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【目的】辺縁に局在する小肝細胞癌に対しては、ドレナージ領域を含めた肝部分切除を標準術式としている。

さらに 症例によっては、整容性と低侵襲性を目的として、腹腔鏡下肝部分切除を積極的に応用してきた。現 在までの肝細胞癌に対する腹腔鏡下肝切除の治療成績につい て報告する。【対象】1997年から2013年7月ま でに腹腔鏡下肝切除を施行した149例のうち、肝細胞癌73例を対象とした。対照群は、同期間(先進 医療導 入以前)のS2, S3, S4, S5, S6に局在する腫瘍径3cm以下の単発小肝癌に対する開腹肝切除27例とした。【結果】

年齢(中央値)70歳(37-86)、腫瘍径 22mm(10-90)の症例に対して、術式は小開腹併用34例、用手補助3例、完 全腹腔鏡下36例(単孔式9例を含む)であった。術中出血量(中央値) は、開腹群で450mLであったのに対し、

小開腹併用で 380mL,完全腹腔鏡下で 10mL であった。手術時間は 185 分に対し、205 分と 237 分で あった。

いずれの群も、術後出血、胆汁漏は認めていなかった。次に、初発/単発でかつ3cm以下の肝細胞癌に対す る治療成績では、完全腹腔鏡下 18 例、小 開腹併用 10 例、開腹肝切除 27 例の 3 年無再発生存率はそれぞれ 93%、60%、62%であった(観察期間中央値2.7年、p=0.1950)。【結論】 現時点では、各術式間で、出血・手術 時間・治療成績における差はなかった。肝細胞癌に対する治療成績については、今後の長期間の検討が必要 となる。

大阪大学 外科学講座 消化器外科学

小林省吾、和田浩志、濱 直樹、富丸慶人、川本弘一、江口英利、梅下浩司、土岐祐一郎、森 正樹、

永野浩昭

教室における肝細胞癌に対する腹腔鏡下肝切除

1-5

一般演題〈Session1〉

39

【はじめに】腹腔鏡下肝切除は,手術時拡大視効果という点で有用であるが,一方で視覚的,手技的にも制限 された 状態での操作となる.現在まで,当科では完全腹腔鏡下肝前区域切除を5例経験し,手術時間は中央 値で 552 分(432 ~ 628 分),出血量 222ml(43 ~ 370ml) であった.肝前区域は門脈・静脈の支配領域の variationも多く,術前シミュレーションを活用することで,より安全 性・根治性が向上できると考えられる.

腹腔鏡下肝前区域切除を安全に施行し得た 1 例を提示する.【症例】70 台,男性.TAE 施行歴あり.肝細胞 癌 (S5/8,単発)の診断で,腹腔鏡下肝前区域切除術を施行.術前 3D シミュレーションにおいて前区域 Glissonの支配領域を確認.腫瘍は支配領域よ り内側に突出した状態であった.手術時,前区域Glisson処理 でのdemarcation lineは術前シミュレーションと同様であり,Surgical Marginも問題なく安全に切除し得た.

手術時間: 432min,出血量: 370ml.術後特に合併症無く経過し退院となった.【まとめ】術前シミュレーショ ンにより潅流領域を術前に視認することが特に完全腹腔鏡下肝前区域切除 において重要であると思われた.

岩手医科大学医学部 外科学

板橋英教、高原武志、長谷川 康、石橋正久、眞壁健二、武田大樹、片桐弘勝、菅野将史、藤田倫寛、

新田浩幸、若林 剛

当科における完全腹腔鏡下肝前区域切除の経験

2-2

【背景】今日, 胆嚢摘出術から始まった内視鏡手術は適応を拡大しながら爆発的に普及してきた. しかし胆道 癌手術への内視鏡手術の導入は反対意見が圧倒的であり, いまだ開腹手術に遠く及ばないのが現状である.【目 的】当院における胆道癌に対する肝切除を伴う内視鏡手術の手術手技をビデオにて供覧する【対象】対象疾 患は肝門部胆管癌, 胆嚢癌, 肝内胆管癌. 術式は胆嚢床切除(肝外胆管切除例も含め), 拡大肝葉切除(肝外胆 管切除例も含め), 肝・膵同時切除.【手術手技】上十二指腸動静脈を処理し十二指腸球部を尾側に十分に授動, さらにコッカーの授動を行い, No.13, 8を郭清し膵上縁あるいは膵内で胆管を切除. 肝十二指腸間膜のスケル トナイゼーションを肝門部まで行い, 胆嚢床切除では総肝管で切離し胆嚢床を切除する. 拡大肝葉切除では肝 動脈・門脈を個別に処理してから肝葉を脱転し尾状葉を下大静脈から授動してから肝切除を開始し最後に胆 管を切離する. 【結果】手術時間は開腹手術より長いが, 出血量は少なく, 症例を厳選しているため肝門部胆管 癌を含めR0であった.【考察】胆道癌であっても比較的早期の症例を厳選すれば, R0手術は技術的に可能で あった. しかし胆道癌は正確な術前診断が困難であり, 当然慎重な対応が望まれる.

