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一般用ポリルーブベアリングの特長と性能

ドキュメント内 NTN Technical Review No.67 (ページ 83-86)

Characteristics of NTN Bearings with Solid Grease

3.   一般用ポリルーブベアリングの特長と性能

3.1.特長

ポリルーブをベアリングに封入し,焼成・固形化 したポリルーブベアリングの例を写真1〜3に示す。

吸熱

温度,˚C

発熱

80 160 180 200 220

LP05

130˚C 124˚C

LP03 LP06

140 120 100

図2 各種ポリルーブの示差走査型熱量分析結果 DSC thermogram of solid grease

写真1 一般用ポリルーブベアリング General-purpose bearings with solid grease

写真2 高温用ポリルーブベアリング Heat-resistant bearings with solid grease

写真3 食品機械用ポリルーブベアリング Bearings with solid grease for food processing machines ポリルーブベアリングは以下の特長を持つ。3種類の ポリルーブベアリングそれぞれの特長を表3,4に示 した。

①ポリルーブは,焼成により固化し,内部に潤滑剤を 保持する。この潤滑剤が軸受の使用に際し発熱し,

遠心力等により徐々に供給されるため,潤滑剤の漏 れが少ない。

②軸受に強い振動や大きい遠心力が作用する場合でも 潤滑剤が漏れにくく,長寿命である。

③外部からの浸入物(水,塵埃など)に対してポリル ーブは防壁となる。ただし,シールとしては不充分 であり,これらの浸入を防ぐには別途シール(接触 形ゴムシール)が必要である。

④ポリルーブは固形で水が浸入しても乳化して,流出 することがないので潤滑寿命が長くなる。

⑤一般的にポリルーブベアリングでは潤滑剤がグリー スのように撹拌されないので撹拌抵抗が少ない。封 入量(スポットパック仕様,フルパック仕様)によ りトルクの大きさを調整できる。

一般用ポリルーブベアリング 高温用ポリルーブベアリング 食品機械用ポリルーブベアリング

(LP03) (LP05) (LP06)

深溝玉軸受 深溝玉軸受 深溝玉軸受

ミニアチュア,小径玉軸受 ベアリングユニット ベアリングユニット 自動調心玉軸受

軸受形式 自動調心ころ軸受 ベアリングユニット 針状ころ軸受

封入仕様* スポットパック スポットパック スポットパック

フルパック

許容温度 −20〜80˚C −20〜120˚C −10〜110˚C

(長時間使用:60˚C以下) (長時間使用:100˚C以下) (長時間使用:100˚C以下)

表3 ポリルーブベアリングの特長 Property of bearings with solid grease

*  ポリルーブベアリングは,その封入量によりスポットパック仕様とフルパック仕様の2仕様がある。

スポットパック仕様:深溝玉軸受の保持器上にポリルーブをスポット封入し焼成・固形化したもので,低トルク及び潤滑剤漏れ防止に主眼をおいた仕様である。

フルパック仕様:軸受の空間容積ほぼ一杯に,ポリルーブを封入し,焼成・固形化したもので,潤滑寿命に主眼をおいた仕様である。

燥状態であり内外輪・ころすべてにさびが発生し,茶 褐色となつた(継続使用不可状態)。

ポリルーブベアリング

軸受内部のポリルーブは,初期封入時の形態を保っ ていたが分析の結果軸受にさびが発生していた(継続 使用可能状態)。回転調子に,ごり感があったが,こ れは油分の減少とさびによるものと考えられる。

以上の通りであり,Li−鉱油系グリースとポリルー ブには明確な差異が認められた。この差異については,

前途のようにLi−鉱油系グリースが塩水により乳化し 軸受外に流出したのに対し,ポリルーブは固形潤滑剤 であり乳化や流出がおこらないこと,油分の劣化に対 してはポリルーブ内より絶えず清浄な潤滑油が供給さ れていたことなどのためと考える。この試験結果から 判断すると,通常の雨水や泥水のかかる状態で長期間 使用した場合でもポリルーブは潤滑剤流出に対して効 果があると推察できる。

2)潤滑剤の漏れ試験

図3に示す試験方法と表7の試験条件で,ポリルー ブベアリングの潤滑剤の漏れ量を測定した。軸受の取 付けは回転軸に対し平行及び垂直の2姿勢とした。

Li−鉱油系グリースを封入した軸受は,LUシール付 き,LBシール付きのいずれの軸受も約10分程度でグ リースが飛散し,シールがはずれた。これに対し,図 4に示すようにポリルーブベアリングは,オープン状 態で平行姿勢(A)で約2wt%,垂直姿勢(B)で約 5wt%の流出に留まっている。

このようにポリルーブベアリングは,外部より作用 する力に対して優れた潤滑剤保持能力を示しており,

漏れの少ない軸受といえる。

NTN TECHNICAL REVIEW No.67(1998)

一般用ポリルーブ 高温用ポリルーブ 食品機械用ポリルーブ ベアリング(LP03) ベアリング(LP05) ベアリング(LP06)

