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今後の課題

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 104-107)

第二章  中上級学習者のための漢字および漢字語彙学習資料の開発 ・・・・・・・・・・・・ 80

第二節  漢字の使用実態を反映させた学習資料の開発

2.5.   今後の課題

になる可能性の高いものを選んだ。つまり,名詞よりは共に使われる助詞が問題となる動 詞や,よく使われる表現のあるものが多く例文として出ている。 

例文作成にあたっては,それぞれの単語がどのような文の中で使われているかを知るた めに,インターネット検索を行った。一単語の検索では数十万件から数百万件の単語が抽 出されてしまうので,前後に助詞等をつけて,それぞれの単語がどのような文の中で使わ れているかを検索した。さらに,頻度の高いものは,この学習資料が主に留学生を対象に 作成されていることから,検索条件の絞り込みに「大学」等の単語を加え,留学生に用い られることを意識して文を集めた。その結果得られたものを参考にして,例文を作成した。

インターネットの内容は日々変化するものであり,誤りも偏りもあるが,その単語がどの ような文となって実社会に出現しているかを大まかに捉え,それを教育に生かすには有用 なものであると考える。これを利用することで生きた言葉の現状を,部分的ではあるが学 習資料に反映させることができると考える。 

学習者にとって頻度の高い漢字は既知のものが多いはずである。しかし,例文中にはそ の他の漢字語彙も,難易に関わらず現実に使われているものをそのまま入れてあるので,

それらの語彙も共に知ることが,中上級の学習者には役立つであろう。漢字番号順に見て,

未出の漢字を含む単語がある場合は,スペースの許す範囲で読み方を(  )に示した。 

 

まとめ   

本章の終わりに,対数を用いてデータを取り扱う中で気付いたことについて触れておく。   

頻度と親密度のデータを統合する際,頻度を対数にしたことで親密度と統合できる値にし たが,大量の言語のデータを処理する時に対数は便利な数値であると言える。10,000 を対 数で示せば4となり 10 は1となる。底を 10 にすることで対数の正の値がゼロの数と一致 する。対数を用いる時に注意すべきことは小さい数の比重が重いということである。10 が 1で 10,000 が4であるから,10 進法なら1と4の差は3であるが,対数の1と4の差は 9,990 である。この対数の性質から想起されるのは記憶のありようである。推測による結 びつきに過ぎず理論的な根拠を証明することはできないが,人間の記憶でも,100 回見る ことは 1 回見ることの 100 倍の意味を持つとは言えない。一度しか見たことがない漢字を 覚えているという場合もある。これを対数の尺度で考えると,一度見たときに持つその字 についての印象から,なじみの度合いをさらに一段階上げるには 10 回見る必要があり,さ らに一段階上げるには 100 回,さらにその漢字を親密に感じるためには 1,000 回見ること が必要になるということになる。仮にこの尺度で漢字指導を見てみると,「漢字を 10 回書 きなさい」と日本の小学生が先生に指導されるというようなよくある例についても,教師 の経験的な漢字に対する対数の尺度が入っていると言えるかもしれない。10 回その字にふ れることで,対数の値は1段階上がる。書くということは嫌がられる作業でありながら現 在でも漢字を覚えるためのストラテジーとしてよく用いられているのには,それがもっと も効率よくこの対数の段階を上げる作業になるからであるといえるのではないだろうか。

さらに,対数の底を 10 ではなく Miller(1956)のマジカルナンバー,7±2とすることが より記憶の単位に近づくかもしれない。今後実験等何らかの形で証明する方法を模索して みたい。 

本章では,漢字の頻度と親密度のデータをもとに,習得後に実践的に活用できる可能性 の高い漢字を選択し,その漢字および漢字語彙を,頻度・親密度を考慮して提示した学習 資料の開発を試みた。漢字の頻度のデータについては,他の頻度の資料を用いることや,

対数の底を変えて数値を調整することなど改良の余地がある。索引も使いやすいものにし ていく必要がある。データは電子化されているので操作は比較的容易にできるので,今後 も調整していく予定である。 

この教材は,よく使われるものから並べることによって,それぞれの学習者の自発的な

学習や復習としても,レベルと必要に応じて使えるようになっている。この提示の方法は 復習や確認に役に立つと思われるが,一方,覚えるためにはそれぞれの漢字に関連がない ので苦労がいると考えられる。そのため,漢字語彙 15,000 語をもとに,概念でまとめた漢 字語彙の教材の開発を試みた。これに関しては第四章で扱う。 

本章で開発した学習資料『漢字2100』を本論文末に示す。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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