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中国の集合住宅おける共用部分修繕工事に関する改善策

5−1 調査概要

5−2 集合住宅共用部分修繕の関連主体の日中比較 5−3 集合住宅共用部分の修繕プロセスの日中比較

5−4 集合住宅共用部分の修繕に関わる関連主体の協力関係の 日中比較

5-5 まとめ

本章の目的

第 3、4 章では中国修繕プロセスの管理主体間の協力関係の現状をまとめた上で、問 題点を明らかにした。本章では、日本の大規模修繕工事の関連主体(点)、修繕プロセ ス(縦方向)、関連主体の協力関係(横方向)との比較から、中国修繕工事に適応可能 な改善策を導き出すことを目的とする。

具体的には、まず文献調査とヒアリング調査を通じ、日本の修繕工事の関係者の種類 を把握した上で、さらに各関係業者における具体的な業務内容と発注方式を明らかにし、

中国の現状との対比から、修繕関連業者自身およびそれらの関係における問題点と改善 策を明らかにする。

さらに、日本の代表事例の大規模修繕プロセスとの比較を通じ、中国の集合住宅共用 部分修繕プロセスの問題点と改善策を明らかにする。

最後に、日本の代表事例の大規模修繕に関わる関連主体の協力関係との比較を通じ、

中国の集合住宅共用部分修繕に関わる関連主体の協力関係の問題点と改善策を明らか にする。

5−1 調査概要

代表的な調査対象を選定するために、まず、既往研究を調査し、日本の修繕に関する 主体を把握する。黒川の研究文献 5.1)では、日本の修繕工事の関連主体には所有者、管理 業者、コンサルタント、施工業者があることを指摘している。また、所有者以外の 3 つ の関連主体は修繕規模の大小により、業務担当が変わることがあるとしている。それを 明らかにするために、本章では、調査対象へのヒアリング調査と会社ホームページ(以 下 hp)調査を行った。具体的な対象を表 5-1 に示す。

管理業者については、規模が異なる独立系管理会社と大手デベロッパーグループ会社 を対象にする。コンサルタント業者については、大手建設会社から独立した修繕設計業 者を選定した。また、施工業者としては、規模が違う独立系外壁工事の専門業者や大手 デベロッパーグループ建設会社を選定した。

表 5-1 調査対象紹介

調査対象 設立年月 会社規模 特徴 主要業務 調査方法

管理 業者

対象1:

A 管理会社

2003 年 6

従業員数 115 名

デベロッパー

・ゼネコンと は無関係の独 立系の管理業

○分譲、賃貸マンション管理

○テナントビル総合管理

○生損保代理店

方法:

ヒアリング 調査 対象:

管理業務主 時期:

2017 年 5 月

対象2:

B 管理会社

1990 年 7

従業員 数:2340

デベロッパー 系管理会社、

○分譲マンション管理

○大規模修繕のコンサルタ ント

○建物の維持管理業○生損 保代理店

○建築の企画、設計および工 事監理、施工

○住宅の増改築、建替え及び 住宅リフォーム業

○不動産賃貸業

方法:

会社 hp 調査

コン サル タン

対象3:

C 設計会社

2014 年 1

新設会社、

従業員数 また少な

社長は元大手 建設会社から 大手建設会社 から独立した

○既存建物・マンションの 修繕に関する計画・企画

○マンション等長期修繕計 画作成業務

○既存建物の構造体・仕上げ 材の調査業務

○外壁漏水調査・診断業務、

応急補修業務

○修繕に関する企業向けコ ンサルティング・補助業務

方法:

ヒアリング 調査 対象:

社長 時期:

2017 年 5 月

施工 業者

対象4:

D 施工会社

1997 年 8

従業員 数:日本側 12 名、中 国大連側 70 名

独立系外壁工 事の専門業者,

長期協力の大 手企業と一般 企業がある。本 社は日本に置 き、工場に中国 大連に設けて いる

○建築外壁部材の設計・製 作・販売の専門業者

○分譲マンション外壁の新 築・修繕工事

方法:

ヒアリング 調査 対象:

設計部部長 時期:

2017 年 5 月

対象5:

E 施工会社

2013 年 8

従業員 数:397 名

デベロッパー 系施工会社

○マンション修繕工事の提 案・施工

○土木建築工事全般の企 画・設計・施工

○建物診断・耐震補強工事の 提案・施工

方法:

会社 hp 調査

5−2 集合住宅共用部分修繕の関連主体の日中比較

5−2−1 関連主体の種類と業務

中国の修繕における関連主体は所有者、管理業者(管理会社・社区)、設計業者、施 工業者に分けられる。黒川の研究及び関連主体へのヒアリング調査により、日本の修繕 工事の関連主体は、所有者、管理者、施工業者の 3 主体が中国と類似する一方で、設計 業者の代わりに、日本では業務内容がより高度なコンサルタントが存在する。

