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角膜内皮

座長: 山上  聡

(日本大)

O01 羽藤  晋 (慶應大)

O02 奥村 直毅 (同志社大・生命医科学)

O03 山口 剛史 (東京歯大・市川)

O04 針谷 威寛 (東北大)

O05 永田 真帆 (京都府医大)

一般口演01 2月15日(木) 09:00 ~ 09:50 第1会場(グランドプリンスホテル広島 2F 瀬戸内)

VCP ATPase阻害剤による角膜組織保 護効果

ながた田 真まほ1)、中村 隆宏2)、池田 華子3)、垣塚  彰4)、中小路真美1)、 石田  学1)、外園 千恵1)、木下  茂2)

1)

京都府医大、

2)

京都府医大 感覚器未来医療学、

3)

京都大 臨床研究総合センター、

4)

京都大 生命科学研究科

O05

【目的】Valosin containing protein (VCP) の ATPase 阻害剤として開発された新規物 質 KUSs (Kyoto University Substances) は、緑内障や網膜色素変性疾患モデルで神 経保護効果を有する。今回、KUS の角膜組織保護効果について検討した。【方法】ウサ ギ強角膜片を KUS121(50 μ M)及び KUS187(20 μ M)を含有する Optisol-GS 内に 4℃で 1、2、3、4 週間保存した。摘出した角膜組織切片より組織形態と角膜厚の 変化を、TUNEL 染色により角膜上皮のアポトーシスを、Na-K-ATPase の免疫染色 により角膜内皮の機能変化を、電子顕微鏡により形態学的な微細構造変化を解析した。

【結果】コントロール群(C 群)では 3 週以降で上皮や実質の膨化が生じたが、両 KUS 群では有意に角膜膨化が抑制されていた。上皮のアポトーシスは、全観察期間で C 群

> KUS187 群> KUS121 群の順に有意に観察された。内皮細胞は C 群では 1 週間で 膨化し、その後脱落したが、両 KUS 群では膨化を認めず 2 週間経過しても脱落は少な かった。電子顕微鏡像でも C 群の内皮細胞の膨化が特徴的であった。【結論】KUS121 および KUS187 は角膜上皮のアポトーシスと角膜内皮のダメージを抑制し、角膜組織 保護効果を有していた。ドナー角膜保存液への添加物として有用であると考えられ、今 後の臨床開発が期待される。

全層角膜移植手術時の前房水中サイト カインと術後角膜内皮細胞密度の予後

はりや谷 威たけひろ寛、横倉 俊二、中澤  徹

東北大

O04

【目的】全層角膜移植手術後の角膜内皮細胞の減少経過において、前房水サイトカイン 濃度との関連が報告されているが、まだ不明な点が多い。その中で fibroblast growth factor(FGF)は角膜内皮細胞の遊走に関連があるといわれている。本研究では角膜移 植手術時の前房水サイトカインを測定し、術後の角膜内皮細胞の推移と比較した。【方 法】対象は 2013 年 8 月から 2016 年 3 月まで、東北大学病院にて全層角膜移植手術を 行われ、研究に同意を得られた連続症例 39 例 39 眼。手術時年齢は 67.9 ± 13.6 歳。

手術開始時に前房水を採取し、Multiplex Bead Assay 法(Bio-Plex Pro cytokine assays)にて 27 種類のサイトカイン濃度を測定した。術後角膜内皮細胞密度が 12 カ 月で 1000 /mm2 以上に維持されている群と、1000 /mm2 未満に減少していた群に 分けた。検出濃度以上である濃度を 2 群間で t 検定を用いて比較した。P 値 0.05 未満 を有意とした。【結果】術後角膜内皮細胞密度が維持された群に比べて、減少した群で は前房水 FGF 濃度が有意に低かった。(29.6 ± 19.0 pg/ml vs 17.5 ± 11.3 pg/ml, p=0.037)その他のサイトカインにおいて有意な差は認めなかった。【結論】全層角膜 移植手術後の角膜内皮細胞の経過において、FGFが関与している可能性が示唆された。

角膜内皮疾患の房水Proteome解析

やまぐち口 剛たけふみ1)、植田 幸嗣2)、比嘉 一成1)、佐竹 良之1)、島崎  潤1)

