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サービス選択・評価

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 39-43)

第 2 章 先行文献のレビュー

2.3. サービス科学に関する文献

2.3.5. サービス選択・評価

通常、同一のサービスは複数のサービス提供者によって提供され、利用者は複数のサー ビスから何らかの基準により特定のサービスを選択する。この意思決定については様々 な手法があるが、いくつかの手法を示す。

・SERVQUAL

Parasuraman他(1998)により提唱された、サービスの質を測る手法である。サービス

特性を、当初10次元、付随する97項目で分類したが、その後精査され表2-4 に示す5 次元22項目に整理した。

各項目について、利用者に「(利用前の)期待」、「(利用後の)知覚」の観点で7段階評価し てもらい、サービスの質を「知覚品質」と「期待品質」の差で定義する。

SERVQUALで提案されている22項目の、社会インフラサービス評価モデルへの適用

可能性を4章で後述する。

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表2-4 SERVQUALにおけるサービスの質の5次元分類

Tangibles 設備、施設、従業員の見え方などの物理的な状況。

Q1提供者は最新の設備を持っているか? Q2 提供者は、見た目が魅力的な物理的設備を持 っているか?

Q3 提供者の従業員は、良い服装で、きちんと見 えるか?

Q4 提供者の物理的設備の見え方は、提供され るサービスと調和がとれているか?

Reliability 約束されたサービスを実行する能力(信頼できる、正確にできる)

Q5 提供者が、ある時間までに何かをすると約 束したら実際にそうしているか?

Q6 もしあなたが問題を抱えたら、提供者は共 感的で安心を与えてくれるか?

Q7 提供者は頼りになるか? Q8 提供者は約束された時にサービスを提供し

ているか?

Q9 提供者は記録を正確に残しているか?

Responsiveness 顧客を助ける、即座にサービスを提供する意思があるか

Q10 提供者はサービスが提供される時に利用者 に正確に伝えているか?

Q11 利用者は、提供者の従業員から素早くサー ビスを受けているか?

Q12 提供者の従業員はいつも利用者を助けよう としているか?

Q13 提供者の従業員は利用者の要求に即座に 応えられないほど忙しくしていないか?

Assurance 従業員の知識と礼儀やあるか。信頼と自信みなぎる能力があるか

Q14 利 用 者 は 提 供 者 の 従業 員 を 信 用 で き る か?

Q15 利用者は、提供者の従業員とのやり取りの 中で安全と考えているか?

Q16 提供者の従業員は丁寧か? Q17 従業員は、仕事を十分に行えるような適切

なサポートを提供者から受けているか?

Emphaty 提供者が顧客に提供する気遣い、顧客一人一人への関心。

Q18 提供者は、あなたに個人的な注意を払って いるか?

Q19 提供者の従業員はあなたに個人的な注意 を払っているか?

Q20 提供者の従業員は、あなたの要望が何かを 知っているか?

Q21 提供者はあなたが心から思っている興味 を持っている。

Q22 提供者は全ての利用者に便利な営業時間 を持っているか?

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・AHP

AHP (Analytic Hierarchy Process)は階層分析法と呼ばれ、Saaty(1980)により提唱さ れた意思決定法である。複数の代替案 (Alternatives)から1つを選択する際に、判定する ための複数の基準 (Criteria)を定め、代替案同士の優劣および基準同士の優劣を一対比較 により数値化したうえで重み付けし、最も数値の高い代替案を選択するものである。

簡単な例として、購入する乗用車の選択を行う場合について記載する。図2-4に、選択の 基準と代替案を列挙した図を示す。

基準は「価格」「燃費」「デザイン」の3つからなる。この3つの基準について一対比較 で優劣を数値化する。具体的には、「絶対的にに重要・・・9」「非常に重要・・・7」「か なり重要・・・5」「やや重要・・・3」「同等に重要・・・1」という数値を用いる。

