3.4 主 観 的地位評価指標 の導 出 .…
4.2.2 価 値体系 :年 代 .…
ところで
,こ
の学歴 階層上の地位 と比較準拠集 団 との関係 について,198501995年 SSM
調査デー タか ら階層帰属意識 の規定構造 を実証 的 に検討 した数 土 (1998)は
,学
歴 階層 で の同質性 が所得 の評価 を行 う比較準拠集 団形成 の基盤 とな る一方 で,年
代 を追 うにつれ て 学歴 階層 に よる比較準拠集 団機 能 が低 下 してい くこ とを明 らか に してい る.そ
の上で数 土 は,経
時的 な高学歴化 に よ り学歴 階層上 の地位 に付 与 され た価値 体 系が変化 してい くこと で,所
得評価や展望 を測 る文脈 と しては意味 を もたな くなつた こ とが,準
拠集 団機 能低 下 の原 因である と説 明 してい る.学
歴 階層 上の地位 が ライ フコー スで一貫 した象徴 的価値 を 持つ とい う吉川 (2000b)の指摘 を踏 まえつつ換言すれ ば,マ
クロ的な分布状況 を源 泉 とす る学歴 階層 の価値 体系 は,そ
の後 の分布状況に よって更新 され ることな く取得 した段 階で の価値体系のまま抱かれ る傾 向にあ り,こ
の傾 向 ゆえに年代 で異 な る所得評価 の文脈 を持 つ とい うことにな るだ ろ う。この意味で
,年
代 は準拠集 団の選択や認識 の差異 を表 出す る1つ
の次元 にな る と考 え ら れ る.もちろん,この年代 に よる異質性 のメカニズム 自体は実証的に示 された ものなので, 49各個人が特 定 の地位 に抱 くア ス ピレー シ ョンは 「地位 ア ス ピレー シ ョンstatus‐aspration」 と呼 ばれ,地位 コンファー ラル を評価す る共通 の分母 で あ る と述べてい る。(Eisenstatdt1954:178).
74
その経験 的妥 当性 を再び実証的 に検討す る必要性 はないのか も しれ ない
.し
か しなが ら,数 土 による分析 が学歴 階層 による同質性 に限定 していた こ と
,そ
して Me■on(1957=1961:
276)に
よる 「おそ らく,人
々は一生 を通 じてその地位 がかわつてゆ くにつれ て,そ
の選択 す る準拠 的個人や役割モデル も明 らかに推移 して ゆ くこ とで あろ う」 とい う予言的な言明 を踏 ま えれ ば,ラ
イ フコー スの もつ とも基礎 的 な次元 で ある年代 に着 日しつつ,よ
り包括 的 に種 々の類似・ 近接性 を基盤 とす る準拠集 団の選択や認識 に対す る異質性 を探索的 に検 討す る意義 は少 なか らず存在す るだ ろ う。加 えて,最
近 の階層帰属意識研 究 では,他
の階層 的地位 を コン トロール した として も
,加
齢 に よる正 の効果 が残 るこ とが実証 的 に示 され てい る (Shirahase 2010,数±20H).し
か し,こ
の加齢 の効果 を明確 な順序性 を持つ職業的 地位 や学歴 階層 上 の地位,所
得次元 と同 じメカニズムか らは説 明す ることは難 しい.そ
れ ゆえ,こ
の本来的 な属性 である年代 と階層帰属意識 の規定関係 を準拠集 団の理論的枠組み か ら検討 してい くこ とは,大
き く階層帰属意識 の規 定構 造 を解 明す る とい う目的 に照 らし 合 わせ てみれ ば,意
義 のあ るもの とい える.4。3 分 析
4.3.1 モデル の概説
複数 の他者 が同時的に比較対象 として選 定 され てい る可能性 を考慮 して,「誰 を」比較対 象 と して選定 してい るのか
,と
い う問いに回答 を提示す るこ とが本 章で設定 した一つ の問 題 で あつた.こ
こでは異 な る類似・近接性 を持つ複数 の他者 と比較 した結果得 られ る主観 的 な地位評価指標 が,ど
れ ほ ど階層帰属意識 に対 して効果 を与 えてい るのか,
と言 う点 に 着 日して検討 を加 える.あ
る類似・ 近接性 次元 に よる主観 的地位 評価指標 の階層帰属意識 に対す る規定 の程度 が強 けれ ば,相
対的 にその他者 を準拠集 団 として強 く認識 し,逆
に規 定の程度 が弱 けれ ば,相
対的 に弱 く認識 してい る と考 える.さ
らに,「誰が」 に起因す る準 拠集 団の選択 に関す る相違 も一つ の問題 関心であったDこ
の問いは,異
質性 を生み 出す と 考 え られ る諸属性 に よつて効果 の程度 が変化す るのか とい う点 を検討す るこ とで回答 を得 る こ とがで きる.端
