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に、「モンゴルは中国国土を経由して、海へ達する、

戻る、トランジット輸送に関する両政府間の契約」を 25年間の期間で締結。同契約の主要な条件は下記の とおり。

• 中国へ輸出される鉱物資源の1/3を、中国の海港で 第3国へ輸出する

• トランジット輸送において関税、VATなどの税金 を支払わない

中国東北部に位置するDandong,Dalin,Jinzou,Yingk

ou,Qinhuandoa,Huandhuagang,Tianjinの7箇所の海 港(図38)を利用できる(事前はTianjinのみだっ た)

• Zamiinuud国境検問所(中国側の国境検問所名は二 連)のみならず、Sumber, Bichigt, Gashuunsukhait, Shivee Khuren国境検問所にて輸出された荷物も海 港へ輸送できる

• 輸送料金は2.5¢/kg(中国の標準輸送料金)から引 き下げられ、1.5¢/kgになった

トランジット輸送に関して中国と合意できたため、

2014年10月、“国家鉄道政策”に関する国会規定によ り、Khuut炭鉱・Bichigt国境検問所間を結ぶ鉄道、

Tavan Tolgoi・Gashuunsukhait国境検問所間を結ぶ 鉄 道 を1,435mm(中 国 基 準)の ゲージ で、Arts suury・Erdenet 市、Tavan Tolgoi・Sainshand・

Baruu-Urt・Khuut・Choibalsan、Khuut・Numrug間 を結ぶ鉄道を1,520mm(ロシア基準)のゲージで開発 すると決議(図36)。即ち鉱物資源を中国へ輸出する、

第3国へ輸出する場合、国境で積み替えせずに輸送す る政策を決定。

図38.海港へのアクセスルート 出典:モンゴル交通・運輸省

“国家鉄道政策”にUkhaa Khudag・Gants Mod間 の267kmの鉄道をフェーズ-2仕組内で開発すると指 定されたが、経済状況、石炭市場などにより最初に実 施することになった。同鉄道案件の過程は下記のとお り。

同鉄道の開発許可をモンゴル石炭分野の大手である Energy Resources社が取得し、建設事業をSamsung C&T社と締結していた。

ただしモンゴル政府2012年121号決議により、モン ゴル政府が鉄道開発を実施すると決定したため、

EnergyResources社の鉄道事業が中断された。

2013年3月、モンゴル政府が同契約の権利、義務を Mongoliin Tumur Zam社に譲渡させることを決定し た。

2013年5月、Mongoliin Tumur Zam社が権利、義 務を譲渡させる契約を締結し同日、MongoliinTumur Zam社とSamsung C&T社がUkhaa Khudag→Gants Mod間の267kmの鉄道建設に関する契約を締結。

2015年6月の段階で全作業の68%を実施済。

さらにモンゴル側は地域開発の観点から、可能な 限りモンゴル国内を通したいと考えている。特に、

Tavan Tolgoi・Sainshand間の鉄道ルートは、南部モ ンゴルの鉱物資源を活かしたSainshand産業団地(図

40)を作る構想と結びついている。

海への出口では中国の渤海と日本海へ出るルート がある。運賃上では中国経由の方が近い。Tavan Tolgoi・Sainshand間の鉄道ルートをモンゴル東部の Choibarsan市まで開発し北上し、ロシアのシベリア 鉄道で、ナホトカ、または、サハリン対岸のワニノま で運ぼうという「東部鉄道案」14もある。

将来的なモンゴル炭の輸出港湾候補の検討に向け て、バム鉄道の終着地であるワニノ方面とシベリア鉄 道の終着地であるウラジオストック方面はそれぞれ主 要な海港である。モンゴルからの石炭積出港として検 討に値するのは下記の海港である。

① ボストチヌイ港

② ウラジオストック港

③ ナホトカ港

④ コジミノ港

⑤ スラビヤンカ港

⑥ ポシェット港

⑦ スラビヤンカ港

⑧ ソビエツカヤ・ガバニ港

⑨ ワニノ港

⑩ ムチケ港

ロシアの海港のうち、①ボストチヌイ港、③ナホ 図39.鉄道ゲージ図

出典:Aspire Mining 社のマップにより Blue Ridge 社作成

14 日本の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「モンゴル南ゴビ地域(タバントルゴイ炭田)

