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分岐点を同定する際に情報を必要とするタイミングに関する調査

4. 道路案内標識の案内誘導効果に関する評価モデルの構築

4.2 分岐点を同定する際に情報を必要とするタイミングに関する調査

4.2.1 実験の目的と方法

推論モデルのフローチャート(図- 4.7)における α1(判断開始率)と α2(分岐点同定確率)を求め るために以下の実験を行った。

まず、自動車に車載カメラを設置し、異なる路線で1、3、5、7kmを直進走行した映像を撮影す る。

撮影した4種類の映像(1、3、5、7km)を被験者に見せ、それぞれ映像開始から1、3、5、7kmの 地点を曲がるべき分岐点と設定し、「[1]分岐点を曲がるにあたってどうしても案内標識等の情報 が欲しいと感じた地点」、「[2]分岐点だと感じた地点」に該当する時に挙手してもらい、その地点 の実際の距離を記録した(写真- 4.1)。

今回の実験では、曲がるべき分岐点までの距離のみを被験者に伝えており、交差点名、路線番 号、地名等の情報は提供していない。従って、[1]は具体的な名称を対象とするのではなく、分岐 すべき距離が近づいてきたため何かしらの情報が欲しくなる地点(α1:判断開始率)を把握するた めに実施した。

[2]は分岐すべき交差点までの距離のみの情報しか持たないとき、1、3、5、7kmを対象として、

どの程度の距離で分岐点と判断するかを把握するために実施した(α2:分岐点同定確率)。

被験者は35名で、観測データ数は133であった。

4.2.2 実験の結果

(1) 分岐点選択確率とその分布

走行実験により得られた[1]分岐点を曲がるにあたってどうしても案内標識等の情報が欲しいと 感じた地点(図- 4.8)、[2]分岐点だと感じた地点(図- 4.9)の観測データから、分岐点を選択する割合 を算出した。

設定した分岐点(1、3、5、7km)に近づくにつれ割合が増加していることがわかる。これは、分岐 点に向け直進している間に、行動を起こす(開始する)までの時間が短くなっているため、切迫感が 高まっているためと考えられる。

写真- 4.1 実験風景

127

(a)分岐点までの距離1km

(b)分岐点までの距離3km

(c)分岐点までの距離5km

(d)分岐点までの距離7km

図- 4.8 [1]案内標識等の情報が欲しいと感じた地点における地点選択確率とその分布 0.00 0.00

0.23

0.80 0.97 1.00

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

分岐点距離(km)

0.00 0.00 0.29

0.66 0.77 0.94 0.97 1.00

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

分岐点距離(km)

0.00 0.11

0.40

0.83 0.97 1.00

0.00 0.00

0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 5.5 6.0

分岐点距離(km)

0.04 0.07 0.14 0.32 0.43 0.57 0.79 0.86 0.89 1.00

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0

分岐点距離(km)

128

(a)分岐点までの距離1km

(b)分岐点までの距離3km

(c)分岐点までの距離5km

(d)分岐点までの距離7km

図- 4.9 [2]分岐点だと感じた地点における分岐点選択確率とその分布 0.00 0.00 0.00

0.29

0.86 1.00

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

分岐点距離(km)

0.00 0.00 0.06

0.29 0.49

0.86 0.91 0.97 1.00

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

分岐点距離(km)

0.00 0.00 0.14

0.54

0.94 0.97 1.00

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 5.5 6.0

分岐点距離(km)

0.00 0.07 0.07 0.11 0.18

0.36 0.39

0.64 0.86 0.89 1.00

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5

分岐点距離(km)

129 (2) 換算距離差の分布と累積値

実験で得た1、3、5、7kmの距離による大小を無くし、無次元化した評価を行うため、換算時間 差モデル14)に基づき、換算距離差d12を式(2)で定義する。

(2)

d12:換算距離差

d1:次の分岐点までの距離 d2:走行距離

換算距離差 d12 は、次の分岐点に近づくに従って減少する傾向を持ち、残距離と同じ性質を持 つ。図- 4.10は[1]案内標識等の情報が欲しいと感じた地点、図- 4.11は[2]分岐点だと感じた地点の それぞれの換算距離差の分布と累積値を示す。

(a) 換算距離差d12の分布

(b) 換算距離差d12の累積値

図- 4.10 [1]案内標識等の情報が欲しいと感じた地点の換算距離差の分布と累積値 0 1 3 1 2 5 7

12 20

14 14 131311 8 4

0 3 2 0 0

0 5 10 15 20 25

-0.5 0 0.5 1 1.5

換算距離差 d12

133133132129128126121114 102

8268 5441

2817 9 5 5 2 0 0 0

2040 60 80 100120 140 160

-0.5 0 0.5 1 1.5

換算距離差 d12

2 1

2 1

12 d d

d d d

+

= −

130

(a) 換算距離差d12の分布

(b) 換算距離差d12の累積値

図- 4.11 [2]分岐点だと感じた地点の換算距離差の分布と累積値

仮想の走行実験で算出されたα1(判断開始率)とα2 (分岐点同定確率)を用いて、ロジスティック方 程式をもとに式(3)を定義した。図- 4.12には、観測で得られたデータの累積分布と、式(3)で定義し たα1α2の理論式の結果を示す。ロジスティック曲線で定義した結果、α1α2ともに決定係数が高 い値が得られ、理論式と観測データが類似した傾向にあることがわかった。

また、α1α2の理 論値と実験 値の乖離 の程度をWelchのt検定で検 定したと ころ、α1t (40.557)=0.16469、p=0.87、α2t (39.96)=0.093926、p=0.9256となり、それぞれ p>0.1となり、理論 値と実験値に有意な差はみられなかった。

(3)

上記で求めた結果は、道路案内標識の案内誘導効果を評価するために有用と考えた。その理由 は大きく2つある。1つ目は、室内実験であるが理論値に近い値であるため、ドライバーが分岐し

1 3 4 7 9

1720 18 14

7 15

7 2 5

1 2 1 0 0 0 0

0 5 10 15 20 25

-0.5 0 0.5 1 1.5

換算距離差 d12

133132129125 118109

92 72 54

40 33

18 11 9 4 3 1 0 0 0 0 200

4060 10080 120140 160

-0.5 0 0.5 1 1.5

換算距離差 d12

(

12

)

1 1 11.2024exp 4.5084

1 1

d

− + α =

(

12

)

2 1 6.0246exp 6.2279

1 1

d

− + α =

131

ようとする行動をモデル化する際に使用することは有効と考えた。2 つ目は、予定経路まで到達 できる割合を評価する際、分岐する交差点間を 1つの評価単位として考えたため、今回の室内実 験の結果でも活用できると考えた。

決定係数[1]:0.9961 決定係数[2]:0.9919

図- 4.12 α1、α2の理論式と観測データ分布 0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 α

判 断 し た 人 の 割 合

換算距離差 d12

観測データ[1]

観測データ[2]

理論値[1]

理論値[2]

132