2734.06 [ore igeba]
5462.29[ikuto:](「ホカノモノガイクトチョッ トハナシガコワレソーナトキニ…」のように「イ クト」は出るが,問いに対する答はイキャーであ
る。)
調査文は前件の主語が二人称の場合を求めているが,
2734.06の[ore]は一人称であると見られる。また,
5462.29の[ikuto:]は,調査者の注記によると,主語 が三人称の文脈で用いられるようなので,不採用とした。
この地点では併用で回答されている[ikja:]を採用し ている。
次に,全体の解説(4.1.1.)でも述べたように,明らか に逆接の条件表現形式であると見られるものは不採用と
した。
「行っても」類 0840.33[ittemo]
1739.28[ittemone]
1835.20[ittemo]
3747.91[皇ttemo]
4598.07[ittemo]
5595.89[イッテモ]
5605.57[ittemo]
5660.50[イッテモ]
5673.18[ittemo]
6366.25[イッテモ]
6485,49[イテモ]
6513,24[ittemo]
6530.01[itemo]
6566.73[ittemo](P)
6595.01[itemo]
7324.56 [it∫eNga]
7349.91[it:emo]
7401.80[it:emo]
〃 [itemo]
7504.08[ittemo]
0294.66[?id3imutu]
このうち0294.66の[?id3imutu]は,「行っても」に相 当すると思われるが,[tu]の部分に不明な点が残る。
あるいは「行っても」にあたる[?id3itimu]や,「行く と」にあたる[?it∫umutu]などの語形と,何らかの原 因で紛れた可能性もあるかもしれない。
「行ったって」類など
1739.28 [ittattene:]
1743.81 [iQtate]
1801.80 [ittatte]
3609.46 [eQtate]
3688.82 [ftatte]
3746.76 [皇ttatte]
3765.93 [¢ttatte]
3767.18 [itta:te]
3781.21 [ittatte]
3792.49 [etatte]
5471.49 [ekitatete]
5577.88[イッタッチ]
5660.50[イッタッチ]
5780.84[ettatte]〈「行くと」は不自然>
6412.22 [fkftatete]
6437.94 [ittate]
6416.22 [it:at:e]
6573.79 [itat:e](P)
6623.54[ittattemo]
7238.82 [itat:ea:]
7238.98 [itat:〜a:]
7258.64 [itat:∫a:]
7266.14 [itatt∫i]
7323.74 [ittat〜i]
7366.87 [itat∫i]
7373.99 [itattya〕
7382.77 [ita:tetja]
7392.76 [itatetya]
7401.80 [it:at:e]
7403.40 [itatete]
7416.34[itatte]〈ittaraの意>
7420.76 [it:ate]
7460.22 [it:at∫i]
7504.08 [ittatte]
8362.31 [itat∫u]
5780.84の回答には〈「行くと」は不自然〉という回答者 による注記がある。調査文に沿った順接の形での回答が 困難であったために逆接の形が回答された,と見られる が,不採用とした。7416.34の回答には〈ittaraの意〉
という回答者による注記がある。意味的には順接に相当 する旨の注記であるが,形の上から逆接にあたると見て 不採用とした。ただし,171図「行ったって」の同地点
一145一
の回答は[ittemo]であることには留意が必要かもしれ
ない。
この169図には逆接の仮定表現形式の回答が多く見ら れる。これは調査時に,171・172図の「お前が行ったっ てだめだ」に続いて,この169図の「お前が行くとその 話はだめになりそうだ」を質問した,という調査時の質 問状況が関わっているものと考えられる。この二つの質 問文は,ほぼ同じ「お前が行く」という前件と「だめだ,
だめになりそうだ」という後件を,一方は逆接の関係で 結び付け,一方は順接の関係で結び付けるように求めて いる。このために,一部の話者に混乱が生じたという事 情が考えられる。上記のような注記はこのような事情を 反映したものであろう。
全体の解説(4.1.1.)に述べたとおり,上位待遇表現形 式を含む次の回答は不採用とした。
5548.55[ikareruto]〈ややていねい〉
また,次の回答も意味的にややずれると判断して不採 用とした。
6418.54 [ittari〜itara]
次に語形の統合上の問題点について述べる。まず,表 記に関して次のような回答があった。
6359.61 [itl:a:]
これは[ittla:]に統合して採用した。
次の地点では[k]の扱いが問題となる。
0246.88 [?ikba]
統合規則に従えば,この語形は表記レベルで[?ibba]
と統合されることになる(第2集解説書7ページ右)。し かし,すでに第3集128図「書けば」の解説(第3集解説 書112ページ右)で述べたように,この地点では,形態素 面で単独子音[k]と他の単独子音のとの間に対立のあ
る可能性がある。そこで3集での扱いと同じく,表記レ ベルの統合を行わず,〈?ikba>として見出しに立てた。
次の回答は,無声化母音の無表記と見られるので,母 音[u]を復活させて,〈ekuto>として採用した。
5679.69 [ekto]
5731.34 [ekto]
5732,77 [ekto]
5751.78 [ekto]
音声レベルの統合の上では次のような問題があった。
次の回答に現れる[tja]はくtja>として見出しに立
てた。
6368.60 [ittja:]
6377.11 [ittja:]
6411.31 [lkftja]
6421.57 [fkftj a二]
6431.51 [ittja=]
回答地点は島根,熊本であるが,先行研究によると,そ の隣接地の岡山,山口で,/tja/と/cja/の間に音韻的対 立がある(『日本方言大辞典』「音韻総覧」など)。そこで