の石炭資源開発に係るアジア太平洋地域向けの輸送インフラの検討」-レポートによると原料炭の国際市場価格が 200USD/tであれば経済性が確保される

トカ港、⑥ポシェット港は積出候補として可能性があ る。ただし、新規のモンゴル石炭取扱に対応するため には大規模のインフラ開発が必要になるとみられる。

また、⑧ソビエツカヤ・ガバニ港、⑩ムチケ港は石炭 取扱が増大することが期待されている。しかし、バム 鉄道がすでに飽和状態にあり、港湾における積出能力 の拡大の是非は鉄道輸送能力増強の進展如何にかかっ ているとみられる。

モンゴル側は「東部鉄道プロジェクト」に日本側と 協 力 す る 立 場 で あ る。2015年5月、 モ ン ゴ ルTs.

Elbegdorj大統領が日本公式訪問中、「東部鉄道プロ ジェクト」への参加を安倍首相に提案。日本側も検討 するとの立場を表明。2015年10月、安倍首相のモン ゴル公式訪問中、「東部鉄道プロジェクト」の協力に 関するMOUが締結された。2015年12月、日本経済産 業省の安藤戦略輸出交渉官をリーダーとしたミッショ

ンがモンゴルを訪れ、南部モンゴルの開発案件現場、

鉄道開発などを視察。

モンゴル政府は「東部鉄道プロジェクト」に必要な 資金を日本から20年間で借入し、石炭で返済する意 向である。両政府は鉱物資源の輸送、開発、加工の面 で協力することを検討している。

11-1-1.モンゴル・ロシア・中国の「経済通路構想」

2015年7月、ロシアのUfaモンゴル・ロシア・中国 の首脳会談で「モンゴル・ロシア・中国の経済通路開 発のプログラム作成に関するMOU」に調印。同MOU によりモンゴル・ロシア・中国が鉄道、道路、送電線 などのインフラをはじめとする「経済通路」(図40)の 開発協力に合意。モンゴル政府は「経済通路」を通し て海港へのアクセスを確保したい立場である。

図40.経済通路

出典:Aspire Mining 社のマップにより Blue Ridge 社作成

11-1-2.経済通路構想の仕組み内に AIIB が関心示し たモンゴルの鉄道プロジェクト

M.Zorigt交通・運輸省大臣は、2015年11月16~17 日 に 香 港 で 実 施 さ れ た“Mongolia Projects and Ivestment Summit Hong Kong”中、アジアインフラ 投 資 銀 行(AIIB)が モ ン ゴ ル のOvoot炭 鉱・Arts Suuryロシア国境検問所・Elegest炭鉱(ロシアトゥ

バ共和国)間鉄道(図38)、及びKhuut・Bichigt国境 検問所間鉄道に関心を示していると表明。

1)Erdenet市・Ovoot炭鉱・Arts Suuryロシア国境 検問所・Elegest炭鉱間鉄道概要

ロシアのElegest炭鉱から中国国境までの鉄道距離 及び融資額(推定)は表29のとおり。

2)Khuut・Bichigt国境検問所間鉄道プロジェクト概 要

モンゴル・ロシア・中国の経済通路構想、中国の 一帯一路構想、ロシアのユーロアジア通路構想の範囲 内にモンゴルのトランジット輸送が取り上げられてい る。

Khuut・Bichigt国境検問所間鉄道案件は、3か国間 の「経済通路プログラム」の枠組み内に開発される3 線経済通路の1つである、トランスシベリア鉄道・

Ereentsav・Bichigt・中国のJinzou港間の経済通路の 一部である。2014年11月、モンゴル科学アカデミー と中国の開発調査センター(Development Research Center of State Councill/DRC/)の学者団が、Taliin Zam構想及びシルクロード構想の組み合わせ、モン ゴル市場と中国港へのアクセスを調査する視察旅行を 行なった。学者団は天津港、Jnizou港15などを視察 し、「Jnizou港の特徴、長点、地理的位置、モンゴル の鉄道開発政策、3か国首脳会合などを考慮すれば、

