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Cu-Ti 膜の窒化による表面 TiN 形成プロセス

ドキュメント内 星野 和弘 (ページ 67-70)

第 6 章 次世代 CMOS センサ向けの Cu 配線

6.3 Cu-Ti 膜の窒化による表面 TiN 形成プロセス

Cu 配線の表面に自己整合的に TiN 膜を形成するプロセスフローを述べる。はじめ に、Siウェーハに酸化膜を400nm形成した基板上にW(10nm)、TiN(100nm)、Cu-Ti

(500nm)を順にスパッタ法で形成した。ここで Cu 膜中の Ti の濃度は 6~14w%の範

囲で変化させた。Ti濃度はCuターゲット上部に放射状に配置したTiプレートの数を 変化させることによって制御した。Cu膜中のTi濃度は原子吸光分析により測定した。

図 6-2(a)は配線加工後の形状である。次に、600℃~850℃の温度で 30 分間、4Torr

の減圧雰囲気下で窒化処理を行った。熱処理中にCu-Ti中のTiと雰囲気の窒素が結合 し配線表面にて TiN を形成する。すると、配線表面付近の Ti が消費されるため、配 線内部の Ti が表面に拡散する。この時の状態が図 6-2(b)である。熱処理終了後、図

6-2(c)に示すように、配線表面にTiN膜が形成され、内部はCu配線となる。

Cu-Ti

N N

N

Ti

TiN Cu

図6-2 Cu-Tiの窒化による表面TiN形成プロセス

(a) (b) (c)

図6-3に、窒化温度とCu-Ti膜の抵抗変化を示した。As depositedの膜のシート抵

抗値が 1,540mΩ/sq.と高い値を示す理由としては、Cu の結晶粒が微細で粒界散乱や

Ti による不純物散乱の影響が大きいためと考えられる。600℃の窒化によりシート抵

抗は約300mΩ/sq.に低下する。これは、Cu結晶の成長とCu-Tiの偏析により粒界及

び不純物散乱が低下したためと考えられる。600℃から 750℃にかけてはわずかに抵 抗が上昇し、750℃より窒化温度を上昇させて 800℃までにおいて抵抗は急激に低下 した。800℃では 75mΩ/sq.になり、600℃での抵抗値の約 1/5 に低下した。この際、

Cu-Ti膜の表面の色は窒化温度の上昇に伴い、銀色から800℃では金色に変化した。

図6-3 窒化温度と膜抵抗の関係 図6-4 窒化温度と配向性の変化

図6-4は、X線回折(XRD:X-ray Diffraction)により解析した結晶の配向強度と窒 化温度の関係である。窒化温度600℃ではCu3Tiの配向性が強く見られる。窒化温度 の上昇とともに Cu3Ti のピークは低下し、Cu(111)の配向性が高くなる。窒化温度 700℃~800℃の範囲ではCu(111)とTiN(111)のピークのみになり、Cu3Tiの配向は検 出されなかった。

図6-5に、As depositedの膜(窒化処理前の状態)と800℃の窒化を行ったサンプ

600 700 800

Nitriding Temperature (℃)

TiN(111)

Cu(111)

Cu3Ti(002)

Cu3Ti(111)

600 700 800

Nitriding Temperature (℃)

Sheet Resistance (/sq.) Intensity (Kcps) Intensity (10Kcps)

ルの、オージェ電子分光分析による深さ方向の元素プロファイルを示した。窒化前の (a)のグラフでは Cu膜に Ti が深さ方向に均一に導入されていることが分かる。(b)の 窒化後のグラフから表面のTiNとその下層のCuに明確に分離したことが分かる。

図6-5 AESによる元素の深さ方向分布:(a) As deposited, (b)窒化処理後

以上の結果より、Cu-Ti膜の窒化による表面のTiN形成は以下のように考察される。

はじめに、Cu-Ti膜中の表面近傍に存在す る Ti が膜の表面に拡散し、雰囲気の窒素 と結合し TiN を形成する。次に TiN の表 面形成により Ti が消費され、表面近傍と 膜内部の Ti の濃度勾配が生じ、膜内部の Ti が表面に拡散する。これにより TiN 層 がより厚く形成されるとともに、膜の内 部では Ti が消失し純 Cu にほぼ近い状態 になる。窒化温度が700℃以下の場合は図 6-4のXRDの結果から表面のTiN は殆ど 形成されないものと考えられる。

図 6-6 に、Ti 濃度を変化させた Cu-Ti 膜中の抵抗値に関して窒化前後の値を比 較したものを示した。Ti 濃度 10%におい

100

80

60

40

20

200 400 600

Sputtering Time (min.)

100

80

60

40

20

0 200 400 600

Sputtering Time (min.)

0

Intensity (a.u.) Intensity (a.u.)

(b) (a)

5

Titanium Concentration (wt%)

10 15

Sheet Resistance (mΩ/sq.)

102 103 104

As deposited

△ 800℃窒化熱処理後

純Cuの抵抗に近い値を示すことが分かる。Ti濃度が13%のサンプルにおいては窒化 後の抵抗値が高くなるが、これはCu-Ti膜中に窒化後も過剰なTiが残留するためと考 えられる。

本プロセスにおいて形成されたCu膜上の表面TiNの酸化耐性を調べるために、窒 化後、大気中で450℃、30 分の熱処理を行い膜表面を観察した。図 6-7(a)はTi 濃度 6%、(b)はTi濃度10%のサンプルの表面SEM像である。Ti濃度が低い(a)のサンプル は表面に斑点状に酸化物が形成された。これは窒化処理により形成される TiN の Ti 濃度が少ないために十分な膜厚に成長できず酸化したものと考えられる。(b)のサンプ ルでは酸化は見られず、表面のTiNがCuの酸化を防いでいることが確認された。

図6-7 酸化アニール後の膜表面 (a)Ti濃度6%、(b)Ti濃度10%

ドキュメント内 星野 和弘 (ページ 67-70)

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