千葉県がんセンター 消化器外科

趙 明浩、山本 宏、貝沼 修、武藤頼彦、柳橋浩男

肝切除を要する胆道癌への内視鏡手術の応用

2-1

一般演題〈Session2〉

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【目的】辺縁に局在する小肝細胞癌に対しては、ドレナージ領域を含めた肝部分切除を標準術式としている。

さらに 症例によっては、整容性と低侵襲性を目的として、腹腔鏡下肝部分切除を積極的に応用してきた。現 在までの肝細胞癌に対する腹腔鏡下肝切除の治療成績につい て報告する。【対象】1997年から2013年7月ま でに腹腔鏡下肝切除を施行した149例のうち、肝細胞癌73例を対象とした。対照群は、同期間(先進 医療導 入以前)のS2, S3, S4, S5, S6に局在する腫瘍径3cm以下の単発小肝癌に対する開腹肝切除27例とした。【結果】

年齢(中央値)70歳(37-86)、腫瘍径 22mm(10-90)の症例に対して、術式は小開腹併用34例、用手補助3例、完 全腹腔鏡下36例(単孔式9例を含む)であった。術中出血量(中央値) は、開腹群で450mLであったのに対し、

小開腹併用で 380mL,完全腹腔鏡下で 10mL であった。手術時間は 185 分に対し、205 分と 237 分で あった。

いずれの群も、術後出血、胆汁漏は認めていなかった。次に、初発/単発でかつ3cm以下の肝細胞癌に対す る治療成績では、完全腹腔鏡下 18 例、小 開腹併用 10 例、開腹肝切除 27 例の 3 年無再発生存率はそれぞれ 93%、60%、62%であった(観察期間中央値2.7年、p=0.1950)。【結論】 現時点では、各術式間で、出血・手術 時間・治療成績における差はなかった。肝細胞癌に対する治療成績については、今後の長期間の検討が必要 となる。

大阪大学 外科学講座 消化器外科学

小林省吾、和田浩志、濱 直樹、富丸慶人、川本弘一、江口英利、梅下浩司、土岐祐一郎、森 正樹、

永野浩昭

教室における肝細胞癌に対する腹腔鏡下肝切除

1-5

一般演題〈Session1〉

41 腹腔鏡下肝切除の普及は目覚ましいが脈管侵襲を伴った症例では手技的に困難である。当院では2010年6月 から 2013年6月までに173例の腹腔鏡下肝切除術を施行しており、Vp4門脈内腫瘍栓を伴う肝細胞癌に対し て腹腔鏡下肝切除を施行したので報告する。症例 1:55歳女性。HBV(+)。肝左葉のdiffuseな腫瘍と門脈左右 分岐部から前区域枝までの門脈腫瘍を認めた。完全腹腔鏡下肝左葉切除、門脈腫瘍栓 摘出を施行した。手術 時間14時間51分、出血量4800ml、術後在院日数は19日であった。症例2:68歳女性。HBV(+)。肝左葉に多 発する腫瘍 と門脈本幹から前区域枝までの腫瘍栓を認めた。腹腔鏡補助下肝左葉切除、門脈腫瘍栓摘出を施 行した。門脈腫瘍栓摘出は小切開下に施行した。手術時間 9 時間 15 分、出血量 1182ml、術後在院日数は 20 日であった。症例3:61歳女性。HBV(+)。門脈左枝から前区域枝までの腫瘍栓を認めた。肝切除先行 にて完 全腹腔鏡下肝左葉切除、門脈腫瘍栓摘出を施行した。手術時間 9 時間 52 分、出血量少量、術後在院日数は 9 日であった。門脈内腫瘍栓を伴う肝細胞癌 は、外科的切除のみで治癒させる事は出来ないが門脈圧亢進を回 避し残肝再発に対する治療を可能にする。腹腔鏡下肝切除は低侵襲性であり3症例ともに術後経 過は良好で あった。今後の検討が必要であるが、腹腔鏡下肝切除により早期に補助療法が可能になれば治療成績の向上 が期待されと考えられた。

