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291988 年 大阪大学医学部卒業

第 2 部  再生医療をめざした基礎研究 オーガナイザー

シンポジウム1 発生からみた再生医療 2月15日(木) 14:10 ~ 16:30 第1会場(グランドプリンスホテル広島 2F 瀬戸内)

S1-2-2 角膜上皮細胞へのダイレクトリプログラミング

き た ざ わ

澤 耕

こ う じ

(京都府医大)

Stevens-Johnson 症候群、眼類天疱瘡および化学外傷による難治性眼表面疾患に対して培養角膜上皮移植、培養口腔粘膜 上皮移植など新しい治療法が次々と開発されてきた。これらの新規治療法は、今まで治療が不可能であった患者に対して大 きな福音となった。しかし、当時、治療開発への大きなコンセプトは Stem cell(幹細胞)であった。Longevity が高い細胞 が良いとされ、こぞって幹細胞マーカーの探索や培養方法の開発がされてきた。しかし、実際の臨床を考えたとき、最終的にはいかに移植した細胞が角膜上皮 らしいふるまいをすることが重要であることに気づかされる。このことは角膜上皮の分化がどのように規定されることが重要であることとも合致する。

我々は以前から、角膜上皮の細胞特異性を維持している転写因子ネットワークについての解明を進めており、“角膜上皮らしさ“とはどのように制御されて いるかを研究してきた。特異性を維持している転写因子群を”コア転写因子”と呼び、多くの下流遺伝子の発現を制御する事で細胞特異的な機能を発現しかつ 維持している。古くは“MyoD“が骨格筋の分化に重要なコア転写因子であることが報告され、山中因子(OCT4, SOX2, KLF4, MYC)は ES 細胞におけるコ ア転写因子で、それが iPS 細胞の発見につながった。

本講演では、角膜上皮細胞のコア転写因子である 6 つの転写因子 (PAX6, OVOL2, KLF4, SOX9, TP63, MYC) を用いておこなった、角膜上皮の新規再生医 療の試みを述べる。コア転写因子を強制的に発現することで、iPS 細胞を介さずにダイレクトに角膜上皮細胞への分化転換が可能となる。これをダイレクトリプ ログラミングと呼ぶ。角膜上皮の発生を考えたダイレクトリプログラミングについて講演したい。

2004 年 京都府立医科大学医学部 卒業 2012 年 京都大学 iPS 細胞研究所

2015 年 京都府立医科大学医学研究科 博士課程修了 2015 年 京都府立医科大学感覚器来医療学 特任助教

バプテスト眼科クリニック 医長

2017 年 バプテスト眼科クリニック 部長 現在に至る

略 歴

S1-2-1 転写因子導入によるヒトES細胞から涙腺上皮細胞への分化誘導

か わ き た

北 哲

て つ や

也 (北里大・北里研究所病院)

涙液は主涙腺から主に分泌され、眼表面を涙液が覆うことで、感染防御、視機能維持、栄養 維持などさまざまな役割を果たしている。眼表面への涙液の供給がなくなると、角膜輪部機能 不全を起こし、結膜上皮が角膜を覆う。さらに角結膜上の上皮が角化しはじめ、皮膚角化上皮 が眼表面へ侵入し、最終的には、眼表面はすべて皮膚で覆われてしまう事にもなりうる。こういった難治性角結膜瘢痕性 疾患においては、涙腺機能を再生することによる涙液の供給が必須である。この涙腺再生を考える第一歩として、涙腺上 皮細胞を、ヒト由来の細胞からどう誘導するかが重要となる。

今回は、ヒト ES 細胞を用いて涙腺上皮細胞へ分化誘導するために、組織特異的マスター遺伝子の導入を試みた。そのた めに、涙腺原基に高発現している遺伝子の profile を作成し、成体と比較し高い発現をしているものとして、16 の転写因 子を選びだした。さらに涙腺の発達過程や構造の似た唾液腺にも発現しているものを抽出し、SIX1, SIX2, FOXC1 の3つ を選定した。ヒト ES 細胞に PAX6 +(3つの様々な組み合わせ)で遺伝子導入し、分枝構造のマーカーである BARX 2,

