Development of Plastic Sliding Materials for OA Equipment
4. トナーカートリッジ用軸受
トナーカートリッジの構造例を図13に示す。トナ ーカートリッジはその名の通りトナーの入れ物であ り,蓄えられているトナーはマグネットローラにより 感光ドラムに供給され,紙に転写されることで画像が 形成される。マグネットローラは,その内部に棒状磁 石が挿入されている。トナーには一般的にキャリヤー と呼ばれる磁性酸化鉄の微粉末が配合されており,マ グネットローラの回転に伴い磁性酸化鉄を含むトナー
表5 試験条件 Test conditions
項 目 条 件
荷重,N 132.3
速度,m/min 1.5
温度,˚C 160
相手軸 アルミA5056及びニッケルメッキ Ra=0.7μm,外径20.0mm 試験片寸法 内径20.4×外径28.0×幅5.0mm
試験時間,h 250
OA機器用樹脂摺動材の開発
が感光ドラムに運ばれるしくみとなっている。トナー カートリッジは,トナーが枯渇した際にユニットごと 交換されるため,OA機器本体に比べ生産量が数倍多 く,また,製品寿命も長い。そのため使用部品にも高 信頼性が求められる。従来よりマグネットローラの軸 受にはミニアチュア軸受が用いられてきたが,昨今の 低コスト化から樹脂製軸受の採用が増加する傾向にあ る。そこで,本用途に対し汎用エンプラを母材とした 軸受材の開発を行った。本軸受の使用条件は,面圧:
2MPa,速度:4〜10m/min,相手材:アルミニウ ム合金である。
4. 1 材料開発
トナーカートリッジ部の温度は50℃程度であり,
高度な難燃性も求められないことから,汎用樹脂ない しは汎用エンプラの領域であるが,従来の知見から6 ナイロン(PA6)とポリエチレン樹脂(PE)のポリ マーアロイ(PA/PEアロイ)を母材として用いた。
摩擦係数の低減を目的に,潤滑油の配合を行うととも に,材料組織をコントロールすることにより,従来の 含油プラスチックとは摺動モデルの異なるベアリー NY5100を完成した。
4. 2 ベアリーNY5100の特性と摺動モデル ベアリーNY5100及び,開発過程で作成したいわ ゆる含油プラスチックRCA6260(PA6に潤滑油を 8wt%配合)の,ジャーナル型試験機で測定した摩擦 係数を図14に示す。摩耗特性を図15に示す。評価条 件は,面圧:1.96MPa,速度:4.2m/min,相手 材:A5056,温度:室温である。また,NY5100 とRCA6260の材料組織写真(SEM写真)をそれぞ れ写真1及び2に示す。
レーザ トナー
トナーカートリッジ
トナーブレード
感光ドラム 紙
マグネットローラ 撹拌ローラ
図13 トナーカートリッジの概略図 Schematic representation of a toner cartridge
摩擦係数
試験時間,h 面 圧:1.96MPa
速 度:4.2m/min 相手材:AI A5056 温 度:室温 試験機:ジャーナル型
NY5100 RCA6260 0.4
0.3
0.2
0.1
0
0 10 20 30 40 50
図14 NY5100及びRCA6260の摩擦係数 Coefficient of friction of NY5100 and RCA6260
摩耗量,μm
材 料 60.0
40.0
20.0
0.0
面 圧:1.96MPa 速 度:4.2m/min 相手材:AI A5056 温 度:室温 試験機:ジャーナル型
NY5100 RCA6260
図15 NY5100及びRCA6260の摩耗特性 Wear properties of NY5100 and RCA6260
潤滑油含有 PE粒子
写真1 NY5100の材料組織 Morphology of NY5100
5μm
NTN TECHNICAL REVIEW No.67(1998)
潤滑油含有PE 潤滑油
移着膜
(a)NY5100 (b)RCA6260 図16 NY5100及びRCA6260の摺動モデル
Sliding models of NY5100 and RCA6260 潤滑油
写真2 RCA6260の材料組織 Morphology of RCA6260
5μm
図14より,RCA6260は初期の摩擦係数は低いも のの,試験時間の経過と共に増加していく傾向を示す。
それに対してNY5100の摩擦係数は低く,なおかつ 安定している。また,RCA6260はアルミ相手材を 損傷するのに対し,NY5100はアルミ上に移着膜を 形成し,損傷しない。NY5100は摩耗量も小さい。
一方,材料組織において,RCA6260(写真2)では PA6中に潤滑油が抜け出たと思われる大きな穴が見 られるのに対し,NY5100(写真1)に穴はなく,
PA6の海相に潤滑油を含有したPEの島相が細かく点 在した組織になっている。
摩 擦 摩 耗 特 性 と 組 織 観 察 結 果 を 考 慮 に 入 れ , NY5100とRCA6260の摺動界面をモデル化すると 図16のようになる。図16において,RCA6260で は摺動の初期に油滴から多量の潤滑油が供給され,摩 擦は一旦低下するが,潤滑油を保持する物質が存在し ないため,PA6と相手材の接触及びすべりにより生 ずる摩耗粉とともに潤滑油が摺動界面から排除され,
それにともなって摩擦係数が増加していくと考えられ る。しかも,潤滑油の分散単位が大きく,油滴が次々
と摺動界面に現れるような状態になっていないので摩 耗も大きい。
一方,NY5100では,潤滑油はPE粒子内に含有さ れており,しかも非常に細かく分散しているので,摺 動界面に潤滑成分が常に存在し,摩擦係数が低く安定 すると考えられる。またPA6とPEの界面が接着して いるので,潤滑成分が摺動界面から脱落しにくく,摩 耗も小さいと考えられる。さらに移着膜形成により相 手材を保護するため,相手材損傷もない。
以上のように,NY5100は新しい摺動モデルによ り優れた摩擦摩耗特性を発揮し,トナーカートリッジ 用軸受にはもちろんのこと,汎用摺動材として有用で あると考えられる。
5. あとがき
OA機器は変化のサイクルがきわめて速く,部品に 対する要求特性も高度化する一方である。本稿で紹介 した事例はその一部であり,多くの開発課題が存在す る。今後もニーズを先取りし開発を進めることで,必 要な摺動材をタイムリーに提案し,機器の高性能化に 貢献していきたいと考える。
参考文献
1)M. Egami:トライボロジスト,42,10(1997)
785.
特 長
従来のBJ,DOJに対し,強度,耐久性を損 なわず,次のような特長をもっています
¡軽量化
EBJ:BJに対し約20%ダウン EDJ:DOJに対し約10%ダウン
¡コンパクト化
EBJ:BJ外輪外径に対し約7%ダウン EDJ:DOJ外輪外径に対し約4%ダウン
¡温度上昇量
EBJ,EDJ共約20℃ダウン(図1)
¡トルク損失率
EBJ,EDJ共高角度時のトルク損失率が 低い(図2)
[ 新商品紹介 ]
軽量化・コンパクト化,伝達効率アップを実現し,
環境・機能両面の向上に適合した画期的な等速ジョイントです。