表 5-2 大規模修繕関連主体の日中比較

中国大規模修繕の関連主体と関連業務 日本大規模修繕の関連主体と関連業務

対象 種類 業務 業務 種類 対象

管理 業者

社区サービス 部門

全部房改房マンション維持 管理

部分分譲マンション維持管

修繕手続の代理組織

−− −−

管理 業者 ディベロッパ

ー系管理会社

※分譲マンション維持管理 修繕の組織者

※分譲マンション維持管理 修繕のコンサルタント 修繕の設計監理

ディベロッパ ー系管理会社

独立系管理会

※分譲マンション維持管理 修繕の組織者

※分譲マンション維持管理

独立系管理会

施工 業者

大規模建設会 社(ディベロッ パーの協力会 社)

※新築建物の工事実施

※修繕の工事実施

※新築建物の工事実施

※修繕の工事実施

大規模建設会 社(ディベロッ パーの協力会 社・ブループ会 社)

施工 業者 独立系専門修

繕工事業者 ※修繕の専門工事実施 ※修繕の専門工事実施 独立系専門修 繕工事業者

設計 業者

独立系 設計会社

新築建物の設計

※修繕の設計 ※修繕の設計と監理 修繕のコンサルタント

独立系の修繕 設計会社

コン サル タン

−− −− 修繕のコンサルタント

修繕の設計と監理

ディベロッパ ーのグループ 会社設計会社

−− −− 修繕のコンサルタント

修繕の設計と監理

特定非営利活 動法人 NPO サポ ートセンター 監理

業者 専門監理会社 建物の監理 −− −−

−− 存在しない

※ 日中業者、業務が同じの部分

ヒアリング調査結果をまとめ、日中における所有者以外の各関連主体の具体的な業務 の差異を表 5-2 に示した。

管理業者については、中国では管理会社による管理がない住宅は、政府の下部組織「社 区」が日常の管理と修繕手続をサービスで担当する。このような業者は日本に存在しな い。「ディベロッパー系管理会社」「独立系管理会社」は日中ともに存在するが、中国 の管理会社は、日常の維持管理以外の業務では、修繕プロセスにおいて主導的な立場を 担っている。対照的に、日本の「ディベロッパー系管理会社」はコンサルタントや設計 監理の役割しか果たしていない。

施工業者については、日本と中国は基本的に同じであるが、中国ではディベロッパー 系管理会社と長期協力の大手建設会社とは会社間の協力関係に留まっているが、日本で は協力会社形態以外、グループ会社の形態も存在する点が多少異なっている。

設計業者は、中国では独立の設計会社が存在するが、修繕には特化しておらず、修繕 設計は業務のわずか一部である。日本では、専門の「独立した修繕設計会社」があるほ か、ヒアリングによると最近の新築工事の減少のため、「ディベロッパーのグループ会 社傘下の設計会社」も修繕設計に参入している。それ以外に、「民間非営利組織」(特 定非営利活動法人 NPO サポートセンター)も修繕設計をサポートしている。日本の修繕 設計業者は修繕設計業務のほか、基本的なコンサルティング(調査診断、修繕基本設計、

修繕実施設計)も行っているが、中国では修繕コンサルタント自体が存在しない。また、

日本の設計業者が監理の業務があると対照的に、中国では設計業者と別に、専門の監理 業者が存在している。

5−2−2 発注主体

第 4 章の分析によると、中国の大規模修繕は管理業者によって主に3種類の形態に分 けられ、形態ごとに独自の発注方式を持っている。発注方式は修繕プロセスや関連主体 の協力関係にも直接に影響を与える。

3 種類の形態について、日本の状況をヒアリング調査した。比較結果は図 5-1 に示す。

日本においても最も一般的な発注方式はコンサルタントに協力依頼する方式である。

その中で、大手ディベロッパー系管理会社による集合住宅修繕の発注方式は、大手ディ ベロッパー系グループ内のコンサルタント会社及び施工会社に発注する。独立系管理会 社場合、設計監理方式を独立系のコンサルタント会社に発注している。

発注方式から見ると、日本の大規模修繕は、すでに完成された方式となっているが、

図 5-1 日中大規模修繕発注主体の比較

中国ではまだ初期的、発展的な段階におり、多様な発注体制を模索している状態といえ る。

5−2−3 中国集合住宅の共用部分修繕に関わる関連主体自身問題の改善策

中国では管理会社が住宅修繕の主導的な役割を果たしているが、業務内容から見ると、

成立時間が短く、管理経験と技術手段も不足しているため、業務の重点が維持管理に集 中している。そのため、管理会社の業務拡充が要務と考えられる。

また、中国は業種が不十分で、発注方式もまだ未熟であるため、業種の種類を増やし、

業種間の業務交流を深め、各業種の業務能力を改善し、成熟した発注方式を確立するこ とが重要であろう。