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本研究 にお ける実 践によっ て生まれ た指 導の改善 が,今後の 課題 であ る.

「 2 . 仮 想 的 な 対 象 の 設 定 」 で は ,「 80× 2.3= 184」 を 仮 想 的 な 対 象 と し て 設 定 す る た め に , 代 金 を 求 め る こ と が 必 要 で あ っ た . 授 業 の 導 入 に お い て は , こ れ ま で の 乗 法 と の 違 いに気付 かせ ること ,これ までの整数 の乗法の 意味であ る同 数累加 について 確認する こと , 80× 2.3が 同 数 累 加 で 表 せ な い こ と な ど , 多 く の 活 動 を 行 わ な け れ ば な ら な い . こ れ ら の 活 動 と 代 金 を 求 め る 活 動 を 行 う 際 , 児 童 の 思 考 の 流 れ を 妨 げ な い よ う に す る に は , ど の よ う な 展 開 が 望 ま し い の か を 考 察 す る 必 要 が あ る . 本 実 践 で は , 創 造 的 な 学 習 指 導 が 児 童 に と っ て 初 め て の 経 験 で あ る と い う こ と か ら , 仮 想 的 な 対 象 の 設 定 と そ の 実 在 化 の 手 法 に つ い て の 設 計 を 教 師 が 行 っ た . 本 来 で あ れ ば , こ れ は , 創 造 的 な 活 動 を 行 う 児 童 自 ら が 行 う こ と が 望 ま れ る . 小 学 校 の 段 階 で は 難 し い と 考 え ら れ る が , 今 後 の 創 造 的 な 活 動 に 向 け , 創 造的な学 習指 導を積 み重ねる ことが重 要だ と考える .

「 3 . 解 決 の 鍵 と し て の 「 数 学 的 な ア イ デ ア 」 の 存 在 と そ の 意 識 づ け 」 で は , 小 数 の か け 算 と い う 新 た な 問 題 場 面 ( 障 害 ) に 出 会 っ た 際 に , そ れ を 打 開 す る た め に 既 習 と 未 習 と を関連付 ける アイデ アの存在 を意識付 ける 指導の方 法について 考察 する 必要があ る.

「 4 . 構 造 の 認 識 と 保 存 」 に つ な げ る た め の 指 導 の 方 法 に つ い て は , ど の よ う な 方 法 を 用 い て , 拡 張 さ れ た 新 し い 意 味 に 気 付 か せ て い く か を 考 察 す る 必 要 が あ る . 構 造 の 認 識 と 保存の方 法は ,仮 想的な対 象を何に設 定するか によって も異 なって くると考 えられる ため , ポ イ ン ト ご と に 狭 い 視 点 で 考 察 す る の で は な く ,「 創 造 の 論 理 」 の 全 体 の ポ イ ン ト を 見 据 えて考察 する ことも 大切だと 考えられ る.

今 後 も 研 究 を 継 続 し , 乗 法 の 意 味 の 拡 張 場 面 に お け る 実 践 を 積 み 重 ね て い く . デ ー タ を 蓄 積 し 整 理 す る こ と で , 創 造 的 な 学 習 指 導 を 実 現 す る た め の 乗 法 の 意 味 の 拡 張 場 面 の 在 り 方 に つ い て も 考 察 し て い き た い . そ し て , そ の 実 践 の 積 み 重 ね を , 他 の 学 習 内 容 に お け る 創造的な 学習 指導に ついても 生かして いき たい.

