3−1 調査概要
3−2 集合住宅共用部分修繕業務の責任担当
3−3 所有者から見た集合住宅共用部分の修繕現状 3−4 管理会社から見た集合住宅共用部分の修繕現状 3−5 まとめ
本章の目的
本章は、中国の集合住宅共用部分の修繕工事に関する実態調査により、中国住宅修繕 工事の現状と問題点を明らかにすることを目的としている。
具体的には、所有者の意識と管理状態が概観を把握した上、各管理状態下の集合住宅 の修繕の詳しい状況を明らかにする。
3−1 調査概要
まず、集合住宅共用部分修繕業務の責任担当調査を行った。
次、大連市における 60 棟の集合住宅を対象とし、維持管理、修繕の現状及び所有者 の意識についてのアンケート調査を行った。
更にアンケート調査対象から 16 件修繕事例を絞り込み、管理会社へヒアリング調査 を行い、そこから取得した内容を分類し分析する。
3−2 集合住宅共用部分修繕業務の責任担当
中国の集合住宅の共用部分の修繕責任担当について把握するため、大連市の管理会社 へのヒアリング調査を実施した(付録1)。
中国集合住宅の修繕責任担当の実態を義務の内容、責任者と建設年数の関係の三軸で、
図 3-1 にまとめた。棟共用部分と団地共用部分の修繕責任者はそれぞれの保証期限によ って変わる。
棟の共用部分について、分譲後の早い段階では、ディベロッパーが担当し、修繕費は ディベロッパー保証金で賄い、住宅分譲時にディベロッパーと区分所有者間の契約に基 づいて確定する。通常の場合、棟の共用設備中の電気、水道、ガス、暖房、消防につい ては始めの2年間は責任者はディベロパーであり、その後の責任者は専門の国営企業で ある。一方で、エレベーター、玄関ホール、階段について、最初の2年間はディベロパ ーであるが、その後の責任者は区分所有者となり、積立金で賄う。構造部分の外壁など については、最初の5年間の責任者はディベロパーであるが、その後の責任者もエレベ ーターなどと同じく区分所有者が担当し積立金で賄う。団地の共用部分の場合について、
常に管理会社が担当し、区分所有者が毎月納める管理費で賄う。
図 3-1 共用部分修繕業務の責任者と建設年数の関係
3−3 所有者から見た集合住宅共用部分の修繕現状
大連市の集合住宅における居住状況及び所有者の住意識について把握するため、大連 市の分譲住宅の住戸に対してアンケート調査を実施した。
調査対象は、中国の大連理工大学の卒業生及び在学生 60 名に対して、アンケート調 査を行った(付録 2)。結果は、回収数が60 部、有効回答は 57 部(有効回答率 95.0%) である。アンケートの内容は、居住の基本属性、住宅及び屋外環境の利用、所有者の利 用満足度などである。
3−3−1 調査対象
アンケート回答者の性別と年齢を表 3-1 に示す。回答者のうち、男性は 32 人(56.1%)、
女性が 25 人(43.9%)であり、年齢は 20 代から 50代の幅が見られるが、その中で、
30代が最も多い。
アンケート回答者の職業を図 3-2 に示す。「技術的・専門的従事者」が21 人(36.8%) と最も多く、次いで「サービス職業従事者」が14 人(24.6%)であり、「自営業」、「販 売従事者」「生産工程従事者」、「管理的職業従事者」、「運送・運転従事者」、「無 職者」の順である。
表 3-1 回答者の年齢・性別
10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 性別の小計 男性 0 6 17 7 2 0 0 32 56.1%
女性 0 3 12 10 0 0 0 25 43.9%
年齢の 小計
0 9 29 17 2 0 0 57 100%
- 15.7% 50.9% 29.8% 3.5% - - 100%
回答者が居住している集合住宅の建設年代を図 3-3 に示す。「1995~1999」が15 件
(26.3%)を占めて最も多く、「2000~2004」が12 件(21.1%)であり、次いで「2010~
