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仕組みの完成度を高めるために、顕在化した問題点を修正、手直し、是正し、問題が発生 しないように予防する「不適合への対応」を行います。

この時点で考えられる不適合には、大きく分けて2つあります。

一つは、前記の内部監査や OJT 教育の際に発見された、仕組みや実行状況に関する不適合 です。これらについては、必要な手順に従って、適切に対処して下さい。

もう一つは、本業や日常の実務において不適合サービスが発生した場合に、ISO の仕組み として決めた対応を行うことです。正式な運用が始まってから、例えば延着や誤配などの不 適合サービス又は不適合な事態が発生した場合、定められた手順に従って処理を行い、必要 な記録を作成します。

これは PDCA の「A 改善」が実施できること、さらには PDCA のサイクルを回すことができ ることの証明でもあります。自社業務における不適合とは何かをよく理解し、積極的に再発 防止(是正処置)や未然防止(予防処置)に取組んで下さい。

(1)該当する規格のポイント

不適合の対応に関連する規格の要求事項を簡単に解説しますので、参考にして下さい。

<ポイント>

運送業にとってこの要求事項がやっかいなのは、“不適合製品”という言葉に「不適合なサ ービス」と「不適合な状態になってしまった貨物」の両方で考えなければならないことです。

このポイントさえおさえれば、特に難しい内容ではありませんが、“特別採用”は、なじみに 8.3 不適合製品の管理

組織は、製品要求事項に適合しない製品が誤って使用されたり、又は引き渡されることを防 ぐために、それらを識別し、管理することを確実にしなければならない。不適合製品の処理 に関する管理及びそれに関連する責任及び権限を規定するために、“文書化された手順”を 確立しなければならない。

該当する場合には、組織は、次の一つ又はそれ以上の方法で、不適合製品を処理しなければ ならない。

a)検出された不適合を除去するための処置をとる。

b)当該の権限を持つ者、及び該当する場合に顧客が、特別採用によって、その使用、

リリース、又は合格と判定することを正式に許可する。

c)本来の意図された使用又は適用ができないような処置をとる。

d)引渡し後又は使用開始後に不適合製品が検出された場合には、その不適合による 影響又は起こり得る影響に対して適切な処置をとる。

注記 “c)本来の意図された使用又は適用ができないような処置をとる”とは“廃棄 すること”を含む。

不適合製品に修正を施した場合には、要求事項への適合を実証するための再検証を行わなけ ればならない。

不適合の性質の記録、及び不適合に対してとられた特別採用を含む処置の記録を維持しなけ ればならない(4.2.4 参照)。

( JIS Q 9001: 2008 )

くい表現かもしれません。

“特別採用”は、サービスや貨物の状態が、必要とされる要求事項に適合していなくても、

使用したり次のプロセスへ引き渡したりすることを特別に認めることをいいます。例えば、

梱包の外側を傷つけてしまったが、中の製品については問題がなかったので、お客様の了解 の上で、とりあえず引き渡しをしたというような場合が考えられます。当然、いつの間にか ではなく、関係者間の了解に基づいた意識的な実施でなければなりません。

<ポイント>

規格では、“是正処置”を「検出された不適合又はその他の検出された望ましくない状況の 原因を除去するための処置」(JIS Q 9000:2006)と定義しています。ここで記述されている

「原因の除去」は、ISO が役に立つ仕組みとなるかどうかに、大きな影響を与える要因と考 えられます。

ただし、この課題は、ISO を続けていく上での長いテーマになりますので、構築の段階で は、まずできる内容、実行可能な方法から進めていきましょう。

<根本原因の追究ついて>

「原因の除去」をするためには、不適合の原因をつきとめること、つまり「根本原因の 追究」をしなければなりません。原因の追究には、品質管理の手法に代表される多くの方 法がありますので、必要に応じてこれらを活用します。

簡単で効果的な方法に、「なぜ」を繰り返すやり方があります。例えば、貨物を損傷させ てしまったような場合、まず、「なぜ、貨物を損傷させたのか」を考えます。その原因が「貨 物をていねいに扱わなかったから」と分析された場合、ここで「なぜ」をやめてしまうと、

対策は「貨物をていねいに扱うこと」という漠然としたものになります。そこで、「なぜ、

貨物をていねいに扱えなかった」と「なぜ」を繰り返すことによって、例えば固定器具、

梱包資材、作業方法など具体的な原因が出てきます。原因を除去するための処置が、曖昧 な目標ではなく、具体性のある実施となるまで、「なぜ」を繰り返すことがポイントになり ます。

8.5 改善 8.5.2 是正処置

組織は、再発防止のため、不適合の原因を除去する処置をとらなければならない。是正処置 は、検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。

次の事項に関する要求事項を規定するために、“文書化された手順”を確立しなければなら ない。

a)不適合( 顧客からの苦情を含む。)の内容確認 b)不適合の原因の特定

c)不適合の再発防止を確実にするための処置の必要性の評価 d)必要な処置の決定及び実施

e)とった処置の結果の記録( 4.2.4 参照 ) f)とった是正処置の有効性のレビュー

注記 f)における“とった是正処置”とは a)~e)のことである。

( JIS Q 9001: 2008 )

<ポイント>

規格では、“予防処置”を「起こり得る不適合又はその他の望ましくない起こり得る状況の 原因を除去するための処置」(JIS Q 9000:2006)と定義していますので、基本的な考え方は、

是正処置と同じです。

その差は、「起こり得る」ですが、何を基軸にするかによって決まります。例えば、ある事 業所で発生した好ましくないこと、起きて欲しくないことを、他の事業所でも起きないよう にすることは「予防」のための処置と考えることができます。また、新聞、ニュース、業界 情報などにより入手した情報により、他社で発生した不適合が、自社では起きないようにす る活動も予防処置です。

発生してしまった不適合の再発を防止する“是正処置”と比較すると、“予防処置”は少し 進んだ仕組みですが、『予防』という考え方は、トラック運送業において極めて重要な要因と 考えられます。「ヒヤリ・ハット」など未然に事故を防ぐための対策とあわせて、積極的に取 組むと良いでしょう。

8.5.3 予防処置

組織は、起こり得る不適合が発生することを防止するために、その原因を除去する処置を 決めなければならない。予防処置は、起こり得る問題の影響に応じたものでなければならな い。

次の事項に関する要求事項を規定するために、“文書化された手順”を確立しなければならな い。

a)起こり得る不適合及びその原因の特定

b)不適合の発生を予防するための処置の必要性の評価 c)必要な処置の決定及び実施

d)とった処置の結果の記録(4.2.4 参照)

e)とった予防処置の有効性のレビュー

注記 e) における“とった予防処置”とは a)~d)のことである。

( JIS Q 9001: 2008 )