第5章 地方自治体の抱える主要な課題への対応案の検討
2. 主要な課題への対応事例等
1.における主要な問題・課題への対応として、アンケート回答結果及びインターネット等で収集し た取組事例等から、参考となる事例を以下に紹介する。
(1) 対策の必要箇所や地域のニーズの把握
アンケートで回答のあった取組の中では、危険箇所の抽出・認識のためにヒヤリハット地図を作 成している自治体があった。また、主に高齢ドライバーへの交通安全対策として、ドライブレコー ダーを活用して普段走行している道路の中の危険箇所や注意点を抽出し、指導や啓発に活用してい る事例が挙げられた。
加えて、インターネット等により収集したその他の事例から、事故発生箇所や自動車の挙動デー
タなどのビッグデータを活用した危険箇所の抽出事例、及びスマートフォンやタブレット向けの安 全教育アプリの事例を掲載する。
事故発生箇所や急挙動発生箇所については、インターネット上で公開されているデータもあり、
活用することで対策必要箇所の抽出等に役立つものと考えられる。
■アンケート回答における取組事例や工夫点
○ヒヤリハット地図の作成事例
自治体 A※ 自治会が主体となって、各地域の危険箇所をピックアップしてもらい、地域住民でその 情報を共有することにより、交通安全意識の高揚を図っている。
自治体 B
ホームページ上でヒヤリハット地図を公開しており、情報収集及び内容の更新を行って いる。ヒヤリハット地点の情報収集には、町会・自治会をはじめ、区内各警察署や各小 学校にも協力してもらい、区内全域の危険個所を網羅できるよう努めている。
自治体 C※
県庁交通安全担当及び県交通安全協会との共同により、交通安全教室において地域高齢 者によるヒヤリマップの作成を実施し、区域内でこれまで交通安全上、危険を感じた場 所を洗い出し、地図上に示している。
○ドライブレコーダーの活用事例
自治体 D 「交通安全フェスタ」のイベントのひとつとして、ドライブレコーダーの記録による運 転アドバイス講習を実施した。
自治体 E※
ドライブレコーダーを使用した安全運転教室を実施。事前に交通安全教室参加者の高齢 者の車に 1 週間ドライブレコーダーを設置し、記録した映像を編集して交通安全教室の 参加者全員に見せながら事故防止のポイントを共有している。
自治体 F
高齢運転者体験型講習会において、自動車学校のコースを実際に運転して教官から指導 助言を仰ぐほか、ドライブレコーダーによって記録した市街地の動画を見て、危険箇所 等を学んでもらう。
自治体 G
公用車による事故が発生したことから、公用車にドライブレコーダーを設置した。車両 の加速度の変化をプローブデータと映像により捉えることにより運転者の安全教育等を 行い公用車の事故削減対策を行うとともに、潜在的な事故発生が危惧されるヒヤリハッ ト箇所を抽出することにより当該箇所の事故発生防止対策とした。
※自治体A(三重県松阪市)、C(石川県津幡町)、E(栃木県)の取組は、第4章で好事例として詳細を掲載。
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■アンケート回答以外の取組事例
取組内容 SAFETY MAPの活用による交通事故未然防止に向けた取組 実施主体 福井県・本田技研工業株式会社
取組実施の経緯
・福井県は、県内の交通事故防止対策にクルマの走行情報のビッグデータを活用しようと考え、ホンダ の「SAFETY MAP」に注目した。
・これまでは事故が発生した箇所に対して再発防止対策を実施してきたが、事故が発生していない箇所 でも急ブレーキが多発していれば、危険が潜んでいる箇所と言えることから、「SAFETY MAP」から 得られる急ブレーキ多発地点の情報を交通事故防止対策に活用できると考えた。
取組の具体的な内容
・取組を円滑に進めるため、福井県・福井県教育庁・福井県警察本部・県内の全市町の交通安全・土木・
教育各担当課による交通安全推進連絡協議会を立ち上げ、平成27年8月に1回目の会議を開催。
・協議会にはホンダのスタッフを招き、各市町の担当者に対して「SAFETY MAP」の特長について説 明してもらい、その情報を活かした施策を、ステップ①~③に基づいて検討・実施。
・平成27年度中に各市町の小学校区で1箇所以上の対策を実施することを目標とした。
●ステップ①:
SAFETY MAPで急ブレーキ多発地
点を確認し、子どもが多く集まる施 設の近辺かどうかを確認。
●ステップ②:
急ブレーキ多発地点の現地調査によ り発生原因を特定。
●ステップ③:
ハードおよびソフト、両面での安全 対策を実施。
取組の特徴
・ホンダの「SAFETY MAP」を活用し、交通事故防止対策を検討。
成果・効果