2015」、「2005~2009」「1990~1994」、「1985~1989」の順である。
図 3-2 回答者の職業(単位:人、総計:57 人)
建設年代(築年数)
図 3-3 建設年代(単位:件、総計:57 件、2015 年時点)
0
4 5
15 12
10 11
0 2 4 6 8 10 12 14 16
1980〜1984(築31〜35年) 1985〜1989(築26〜30年) 1990〜1994(築21〜25年) 1995〜1999(築16〜20年) 2000〜2004(築11〜15年) 2005〜2009(築6〜10年) 2010〜2015(築5年以内)
21 14
8 6 3
2 2 1 0
0 5 10 15 20 25
技術的職業 サービス 自営業 販売 生産工程 管理的職業 運送・運転 無職 退職
3−3−2 所有者の意識
(1) 積立金について
回答者が持つ積立金に対する意識を図 3-4 に示す。「修繕積立金を知るが、役割を知 らない」が45 人(78.9%)が最も多く、「修繕積立金を知らない」が9 人(15.7%)であり、
次いで「修繕積立金と修繕積立金の役割共に知る」が3 人(5.3%)であり、結果としては、
所有者が積立金に対する意識が弱いと考えられる。
(2) 管理組合について
回答者の管理組合に対する意識を図 3-5 に示す。「管理組合を知らない」が 38 人
(66.7%)が最も多く、「管理組合を知るが、役割を知らない」が13 人(22.8%)であり、
次いで「管理組合が大規模修繕の決定者ことを知る」が 6 人(10.5%)であり、結果とし
図 3-4 積立金に対する意識(単位:人、総計:57 人)
図 3-5 管理組合に対する意識(単位:人、総計:57 人)
9
45
3
0 10 20 30 40 50
修繕積立金を知らない 修繕積立金を知るが、役割を知らない 修繕積立金と修繕積立金の役割共に知る
38
13
6
0 5 10 15 20 25 30 35 40 管理組合を知らない
管理組合を知るが、役割を知らない 管理組合が大規模修繕の決定者ことを知る
ては、所有者が管理組合に対する意識が弱いと考えられる。
(3) 修繕状況の満足度
回答者が修繕状況に対する満足度を図 3-6 に示す。一番不満があるのは、修繕が放置 されている外壁、屋上漏水の問題である、32 人(56.1%)、20 人(35.1%)を占めるこ とが分かった。次いで「共用活動設備」、「窓・安全ドア」「照明設備」、「階段の手 すり」、「玄関・階段内壁」の順である。結果として、外壁や屋上漏水などの大規模修 繕対象箇所には苦情が集中しているため、大規模修繕が必要であることを表している。
3−3−3 共用部分の管理状態
居住している集合住宅の 57 件事例の管理状況を図 3-7、図 3-8 に示す。管理会社が 管理していない事例が 15 件(26%)を占めている。管理組合が設立していないものが 42
図 3-6 修繕されていない問題箇所(単位:人、総計:57 人)
図 3-7 57 件事例の管理会社の有無 表 3-8 57 件事例の管理組合の有無 32
20 19 14 13 10 8
0 5 10 15 20 25 30 35
外壁 屋上漏水 共用活動設備 窓・安全ドア 照明設備 階段の手すり 玄関・階段内壁
件(61%)を占めている。の修繕実施を展開するためも法律によって、管理会社の存在と 管理組合の存在ともに必要である。しかし、多くの集合住宅では管理組合はともかく、
管理会社すら存在していないことが明らかと分かった。
管理組合と管理会社の有無により、図 3-9 に示すように、4つのタイプに分けられる。
「管理会社有、管理組合有」が22 件(38.6%)を占めて最も多く、「管理会社有、管理組 合無」が20 件(35.1%)であり、次いで「管理会社無、管理組合無」が 25 件(26.3%)であ り、「管理会社無、管理組合有」が 0 件の結果になった。図に示すように、中国の法律 によっても、最初の管理組合の組織等には管理会社の指導と協力が必要とされるため、