図2-4 AHP適用事例

これを用いて、各基準の重要度を算出する。算出例を表2-5に示す。なお、重要度は、表 を行列とみなした時の固有ベクトルとなっており、合計が 1 になるように正規化してい る。

表2-5 AHPによる各基準の重要度の算出例

価格 燃費 デザイン 重要度

価格 1 3 5 0.602

燃費 1/3 1 7 0.324

デザイン 1/5 1/7 1 0.074

この結果から、「価格」という基準に対する重要度が最も高いことがわかる。

次に、各代替案について基準毎の優劣を比較し数値化する。例えば、「価格」という基 準について各代替案の重要度が表2-6のように得られたとする。

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表2-6 AHPによる各代替案の重要度の算出例

(価格) 車種A 車種B 車種C 車種D 重要度

車種A 1 1/3 1/5 1/7 0.054

車種B 3 1 3 1/5 0.219

車種C 5 1/3 1 1/3 0.157

車種D 7 5 3 1 0.570

同様に「燃費」「デザイン」について一対比較をした重要度が得られたとすると、車種 AからDの総合重要度は、基準の重要度および各基準に関する代替案の重要度から表 2-7のように算出され、この事例では車種Dが最も良い代替案となる。

AHP の特徴としては、基準および代替案の一対比較を組み合わせで実施し数値化する ことにより、簡易な計算で各代替案の重要度を算出することができることである。一方、

基準や代替案の数が多くなると、一対比較すべき対象数が増大するという難点もある。4 章でAHPの判断基準について触れる。

表2-7 AHPによる各代替案の選択例

価格 燃費 デザイン 総合重要度

0.602 0.324 0.074

車種A 0.054 0.557 0.169 0.225

車種B 0.219 0.124 0.237 0.190

車種C 0.157 0.058 0.297 0.135

車種D 0.570 0.261 0.297 0.450

・サービス場とサービス評価手法

Shuang 他(2017)による、サービス場の概念およびサービス評価手法について述べる。

「サービス場」(Kosaka 他, 2011)とはサービスが提供されるシーンの特徴を、電磁場に おける電荷と電磁力の関係になぞらえて定義したものである。Kosaka 他(2013, p.15)に よると、「サービス場」の概念は次のように述べられている。

“The concept of a service field, which is related to “value in use”, is analogous to field theory in physics, where electro-magnetic power is determined by the relation between the charge of electrons and the electro-magnetic field. According to this analogy, service value is determined based on the relation between the provided service and the situation in the following question.”

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具体的には、電磁力 Fが 電荷 q と電場E、磁場Bおよび速度vから F = q(E + v × B)

と表され、電荷がいかに大きくても電磁場の作用がなければ力は発生しないということ を示している。サービスについてもサービスそのもののポテンシャルのみではサービス の価値は生まれず、そのサービスが利用される「場」の要素が重要であるというのが「サ ービス場」の概念である。すなわち、

(Service value) = (Provided Service)・(Service field)

という形でサービス価値が定義されている。

具体的には、サービス提供者の属性ベクトルを𝑠 = (𝑠1, 𝑠2, 𝑠3, ⋯ , 𝑠𝑛)

、利用者のニーズ のベクトルを

𝑎 = (𝑎1, 𝑎2, 𝑎3, ⋯ , 𝑎𝑛)とし、サービス価値を内積 𝑠 ∙ 𝑎 で表す。

𝑠 ∙ 𝑎 = |𝑠⃑||𝑎⃑|cos𝜃

サービス価値を高めるということは内積を大きくするということに他ならず、|𝑠⃑|、|𝑎⃑|そ れぞれを大きくすることに加え、cos𝜃 を大きくする、すなわち 𝜃 を小さくすることが戦 略として 求められることとなる。

4章において社会インフラサービスの評価モデルを構築するうえで、この内積によるサ ービス価値の算出の考え方を参考にする。

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 39-43)