資 料 ① B社 , C社 の 教 科 書 の 展 開 1.B社 の教科書の写し

図①-1 B社の○昭和45年検定済教科書 (昭和43年告示学習指導要領該当)

図①-2 B社の○昭和54,57年検定済教科書 (昭和52年告示学習指導要領該当)

図①-3 B社の○平成7年検定済教科書

図①-4 B社の○平成16年検定済教科書

(平成10年告示学習指導要領該当)

図①-5 B社の○平成22年検定済教科書

(平成20年告示学習指導要領該当)

2.C社 の教科書の写し

図①-6 C社の○昭和45年検定済教科書 (昭和43年告示学習指導要領該当)

図①-7 C社の○昭和54,57年検定済教科書

(昭和52年告示学習指導要領該当)

図①-8 B社の○平成7年検定済教科書 (平成元年告示学習指導要領該当)

図①-9 C社の○平成16年検定済教科書 (平成10年告示学習指導要領該当)

図①-10 C社の○平成22年検定済教科書

(平成20年告示学習指導要領該当)

資 料 ② 創 造 的 な 学 習 指 導 を 目 指 し た乗 法 の 意 味 の 拡 張 場 面 に お け る 授 業 の 学 習 指 導 案

指導上の留意点等

「創造の論理」との関わり 1 問題を把握する。

問題:1mのねだんが80円のリボンを2.3m買いました。代金はいくらですか。 ・まずは,□mにして,その後2.3と記

T「自分で考えてみましょう.」 入.

C立式を試みて,説明しながら発 ・自力解決の後,意見交流.

表する. ・この段階で子どもは,「×整数ではな

C「80×2.3.買う長さが整数 く×小数になっている」と気付いてい

のときと同じに考えられる るものの,これまでの累加の知識で

から,言葉の式にあてはめ は処理できない,意味をかえる必要

てそう考えました.」 がある」という認識を持っている子ど

C「80×2.3。代金はリボンの もは少ないと考えられる.

長さに比例するから,数直 線にかいて考えたらわかり ました.」

2 これまでのかけ算の意味について考え,80×2.3が当てはまらないことか ら「課題」を設定する.

T「これまでのかけ算の意味を確認しましょう.」 ・意見交流。

C「同じ数を何回かたすときにつかった.例えば,80×3=80+80+80とかけ ・80×2.3でよいはずだが,これまでの

....

る.」 同数累加では表現できないことに気

T「80×2.3をたし算の繰り返しで書いて下さい.」 付かせる.

C「80×2.3って,たし算でどう書くんだろう…」 ・この時点で「確かな根拠はないが,

C「書けないかけない.」 いいはず」という子どもの主張を確認

C「でも,数直線をみれば,80×2.3でよいはず.」 する.

C「長さと代金は比例の関係だから,かけ算の80×2.3でいいはず.」

C「同じようにリボンを書くのだから,小数m買うときも,整数m買う時と同じよ ・「創造の論理1」

うにかけ算で書きたい.」 ・簡潔,統合,明確という視点から,同

じに書きたいという心情を引き出し,

課題を設定する.

3 代金を求める活動を通して,「比例の考え」という数学的なアイデアを用い

ていることを意識付ける. ・「創造の論理3」

■ 目 指 す 児 童 の 姿

・ × 小 数 の 場 面 が こ れ ま で の 乗 法 の 意 味 に 合 わ な い こ と に 気 づ き , 同 じ と み た い と い う 心 情 の も と , 課 題 を と ら え る .

・ 8 0 × 2 . 3 = 1 8 4 と い う 仮 想 的 な 対 象 を 教 師 の 支 援 の も と に 設 定 す る . こ れ は あ く ま で 仮 想 的 な 対 象 に 過 ぎ な い た め , こ れ ま で の た し か な も の で 確 か め る 必 要 が あ る こ と を 教 師 か ら 学 ぶ .

・ こ れ ま で の 整 数 の 乗 法 の き ま り の 中 で , つ か え そ う な も の を 取 り 出 し て 8 0 × 2 . 3 = 1 8 4 に 当 て は め , 不 都 合 な こ と が 起 き な い こ と を 自 分 で 調 べ る .