1)

東京歯大・市川、

2)

がん研究会・がんプレシジョン医療研究センター・がんオーダー メイド医療開発プロジェクト

O03

【目的】角膜移植後の角膜内皮細胞の減少に房水中のサイトカインが関与することがわ かってきたが、原因であるかは不明である。我々は、房水環境変化が角膜内皮細胞変性 をきたすという仮説のもと、房水環境変化をとらえるためタンパク質の網羅的解析を 行った。【方法】対象は水疱性角膜症をきたした内眼手術後 5 眼(P 群)、同フックス 角膜内皮ジストロフィ 5 眼(F 群)、白内障眼 5 眼(N 群)。角膜移植または白内障手 術時に房水 100ul を採取し、Proteome 解析を行った。同定・定量できたタンパク質の うち、角膜移植の予後が悪い P 群のみで P < 0.0001 水準で上昇をきたしたタンパク質 群で Gene Ontology(GO) 解析を行った。【結果】房水から 1162 種類のタンパク質 が定量できた。N 群と比較して P < 0.0001 で上昇したタンパク質は P 群で 69 種類、

F 群で 35 種類、P 群 F 群両方で 33 種類であった。GO 解析の結果、補体経路の活性 化が P 群であることがわかった。P < 0.0001 水準で上昇した上位タンパク質 30 種類 のうち 16 種類が補体 / 凝固関連たんぱくであった。【結論】角膜移植の予後の悪い患者 の房水では、サイトカイン以外に幅広いタンパク成分変化が起きる。中でも補体 / 凝固 関連因子の上昇が強いことが示唆された。

角膜移植後の角膜内皮面における免疫 細胞の存在が疑われる所見の検討

おくむら

村 直なおき1)、井上 亮太1)、中野新一郎1)、松本 大輝1)、粥川佳菜絵2)、 北澤 耕司2)、脇舛 耕一2)、小泉 範子1)、木下  茂2,3)

1)

同志社大・生命医科学、

2)

バプテスト眼科クリニック、

3)

京都府医大・感覚器未来医 療学

O02

【目的】我々は角膜移植後患者の角膜内皮面に白色の細胞様沈着物が認められ、ウサ ギを用いた動物実験によりそれらが免疫細胞である可能性が高いことを報告した

(Koudouna et al. 2017, IOVS)。今回は、角膜移植後に認められる免疫関連細胞 様所見の程度と臨床背景について検討した。【方法】バプテスト眼科クリニックにおい て、全層角膜移植または角膜内皮移植(DSAEK)を施行された 56 例 61 眼を対象と した。接触型スペキュラーマイクロスコープにより角膜内皮面を観察した。取得した動 画より 1 視野あたりの免疫細胞様所見の平均個数によりグレード分類し(G0:細胞を 認めない、G1:1 個未満であるが細胞を認める、G2:1 個、G3:2 個、G4:3 個以 上)、背景因子との相関の有無を検討した。【結果】61 眼全てにおいてグラフトの角膜 内皮面に免疫細胞様の所見が認められた。グレード別の平均術後期間は G1 で 50.0 ± 50.2、G2 で 34.3 ± 36.3、G3,4 で 65.3 ± 70.9 月、角膜内皮細胞密度は G1 で 1065

± 574、G2 で 1396 ± 718、G3,4 で 1238 ± 747 個 /mm2であり、グレードとの相 関関係は認めなかった。ステロイド力価(ベタメサゾン 1/ 回、フルオロメトロン 0.1/

回)は G1 で 1.0 ± 1.4、G2 で 1.5 ± 1.6、G3,4 で 1.4 ± 1.6 であり、有意な相関を 認めなかった。【結論】今後、角膜後面沈着細胞の角膜内皮細胞密度への影響を経時的 に検討することで、chronic graft failure への免疫細胞の関与の有無が明らかになると 考えられる。

