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内部モデル制御系(IMC)

ドキュメント内 制御工学のための高度専門教育教材の開発 (ページ 42-49)

第 4 章 開発教材を用いた制御系設計法

4.5 内部モデル制御系(IMC)

モデルベースド制御の一つであるIMC法(Internal Model Control)のブロック線図は、制 御対象𝑃(𝑠)とそのノミナルモデル𝑃𝑛(𝑠)を用いてFig.4.5.1のように示すことができる。ここ で、𝐹(𝑠)は伝達関数𝐹(𝑠)𝑃𝑛−1(𝑠)をプロパーとする低域通過型の伝達関数で、IMC フィルタ と呼ばれる。このとき、rからyまでの伝達関数は、

𝑟= 𝑃(𝑠)𝑃𝑛−1(𝑠)𝐹(𝑠)

1 𝐹(𝑠) + 𝑃(𝑠)𝑃𝑛−1(𝑠)𝐹(𝑠) (4. .1)

である。もし𝑃(𝑠) = 𝑃𝑛(𝑠)であれば

𝑟= 𝐹(𝑠) (4. . )

となり、設計した𝐹(𝑠)が目標値応答特性そのものとなる。図から、𝑃(𝑠) = 𝑃𝑛(𝑠)のときには フィードバックループは動作せず、フィードフォワード制御となる。すなわち、𝑃(𝑠) ≠ 𝑃𝑛(𝑠) のときのみフィードバック制御が動作する。

このように、IMCではモデル𝑃𝑛(𝑠)が与えられれば設計パラメータは𝐹(𝑠)のみとなり、

𝐹(0) = 1 (4. .3)

となる設定でステップ指令に対して定常偏差のない応答が得られる。制御対象の相対次数 がnのとき、もっとも簡単な𝐹(𝑠)は

𝐹(𝑠) = 1

(𝑠 𝜔⁄ 𝑖𝑚𝑐+ 1)𝑛 (4. .4)

となり、設計パラメータはフィルタの制御帯域幅𝜔𝑖𝑚𝑐のみとなる。

Fig.4.5.1 IMC制御系ブロック線図

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IMCを適用する場合には、制御対象が積分特性を持つかどうかによりIMCフィルタ設計 において注意が必要である。制御対象が積分特性を持った系であるとき、IMC 制御器では 外乱に対し定常偏差が残ってしまう。

本来、IMC制御器は1型の積分特性を持つため、理想的にはステップ応答に対して定常 偏差は残らない。しかしながら、制御対象が積分特性を持つとき、𝑃𝑛−1(𝑠)に含まれる1階微 分特性により相殺され、その結果IMC制御器には積分特性が無くなってしまう。その結果、

ステップ外乱に対して定常偏差が生じる。

今回用いた対象のように位置制御系など、制御対象が積分特性を含む場合、上記の理由 からIMCは外乱応答に対し定常偏差が残るため有効ではない。これを解決する手法として IMCフィルタ𝐹(𝑠)を次のように設計する。外乱に対して1型の特性、すなわちIMC制御器 に積分特性を持たせるために式(4.5.4)のIMCフィルタを

𝐹(𝑠) =

(𝑛 + 1)𝑠 𝜔𝑖𝑚𝑐 + 1

(𝑠 𝜔⁄ 𝑖𝑚𝑐+ 1)𝑛 (4. . )

と修正する。

この手法はIMC-PID制御系と呼ばれ、IMC制御器を等価的にPID制御器とみなすこと ができる。

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4.5.1 IMC 制御系のための教材開発

IMC制御系について学修するための教材について述べる。Fig.4.5.2にプレゼンテーショ ン教材の一部を示す。特徴や利点、制御器の設計法について解説している。関連プログラ

ム:m_chap4_imcではコントローラのパラメータやIMCフィルタやIMC-PIDフィルタの

パラメータが記述され、モデルファイル:mdl_chap4_imc のシミュレーションが実行され ている。

Fig.4.5.2 内部モデル制御プレゼンテーション教材

Fig. 4.5.3 m_chap4_imc

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Fig.4.5.4にmdl_chap4_imcのブロック線図を示す。制御対象𝑃(𝑠)とそのモデル 𝑃𝑛(𝑠)は 積分特性を含む。IMC制御系と IMC-PID 制御系を比較することで外乱特性改善の効果を 明確に示している。

対応する実験用モデルファイ ルを作成するにあ たり、コーデックの簡単化の ため

Fig.4.5.5 のように IMC 制御器を等価変換し実験用モデルファイルを作成した。Fig.4.5.6

にmdl_chap4_imcに関連した実験用モデルファイル:mdl_chap4_imc_projを示す。この

実験用モデルファイルではIMC制御器とIMC-PID制御器を配置し、対応したControl desk のレイアウト:lay_chap4_imc_projにてオンラインでIMC制御系とIMC-PID制御系が切 り替え可能となっている。

Fig.4.5.4 mdl_chap4_imc内のブロック線図

Fig.4.5.5 IMC制御器等価変換ブロック図

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Fig.4.5.6 mdl_chap4_imc_proj内のブロック線図

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4.5.2 開発教材を用いた IMC 制御系設計

本教材の流れに沿ってIMC制御系、IMC-PID制御系をFig2.1のシステムに対して適用 した。IMCフィルタは制御帯域を考慮し、𝜔𝑖𝑚𝑐 = 0 rad/sとした。その伝達関数は次式で ある。

𝐹(𝑠) = 1

(𝑠 𝜔⁄ 𝑖𝑚𝑐+ 1)2 (4. .7)

制御対象のモデルは式(3.11)を利用したが、これは積分特性を持つために式(4.5.7)のフィ ルタでは外乱応答に定常偏差が残ってしまう。そこで外乱に対して 1 形の特性を持たせる

ためにIMC-PID制御系の適用では式(4.5.8)のフィルタを以下のように修正する。

𝐹(𝑠) = 3 𝜔⁄ 𝑖𝑚𝑐+ 1

(𝑠 𝜔⁄ 𝑖𝑚𝑐+ 1)3 (4. .8)

これらのフィルタを用いてシミュレーション、実験を行った。Fig.4.5.7にシミュレーショ

ン結果、Fig.4.5.8に実験結果を示す。シミュレーション結果ではIMC制御系はオーバーシ

ュートもなく理想的な結果が得られているが、実験結果のIMC制御系では外乱に対して1 形の特性を持ち合わせていないために外乱であるモータの摩擦により、定常偏差が残って しまう。一方、IMC-PID制御ではオーバーシュートがでるものの、外乱に対する定常偏差 が改善されている。

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Fig.4.5.7 IMC、IMC-PIDシミュレーション結果 (実行ファイル:m_chap4_inc_motor)

Fig.4.5.8 IMC、IMC-PID法実験結果

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