34 不納欠損
(1)不納欠損とは
地方自治体の歳入は、財務会計上、調定によって債権が確定し、納期限を指定した納入通知書 を送付するなどの方法で徴収されるが、何らかの事情によって年度内に収入されなかった場合は 収入未済額として翌年度に繰り越され、以後納入されるまでは毎年度、滞納繰越収入未済額とし て管理される。
不納欠損処分は、この収入未済額から将来にわたって納入されない債権額を除去するための決 算上の処理である。
不納欠損処分が許される条件としては、通常次のような場合がある。ただし、下記のような場 合に加え、保証人から納付を受ける可能性も検討し、納付を受ける可能性がない場合のみ不納欠 損処分を行うこと。
【行政実例 昭27.6.12 地自行発161行政課長回答】
不納欠損とは、既に調定された歳入が徴収し得なくなったことを表示する決算上の取扱いをいう。
① 消滅時効の完成
時効の援用を要しない公債権は当該消滅時効が完成したとき、また、私債権は、当該消滅時効 が完成し、かつ、債務者がその援用をしたとき。
※ 本マニュアル【16】又は【29】参照。
② 債権の放棄
地方自治法第96条第1項第10号の規定による議会の議決によって権利の放棄がなされた債権。
※ 本マニュアル【33】参照。
③ 債権の免除
地方自治法第240条に基づく同法施行令第171条の7(債務者が長期にわたり無資力の場合な ど)及び個別条例の定めによって免除された債権
※ 本マニュアル【9】参照。
④ 徴収権の消滅
地方自治法第231条の3第3項の規定による地方税の滞納処分の例によって強制徴収ができる 債権及び道路法、河川法等特別法に基づく債権で、地方税法又は国税徴収法に定める事由により その徴収権が消滅した債権(参考:地方税法第15条の7、国税徴収法第153条)
⑤ 債権の消滅
■33債権放棄(私債権)
③ 時効期間の完成
既に民法及び商法等に定める消滅時効の期間が経過しているもの
④ 援用の見込み
徴収努力の状況を踏まえ、実質的に回収不能であり、債務者が債務を履行しない(債務者が時 効の完成を主張して援用をすると見込まれる)と考えられるもの
⑤ 債務者から援用の確認が得られない
行方不明など特段の事情等により援用の確認を得ることができないもの
※ 債務者等が行方不明、会社倒産等により実体が存在せずに登記上のみ存続している法人など、
その他特段の事情等により、事実上援用の確認ができないもの。
ただし、保証人から納付を受ける可能性がある場合は、放棄できない。放棄できるのは、保 証人も放棄の要件を満たしている場合だけである。また、債務者が支払猶予を求めている場合 で、それが時効の放棄若しくは時効援用権の喪失に当たるときは、適用対象外である。
【債務者の行方不明等の判断の着眼点】
●法人のとき。
・ 商業登記簿謄本を照会し、商業登記簿謄本の所在地・代表者の住所地の現地調査において 不明
●法人でないとき。
・ 住民票・戸籍謄本・外国人登録原票を照会し、住所地の現地調査において不明
・ 債務者の死亡(相続人があることが明らかでないとき。)
高 知 県 公 報号外第28号成28年6月7日(火曜日) 153153
■34不納欠損
一 滞納処分を執行することができる財産がないとき。
二 滞納処分を執行することによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
三 その所在及び滞納処分を執行することができる財産がともに不明であるとき。
2 税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
3 税務署長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る国税について 差し押えた財産があるときは、その差押を解除しなければならない。
4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した国税を納付する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、
消滅する。
5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その国税が限定承認に係るものであるとき、
その他その国税を徴収することができないことが明らかであるときは、税務署長は、前項の規定にかかわらず、その国税 を納付する義務を直ちに消滅させることができる。
【高知県財産規則第158条】(不納欠損)
債権管理者は、その所掌に属する歳入金債権について、次の各号に掲げるいずれかの事由に該当することとなった場 合においては、不納欠損として処理しなければならない。
(1) 法令の規定により免除されたとき。
(2) 消滅時効が完成し、かつ、債務者がその援用をしたとき(法律の規定により債務者の援用を待たずに消滅する債 権にあっては、その消滅時効が完成したとき。)。
(3) 国税又は地方税の滞納処分の例により徴収できる債権で、滞納処分の執行を停止した後3年を経過したことに より消滅したとき。
(4) 解除条件が付されている債権について、当該解除条件が成就したとき。
(5) 債務者が死亡し、相続人が相続の放棄をした場合又は相続人が不存在である場合のいずれかに該当する場合 であって、死亡時において債務者が無資力で担保(保証人を含む。)も存在せず、かつ、第三者が債務引受けも行っ ていないとき。
(6) 前条第1項の規定により債権が消滅したものとみなして処理をしたとき。
【高知県財産規則第157条】(債権を消滅したものとみなして整理する場合)
