はPackaging Exellence の金賞と同時に特別賞を受賞している。
写真1 写真2 写真3