角膜内皮細胞とiPS細胞由来神経堤細胞 の網羅的遺伝子発現解析

はとう藤  晋しん、宮下 英之、関口 友美、庭野 博子、稲垣 絵海、山崎 梨沙、

山下 和哉、許斐 健二、坪田 一男、榛村 重人

慶應大

O01

[ 目的 ] 角膜内皮細胞は神経堤細胞由来とされているが、その発生メカニズムは不明で ある。iPS 細胞から誘導した神経堤細胞と、角膜内皮細胞との遺伝子発現の差異につい て、網羅的解析を行うことで、角膜内皮細胞の発生に重要と思われる pathway を検証 した。[ 方法 ] 角膜内皮細胞は海外輸入角膜 9 眼分から回収した。iPS 細胞 Ff-I01s01 株 (iPS 細胞ストックのラボ専用株 ) を、Bajpai ら(Nature, 2010, vol. 463, 958-964)による既報を修正した方法で誘導し、P75 NTR /CD49d 2 重陽性の神経堤細 胞(i-NCC)を 3 ロット回収した。両者から mRNA を回収し、アジレント・テクノ ロジー社製 DNA マイクロアレイ解析にて網羅的解析を行い、発現変動遺伝子群を検 出した。これらについて WikiPathway に登録されている 793 pathway のうち有意 水準 0.01 以下でヒットする pathway を探索した。[ 結果 ]i-NCC と角膜内皮細胞に おいて最も変動の大きい pathway 上位 5 つは、VEGFA-VEGFR2 signaling, miR-targeted genes in epithelium, TCF dependent signaling in response to WNT, Nuclear Receptors Meta-Pathway, Chromatin modifying enzymes であった。[ 結 論 ]i-NCC はあくまで発生における頭頚部神経堤細胞の代替であるため、結果の慎重な 解釈が必要であるが、上記の pathway が神経堤細胞から角膜内皮細胞への分化になん らかの影響を与えている可能性がある。

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特別講演・招待講演

シンポジウム

学術奨励賞記念講演

一般口演 ポスター ■ ■

座長: 臼井 智彦

(東京大)

O06 奥田 浩和 (同志社大・生命医科学)

O07 大西 貴子 (同志社大・生命医科学)

O08 松本 紗季 (同志社大・生命医科学)

フックスジストロフィ

一般口演02 2月15日(木) 09:50 ~ 10:20 第1会場(グランドプリンスホテル広島 2F 瀬戸内)

Fuchs角膜内皮ジストロフィ患者におけるTCF4 遺伝子のスプライシングバリアントの検討

まつもと

本 紗さき1)、奥村 直毅1)、渡辺 恭子1)、中野 正和2)、Tourtas Theofilos3)、 Kruse Friedrich E.3)、Schloetzer-Schrehardt Ursula3)、小泉 範子1)

1)

同志社大・生命医科学、

2)

京都府医大大学院医学研究科 ゲノム医科学、

3)

University of Erlangen-Nueruberg Department of Ophthalmology

O08

【目的】Fuchs 角膜内皮ジストロフィ(FECD)において、TCF4 における CTG 反復 配列の伸長、スプライシング関連遺伝子の異常が病態に関係する可能性が示唆されてい る。我々は FECD 患者の角膜内皮におけるTCF4 遺伝子のスプライシングバリアント について検討した。

【方法】304 人の FECD 患者のゲノム変異の有無の検討を行った。それらの患者から TCF4 の CTG 反復配列の伸長が 50 回以下の 16 名(伸長なし群)、伸長を 50 回以上 ヘテロに有する 16 名(ヘテロ群)、伸長を 50 回以上ホモに有する 12 名(ホモ群)を 選択し、角膜内皮におけるTCF4 遺伝子のスプライシングバリアントの発現について 検討した。コントロールとして研究用ドナー角膜を用いた。

【結果】バリアント 1、2、3、7、9 の発現はコントロールを含む全ての群で、ほとんど のサンプルにおいて認められなかった。バリアント 5、6 は全ての群の多くのサンプル で認められた。一方、バリアント 4、8、14 はコントロールでは多くのサンプルで認め られたが、FECD 患者では発現を認めるサンプルが減少していた。伸長無し群、ヘテロ 群、ホモ群においてはバリアントの発現パターンに明らかな差は認めなかった。

【結論】CTG 反復配列の伸長は、既知のTCF4 遺伝子のバリアントの発現パターンに影 響を与えていない可能性がある。今後、RNA-seq 解析などにより FECD において新規 のTCF4 バリアントの有無を調べることは、病態の解明に有用であると考えられる。

