Recent Technical Trends in the Special Bearings for Satellites
3. 主要構成部品の構造と作動原理
3. 1 ローラクラッチユニット
ローラクラッチユニットはフロント駆動系への駆動 力伝達媒体であり,4WD-AUTO,4WD-LOCKモード 時に機能する。その構造を図2に,諸元を表1に示す。
本ユニットはローラ型ツーウェイクラッチと電磁ク ラッチから構成される。ローラ型ツーウェイクラッチ は入力軸側にカム面を形成しており,外輪との間でロ ーラを係合させることによりトルク伝達を行う。ロー ラの係合は電磁クラッチによって制御することができ る。
NTN4×4システム(ロックオンデマンド システム)の開発
次に4WD-AUTOモードでのローラクラッチユニ ットの作動原理について説明する。
図3(b)は電磁クラッチがOFFの状態である。スイ ッチばねにより保持器はニュートラル位置に保持され ており,ローラは係合せず,クラッチフリーの状態に ある。車両の通常走行時や旋回時,ABS作動時に相 当する。
図3(a)は電磁クラッチがONの状態である。保持 器と外輪が摩擦力によって一体化されるため入力軸に 対して保持器の位相が遅れ,ローラが係合し,入力軸 から外輪へトルクが伝達される。
トルク伝達過程では前後輪の回転数が等しく,滑り を発生しない。また電磁クラッチの制御電圧がOFFに
表1 ローラクラッチユニットの諸元 Specifications of roller clutch unit
寸 法 φ106×82mm
常用定格トルク 637Nm{65kgfm}
最大トルク 1 400Nm{143kgfm}
重 量 3.4kg
図2 ローラクラッチユニットの構造 Schematic view of roller clutch unit
外 輪 保持器
ローラ カ ム
A-A 電磁クラッチ
A A
図3 ローラクラッチユニットの作動原理 Action of roller clutch unit
電磁クラッチON 電磁クラッチOFF 電磁クラッチON
すきま外輪
保持器 ローラ
カム 入力軸 (a)駆動(加速スリップ時) (b)ニュートラル
(通常時,ABS時) (c)4WDエンジンブレーキ
なっても,トルクが加わっている間は図3(a)の状態 で駆動し続ける。車両の発進時や急加速時に後輪がス リップした場合に相当する。
図3(c)はエンジンブレーキ時に後輪の減速スリップ を検知した場合に,電磁クラッチがONになった状態 である。前輪には減速方向のトルクが伝達可能となる。
3. 2 シンクロ装置
LODシステムには走行中に2WD-4WDの切換を可 能とするために,シンクロ装置が含まれる。シンクロ 装置の構造を図4に,諸元を表2に示す。本装置は,
主に電磁コイル,ロータ,インナープレート,アウタ ープレート,アーマチュアで構成されている。
2WDモードで走行する場合は,電磁コイルには通 電を行わないため,インナープレートとアウタープレ ートの間には適当なすきまが生じ,フロント駆動系を フリーにしている。
走行中に2WDから4WDに切り換える場合は,ま ず電磁コイルに通電を開始する。電磁コイルに通電す ると,コイル⇔ロータ⇔各プレート⇔アーマチュア間 で磁界を形成するため,アーマチュアはロータに引き つけられる。この吸引力がプレートを押しつけ,メイ ンシャフトとチェンスプロケット間に摩擦力を発生さ せる仕組みとなっている。この摩擦力により,フロン ト駆動系がシンクロしたのをスピードセンサで検知 し,後述のオートエアハブをロックさせる。
本シンクロ装置の台上での性能確認として,出力側 に慣性と回転負荷抵抗を配置し,4 000rpmでのシ ンクロ試験を行った結果を図5に示す。慣性量はフロ ント駆動系(ローラクラッチユニット分を含む)に合わ せた。本条件ではおよそ0.6秒でシンクロが完了する。
NTN TECHNICAL REVIEW No.67(1998)
図5 シンクロ装置試験結果 Test results of synchronizer
0.0000 [SEC] 2.5000
入力回転数
出力回転数
コイル電圧 シンクロトルク
図6 Hi-Low切替装置の構造 High and low range vacuum shift motor
プッシュプル・ケーブル
Hi側吸引 Low側吸引
ダイヤフラム
図7 負圧配管図 Vacuum pipe routing
オートエアハブ
E/G Hi Low エアアクチュエータ
3方向電磁弁 フィルタ オリフィス
圧力スイッチ 逆流防止弁
バキュームタンク 表3 エアアクチュエータの諸元 Specifications of vacuum shift Motor
寸 法 φ120×144mm*
作動力 460N{47kgf}
作動負圧 −66.6kPa
重 量 0.9 kg*
*ケーブルは含まない。
3. 3 Hi-Low切換装置
現在,一部の車両で採用されているスイッチ切換 方式によるHi-Low切換装置は電動モータを使用して おり,従来のレバー切換方式を上記方式に変更する には大きな設計変更が要求される。
そこで,スイッチ切換方式でかつ既存の副変速機 からの設計変更が最小に抑えられる点に着目し,エ アアクチュエータを使用した切換方式の開発を行っ た。エアアクチュエータは作動スピードが速いので,
切換時のギヤ鳴りを防止することができる。
エアアクチュエータ組立品の構造を図6に,主な諸 元を表3に示す。
エアアクチュエータは,ダイヤフラム,ケース,
プッシュプル・ケーブルで構成され,その作動はエン ジン負圧と,別途設けられた電磁バルブによりおこな う。ケース内部はダイヤフラムによって2つの気密室 に分かれ,一方に負圧が供給され,他方は大気開放と なるように電磁バルブでコントロールされる。プッシ ュプル・ケーブルの採用により,押引両作動可能な構 造とした。
図7に実車に搭載した場合の負圧配管図を示す。
(オートエアハブの配管図も含む)
表2 シンクロ装置の諸元 Specifications of synchronizer
寸 法 φ105×50mm
動摩擦トルク 11Nm{1.1kgfm}
重 量 1.6kg
図4 シンクロ装置の構造 Schematic view of synchronizer
アウタープレート
インナープレート アーマチュア 電磁コイル
ロータ
NTN4×4システム(ロックオンデマンド システム)の開発
3. 4 オートエアハブ
オートエアハブは,エンジン負圧を利用してフロン トドライブシャフトとフロントタイヤの切り離しを行 うものである。これは,既に97年5月から量産を開 始しており,スズキ・ジムニーとジムニー・ワイドに 装着されている。オートエア ハ ブ の 内 部 詳 細 に つ い て は N T Nテ ク ニ カ ル レ ビ ュ ー No.65号に「フリーハブ用メ カ ニ カ ル ク ラ ッ チ ユ ニ ッ ト (SFH-MCU)」として記載して おり,本稿での説明は割愛する。
写真2 装着部位 Installed AAH