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制御入力飽和に対する補償法

ドキュメント内 制御工学のための高度専門教育教材の開発 (ページ 55-61)

第5章 開発教材を用いた実応用例

5.2 制御入力飽和に対する補償法

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Fig.5.2.1 ワインドアップ現象 (実行ファイル:m_chap5_no9_fig)

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このワインドアップ現象を回避するには飽和時に積分動作を行わないようにすればよい。

PID 制御のように積分要素が明確に分割されていれば容易にワインドアップ現象を回避で きるが分割されていない場合は制御器の状態量が実際に対象に加わる信号により駆動する ようにアンチワインドアップ化すればよい。以下にその手法を述べる。

制御器(バイプロパーと仮定)を次のように分割するここで、アンチワインドアップ化 する制御器の伝達関数はバイプロパーな伝達関数と仮定する。もし、厳密にプロパーな場 合には、制御帯域内で周波数特性に影響を与えないよう、十分に高い折点周波数を持つ1 次進み要素を分子に付加し、バイプロパーとすればよい。すると制御器𝐶(𝑠)は定数項𝐶と 厳密にプロパーな伝達関数𝐶̅(𝑠)により次式のように分割できる。アンチワインドアップ化し た制御系をFig.5.2.2に示す。

𝐶(𝑠) = 𝐶+ 𝐶̅(𝑠) ( . .1) Fig.5.2.1より

(𝑠)

𝑒(𝑠)= 𝐶(𝑠) = 𝐶

1 + 𝐶𝐹𝐵(𝑠)𝐶 ( . . ) ただし、

C

FB

(s )

𝐶𝐹𝐵(𝑠) = 𝐶−1(𝑠) 𝐶−1 ( . .3) 制御器のアンチワインドアップ化のためには制御器の状態量が実際に加わる信号により 駆動されればよい。この等価変換により、𝐶𝐹𝐵(𝑠)の状態量は必ず飽和後の出力によってのみ 駆動されることとなり、飽和により出力できないにもかかわらず状態を「巻き上げる」こ とが無くなり、ワインドアップ現象を回避できる。

Fig.5.2.2 アンチワインドアップ制御系

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PIDコントローラのアンチワインドアップ化の具体例

本研究で用いる実験用モデルファイルの各コントローラは全てアンチワインドアップ化 している。ここでは一例としてPID制御器のアンチワインドアップ化の手順を以下に示す。

PID制御器𝐶(𝑠)を定数項𝐶と厳密にプロパーな伝達関数𝐶̅(𝑠)に分解する。

𝐶(𝑠) = 𝑇2𝑠 + 1

𝑇1𝑇4𝑠 + 1

𝑇31 ( . .4)

定数項𝐶は、

𝐶 = 𝑇2・𝑇4

𝑇1・𝑇3 ( . . )

よって𝐶𝐹𝐵(𝑠)は、

𝐶𝐹𝐵(𝑠) = 𝐶−1(𝑠) 𝐶−1 ( . . ) = 𝑇1𝑠

𝑇2𝑠 + 1 ・𝑇3𝑠 + 1

𝑇4𝑠 + 1 𝑇1・ 𝑇3

𝑇2・𝑇4 ( . .7) = (𝑇1𝑇2𝑇4 𝑇1𝑇2𝑇3 𝑇1𝑇3𝑇4)𝑠 𝑇1𝑇3

𝑇2𝑇4{(𝑇2𝑠 + 1)(𝑇4𝑠 + 1)} ( . .8)

4章で示した各実験用モデルファイルも例外ではなく、上記のようにアンチワインドア ップ補償を施し、Fig.4.4.8で示すようにControl deskにて補償の有無が切り替えられる構 成となっている。

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5.2.1 アンチワインドアップ補償のための教材開発

アンチワインドアップ補償を学習するために作成したプレゼンテーション教材やサンプ ルプログラムについて示す。Fig.5.2.3 にプレゼンテーション教材の一部を示す。ワインド アップ現象の解説から具体的な補償方法について記している。 サンプルプログラム:

m_chap5_awu では各パラメータやコントローラのアンチワインドアップ化が記述されて

いる。このプログラム内ではFig.5.2.4に示すシミュレーション用モデル:mdl_chap5_awu が実行されている。

このシミュレーション用モデルでは補償効果を明確にするためにシンプルな制御系を対 象に補償の有無を比較している。Fig.5.2.5 にそのシミュレーション結果を示す。アンチワ インドアップ補償を施した制御系では大幅にオーバーシュートが低減されている。

Fig.5.2.3 アンチワインドアップ補償プレゼンテーション教材

Fig.5.2.4 mdl_chap5_awu_

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Fig.5.2.5 アンチワインドアップ補償シミュレーション結果 (実行プログラム:m_chap5_awu)

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