[tja]に対して見出しくtja>を立てた。他の音節(例え ば[tla]など)と統合することはしなかった。 〈tja>は,
第1集解説書31ページ左の見出し表記の一覧の中には立 てられていないが,第2集解説書72ページ表5−3ですで に立てられている。
次の地点では[tle]の扱いが問題になる。
1231,72 [?it〜e:]
これまでの音声の統合規則では,[tle]は[te]とと もに〈te>に統合することになっている(第2集解説書 8ページ左)。これは,[te]と[tle]の間に音韻論的対 立がないと見たためである。しかしこの地点(沖縄県国 頭郡伊江村字東江前)を含む伊江島方言では,[te]と
[tle](および[tse])との間に音韻論的対立があるとさ れている(生恥睦子(1970)「琉球伊江島方言の実態」『方 言研究の問題点』(明治書院)など)。そこで,この地点の 回答については,[tle]を〈te>にまとめず,〈cje>と いう別の見出し表記をすることとした。上記の語形の見 出しはくicjee>となる。
次に参考話者について述べる。参考話者の回答として 採用したのは次の回答である。
5612.62(話者より老齢の人は[ikutosaipa▼](ゆ)
を使うと言う。)
5662.78 [ikeba]
6629.13 [iguto]
5612.62の調査者による注記内の語形は,「その土地で,
自分より上の世代の者が使うと話者が指摘した語形」に 該当する。5662.78の同席者は,主たる話者と同じ字出
身の1901年生の男性,外住歴は27歳以降計3年であって,
参考話者としての条件を満たしている。6629.13の同席 者は第1調査票の話者である。
次の回答は参考話者の回答として採用しなかった。
3772.61 [igudoro]
6398.07 [ittla:]
6437.94 [ittafa]
いずれも同席者は話者の妻である。ただし6398.07では
一146一
話者が同じ語形を回答している。6437.94でも話者が類 似の語形[ittara]を回答している。
最後に採用した語形について説明を加える。
次のような,二丁助詞と見られるものを含む回答があ ったが,特に他の回答と区別せずにそのまま採用した。
5568.14[イッテワナー]
7350.54 [ikugitau]
記号化においても,他の回答と同列に扱っている。
意味的・文法的に適合するかどうか迷ったものに,次 の回答があった。
1271.05 [?ikint∫i nainja]
全体で,「行くとうまくいくか」または「行くとうまく 行くね」のような意味になると思われる。調査文は「お 前が行くとその話はだめになりそうだ」なので,後者の 場合は後件が調査文に適合しない。しかし前者の場合は,
反語表現としてなら,調査文の後件の内容を「否定的な 観測」のよテに広く取れば,採用の範囲に収まると見る ことができる。このように考えた上で,[?ikintli]の部 分を採用することにした。
次の回答には文脈についての注記がある。
0247.31[?ikjabaja]〈仮定的〉(あとにnu:ka ka ta:ti k urfriなどつづけると自然)
()内に示された表現は「何か語ってこわれる」という 意味である。調査文の後件の「その話はだめになりそう だ」と逐語的には対応していないが,内容の上で大きく 逸脱してはいないと見て,[?ikjabaja]は採用した。
次の地点における[u]の現れ方は,従来の報告と異 なるものである。
8361.42 [iτ〕eba]
この地点(鹿児島県枕崎市旭町)は共通語の語中の[g]
に対応して[o]が現れる地域に含まれる。しかし,こ の回答では共通語の[k]に対応して[0]が現れてお り,このような対応は従来報告されていない。「行く」
という動詞が語彙的に「イグ」という形を取る地域もあ るが,それは主に関東・東北地方である。このような問 題点があるが,他の地図での扱いと同様に,報告の形の
まま採用してある。(第2集解説書20ページ参照)
〔語形の記号化〕
語形の記号化の方法については,「4.1.条件表現の概 要と記号化」の中の「4.1.2.語形の記号化」で述べた。
170図 行ったら
〔語形の採用と統合〕
順接の確定条件表現のうち,前件で表される既定の事 態が実現したことに伴って,後件の事態の存在に気付い たことを表す,共通語の「たら」に対応する部分を含む 形式を見ようとした地図である。調査では,「そこに行 ったらもう会は終わっていた。」という共通語文を提示 し,「行ったら」にあたる方言形を求めた。
本土では,「タキャ」「タバ」の優勢な東北北部を除い て,「タラ」が広く分布している。その中で,東北南部 や九州には「タレバ」およびそれに類する形が見られ,
中央語における偶然確定条件表現形式の推移との対応の 上から注目される。琉球では,「トゥ」「クトゥ」「ティ カー」「ケンヤー」などの類がそれぞれ固有の分布領域 を持って分布している。
語形の採用にあたって,全体の解説(4.1.1.)にも述べ たように,明らかに逆接の形式であると見られるものは 不採用とした。これにより不採用としたのは次の回答で
ある。
1739.28 [itta隊edo]
〃 [ittakedomo]
2608.90[iQtemo]
4710.55[皇tt¢nodag皇ndomo]
5579.12 [ittakedo]
5660.50[イッタケド]
5670.47[ittattemo]
7311.28[イッタバッテン](P)
7344.26[イッタケンド]
7416.34 [itakendo]
7441.02 [itakendo]
〃 [itanuakendo]
次の回答は「行く」にあたる部分について,意味のず れが大きいので不採用とした。
1801.80 [lu£seki∫itara]
語形の統合に関して,次のような扱いをした。
2076.98 [paruOke;〕ja:]
この回答に現れた[oja]を,〈Nja>という見出しに統 合した。琉球方言に[oja]というモーラが知られてい ないため,[o]を三音として扱ったものである。
参考話者については,次の回答を参考話者の回答とし て採用した。
6531.61 [itara]