Fuchs角膜内皮ジストロフィの治療薬開発 を目指した薬剤スクリーニング法の確立

おおにし

西 貴たかこ1)、奥村 直毅1)、上田 江美1)

渡辺 恭子1)、Tourtas Theofilos2)、Schloetzer-Schrehardt Ursula2)、 Kruse Friedrich E.2)、小泉 範子1)

1)

同志社大・生命医科学、

2)

University of Erlangen-Nuernberg Department of Ophthalmology

O07

【目的】我々は Fuchs 角膜内皮ジストロフィ(FECD)において TGF- βシグナル経路 の活性化による小胞体ストレスが細胞障害の原因である可能性を報告した(Okumura et al. Sci Rep. 2017)。本研究では、TGF- βシグナルの活性化による細胞死に対す る抑制効果を指標とした治療薬候補化合物のスクリーニング法を作成した。

【方法】FECD 患者の角膜内皮より樹立した FECD モデル細胞を 96 ウェルプレートに 播種して、TGF- β刺激により細胞死を誘導し Caspase-Glo にてカスパーゼ 3/7 活性 を評価した。CV 値、S/B 比、S/N 比、Z’-factor を算出することで、スクリーニン グ系の精度を評価した。また、TGF- β刺激と同時に 765 種類の FDA 承認薬を添加 し、カスパーゼ 3/7 活性を指標に薬剤のスクリーニングを行った。

【結果】TGF- β刺激によりコントロールである無刺激の FECD モデル細胞に対してカ スパーゼ 3/7 活性は 224.6 ± 5.1% と増加した。CV 値(目標値:10% 以内)はコン トロール群で 5.9%、TGF- β群で 5.1% であった。また、S/B 比(目標値:2 以上)

は 2.25、S/N 比は 21.21、Z’-factor(目標値:0.5 以上)は 0.58 であった。また TGF- β群に対するカスパーゼ 3/7 活性を 80% 以下まで抑制する複数の化合物を見出 した。

【結論】FECD モデル細胞を用いた cell-based のスクリーニング系を構築した。今後、

スクリーニングにより得られたヒット化合物の評価を進めることで FECD に対する治 療薬の開発につながる可能性がある。

Fuchs角膜内皮ジストロフィにおけるmitochondria-associated membranesの病態への関与

おくだ田 浩ひろかず1)、奥村 直毅1)、松本 紗季1)、Young Robert D.2)、 Quantock Andrew J.2)、小泉 範子1)

1)

同志社大・生命医科学、

2)

Cardiff University, School of Optometry and Vision Sciences

O06

【目的】Mitochondria-associated membranes (MAM)は小胞体とミトコンドリアの 接触部位であり、小胞体ストレスなど様々な細胞機能に関わっている。我々は Fuchs 角膜内皮ジストロフィ(FECD)における MAM の関与について検討した。

【方法】研究用ドナー角膜および FECD 患者より採取した角膜内皮を不死化培養した

(iHCEC および iFECD)。iHCEC においてツニカマイシン、MG132 により小胞 体ストレスを誘導し、蛍光顕微鏡および透過型電子顕微鏡により小胞体とミトコンド リアの接触部位を観察した。ウエスタンブロッティングにより MAM 関連タンパク質

(GRP75、Sigma1、Mfn1、Mfn2、VDAC)の発現を評価した。また、iFECD にお いて TGF- β刺激を行い小胞体ストレスを誘導し、同様の評価を行った。

【結果】iHCEC においてツニカマイシン、MG132 による刺激により、蛍光顕微鏡によ る観察像において PDI(小胞体)と Tom20(ミトコンドリア)の共発現する領域が増 加した。MAM は MG132 による刺激では 9.03 から 68.5% と増加した(p < 0.01)。

電子顕微鏡による観察では小胞体とミトコンドリアの膨化および接触部位の増加が認め られた。ウエスタンブロッティングでは、MAM 関連タンパク質の活性化を認めた。同 様に iFECD において TGF- β刺激により MAM の増加が認められた。

【結論】角膜内皮細胞において小胞体ストレスにより MAM が誘導されることが示され、

MAM は FECD の病態に関与する可能性が示唆された。