涙腺上皮細胞に発現するアクアポリン5、ラクトフェリンの発現を解析した。その結果 PAX6, SIX1, FOXC1 の組み合わ せが最も涙腺上皮細胞様の形態、機能性タンパク質の発現を誘導できた。

1995 年 金沢大学医学部卒業

2000 年 名古屋大学医学部医学研究科博士課程修了 東京歯科大学眼科角膜フェロー

2002 年 Ocular Surface Center(Miami, FL, USA)研究員 2005 年 東京歯科大学市川総合病院眼科講師

2007 年 慶應大学医学部眼科専任講師 2016 年 北里大学北里研究所病院眼科部長

現在に至る

略 歴

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S1-2-4 角膜内皮細胞の発生メカニズムを、iPS細胞を使って考える

は と う

藤 晋

し ん

(慶應大)

角膜内皮細胞は非常にユニークな細胞である。まず、角膜内皮細胞はポンプ機能によって実質の含水量をコントロールするために、細胞膜上 に Na, K-ATPase を非常に高く発現している。また細胞間の tight junction を形成することで、バリア機能を維持している。なおかつ、整然と した敷石状配列にもかかわらず、細胞間の adherens junction は、上皮系の E-cadherin ではなく、むしろ上皮間葉転換の代表的なマーカーの 一つである N-cadherin によって形成されている。

角膜内皮細胞は、発生学的には頭頸部神経堤細胞由来である、とされる。しかし、上記の特徴的なキャラクターが、細胞内・細胞外のいかなるシグナル伝達系を介して発生したものか は、全くといってよいほど判っていない。

慶應義塾大学医学部眼科学教室では、iPS 細胞から、上記のような角膜内皮細胞に必要なキャラクターを持つ、治療用の代替品= iPS 細胞由来角膜内皮代替細胞(CECSi; Corneal Endothelial Cell Substitute from iPS Cells)を誘導し、これを用いた水疱性角膜症治療の再生医療を目指している。この開発過程において、iPS 細胞、iPS 細胞から誘導した P75NTR / CD49d 二重陽性の神経堤細胞、海外ドナー角膜の角膜内皮細胞の 3 系統を比較することで、角膜内皮細胞のキャラクターを発現するためには、いかなる細胞内・細胞外シグナル伝達 系が必要であるかを検証することが出来た。また、iPS 細胞から神経堤細胞に至る分化の過程の、どのタイミングが CECSi 誘導にとって最も効率的であるかの検証も行った。

あくまでも iPS 細胞を用いた検証は、生体内での発生過程の模倣である事に細心の注意が必要であるが、これらの検証結果は、角膜内皮の発生メカニズムについて示唆に富むものと考 える。

1998 年 慶應義塾大学医学部卒業  2002 年 慶應義塾大学医学部助手(眼科学)

2005 年 東京医療センター・感覚器センター医員 2008 年 慶應義塾大学医学部助教(眼科学)

2009 年 慶應義塾大学研究員(文部科学省グローバル COE

プログラム「幹細胞医学のための教育研究拠 点」)(医学部総合医科学研究センター)

2011 年 慶應義塾大学医学部助教(眼科学)

2013 年 慶應義塾大学医学部特任講師(眼科学)

現在に至る

略 歴

S1-2-3 多能性幹細胞を用いた角膜上皮発生と再生医療への応用

はやし

 竜

りゅうへい

(大阪大)

眼は、異なる細胞系譜の原基より構成される複雑な器官である。例えば、網膜は神経外胚葉 に由来する眼胞から発生し、角膜上皮は表面外胚葉由来、虹彩や角膜内皮、実質は神経堤が起 源である。近年、iPS 細胞や ES 細胞といった多能性幹細胞を用いて、神経や網膜組織等の再生 や発生について詳細な研究が行われている。角膜上皮については長らく多能性幹細胞からの確立された分化誘導法が存在 しなかったが、近年、我々はヒト多能性幹細胞から、角膜上皮や網膜の原基細胞などの眼の細胞系譜が層状に規則正しく 配行した未分化コロニーであるSEAM(self-formed ectodermal autonomous multi-zone)を誘導することに成功し、