債権管理者は、その所掌に属する債権について、次に掲げる理由が生じたときは、そのことの経過を明らかにした書類 を作成し、当該債権の全部又は一部が消滅したものとみなして整理するものとする。
(1) 債務者である法人が清算を結了したとき(当該法人の債務につき弁済の責めに任ずべき他の者があり、その者につ いて次号及び第3号に掲げる理由がない場合を除く。)。
(2) 債務者が死亡し、その債務について限定承認があった場合において、その相続財産の価額が強制執行をした場合 の費用並びに他の優先して弁済を受ける債権及び県以外の者の権利の金額の合計額を超えないと見込まれるとき。
(3) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項、会社更生法(平成14年法律第154号)第204条第1 項その他法令の規定により債務者が当該債権につきその責めを免かれたとき。
(4) 当該債権の存在につき法律上の争いがある場合において、知事が勝訴の見込みがないものと決定したとき。
2 前項の規定により消滅したものとみなして整理した債権は、当該債権の消滅時期まで、別記第30号様式によるみ
なす消滅債権整理簿を備えて、記録しなければならない。
(2)不納欠損の手続き
不納欠損の処分を行う場合は、不納欠損処分調書(財産規則 別記第31号様式)に、歳入金 債権整理票又は不納欠損に至るまでの経過を明らかにした書類を添付して整理するとともに、歳 入金債権管理簿(歳入金債権整理票が作成されているときは、これを含む。)にその旨を表示しな
■34不納欠損
個別法の規定により消滅した債権。例えば、会社の清算終了(破産法)や相続における限定承 認(民法)のように、徴収できないことが明らかである場合は直ちに納入義務を消滅させること ができる。
関 係 法 令 等
【地方自治法第240条】(債権)
この章において「債権」とは、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利をいう。
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3 普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その徴収停止、履行期限の延長又は当該債 権に係る債務の免除をすることができる。
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【地方自治法施行令第171条の7】(免除)
普通地方公共団体の長は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は 処分をした債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に 履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態に あり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該債権及びこれに係る損害賠償金等を免除する ことができる。
【地方自治法第231条の3】(督促、滞納処分等)
3 普通地方公共団体の長は、分担金、加入金、過料又は法律で定める使用料その他の普通地方公共団体の歳入 につき第一項の規定による督促を受けた者が同項の規定により指定された期限までにその納付すべき金額を納付しな いときは、当該歳入並びに当該歳入に係る前項の手数料及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分 することができる。この場合におけるこれらの徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
【地方税法第15条の7】(滞納処分の停止の要件等)
地方団体の長は、滞納者につき次の各号の一に該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止すること ができる。
一 滞納処分をすることができる財産がないとき。
二 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
三 その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき。
2 地方団体の長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならな い。
3 地方団体の長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る地方団 体の徴収金について差し押えた財産があるときは、その差押を解除しなければならない。
4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務は、その執行の 停止が三年間継続したときは、消滅する。
5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その地方団体の徴収金が限定承認に係る ものであるときその他その地方団体の徴収金を徴収することができないことが明らかであるときは、地方団体の長は、前 項の規定にかかわらず、その地方団体の徴収金を納付し、又は納入する義務を直ちに消滅させることができる。
【国税徴収法第153条】(滞納処分の停止の要件等)
税務署長は、滞納者につき次の各号の一に該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することがで きる。