・協議会を立ち上げただけで終わるのではなく何らかの成果を残せるよう、予算が伴うハード面の対策 が難しい市町に対しては、ハード面は次年度に回して構わないので、ソフト面での対策を実施するよ う要請。結果として、平成27年度はほとんどの市町が対策を実施した。
出典・参考
SJ(Hondaの交通安全情報紙)No.477(本田技研工業株式会社)
(http://www.honda.co.jp/safetyinfo/sj/16_06/pdf/SJ_16_4_1to4.pdf)
図 SAFETY MAP の画面例
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取組内容 ICT技術とクルマのビッグデータを使った実証実験 実施主体 大阪市・株式会社トヨタIT開発センター
取組実施の経緯
・トヨタIT開発センターの「交通死亡事故を一件でも減らしたい」、大阪市の「ICTを使って大阪市を よくしていきたい」という両者の思いが合致し、実証実験が実現するに至った。
取組の具体的な内容
・大阪市でも事故の多い北区、中央区及びそれに隣接する福島区の3区で、幹線道路や危険とされてい る道路を中心にして、実際に一般ドライバーとプロドライバーにクルマで走行してもらい、走行デー タを収集。
・位置情報、速度情報、加速度情報、急ブレーキや急ハンドルなどのビッグデータを分析することで、
危険場所やその危険度、危険発生の条件などを導き出した。
取組の特徴
・ビッグデータ(自動車の走行データ)を活用 実施状況
■市民ドライバーへの協力依頼について
成果・効果
○『ヒヤリハットマップ』の作成
・収集したビッグデータの分析により特定した 危険箇所やその危険度に加えて、その危険箇 所がどう危険なのかを分かりやすく説明し たヒヤリハットマップを作成。
・『ヒヤリハットマップ』には、事故は発生し ていないが危険な箇所についても掲載され ているので、交通事故防止対策や市民の危険 予測に役立つことが期待できる。
・また、トヨタ IT 開発センター側でも、車の運転中にリアルタイムで危険箇所に近づいていることを 知らせたり、運転後に運転結果として「安全運転度」を評価できる『危険運転解析アプリ』を作成し、
評価検証を行い、その有効性を確認することができた。
出典・参考
大阪市HP (http://www.city.osaka.lg.jp/ictsenryakushitsu/page/0000347796.html)
(http://www.city.osaka.lg.jp/ictsenryakushitsu/page/0000364404.html)
図 作成されたヒヤリハットマップ
※クルマデータロガー:ブレーキやハンドル、加速、位置情報などの自動車走行時に集積されるデータを送信するための装置。
協力依頼
の内容 クルマデータロガー※をクルマに付け、普段どおりに車を使用。終了後アンケート調査 取付期間
対象者 市民ドライバー80人
2016年8月1日~10月31日まで
(2008年4月以降生産のトヨタ車所有かつ3区に在住または3区に在勤かつ車通勤者)
2015年度
2016年度
・北区・中央区・福島区の計3区を対象(大阪市内で事故の多い地区)。
・一般ドライバーとプロドライバーの走行データを収集。
・ビッグデータ分析より危険場所やその危険度、危険発生の条件などを導き出す。
・市民ドライバーを募り、協力要請。
・生活道路を含めた多くのデータを収集し危険箇所を抽出。
・ベテランドライバー(ヤマト運輸)に対し危険要因のヒアリング実施。
・位置情報 ・速度情報 ・加速度情報 ・急ブレーキ ・急ハンドル
など 収集する 走行データ
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■参考)公開されている事故位置情報の活用 インターネット上で公開されている事故発生地点や自動車の急挙動発生箇所のデータを、危険箇所
の把握に活用することができる。以下に公開されているデータの事例を掲載する。
○SAFETY MAP(本田技研工業株式会社)
URL https://safetymap.jp/
・ホンダのカーナビゲーションシステムであるインターナビから収集した急ブレーキ多発地点データ と、警察や交通事故総合分析センターから提供される交通事故情報、及び地域の住民の方が危険と 感じた場所をインターネットで投稿できる危険箇所情報を地図上に掲載した「SAFETY MAP」を 2013年から公開している。
・実際に事故が発生した箇所だけでなく、急ブレーキ発生箇所や地域の方が危険を感じている箇所を 地図上で確認することが可能なことから、交通事故を未然に防ぐという観点から、対策の必要箇所 や地域のニーズを把握する際のひとつの手段となる。
図 5-2 SAFETY MAP概念図
資料:本田技研工業HPより(http://www.honda.co.jp/safety/hearts/feature/2013/03/)