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サービス科学視点による交通系社会インフラサービスの特徴

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 65-68)

第 3 章 社会インフラサービスモデルの提案

3.2. 既存のサービスモデルと交通系社会インフラサービスの適応性

3.2.4. サービス科学視点による交通系社会インフラサービスの特徴

社会インフラサービスを既存のサービスモデルで分析した結果、2.6.節で明らかにした 2つの特徴に加えて以下の特徴があることがわかった。

図3-3 鉄道サービスにおけるサービス・プロフィット・チェーン

コアプロダクト 補完的 バ サービス

ック ヤー ドス タ

ッフ メンテナンス スタッフ

バックステージ フロントステージ サービス・プロフィット・チェーン構成可能

サービス・プロフィット・チェーン構成困難

利用者

利用者

提供者 ( 鉄道事業者 )

車両 駅 駅スタッフ 店舗スタッフ

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特徴 3) コアプロダクトに関して提供者と利用者の間の直接のインタラクションに乏し い。つまり利用者個々のニーズを直接知ることが難しい。

そして、提供者と利用者の間の直接のインタラクションによる展開を前提としている 既存のサービスモデルをそのまま社会インフラサービスに適用することが困難であるこ とも明らかになった。直接のインタラクションに乏しいということは、サービス・ドミナ ント・ロジックにおいても、利用者と提供者という役割を超えたアクターの密接なインタ ラクションによる価値創造というスキームも、社会インフラサービスのコアプロダクト については適用が難しいということになり、ホスピタリティの概念も同様に適用が困難 であるといえる。なお、表3-2に、社会インフラ各業種のコアプロダクトにおける提供者 と利用者のインタラクションについてまとめた。

表3-2 社会インフラサービス各業種におけるの提供者と利用者の関係 業種 コアプロダクト 具体的内容

特徴3) 提供者(従業員)と利用者の直接のインタラクションに乏しい 利用者個々のニーズを直接知ることが難しい

電力事業 電気を供給 電気を供給しているのは電力設備、電線であるため 通信事業 音声、データを送受信 音声、データを送受信しているのは電話、PCなどの機器や

通信線であるため

水道事業 水を供給 水を供給しているのは水道管その他の設備であるため 鉄道事業 利用者を移動させる 移動手段を提供しているのは列車や駅設備であるため 航空事業 利用者を移動させる 移動手段を提供しているのは飛行機や空港設備であるため

更に、「利用者個々のニーズを直接知ることが難しい」という特徴は、次の2つの観点 からも補強される。

1つ目は、社会インフラサービスが派生需要に応じたサービスという点である。利用者 の本来の目的は、社会インフラの利用そのものではなく、社会インフラを利用した後の行 動であることが多い。表3-2の各業種のコアプロダクトを見ても、利用者はそのコアプロ ダクトそのものを享受するのが最終目的ではないことがわかる。利用者の関心は派生需 要に比べ本来のニーズの方に強く向けられることは自然である。

更に、鈴木他(2015)によれば、社会インフラサービスのコアプロダクトはKANOモデ ル(狩野他, 1984)において「当たり前品質」の性質を持つことがわかっており(図3-4)、利 用者が通常利用している範囲では、コアプロダクトに関する利用者の満足度は大きく変 化・増加しない、いいかえれば無関心に近い認識であると考えられる。

2つ目は、社会インフラは公共財の性格を色濃く持つという点である。社会インフラサ

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ービスの提供について、利用者は「無料もしくは安価に提供されるもの」「あって当たり 前」という側面がある。また、ライフラインという位置付けとして「利用者の有無を問わ ず提供が義務化されている」「利用の有無を問わず利用者は維持費を負担する」といった、

他のサービスとは異なる性格を持つ。更に、その位置付けから提供者は国や自治体等が担 うことも多く、提供される無体物・有体物を、利用者は「サービス」として認識し辛い状 況にある。

以上の点からも、更に提供者が利用者のニーズを知ることが困難だといえるのである。

このように、従来のサービス概念と異なる特徴を持つ社会インフラサービスであるが、

社会インフラサービスが置かれている現状と将来を鑑みると、2.2.4.項および 2.2.5.項で 述べたように、提供者にとっては規制緩和による競争、民営化による自立した経営などの 変化が起こり、決められたサービスを機械的に提供するだけでは事業を維持できなくな るはずであり、利用者の満足度を高め選ばれるサービスとなる必要がある。同時に、社会 インフラサービスは公共の福祉のために存在するものでもあることから、容易にサービ ス停止や撤退を行うことは難しいことも事実である。

利用者にとっては価値観の多様化により、例えば電話でいえば固定電話を持たないな ど、社会インフラを利用しないケースも増えている他、社会インフラサービスに対しても よりニーズに合うサービスを選択し、高い品質を求めるようになってきている。

その点では、サービスに関する様々な手法や理論を社会インフラサービスにも適用し、

個々の利用者のニーズに沿ったきめ細やかなサービスを訴求することが一つの方向性で あることは論を待たない。

図3-4 KANOモデルにおける当たり前品質

(狩野他(1984) p.41図1(b)を元に筆者作成)

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このように、通常のサービスとは異なる環境下にある社会インフラサービスに対して、

その特徴を表す新たなサービスモデルを3.3.節で提案する。

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