・ 自 分 で 調 べ た 結 果 を 持 ち 寄 っ て 意 見 交 流 を 行 い , 8 0 × 2 . 3 = 1 8 4 と 書 い て も 不 都 合 が 起 き な い こ と を 確 認 す る . 8 0 × 整 数 と 同 様 に 数 直 線 に 表 す . 数 直 線 を 手 が か り に , × 整 数 か ら × 小 数 に な っ て も 変 わ ら な い 「 比 例 に 関 係 」 を 見 出 す

・「 比 例 の 関 係 」 が 変 わ っ て な い こ と を 数 直 線 を 手 が か り に 見 て ,「 も と に す る 数 を 1 と み た と き , そ の 何 に あ た る 数 」 と い う , 同 数 累 加 を 含 ん だ 新 し い 情 報 の 意 味 を 教 師 と 共 に つ く る .

・ 活 動 を 振 り 返 り ,自 分 た ち で 意 味 を ひ ろ げ た よ さ を 感 得 し た り ,今 後 の 発 展 に つ い て 考 え る .

T「既に分かっていることをいかして,代金だけでも先にもとめることはできな いだろうか.」

C「1mで80えんだから,2mだと80×2=160で160円.あと,0.3m買う.0.1m で8円だから,8×3=24で24円.160+24=184で184円.」

C「数直線で考えても分かる.」

T「0.3mのところのねだんは,どうし ・「創造の論理3」

たら求められましたか?」 ・既習の長さの学習や,整数に見た

C「1mで80円なんだから,0.1mは8 比例の関係を解決の鍵として用い,

0円を10等分した値段と考えた.」 2.3mの代金を求めていることをおさ

T「では,2.3mの代金を求める式 える.

を,このように書くことにしましょう

か.」 ・「創造の論理1」

C整数の時は,80×2などとかけるのに,小数のときだけ,こんなに長々と書 ・簡潔,統合,明確という視点から,同

くのはいやだ.」 じに書きたいという心情を確認する.

3 80×2.3=184を仮想的な対象として設定し,仮想的な対象の実在化のた ・「創造の論理2」

めの手法に取り組む. ・実在化の必要性を教える.

T「80×2.3=184と書きたいからと言って,かけ算の仲間に入れてもいいわ けではありません.仲間にいれたいのなら,これまでの整数のかけ算があ てはめても困ることがないか調べましょう.困ることがなければ,仲間に入れ ましょう.確かめられるまでは,80×2.3=184は,仮の式です.」

C1「かけ算は,かける数とかけられる数を交換しても答えは同じというきまり ・これまでの整数のきまりに当てはま

を調べてみよう.」 るかどうかを確かめるのは,創造的

な学習指導を初めて体験する児童に 80×2.3=184 2.3×80=184 当てはまった! も可能 であると考えられ るの で,こ

は,一人で取り組ませる.

C2「かけ算は,かける数を10倍すると,積は10倍になるというきまりを調べて みよう.」

80 × 2.3 184

×10 ↓ ↓×10 当てはまった!

80 × 23 1840 C3「検算のしかたで調べてみよう.」

184÷80=2.3 当てはまった!

4 .これまでのかけ算に当てはまるかどうか確かめたことをもちよって確か ・学級全体で確かめてことを持ち寄る

める. ことで,これまで学習してきた整数の

T「調べたことを発表して下さい.」 かけ算の複数にきまりに当てはまる

C「1」,「2」,「3」 ことを確認する.

T「これまでのかけ算のきまりに当てはまるので,80×2.3=184としてもいいこ ・「創造の論理2」

とにしましょう.小数もかけ算の仲間に入れましょう.」 ・小数のかけ算が,これまでの整数の C「まず代金を求めて,80×2.3=184としても困ったことが起きないか確かめ かけ算のきまりに当てはまることを確 て,小数もかけさんの仲間に入れることができた.」 かめた時点で,児童は乗法の意味の C「自分たちで小数を仲間に入れることができた.」 拡張がなされたと思うことが予想され る.同数累加の意味を含んで意味を 広げるところまで行う必要があること を伝える.

5 .小数のかけ算もふくんだ新しい意味を考える.

T「「意味を拡張する」ときはこのように前の意味を含んだ形で意味を広げま ・「創造の論理4」

す.新しいかけ算の意味を決めるために,数直線を比較しています.×

整数でも,×小数でも共通していることは何だろう」

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