か?
2. 公共財
2. 公共財
– 公共財(公園)の市場全体の評価
• 需要曲線は需要量ではなく、限界的評価の積み重ねになる。
• これは、山田さんが公園を使用しても、山中さんも使用可能だからである。
山 田 さ んの 限 界 的 評 価
公園の規模 山
中 さ んの 限 界 的 評 価
P1
P2
P1 + P2
~~
MC
D1+D2 D2
D1
X* X* X*
2. 公共財
• フリーライダー問題
– 通常の財は、「その財を購入する」と宣言して、対価 を支払うことでしか、その財の消費をすることができ ない。
– 公共財の場合は「その財を購入しない」といって対
価を支払わなくても、排除不可能性が存在するため、
消費をすることが可能である。
– このような行為を、経済学の言葉でフリーライダーと 呼ぶ(例.NHKの受信料)。
– フリーライダー問題を解決するため、税等で対価を
徴収できる公的機関が公共財を提供することになる。
2. 公共財
• 費用逓減産業
「生産量が増加するほど、平均費用が下がって行くような産業」
例:鉄道、ガス、電力などの産業
– 特徴
• 固定費用が非常に大きく、通常は採算がとれない。
• 価格は限界費用に等しくなることが望ましいが、費用逓 減産業では、それで決まる価格水準ではだれも参入でき ない可能性がある。
– 政府の援助や価格の付け方への工夫が必要。
2. 公共財
• 需要・供給曲線による説明
1. 最適な資源配分は、限界費用曲 線(MC)と需要曲線(D)の交わる Eで決まる。X*よりも需給量が低い と、限界的評価が限界費用よりも 高くなり、過小供給となる。
2. 費用逓減産業は固定費用が大き いため、平均費用曲線が通常より も高い位置にある。その為、価格
<平均費用となってしまい、企業 は採算がとれない。赤字額は BFEP*で与えられる。
3. しかし、企業の赤字BFEP*が消費 者余剰(AEP*)よりも低ければ、社 会的には、企業がX*で生産するこ
MC
D
E
価格、費用
P*
F J
AC
A
B P1
2. 公共財
• 費用逓減産業における2つの市場の失敗
– 独占市場による失敗
• 固定費用が高く、多量に供給した方が費用が低くなるた め、少数の企業はこの財を供給することになる。
– 採算が合わないという失敗
• 企業が最適な資源配分となる生産を行おうとしても、均 衡価格が平均費用よりも低ければ、採算があわない。
• その背景には、全ての消費者に同一の価格で販売を
行っていることと、それによる消費者余剰の存在がある。
一部の消費者は、自分の評価額よりも低い価格で財を 購入をすることができる。その部分が企業の収入に入ら ないため、社会的に必要でも企業に利潤が入らないとい う問題が生じることになる。
2. 公共財
• 採算が合わないという失敗への対策
– 高い価格をつける
• 14ページの図にあるP1の価格付けを行えば、企業は赤 字を解消できる。しかし、供給量が低下するという問題が 生じる。
– 政府による補助金
• 経営努力が足りなくなる問題が起きることもある。
– 二部料金制
• 固定額を請求した上で、限界費用分を徴収する。
• 固定額が消費者余剰よりも低ければ、消費者はその財 を消費することになる。
例:電話料金、電気料金、水道料金。遊園地やゴルフ会員権
経済原論
第 10 回 不確実性・不完全情報の世界
1.不確実性
本来は・・・。
• 不確実性( Uncertainity )
「これから起こる事が確実でないこと」
(確率すら計算できない場合を指すこともある)
• リスク( Risk )
「これから起こる事が確実でないこと」
(確率が計算する事が可能である場合をいうこ ともある)
• この講義では、リスクを危険を伴う不確実性と
1.不確実性
• リスクの例
– 株式市場
– 企業の輸出と為替レート – 就職先の選択
– 新しいプロジェクトへの参入
• リスクへの対処
– ポートフォリオ – 先物取引
– 失業保険 – 多角経営
1.不確実性
• 危険分散
– 「卵は1つのバスケットに入れて運ぶよりも、分けて 運んだ方がよい」
