井出不動産金融研究所 不動産金融アナリスト
井出 保夫
米国の住宅バブルは依然として深刻
FRBの利上げで個人の利払い負担が増加傾 向にあるのに加え、住宅の値上がりが止ま れば、消費が予想以上に落ち込み、景気減 速が加速する可能性もある。
金利上昇が住宅価格の下落のトリガー
(引金)になるのは、今年の英国やニュージ ーランド、それに中国などの住宅市場で実 証済みである。米国の住宅バブルには一体 どんな手仕舞が考えられるのだろうか。
ブッシュ米大統領は10月24日、来年1月末 に退任する米連邦準備理事会(FRB)のア ラン・グリーンスパン議長の後任に、大統 領経済諮問委員会(CEA)のベン・バーナ ンキ委員長を指名した。上院の承認を経て、
来年2月にも第14代議長に就任する。FRB議 長の交代は18年半ぶりとなる。
大統領は記者会見のなかで、「FRB議長は 完全な信用があり、健全な政策判断と人格 を兼ね備えていなければならない」と述べ、
「バーナンキ氏はグリーンスパン議長が築き 上げた歴史を受け継ぐのにふさわしい人物 だ」と強調したという。バーナンキ氏は景 気と物価の安定に全力を挙げるとともに、イ ンフレ目標の導入を推進するとの声が多い。
ところで、グリーンスパン議長は、先月 北京で開催された20カ国財務相・中央銀行 総裁会議(G20)で、まさに最後の置き土 産と呼ぶにふさわしい講演を行ったとされ ている。ちなみにG20とは、G7(先進7カ国)
に加え、中国、韓国、インドネシア、オー ストラリア、ロシア、インド、サウジアラ
長国で構成され、いまや世界人口の6割強、
国内総生産(GDP)の8割を占める世界会議 である。1999年にベルリンで第1回が開催さ れて以来6回目の今年は、谷垣財務相が日本 の財務大臣として初参加し、米国からはス ノー財務長官とグリーンスパン議長が出席 している。
その講演内容は、ずばり「長期金利の反 転上昇リスクへの警鐘」だったという。「世 界全体の貯蓄投資バランスを見ると、貯蓄 が投資を上回っていることが長期金利の低 位安定につながっている」、「G20に参加し ている新興市場国が最も長期金利の低位安 定の恩恵に浴しているが、こうした状態が いつまでも続くわけではない。反転上昇し たときにどのように対応すべきか」といっ た問題提起がなされたようだ。
残り任期わずかとなったグリーンスパン 議長が去った後、バーナンキ新議長の下で 世界はこの大きなリスクに対処することが できるのだろうか。
中国の住宅価格の上昇が沈静化してきた。
今年7〜9月の販売価格の上昇率(前年同期 比)は6.1%と3四半期連続で縮小し、ピー クだった昨年10〜12月(同)を4.7ポイント 下回ったという。これは短期の住宅転売に 課税するなど、投機的な動きに歯止めをか けた効果が出た結果だと指摘されている。
今後中国政府は市況の悪化が銀行の不良債 権を増やさないよう政策の 効き過ぎ に 注意を払うとみられる。
新FRB議長にバーナンキ氏が内定
中国の住宅バブルは沈静化へ
が目立ち始め、前年同期比の上昇率は04年4
〜6月から05年1〜3月まで10%前後で推移し たという。これにより不動産バブル懸念が 強まったが、これを受けて政府が価格の安 定策を打ち出し、上昇率にブレーキがかか り始めた格好だ。
中国のなかでも値動きが特に激しいのが、
上海市を中心とする華東地域だ。上海の上 昇率は全国平均を大きく上回り03年10〜12 月に29.1%に達したが、今年7〜9月は6.5%
と全国並みの水準に下がった。近くの杭州市 は04年1〜3月から6四半期続けて10%を上回 ったが、直近では7.4%にまで低下している。
住宅市場のクールダウンに最も効果が大 きかったのが、今年6月から実施した新税制 と言われている。2年以内に転売する場合に 転売価格の5%の営業税を課したことで、地 域によっては転売してもほとんど利益が出 なくなり、購入済みの住宅用地の値上がり を待って、開発を遅らせるといった行為も 厳しく禁じられるようになった。住宅価格 がこれまで通り上がり続けるとの期待が萎 み、投機資金の流入が減るとともに、一般 の買い手は値下がりを期待して買い控える ようになったようだ。上海の6月のマンショ ンビルなどの取引量は5月と比べて16.9%減 り、7月は6月より4.3%減少するなど、効果 はてきめんに表れている。
一方、2004年末で中国の銀行の不動産関 連融資の伸び率は、前年同期比22.8%と全 体の伸びのほぼ2倍に達した。中国人民銀行
(中央銀行)は、不動産開発業者向けの融資 リスクを懸念しているが、中国政府が目標 に掲げている「住宅価格の穏やかな上昇」
ことになる。
株式市場でも不動産株の下げが目立って いる。中国政府の発表した今年7〜9月の国 内総生産(GDP)が、実質で前年同期比 9.4%増となり、輸出と並ぶけん引役である 固定資産投資部門の引き締めが強化される のではとの不安が広がったためだ。
今年1〜9月の固定資産投資額は前年同期 比で26.1%増加し、都市部の固定資産投資 は同27.7%増えた。こうした固定資産投資 の増加率は、前年同期に比べやや鈍化して いるが、3月の全国人民代表大会(全人代、
国会に相当)で掲げた目標値である16%増 を大幅に上回っており、不動産セクターに だけは追加引き締めの警戒感が高まった。
