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(6)ゲームで感じる楽しさ(機能的特性)

 上記したリーグ戦の毎ゲーム終了後に、ゲー ムの楽しさについて、前述した5段階でのアン ケート(表V−3)調査で回答を得た。

4.絶対評価基準設定の基本的な考え方  本研究では、文部科学省の言う「概ね満足で

きる」レベルを設定しようとした。前述したよ うに、絶対評価基準を設定するためには何らか の拠り所が必要となる。体育科の目標論からも 技能を向上させることが運動を楽しめ、好きに させる情意的目標を達成する基底的要因である ことから、生涯スポーツの基礎を培うことを目 標とする義務教育段階においては、技能特性に 触れた楽しさを味わわせることが望まれる2)7)。

 また、体育科において中核的技能ができるよ うになるところに楽しさの焦点がある 5)という 見解がある。したがって、技能的特性という観 点は、教えるべき教育内容という見方もできる。

 片岡ら13》は、「楽しさ」は自我形成し、「楽 しくない」経験の積み重ねは自我破壊するとし ている。また、「楽しさ」は未来への希望であ り、学習者に未来を保障しなければならないと 指摘している。したがって、機能的特性という 観点は、「正しい楽しさ感覚・言語化能力」の 獲得や人間を形成していく上で必要な指標であ ると言える。

 すなわち、絶対評価基準を設定するための拠 り所を「技能的特性」と「機能的特性」とする ことは妥当であると考えられる。また、今後も この両特性は、普遍的な価値として位置づけら れていかなければならないと言える。

 そこで、絶対評価基準を設定するために、横

軸を拠り所となる普遍的価値の技能的特性

(GPL)と機能的特性(楽しさ)とした。そし て、縦軸に個人技能や集団技能の成績をとり、

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図V−4 絶対評価基準設定の基本的な考え方 両者の関係性を回帰・相関分析した(図V−4)。

 ゲームは勝つための工夫を楽しむことに本質 がある。勝つための工夫のひとつに戦術があり、

その戦術を遂行するためにはそれなりの技術が 必要となる。したがって、表V−2に示すGPL2

「プレッシャーのない中で意図通りにプレーで きる」ことをバスケットボールの最低目標とし、

GPL4「プレッシャーのある中でかなり意図通 りプレーできる」ことを十分満足できる目標と して評価するのが妥当であると考えた。

 したがって、GPL2〜GPL4の範囲に相当す

る成績を「概ね満足できる」レベル、GPL4以 上を「十分満足できる」レベルと設定した。

 一方機能的特性に触れているかどうかは、表 V−3のアンケート用紙に示す楽しさレベルに より、「少し楽しい」から「かなり楽しい」の 範囲に相当する成績を「概ね満足できる」レベ ル、「かなり楽しい」レベル4以上を「十分満 足できる」レベルと設定した。

第3節 結果ならびに考察

1.中学3年生について

(1)個人技能の絶対評価基準の設定

①技能的特性の観点から

 図V−5は、GPLとレイアップシュート成功

数、ワンハンドシュート成功数、ドリブル得点、

ならびにドリブル技術の個人技能との関係を示 したものである。

 (A)のレイアップシュート成功数との間に

はy=1.7163x+1。1968(r=0.74)、(B)のワンハン ドシュート成功数との間にはr1.241x+2.2305

(r=0.67)、(C)のドリブル得点との間には y判.148x+12.221(FO.63)、(D)のドリブル技術 との間にはy=1.3351x+85.773(Fo.29)のそれぞ れ有意な相関関係と直線回帰式が得られた。

表V−5 中学3年生の個人技能の「概ね満足で     きる」設定レベル

技能的特性   機能的特性   設定レベル

②機能的特性の観点から

 図V−6は、楽しさとレイアップシュート成 功数、ワンハンドシュート成功数、ドリブル得 点、ならびにドリブル技術の個人技能との関係 を示したものである。

 (a)のレイアップシュート成功数との問に

はy=1.2624x+2.3895(r=0.31)、(b)のワンハン ドシュート成功数との間にはy=1.olo3x+2.7866

(r=0.3D、(c)のドリブル得点との間には

y=1.401x+11.27(FO.43)、(d)のドリブル技術と の間にはy=2.1233x+83.l15(r=0.26)のそれぞれ 有意な相関関係と直線回帰式が得られた。

レイアップシュート 5〜8/10本   5〜7/10本   5〜8/10本   技・機 ワンハンドシュート 5〜7/10本   5〜7/10本   5〜7/10本   技・機 ドリブル得点   15〜17点/30秒 14〜17点/30秒 15〜1フ点/30秒 技・機 ドリブル技術   88〜91点   87〜91点   88〜91点   技・機 注)「技・機」は技能的特性、機能的特性に基づき基準を設定したことを示す。

認められた。

 本研究では、技能的特性と機能的特性に触れ ているかどうかの視点を重視し、個人技能のす べての評価項目において、両者の基準を満たし ている範囲を「概ね満足できる」レベルと設定 することが妥当であると考えられる。