– その代表例が、「保険」。
• 保険
– 我々は、火事に遭うというリスクに直面している。
– 火事に遭った時の補償を保険加入者で出し合うこと で、リスクを保険加入者に分散することができる。
– また、保険加入者が多ければ大数の法則が成り立 ち、火災の発生確率や被害額を予測できる。
1.不確実性
• 保険の限界
– 企業の利潤を補償する保険はない。
– サッカー選手は足に保険をかけるが、我々はその 保険に入れない。その原因は、モラルハザードにあ る。
• モラルハザード( Moral Hazard )
「ある人が利己的な行動をするために、その人 を含めて多くの人が被害を被ること」
– 企業の経営努力の喪失 – 当り屋
– 少し具合が悪いだけで病院に行く
1.不確実性
• 保険の限界
– 企業の利潤を補償する保険はない。
– サッカー選手は足に保険をかけるが、我々はその 保険に入れない。その原因は、モラルハザードにあ る。
• モラルハザード( Moral Hazard )
「ある人が利己的な行動をするために、その人 を含めて多くの人が被害を被ること」
– 企業の経営努力の喪失 – 当り屋
1.不確実性
• 契約形態によるリスク分散
– 企業の収益の変動を引き受けるのは誰か?
• 株主への配当
• 内部留保の取り崩し
• 労働者の賃金(ボーナスによる変動)
– コンビニエンス・ストア
• 賃金契約(本部の直営店のケース)
• 利益分割方式(店の収益の一定割合をフランチャイズ料 として本部に支払うシステム)
• 定額フランチャイズ方式(店の収益とは関係なく、毎月一 定の金額がフランチャイズに支払われるシステム)
2.不完全情報
• 情報の経済学
– これまでは、誰もが情報を共有しているという前 提で議論をしてきたが、ここでは、情報が完全に 行き渡っていない状態(不完全情報の状態)を前 提に議論をする。
– 労働市場の例
1. 採用をした後、まじめに働いてくれるか、定年まで辞 めずに働いてくれるかはわからない。
2. 採用をする側は、誰が優秀な学生か、情報を持って いない。
2.不完全情報
• 逆選択( Adverse Selection )
「質の良いものの中に、質の悪いものが含まれてい る為に質の良い商品の取引が阻害されること」
• そのような財のことをレモンという
– 中古車市場 – 保険
– 銀行と企業の取引
• 新卒市場の採用もこの例に含まれる
2.不完全情報
• 逆選択の解消法
– 第3者の目を入れる
• 中古車のディーラー
• 格付け会社(ムーディーズ)
– 標準化
• フランチャイズ・チェーン化
– シグナリング
• 多大な広告
2.不完全情報
• シグナリングとしての教育の役割
– ベッカーの人的資本理論
• 大学は人的資本を高めるもの
– スペンスのシグナリング理論
• 大学は先天的に決まっている能力を採用企業に伝え るためのもの。
2.不完全情報
• 教育のシグナリング効果
1. 企業は雇った労働者の能力の見分けがつかない。
2. 仕事量に応じて賃金を払うと、20*1/2+10*1/2=15の賃金 を全員に支払う事になる。
• この状況は能力の高い人からみると不公平
3. 能力の高い人が負担2で大学に入り、そうでない人は15の 負担で大学に入るとする。
4. この時、大卒には20、高卒には10の賃金を支払うことで、
能力の高い人は大学に行き、そうでない人は高卒で就職 をし、両者を区別できる。
割合 仕事量 教育の負担
能力の高い人 2分の1 20 2
そうでない人 2分の1 10 15
2.不完全情報
• モラル・ハザード
– プリンシパル・エージェント問題
– エージェントの行動によって、プリンシパルの利益に変化が 生じる。エージェントの行動や、プリンシパルの疑いによって 利益が減じる事を、モラル・ハザードという。
– モラル・ハザード、エージェントの行動に関する情報をプリン
プリンシパル エージェント
依頼人 弁護人
経営者 労働者
株主 経営者
銀行 融資先
保険会社 被保険者
タクシー会社 タクシー運転手