的 には,個
人属性 と主観 的地位 評価指標 の交互作用 を検討す る とい う こ とであ る.こ うした要請 に適 う統計モデル として
,Yamguchi(2002)力
`提案 した重み を課 した説明 変数 に よる回帰モデル が考 え られ る.こ
の回帰モデル は,通
常 の回帰モデル で使用 され る 線形予測子 に対 して,再
パ ラメー タ化 と制約条件 の2つ
の処理 を加 えた特殊 な回帰モデル として位 置付 けることがで きる。このモデル を用 いて,YamagucH(2002)や
Yamaguchi andWang(2002)で
は,階
層帰属意識 の規 定構 造 に見 られ るジェンダー間での差異 を実証的に 検討 してい るのだが,本
章 の分析 目的 に とつては後者 の制約 条件 はそ ぐわない部分 が存在 す るので,Yamaguchi(2002)に
よるオ リジナルモデル の うち,特
に再パ ラメー タ化 の部分に着 日した回帰モデル を用 い る
.以
下では分析 に使 用す るモデル のエ ッセ ンス と使用す る 意義 を概説す る.まず
,従
属変数 である階層帰属意識 をノで表 し,そ
れ ぞれ異 な る類似・近接性 で指標化 さ れ た主観 的地位評価指標 を χル(た=1,…,κ)で表す.この κ個 の独 立変数 が本 章で行 う分析 の 中心的変数で,そ
れぞれの効果 をん で表す.ま
た,主
観的地位評価指標以外に階層帰属意 識 と共変動 を持つ と思われ る独立変数 をγ″(″=1,… ,ν)で表 し,そ
の効果をα″のパラメー タで表現す る.以
上の表現を用いて,交
互作用 を想定 しない基本的な重回帰モデルは次の よ うに表す ことができる (ただ し,ε は誤差項を表 し,平
均 を0,分
散をσ2とす る).ノ =島 +Σ
ttχル +Σ α ″ γ ″ 十 ε (1)
た ″
もし為 が標準化 してあるな ら
,こ
の重回帰モデルか ら推定 された各主観的地位評価指標の 効果 βたの大きさを比較検討す ることで,ど
の次元で類似・近接 した他者が相対的に強 く準 拠集団 として認識 されてい るのかが推測できると考 え られ る.し
か し,こ
こで注意 したい のは,上
のパ ラメータを用いた重回帰モデルの推定結果では,①
主観的地位評価指標が構 成 され る比較次元が与 える効果 と,②
各主観的地位評価指標 の相対的な効果の比率,の
概 念の異なる2つ
の効果 を一 日で識別できない とい う点である.端
的には,個
人所得 を比較 次元 とす る場合,学
歴や職業的地位 な どの他の階層的地位 と比較可能な個人所得の効果 と,その個人所得の効果を構成す る各主観的地位評価指標 の構成比率は別問題であるとい うこ とである
.こ
の うち①は,類
似・近接性次元は異なるが,主
観的地位評価指標 が同一の比 較次元から導出されたものと仮定すれば,各
主観的地位評価指標の効果を総和 したΣん として表 されるものと解釈できる
.以
下,こ
のような主観的地位評価指標が構成 される次元 そのものが階層帰属意識に与える効果を統合的効果 と呼ば う.対
して,②
はΣん に対するβたの構成比率 として解釈できる
.こ
れを相対的効果 と呼ば う。本章の焦点は,②
の各主観 的地位評価指標が与える規定効果のバランスだつたので,明
示的に統合的効果 Σん を為で表し ,各 主観的地位評価指標の相対的効果島
/Σん を
/0ルで表現することにする
.この為と
/0た
からんは為
/0たと表すことができるので
,(1)は,② で ︐ 卸
叶 諦 わ ″
の て プ 揮 通 ラ な つ ア 発 ず ス
縫
・ 夕 訛 訛 デ 誂 ノ レ
す
︐ メ 認 と 人 モ 現 だ ラ の る 個 帰 表 た パ 団 す
・ 回 と 再 集 チ る 重
76
拠 表 は が 互 現 準 で に る 交 表
モデル に追カロした回帰モデル が考 え られ る50
ノ =島 +Σ
ttχた +Σ Σんχ た
Z″+Σ α ″ γ ″
+εた た ″ ″
為十 Σι
Z″として表す こ とがで き
,ま
た交互作用項 を考慮 した相対的効果 もんル 十 Σ‰ レ
Z″と表す こ とができる
.結
果 としてモデル2)にz″ と為 との交互作用 を追力日したモデル は,と表現す る こ とが可能 とな る
.こ
のモデル は,統
合 的効果 と相対的効果 に与 える変動分 を 明示 的 に異 な るパ ラメー タで表現 してい るため,こ
のモデル を推 定す るこ とで,個