 すなわち、中学3年生のレイアップシュート

成功数は、10本中5〜8本、ワンハンドシュ ート成功数は、10本中5〜7本、ドリブル得 点は、15〜17点、ドリブル技術は、88〜91

点を「概ね満足できる」レベルと設定した。

 したがって、表V−5に示すように、技能的

特性を拠り所とした、GPL 2〜4を範囲とす

るレイアップシュート成功数は、10本中5〜

8本、ワンハンドシュート成功数は、10本中

5〜7本、ドリブル得点は、15〜17点、ドリ

ブル技術は、88〜91点となった。

 一方、機能的特性を拠り所とした、楽しさ2

〜4を範囲としたレイアップシュート成功数 は、10本中5〜7本、ワンハンドシュート成

功数は、10本中5〜7本、ドリブル得点は、14

〜17点、ドリブル技術は、87〜91点となっ

た。

 すなわち、個人技能については、「概ね満足 できる」技能レベルは、技能的特性から見ても 機能的特性から見ても、ほぼ同値を示すことが

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図V−5 GPLと個人技能の関係    図V−6 楽しさと個人技能の関係

(2)集団技能の絶対評価基準の設定

①技能的特性の観点から(チーム平均値)

 図V−7は、GPLと集団技能との関係を示し

たものである。

 ここでは、個人のゲームパフォーマンスレベ ルを、チーム平均値として、それぞれの集団技 能との関係を検討した。

 (A)の攻撃完了率との間には、統計的に有 意な相関関係は認められなかった。しかし、こ れはチーム内異質のメンバーのゲームパフォー マンスが平均化されるために生じたものと言え る。しかし、技能差のあるチームが対戦すれば、

技能的特性から見た場合には、相関関係が得ら れることは、大いに予想される。

 (B)のシュート成功率、(C)の速攻創出率、

(E)のゴール下連携シュート率、(F)のゴー ル下連携シュート率2、(G)のゴール下連携

シュート成功率との間にも有意な相関関係は認 められなかった。しかし、(D)の連携シュー

ト率との問にはy=7.8459x+2.8395(r=0.24)の有 意な相関関係が得られた。

表V−6 中学3年生の集団技能の「概ね満足で     きる」設定レベル

技能的特性 機能的特性 設定レベル 攻撃完了率

シュート成功率 速攻創出率 連携シュート率 ゴール下連携 ゴール下連携2 ゴール下連携成功率

(57〜72%)53〜72%53〜72%機

(18〜27%)12〜309612〜30%機

 n.s      6〜14%      6〜1496    機

16〜34% n.s 16〜34%技

(9〜14%)     n.s  n.s        n.S

(21陶36%)13〜40%13〜40%機

②機能的特性の観点から(チーム平均値)

 図V−8は、楽しさと集団技能との関係を示

したものである。

 ここでは、個人がゲームで感じた楽しさを、

チーム平均値として、それぞれの集団技能との 関係を検討した。

 (a)の攻撃完了率との間にはr9.8616x+33.268

(r罵0.42)、(b)のシュート成功率との間には

y儒9.6037x−7.9708(r罵0。53)、(c)の速攻創出率と の問にはy=4.1081x−L7512(r=0.32)、(g)のゴー

ル下連携シュート成功率との間には

y=13.231x−13.037(r=0.26)のいずれも有意な相関 関係と直線回帰式が得られた。

 しかし、(d)の連携シュート率、(e)のゴー ル下連携シュート率、(f)のゴール下連携シュ ート率2との間には、いずれも有意な相関関係 は認めることはできなかった。

注)「技」は技能的特性、「機」は機能的特性に基づき基準を設定したことを示す。

 ()は推定値を示す。

在しなかった。

 したがって、集団技能においては、技能的特 性、あるいは機能的特性の間に有意な相関関係 が認められた項目について、表V−6に示すよ

うな絶対評価基準を設定した。

 すなわち、技能的特性を拠り所としたGPL

2〜4に相当する連携シュート率は16〜34%、

機能的特性を拠り所とした楽しさ2〜4に相当 する攻撃完了率は53〜72%、同様にシュート 成功率は12〜30%、速攻創出率は6〜14%、

ゴール下連携シュート成功率は13〜40%を「概 ね満足できる」レベルと設定した。

 なお、前述したようにGPLと攻撃完了率、

シュート成功率、ゴール下連携シュート率、ゴ ール下連携シュート成功率との間には有意な相 関関係は得られなかったが、図V−7(A)に示 すように、回帰直線を延長すると、推定値とし て「概ね満足できる」レベルは、それぞれ設定 することが可能であると考えられた(攻撃完了 率:57〜72%、シュート成功率:18〜27%、

ゴール下連携シュート率:9〜14%、ゴール

下連携シュート成功率:21〜36%)。

 ちなみに、これらについて技能的特性、機能 的特性両者の基準を満たしている範囲を「概ね 満足できる」レベルと設定すると、攻撃完了率

は、57〜72%、シュート成功率は、18〜30%、

ゴール下連i携シュート成功率は、21〜40%と なった。これらの値は表V−6に示すように機 能的特性から見た基準ととほぼ同値を示した。

 これらのことから、個人技能とは異なり、技 能的特性よりも機能的特性と集団技能との相関 関係の強いことが認められた。

 また、技能的特性から見ても機能的特性から 見ても有意な相関関係が得られた評価項目は存       一39一

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