関西労災病院 消化器外科

武田 裕、中平 伸、桂 宜輝、向井洋介、革島洋志、橋本直佳、糸瀬一陽、賀川義規、竹野 淳、

向坂英樹、谷口博一、加藤健志、萩原秀紀、田村茂行

Vp4門脈内腫瘍栓を伴う肝細胞癌に対する腹腔鏡下

2-5 肝切除

一般演題〈Session2〉

40

【目的】腹腔鏡下肝S2亜区域切除の手術手技・工夫を供覧し、問題点を検討する。【症例】83才男性。NBNC 肝硬変でChild A、肝障害度B、ICG 24%。S2(5cm)、S8ドーム下(2cm)にHCC。S2のHCCは突出しており 内科的治療の困難性、破裂の危険性から手術目的で紹介。肝機能より 腹腔鏡下 S2 亜区域切除を選択した。

【方法】砕石位、5 ポート。肝円索をエンドループで牽引。外側区域を脱転した後、術中エコーにて LHV、

V2、P2 と 腫瘍の関係、切離予定線と腫瘍のマージンを確認。Rex 窩を腹側頭側に牽引しつつ G2 を確認し、

エンドリトラクトミニ、2-0絹糸でコントロールの後、 Hem-o-lock x2。デマーケーションラインを確認し電気 メスでマーキング。S3 側に牽引のための支持糸をかけ、切離面が頭尾方向になるよう右側に牽引しながら CUSA、Biclamp、Harmonic で肝切離。途中、V2、P2 を Hem-o-lock にて切離。Pringle なし。肝切離の最終 局面では鉗子 を頭尾側におき残肝をハンギングし肝切離を完了した。手術時間6時間、出血量200ml。輸血 なし。【結論】肝S2亜区域切除は切離面の展開、維持がなか なか困難でさらなる工夫が必要である。

松山赤十字病院 外科

副島雄二、西崎 隆、本村貴志、間野洋平、西田康二郎、藤中良彦、中西良太、梶原勇一郎、越智友洋、

高橋郁雄

肝S2亜区域切除の手術手技の工夫と問題点

2-4

【目的】当科では 1999 年より、腹腔鏡下肝部分或いは外側区域切除を計 74 例行っている。今回、 Dolphin-tip LigaSureTMを用いたHalf-grip techniqueによる腹腔鏡下肝部分切除の1例を経験したので、報告する。【方 法】症例はC型肝硬変の、70代後半の男性で、肝S3の3 cmのHCCにて紹介となった。AFPは837 ng/mlと 高値を示し、Child-Pugh分類でclass A(6点)、ICGR15は19%であり、腹腔鏡下肝部分切除(臍上部、心窩 部、左季肋下、12 mm、3 ポート)を行なった。ドーム状に突出する腫瘍辺縁に約 5~7 mm の surgical marginをとり、肝表面から1 cm までは超音波凝固切開装置で、それより深部はDolphin-tip LigaSureTMを 用いた Half-grip technique (open jaw のまま肝実質にあて、activate して凝固しながら jaw を閉じていき、

ratchet後凝固組織をcutする方法)で対処し、手術時間は 172分、術中出血量50 mlと、安全に遂行できた。

【成績】術後合併症は認めず、術後第 8 病日に退院となった。【結論】腹腔鏡下肝切除のエネルギーデバイス は多岐にわたるが、一 般消化器外科に普及している、超音波凝固切開装置やLigaSureTMのみでも、症例を 選べば腹腔鏡下肝部分切除を安全に施行できると考えられた。

東京慈恵会医科大学附属病院 肝胆膵外科

島田淳一、遠山洋一、脇山茂樹、阿部恭平、春木孝一郎、熊谷 祐、奥井紀光、飯田智憲、柴 浩明、

二川康郎、石田祐一、矢永勝彦

Dolphin-tip LigaSureTMを用いたHalf-grip techniqueによる腹腔鏡下肝部分切除1例の経験

2-3

一般演題〈Session2〉

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