さらにその中から角膜上皮幹細胞・前駆細胞を単離し、機能的な角膜上皮組織を再生可能であることを報告した(Hayashi R. et al. Nature 2016, Nat Protoc. 2017)。これまでの研究により、この SEAM 法における多能性幹細胞からの角膜 上皮発生過程は、実際の in vivo 眼発生を高度に模倣して再現されていることが示されてきた。そこで、我々はこの SEAM をヒト眼発生の in vitro モデルとして用いることで、角膜上皮発生にどのような因子が関与しているのかについて検討を 行ってきた。本講演では、角膜上皮発生における成長因子や ECM 等の影響ならびに得られた知見の角膜再生医療への応用 について報告する。

2002 年 神戸大学大学院自然科学研究科修了 2008 年 東北大学大学院医学系研究科助手 2009 年 東北大学大学院医学系研究科助教 2010 年 大阪大学大学院医学系研究科助教

2014 年 大阪大学大学院医学系研究科寄附講座准教授

2017 年 大阪大学大学院医学系研究科寄附講座教授 現在に至る

略 歴

特別講演・招待講演

シンポジウム

学術奨励賞記念講演

一般口演 ポスター ■ ■

シンポジウム1 発生からみた再生医療 2月15日(木) 14:10 ~ 16:30 第1会場(グランドプリンスホテル広島 2F 瀬戸内)

シンポジウム1 発生からみた再生医療 2月15日(木) 14:10 ~ 16:30 第1会場(グランドプリンスホテル広島 2F 瀬戸内)

S1-2-5 マウス神経麻痺性角膜症モデルに対するTRPチャネル強制発現での治療効果

お か だ

田 由

(和歌山県医大)

神経麻痺性角膜症は、角膜知覚を支配する三叉神経が障害されておこり難治性であり、一般には対 症療法のみで、根治的な治療法がない。我々はマウス三叉神経を定位脳手術の技術でバイポーラ電極 を用いて凝固することで、三叉神経麻痺性角膜症モデル(重症及び軽症)の作成法を確立した。軽症 モデルでは角膜の透明性、形状が維持されるものの、角膜上皮欠損を作成すると、その治癒は遅延することを確認できた。この神 経麻痺性角膜症モデルマウス用いて神経麻痺性角膜症モデルを用い、三叉神経及び角膜上皮に発現し、痛みに関与する transient receptor potential(TRP) チャネルに注目し研究を行った。角膜上皮欠損治癒時に TRP チャネルの中で、Transient receptor potential vanilloid 4(TRPV4)及び Transient receptor potential ankrin1 (TRPA) の発現の低下を認めたことから、三叉神経 障害後の残存三叉神経への遺伝子導入の目的で TRPV4 アデノ随伴ウイルス (AAV) ベクター遺伝子導入を行ったところ、三叉神経 障害で遅延した角膜上皮創傷治癒に対する明瞭な治療効果を発揮した。この時、三叉神経麻痺モデルの角膜創傷治癒時には抑制さ れる Nerve growth factor(NGF) の発現が上昇していたことから、NGF を介した機序が重要であると考えられた。

TRPV4 を角膜で強制発現することで三叉神経障害による角膜創傷治癒遅延を回復させることができたことから、TRPV チャネル は神経麻痺性角膜症の治療ターゲットとなりうると考える。

1991 年 3 月 和歌山県立医科大学卒業 1994 年 1 月 和歌山県立医科大学眼科助手 2004 年 10 月 和歌山県立医科大学眼科講師 2016 年 1 月〜現在 和歌山県立医科大学眼科准教授

2016 年 4 月〜 2017 年 9 月 Indiana 大学 Optometry Visiting Associate Professor

略 歴