人属性のz″に よって異 な る準拠集 団へ の認識 を約肋か らよ り正確 に推測す ることできる.この よ う な交互作用項 の効果 を明示 的 に
2つ
のパ ラメー タ え,/で
表 したモデル表記 を Yamaguchi(2002)は"swn―and―r面o expressioゴ'と呼んでい るので
,こ
の命名 に倣 い,以
下では このモデル は総和0比率モデル と呼ぶ ことにす る51.な
お,(3)では統合 的効果・相対的効果 に同一 の個人属性z″ に よる交互作用 が介在す るこ とを表す表記 となつてい るが
,統
合 的効果 と相 対的効果 にそれ ぞれ異 な る個人属性 が作用す るケー スに も容易 に拡張す るこ とがで きる.加 えて
,再
パ ラメー タ化 のメ リッ トとして,個
人属性z″ との交互作用 が①統合 的効果 に 作用 してい るのか,②
相対 的効果 に作用 してい るのか,そ
れ とも③統合 的効果 と相対的効 50こ こでは ぅ とα″を別々に表記 しているが,あくまで主観 的地位評価指標 との交互作用 と主効果 を明示 的 に分離 して議論す るた めで あ って, zた が α″ と重複 していない ことを要請 してい るわけではない。51ただ し,Yamaguchi(2002)の"sllm‐ and‐rdio expression"に 関す る議論 では Σκ/0ル
=1,Σ
κ/1ル =0の制約 条件 を課 してい るが,それ らの条件 をそのまま導入す る と,以降 の分析 で 「比較対象 か 同調 対象 か」 と言う点 でのパ ラメー タの解釈 に困難 がで るため,本稿 のモデル ではそれ らの条件 を外 してい る.Yamttuchi (2002)モデル に比較 した とき,この条件 を外 したモデル では推 定パ ラメー タの数 が制約 条件 を外 しただ け増加 し,また相対 的 な係数 の構成比 ではな く,絶対 的 な係数 の大 き さと して理解 され る とい う相違 点 が 生 じる。
十ε γ″
Σ %
″
+ ヽ
︱
︱
︱ ノ χ ヽ
︱
︱
︱
︱ ノ レZ
Σ
/″
為 +
Σ た
礼Z
Σ
′
為
/ 1 1 1 ゝ
鳥+ ノ
飼 鞭 諭 漱 期 か ④
・ 対 獅 認 0
卿 卿 で ︐ 観 個
炒 識 . ﹄ 選
れ
す 異 観 な の り と 認 ん 果
能 集 指 定 性 ら や し み 下
ここで も
Yamaguch(2002)の
命名 に従い,(5)の モデル を比率モデル と呼ぶ.③
には,す
でにモデル(3)で導入 した総和・ 比率モデル で対応 す るこ とがで きる
.交
互作用項 が作用す る 範 囲 に異 な る仮 定 を置 くこれ ら(3)〜 (5)のモデル の相違 は,推
定すべ きパ ラメー タの数 に現 れ てい る.σ
を局外パ ラメー タ と して,同
一 の個人属性 が統合的効果 と総合的効果 に作用 す るケー スを想 定すれ ば,もつ とも複雑 な総和 0比 率モデル では2+Ⅳ
+κ+」ひr十ン のパ ラ メ ー タ を推 定 す る必 要 が あ る が,総
和 モ デ ル で は2+Ⅳ
+κ+ノ ,比
率 モ デ ル で は2+κ
+メα+ν
のパ ラメー タだ け推 定すれ ば良 く,個
人属性 に よる交互作用項 を追加 しな いベース ライ ンモデル(2)では2+κ +ン
のパ ラメー タを推定すれ ば十分である.当然,推
定 パ ラメー タ数 が増加すれ ば,あ
てはま りは改善 してい くが,そ
のあてはま りが推 定パ ラメ ー タの追加 に対 して どれ だ け効率的なのか を,情
報 量基準 を用いて検討す るこ とができる. またネ ス トしてい るモデル 間 (例えば総和モデル と総和・ 比率モデル)に
対 しては尤度比 統計量 を用 いた厳密 な検 定 を行 うこ とも可能 であ る.こ
の よ うに統合的効果 と相対的効果 に対す る交互作用 の効果 をパ ラメー タ と して明示的 に表現す るこ とで,交
互作用 の効果 に 関す る異 な る仮 定 の うち,
どの仮 定が比較 的妥 当す るのか を検討 で きるこ とが,再
パ ラメー タ化 の1つのメ リッ トとして考 え られ る。
4.3.2 分析 の概 要
統計デー タは1955年か ら2005年の各年 の
SSM調
査デー タ (男性票のみ)を
用い る.個
人属性 との交互作用 を想 定す る独 立変数 為 には
,前
章で導 出 した個人所得 の主観 的地位評 価指標 が適 当だ と考 え られ るが,全部で22通 りの主観 的地位評価指標 が存在す る.そこで,78