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代数方程式のベキ根可解性

ドキュメント内 代数学II(ガロア理論)2011 Akira Masuoka (ページ 35-38)

  こ の セ ク シ ョ ン を 通 し, K を 標 数 ゼ ロ の 体 と す る. こ の 場 合, ガ ロ ア 拡 大 L/K は あ る多項式f ∈ K[X], degf > 0 (必然的に分離的) K 上最小分解体として特徴づけら れる.

定義A. n > 1 を整数とする. 有限次体拡大 L/K n ベキ根拡大であるとは, 中間体 の列

K =K0 ⊂K1 ⊂ · · · ⊂Ks =L, s >0 であって,

(a) K1 =K(ζn), ζn は1の原始 n 乗根,

(b) Ki/Ki−1, 1< i≤s は巡回 n クンマー拡大 をみたすものが存在するときにいう.

命題. n ベキ根拡大 L/K n ベキ根ガロア拡大に埋め込める. すなわち, 体拡大 L/Le であって L/Ke n ベキ根拡大かつガロア拡大であるものが存在する.

証明. 定義にいう中間体の列の長さ s に関する帰納法: s = 1 の場合, Le = K1 でよい. M = Ks−1 とおき, M /Mf は体拡大で, M /Kf n ベキ根ガロア拡大とする. Mf はあ る g ∈K[X], degg > 0 K 上最小分解体. また仮定から L L =M(√na), a∈ M の形.

f =g ∏

σ

(Xn−σ(a))

とおく. ここに σ はガロア群 G:= Gal(M /K)f を走るとする. f の係数すべてに G の勝 手な元を作用させても f のままだから, f ∈K[X]. Le f K 上最小分解体とすると, L⊂Le⊃Mf, L/Ke はガロア拡大.

Mf⊂Mf1 :=Mf(√n

σ1(a))⊂Mf2 :=Mf1(√n

σ2(a))⊂ · · · ⊂L,e

ただしG ={σ1, σ2, . . .}, は巡回n クンマー拡大の列だから, L/Ke は望んだ n ベキ根ガ ロア拡大である.

例. 勝手な元 0 ̸= a ∈ Q に対し, L = Q(√ 1 +√

a)/Q は2ベキ根拡大. 実際, 中間体 の列

Q⊂Q⊂Q(√

a)⊂L

が定義の条件をみたす. 命題にいうLe としてQ(√ 1 +√

a,√ 1−√

a) がとれる.

 多項式 f ∈K[X], degf >0 を1つ選ぶ. L f K 上最小分解体とする. L/K ガロア拡大になるが, ガロア群 Gal(L/K) f のガロア群と呼ぶ.

問題 30. f L におけるすべての根からなる集合を X = Sol(f;L), この X の上の( 換全体がなす)対称群を Sym(X) とかく. このとき, σ ∈ Gal(L/K) に対し, その X

への制限 σ|X はSym(X) の元であり, こうして得られる制限写像

Gal(L/K)→Sym(X), σ 7→σ|X は群の単射である.

 この結果の帰結として, l = #X とおくと, f のガロア群は l 次対称群 Sl(≃ Sym(X)) の(また l ≤m:= degf だから, 少なくとも m次対称群 Sm )部分群とみなせる. 定義B. f がベキ根により解ける(またはベキ根可解である)とは, 次の互いに同値な条件 がみたされるときにいう.

(a) f の1つの(同値にすべての)∈K ,K の元と1のベキ根から四則演算と根号 をとる操作を有限回繰り返し得られる.

(b) f K 上最小分解体 L , 十分おおきな n > 1 に対する K n ベキ根拡大体 (前命題により同値に, nベキ根ガロア拡大体) に含まれる.

定理. 多項式f ∈K[X], degf >0 に対し,

f がベキ根可解 ⇔ f のガロア群が可解群.

証明. (⇒) f K 上最小分解体が K n ベキ根ガロア拡大体 Ks (s >0) に含まれる とし,

K =K0 ⊂K1 =K(ζn)⊂K2 ⊂ · · · ⊂Ks

を定義A に与えられたような中間体の列とする. f のガロア群は Ge := Gal(Ks/K) の剰 余群だから, Ge が可解群であることを示せばよい. ガロア対応によりNi ↔Ki, 0≤i≤s とすると正規列

Ge=N0 ◃N1 ◃· · ·◃Ns ={id} を得るが, 剰余群

N0/N1 = Gal(K1/K0)(<(Z/(n))×); Ni/Ni+1 = Gal(Ki+1/Ki), 0< i < s

はいずれもアーベル群だから, Ge は可解群である.

 (⇐) L f K 上最小分解体とし, G= Gal(L/K), n= [L :K] とおく. L(ζn)/K がn ベキ根拡大であることを示すのが目的.

G=N0 ◃N1 ◃· · ·◃Nr ={e}, Ni/Ni+1は巡回群

を巡回正規列とする. ガロア対応により Ni ↔Ki, 0≤i≤s とすれば, 中間体の列 K =K0 ⊂K1 ⊂ · · · ⊂Kr =L

で, Ki+1/Ki n を割る次数の巡回拡大なるものを得る. このとき, 次の問題の結果 を用いると,

K ⊂K(ζn)⊂K1n)⊂ · · · ⊂L(ζn)

が定義Aの条件(a), (b)をみたす中間体の列であることがわかり,目的が達せられる.

問題 31. L/K を次数が n を割る巡回拡大とすると, L(ζn)/K(ζn) は巡回n クンマー拡 大である.

例. S4 は可解群である(次の例を見よ). 前定理と問題30 の帰結から, 4次以下の多項式 はすべてベキ根可解である.

付記. 可解群について(復習)

定義. 有限群G が可解とは, 次の互いに同値な条件をみたすときにいう. (a) G がアーベル(または巡回)正規列

G=N0 ◃N1 ◃· · ·◃Nr ={e}, Ni/Ni+1がアーベル(または巡回) を含む.

(b) あ る 正 整 数 r に 対 し Dr(G) = {e}. こ こ に, Dr(G) , 帰 納 的 に D(G) = [G, G], Di(G) =D(Di−1(G)) で定義される第 i 交換子群を表す.

例. 上述のように,S4 は可解群. アーベル正規列S4 ◃A4 ◃⟨(1 2)(3 4),(1 3)(2 4)⟩◃{e} を含む.

命題. 有限可解群の部分群, 剰余群はまた可解である.

ドキュメント内 代数学II(ガロア理論)2011 Akira Masuoka (ページ 35-38)

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