図41.Elegest 炭鉱→ ArtsSuury 国境検問所→ Ovoo 炭鉱→ Erdenet 市鉄道マップ 出典:Aspire Mining 社のマップにより Blue Ridge 社作成

表29.北部鉄道概要

(スタートをロシアの Elegest 炭鉱から)鉄道 鉄道距離(km) 融資額(百万 USD)

1 Elegest 炭鉱→ Arts Suury ロシア国境検問所 267 560

2 Arts Suury 国境検問所→ Ovoo 炭鉱 214 475

3 Ovoo 炭鉱→ Erdenet 市(Aspire Mining) 547 1200

4 Erdenet 市→二連市(中国国境検問所) 1115 鉄道が既に存在

合計 2143 4378

出典:Aspie Mining 社のデータにより Blue Ridge 社作成

15 http://www.worldportsource.com/ports/commerce/CHN_Port_of_Jinzhou_2137.php

Jnizou港・Bichigt国境検問所・Ereentsav国境検問所 間を鉄道で結ぶことは地理的に近く将来性、経済性で 利益が高い」と評価。

Jnizou港・Bichigt国境検問所・Ereentsav国境検問 所間鉄道の利点は下記のとおり。

• Jnizou港・Bichigt国 境 検 問 所 間 の 距 離 は850km

(ウランバートル市から天津港まで約1800km)

• 多種商品を積み積み替えるアジア最大の港になる 計画を立てている

• 内モンゴル自治区の人口密度が低い地域を経由す る

• 中国東北部で石炭不足により需要がとても高い16た め、Khuut炭鉱17から20百万t/年の高質なエネル ギー炭を輸入できる

• 中国→ロシア及びヨーロッパへ輸出する製品を、

満州経由で輸送するより短くて安い

• 東部鉄道を開発できれば、Tavan Tolgoiの石炭を 渋 滞 が な い 鉄 道 で 海 港 ま で 輸 送 で き る(Tavan Tolgoi→Gashuunsukhait間の鉄道輸送能力は30 百万t/年)

11-1-3.AspireMining 社の北部鉄道プロジェクト

「南部鉄道プロジェクト」、「東部鉄道プロジェク ト」の他、豪州のAspire Mining社18が原料炭輸送目 的で北モンゴルで実施している547kmのErdenet市・

Ovoot炭鉱間の「北部鉄道プロジェクト」(図40)が進 んでいる。概要は下記のとおり。

プロジェクト過程:

2012年:Ovoot炭鉱を所有するAspire Mining社 が、Erdenet市・Ovoot炭鉱間鉄道の事前FSを作成

2013年:事前FSを改定

2014年10月:モンゴル国会が鉄道国家政策を制定 済。北部モンゴルでErdenet市・Ovoot炭鉱・Arts Suury国境検問所間を開発するよう指定。

2014年11月:モンゴル政府がErdenet市・Ovoot炭 鉱間鉄道プロジェクトを「PPPプロジェクトリスト」

に追加

2015年3月:モンゴル投資庁とAspire Mining社と の間で、Erdenet市・Ovoot炭鉱間鉄道のPPP交渉を 開始。

2015年8月:モンゴル政府とAspire Mining社との 間で、Erdenet市・Ovoot炭鉱間鉄道のPPP契約を締 結。(PPP契約期間は30年、投資回収期間は20年と推 定)

• 2015年:AspireMining社のNorternRailway子会社

(AspireMining社が90%NobleGroupが10%)が中国の ChinaRailways20BureauGroupCorporation(CR20G)

とChinaRailwayFirstDesignSurveyandDesign Institute(FSDI)のコンソーシアムとEnginneering・

Procurement・Construction契約(EPC)を締結。また、

資金調達の面でも協力し合っている。

16 L.Purevbaatar世銀インフラアドバイス、モンゴル鉄道エンジニア協会の会長

17 位置:Dornod県、Matad郡、鉱業権所有者:BumanOlz有限会社 石炭品質

Mo Ash S kcal/kg 埋蔵量 採掘量(可採限)

War Wad Qdaf Qar 百万 t 百万 t/ 年

38.6 12.0 10.0 1.11 6,285 3,074 294.0 20.0

18 http://www.aspiremininglimited.com/

Ovoot 炭鉱は埋蔵量(モンゴルで第2位)

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