封入仕様 スポットパック フルパック スポットパック スポットパック 深溝玉軸受 20×104 5×104 12×104 12×104

ミニアチュア小径玉軸受 20×104 ― ― ―

軸受 自動調心玉軸受 ― 3×104 ― ―

形式 自動調心ころ軸受 ― 3×104 ― ―

ベアリングユニット 12×104 3×104 8×104 12×104

針状ころ軸受 ― 3×104** ― ―

表4 ポリルーブベアリングの許容回転数(dn値*)

Critical speed of bearings with solid grease

*  dn値:(d=軸受内径寸法,mm)×(n=使用回転数,rpm)

** Fwn値:(Fw=ころ内接円径寸法,mm)×(n=使用回転数,rpm)

テスト結果 A:良好 B:やや不良(劣化が見られる) C:不良

A軸受 B軸受

軸受荷重 157N{16kgf}

回転数 50rpm(外輪) 144rpm(内輪)

放水量 9R/min

塩水濃度 5wt%

運転サイクル 総運転時間 500h

(5h回転+3h停止)×62サイクル 表5 塩水試験条件

Conditions of salt water spray test

ポリルーブ Li−鉱油系グリース A軸受 B軸受 A軸受 B軸受

回転調子(ゴリ感) B B C C

潤滑剤残存状況 A A C C

潤滑剤劣化状況 B B C C

水滴浸入状況 A A C C

表6 塩水試験結果 Results of salt water spray test 3. 2. 性 能

1)塩水試験

表5に示した試験条件で塩水試験を行い,ポリルー ブベアリングの耐水性能を評価した。試験軸受はニー ドル軸受・内径φ65×外径φ115×幅36(A軸受)

と内径φ22×外径φ40×幅25(B軸受)にLP03を 封入し,焼成・固形化したものを用い,各々の軸受に 9R/minの塩水をかけた。500h後の試験結果を表 6に示す。試験結果をわかりやすくするため,ABC評 価を行った。

500時間後の内部状態の詳細については,以下の 通りである。

Li−鉱油系グリース封入軸受

軸受内部には全くグリースの残存が認められず,乾

A軸受 B軸受 6201(ポリルーブはスポット封入,オープン)

試験軸受 6201LLU(Li−鉱油系グリース封入,接触ゴムシール付き)

6201LLB(Li−鉱油系グリース封入,非接触ゴムシール付き)

遠心加速度 3 000G(公転5 000rpm)

軸受回転数 静止状態

軸受の姿勢 遠心加速度の作用する方向が 遠心加速度の作用する方向が

軸受のラジアル方向 軸受のアキシアル方向

試験時間 4h:1時間ごとに軸受重量を測定し,潤滑剤の漏れ率(重量比)を求める。

NTNポリルーブ®ベアリングの種類と特長

図3 潤滑剤漏れ試験方法 Grease leakage test rig

A軸受

試験軸受 試験軸受装置状態 遠心加速度の作用する方向

が軸受のラジアル方向

遠心加速度の作用する方向 が軸受のアキシアル方向

B軸受

図4 潤滑剤漏れ試験結果 Oil leakage vs time

0 2 4 6 8 10 12

1 2 3 4

G

G B軸受

時間  h

漏れ率: wt(%)注)

A軸受

表7 潤滑剤漏れ試験条件 Conditions of leakage test

3)トルク試験

図5に示すトルク試験機装置Aを用いて,表8の試 験条件で,ポリルーブベアリングのトルクを測定した。

試験結果を表9に示す。ポリルーブベアリングスポ ットパック仕様は各回転数で,一般に低トルクといわ れるLi−ジエステル系グリースより低トルクであっ た。ポリルーブベアリングフルパック仕様は,初期よ りトルクが大きく,発熱も多い。1800rpm以上は発 熱が大きく,測定できなかった。フルパック仕様は低 速回転向きである。

注)漏れ率:NTNポリルーブ封入量を100として漏れた潤滑剤の重量比

回転数(rpm) 1 800 3 600 7 200 Li−鉱油系グリース 230 385 550 Li−ポリオールエステル系グリース 145 265 383 Li−ジエステル系グリース 90 315 403 ポリルーブ スポットパック仕様 63 113 190 フルパック仕様 340 ― ―

図5 トルク試験装置A Torque test A equipment

試験軸受 ハウジング

ロードセル

ラジアル荷重    負荷用ばね

エアスライド

試験軸受 6204ZZ

ポリルーブおよびLi系各種グリース 試験グリース (ポリルーブフルパック仕様以外は,

空間容積の30%封入とする)

軸受荷重 ラジアル荷重 39N{4kgf}

軸受回転数 1 800,3 600,7 200rpm 表8 トルク試験条件

Torque test condition

表9 トルク試験結果

Results of torque test (10-4Nm)

試験軸受 6204LLB

LP03(スポットパック封入)

試験グリース LP05(スポットパック封入)

LP06(スポットパック封入)

食品機械用グリース1)

軸受荷重 アキシアル荷重 39kN{4kgf}

軸受回転数 1 000, 2 000, 4 000, 5 000, 6 000, 7 000, 8 000 rpm NTN TECHNICAL REVIEW No.67(1998)

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