中国GDPの9%台成長は、03年7〜9月期か ら9四半期も続いているが、中国人民銀行で は10〜12月のGDP成長率を8.9%、06年1〜6 月は8.7%にそれぞれ低下すると予想してい る。それでも固定資産投資の拡大ピッチを 鈍化させることは避けられないとの見方は 根強い。いざとなると、市場原理ではなく、
政府の腕力に頼らざるを得ないところが中 国の不動産市場の実情のようだ。
●1962年東京生まれ、85年早稲田大学商学部卒業後、
秀和、オリックス、シンクタンク等を経て不動産金融アナ リストとして独立。1999年に井出不動産金融研究所を設 立し、主に不動産会社や金融機関向けの証券化コンサ ルティングや実務者向けの不動産証券化スクールの運 営、不動産金融レポート発行等による情報提供を手がけ ている。主な著書として、『「証券化」がよく分かる』(文春新 書)『REITのしくみ』『証券化のしくみ』(以上日本実業出版 社)『不動産金融ビジネスのしくみ』『不動産は金融ビジネ スだ』(以上フォレスト出版)等がある。『井出保夫の不動産 証 券 化スクール』を随 時 開 校 中。 h t t p : / / w w w . h i -ho.ne.jp/idex/
いで・やすお
事務局紹介
(平成17年12月1日現在)専務理事
巻島 一郎
理事長の補佐 協会の統括
事務局長
市井 達夫
事務局の統括
総務部長
苦情相談室長
山口 真紀子
総務統括、総会、理事会、
運営委員会、企画委員会、
規律委員会
会員が組成・運用または 販売する商品※に関する 業 務 へ の 投 資 家からの 苦情相談
総務部 主任
小泉 祐子
経理・労務担当 書籍販売担当
総務部 事務スタッフ
戸塚 雪絵
庶務担当 ARES Library担当
広報部長 教育推進部長
深津 明
広報部統括 教育推進部統括
広報部 広報課長
七沢 律子
『ARES』、広報委員会、
市場動向委員会、実務 研修会、シンポジウム
事務局次長 業務部長
青柳 宏一
ビークル検討委員会・
制度委員会・税務会計 委 員 会 の 事 務 局 統 括 、 法制度・税制全般に関 する行政折衝
業務部 部長代理
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ビークル検討委員会・
制度委員会(主担当)
業務部 主任調査役
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ビークル検討委員会・
税務会計委員会
業務部 主任調査役
廣田 康幸
税務会計委員会
(主担当)
業務部 主任調査役
阿部 紀幸
ビークル検討委員会・
制度委員会
業務部 主任調査役
橋谷 聡一
税務会計委員会
事務局次長 調査研究部長
武智 荘祐
調査研究部統括、国交 省市場動向検討委員会、
市場動向委員会の統括
調査研究部 上席主任研究員
水登 朱美
機関投資家を主とした 研究会運営、調査・研究
調査研究部 主任研究員
高室 典仁
市場整備委員会主管、
調査・研究
調査研究部 主任研究員
石川 尋夫
J-REITプロパティデ ータ運営、調査・研 究
調査研究部 主任研究員
澤田 考士
J-REIT View運営、
調査・研究
教育推進部 調査役
神 淳子
教育資格制度
※「商品」とは以下のものである
(1)不動産特定共同事業法に基づく商品
(2)不動産を直接の裏付け資産とする資産流動化 型商品(「資産の流動化に関する法律」に基づく 商品、信託受益権を裏付け資産とする匿名組 合方式をとる商品および有限会社等の方式を とる商品)
(3)不動産を直接の運用対象とする資産運用型商 品(「投資信託及び投資法人に関する法律」に基 づく商品に限る)
会員名称変更のお知らせ
<正会員>
(平成17年10月1日付)
新名称:三菱UFJ信託銀行株式会社 旧名称:三菱信託銀行株式会社 旧名称:UFJ信託銀行株式会社
<賛助会員>
(平成17年10月1日付)
新名称:三菱UFJ不動産販売株式会社 旧名称:三菱信不動産販売株式会社
当協会の指定代表者が交代となりました。新代表者は次のとおりです。
協会代表者交代
(敬称略)<正会員>
●ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント株式会社
(平成17年10月3日付)
就任:代表取締役社長 荒畑 和彦
<賛助会員>
●野村アセットマネジメント株式会社
(平成17年4月1日付)
就任:執行役社長 柴田 拓美
●UBS証券会社
(平成17年9月1日付)
就任:在日代表社長 大森 進
●アルファ・トラスト・リアルティ・アドバイザーズ株式会社
(平成17年11月1日付)
就任:代表取締役 橋本 孝
企画委員会
●第14回(正副委員長会議)/平成17年11月15日 当日の検討事項は下記のとおり。1.賛助会員の入会審査について
2.第二期中期事業計画(平成18年度〜平成20年度)素 案について
3.個人情報保護体制の整備について 主な報告事項は以下のとおり。
1.金融審議会並びに国土交通省所管の審議会の状況報 告について
2.その他
※なお、下記のとおり委員の交代があった。
委員の交代(順不同、敬称略)
●住友不動産(株)
新:宅 泰雄 都市管理事業本部 ビル管理部長
(平成17年12月1日現在)
前:佐藤 達也 企画部課長代理
●中央三井信託銀行(株)
新:中根 茂 不動産業務部長 前:角谷 歩 不動産第一営業部長
●三菱地所(株)
新:長沼 文六 資産開発企画部副長
前:荒畑 和彦 ジャパン リアルエステイト アセット マネジメント(株)代表取締役社長