管理組合があり、管理会社はないの場合は存在しないわけである。
図 3-9 管理状態分類(単位:件、総計:57 件)
図 3-10 管理状態と建設年代の関係(単位:件、総計:57 件、2015 年時点)
15 0
20 22
0 5 10 15 20 25
: :
: :
: :
: :
さらに上記の管理状態は建設年代との関係について、図 3-10 に示す。まず、管理状 態一番健全なパターンについて、新築であれば新築ほど管理状態が健全であるはずなの に、実は、2005~2010 年建設された(築 5 年から 10 年)住宅は一番多い結果になった。
管理会社のみ存在する場合、築古の早期住宅は多いのは合理的であるが、なぜか新築の ほうはより多く、両極化の結果になった。最後、管理一番不全なパターンについて、ほ とんど築古の房改房や早期商品住宅に集中しているのはほぼ予想通りである。
3−3−4 問題点総括
所有者57人の所有者の回答から見ると、まず、修繕の主な資金源としての積立金に ついて、「修繕積立金を知るが、役割を知らない」が45 人(78.9%)を占めている。所 有者が管理組合に対する意識について,「管理組合を知らない」が38 人(66.7%)を占 めている結果として、所有者が管理組合に対する意識が弱いと考えられる。満足度調査 について,所有者の多くは修繕に対する満足度が低い。放置されている外壁、屋上漏水 に対する不満が一番多い、32 人(56.1%)、20 人(35.1%)を占めることが分かった。
調査対象の57人の所有者の答えから見ると、所有者が修繕に対する意識が弱いと考え られる。
管理状態の調査結果について、管理不全の状況が多く発生した。57 件の事例を見る 限り、管理会社管理していない事例が 15 件(26%)占めている。管理組合が設立していな い事例が 42 件(61%)占めている。法律によって、中国の修繕実施プロセスを展開するた め、管理組合と管理会社ともに必要である。そのため、管理組合と管理会社の有無によ り、三種類に分けられると考えられる。
3−4 管理会社から見た集合住宅共用部分の修繕現状
3−4−1 調査概要
集合住宅における共用部分の修繕現状を把握するため、さらに調査対象の所有者が住 んでる団地の管理主体にヒアリング調査を行った。
3-3 の通り、管理会社と管理組合の有無の分類によって、アンケート調査対象から代 表的な 16 事例を抽出し、管理主体にヒアリング調査を行った。付録 3、4、5 に調査内 容を示す。表 3-2 のように、管理主体は大手系ディベロッパーの管理部門、独立系管理 会社、社区の3種類がある。16 件事例の中、「管理会社有・管理組合有」が 6 件、「管 理会社無・管理組合無」が 6 件、「管理会社無・管理組合無」が 4 件であった。
表 3-2 調査対象紹介
管理現状 調査対象 調査対象特徴 分類
管理会社有
・ 管理組合有
対象1 万科城市花園の管理会社 大手系ディベロッパーの管理部門
Ⅰ類 対象2 星海人家花園の管理会社 独立系中規模管理会社
対象3 金寓団地の管理会社 独立系中規模管理会社 対象4 徳源団地の管理会社 独立系中規模管理会社 対象5 北歐假日団地の管理会社 独立系中規模管理会社
対象6 華潤考拉団地の管理会社 大手系ディベロッパーの管理部門
管理会社有
・ 管理組合無
対象7 桃花園団地の管理会社 独立系中規模管理会社
Ⅱ類 対象8 新科団地の管理会社 独立系中規模管理会社
対象9 龍溪村団地 独立系中規模管理会社 対象10 金潤団地 独立系中規模管理会社 対象11 錦聯桜花園 独立系中規模管理会社
対象12 中鐵諾徳海濱花園 大手系ディベロッパーの管理部門
管理会社無
・ 管理組合無
対象13 昆明街華昌の社区 社区
Ⅲ類 対象14 山屏街の社区 社区
対象15 天発団地の社区 社区 対象16 綠苑社区の社区 社区