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【背景】肝悪性腫瘍の切除では前回肝切除や原発巣切除に伴う上腹部手術創を有す患者が多いため、腹腔鏡手 術を適 用する際に配慮を要す。【方法】手術適応と方法について以下を原則とした:①上腹部手術の既往の みを腹腔鏡下肝切除の禁忌とはしない、②高度癒着例では前 回皮切に沿った小開腹創から剥離を進めた後に プロテクターを装着して気腹操作に移行する、③腹腔鏡補助下手術では肝離断に前回手術創を利用する。癒 着剥離 と肝離断には超音波凝固切開装置とbipolar鉗子を用いた。【結果】腹腔鏡(補助)下肝切除21例のうち 8例が上腹部手術の既往を有した(手術歴あり 群)。手術歴あり群の1例は大腸ストマも有したが、完全鏡視下 に肝S6部分切除が施行できた。別の1例では正中の小切開で癒着剥離を行った後に気腹し、鏡視下に肝S2部 分切除を行った。残る6例では小開腹と鏡視下操作を併用して癒着剥離と肝授動を行った後に、正中(n=4)ま たはJ 字(n=2) 切開で開腹 し、肝部分切除 (n=2)、系統的亜区域切除(n=2)、後区域切除 (n=2)を行った。手術 歴あり群における肝離断までの手術時間[中央値(範囲)]は 113(85-151)分、総出血量は420(50-1270)mLであり、

手術歴なし群と同等であった[105(45-123)分, P=0.19; 550(95-1260)mL, P=0.94]。【結論】上腹部手術既往例に腹 腔鏡下肝切除を適用する際には、手術創を癒着剥離と腹腔鏡補助下手術における肝離断に活用することがで き る。

東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科

石沢武彰、長谷川 潔、山本訓史、清水篤志、河野義春、西岡裕次郎、國土貴嗣、宮田明典、冲永裕子、

市田晃彦、竹村信行、金子順一、青木 琢、阪本良弘、菅原寧彦、國土典宏

上腹部手術の既往のある患者に腹腔鏡下肝切除を 適用する際の工夫

10-5

一般演題〈Session10〉

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【目的】2 人法によるラパロ肝切除導入を報告する。【方法】ラパ胆経験者でラパロ下肝切除未経験者を対象 に、 50例以上経験の指導者とレジデントによるスコピストで手術チームを構成した。対象疾患は、原則転移 性肝癌でS7-8部切除例とした。ポートは腫瘍と臍部 カメラポートを軸にボックスタイプにワーキングポート を4本留置した。肝授動および腫瘍とのマージン設定後、これを囲むようなボックス状の切離線を術者お よ び助手ポートと同軸になるように設定しtriangle formationを保った。術者はVSSとバイポーラ鉗子、助手は 吸引鉗子とVIO等の止血鉗子を持ち、術者と指導者が交互に鉗子類を持ち替え、ともに Bihand methodで術 野展開と肝切離を行いながら脈管処理はクリップ、シーリングを適宜使い分けた。【結果】1.未経験者でも、

適応や使用機器の整理と開腹下 に準じた役割分担による2人法でラパロ肝切除導入可能であった。2.未経験 者でも可能であるがBihand method習得が要件と思われた。【結語】2人法によるラパロ肝切除導入は有用で ある。

愛媛大学 肝胆膵・乳腺外科

串畑史樹、髙井昭洋、羽田野雅英、竹林孝晃、水本哲也、泉 俊男、田村 圭、伊藤英太郎、佐藤 創、

影山詔一、井上 仁、渡邊常太、亀井義明、藤山泰二、高田泰次

2人法によるラパロ肝切除

11-2

【緒言】腹腔鏡下肝切除術は広く定着してきており,対象症例も部分切除から区域切除,葉切除といった major hepatectomyまで行われるようになってきた.当科でも2010年6月から腹腔鏡下肝切除術を導入、年 間数例といったlow volumeではあるが,部分切除から始め,最近では右葉・左葉切除についても完全鏡視下 で施行している.腹腔内の操作については諸家の報告どおりである が,標本の体外摘出には整容性に配慮し,

臍部zigzag切開から行っている.当科の手技・工夫について報告する.【手技】臍部に25mmのジグザグ切開 を置きカメラポートを挿入、基本的には 4 本の操作ポートで肝離断を進める.授動の後にグリソン一括処理 もしくは脈管個別処理にて demarcation line を確認,肝表面は超音波凝固切開装置,深部はキューサーで肝 離断をすすめ,出血についてはVIOのソフト凝固にて焼灼止血をしている.標本はバッ クに収納し臍部創か ら摘出する.Zigzag切開を縦に少し延長すれば肝右葉も充分に体外へのdeliveryが可能である.【結語】臍部 zigzag切 開創より臓器を摘出することで、高い整容性が得られた。

市立四日市病院 外科

鹿野敏雄、森 敏宏、坂田和規、末永泰人、倉田信彦、筒山将之、松村卓樹、江坂和大、寺本 仁

臍部zigzag切開を活用したmajor hepatectomy

11-1

一般演題〈Session11〉

62

【背景】肝悪性腫瘍の切除では前回肝切除や原発巣切除に伴う上腹部手術創を有す患者が多いため、腹腔鏡手 術を適 用する際に配慮を要す。【方法】手術適応と方法について以下を原則とした:①上腹部手術の既往の みを腹腔鏡下肝切除の禁忌とはしない、②高度癒着例では前 回皮切に沿った小開腹創から剥離を進めた後に プロテクターを装着して気腹操作に移行する、③腹腔鏡補助下手術では肝離断に前回手術創を利用する。癒 着剥離 と肝離断には超音波凝固切開装置とbipolar鉗子を用いた。【結果】腹腔鏡(補助)下肝切除21例のうち 8例が上腹部手術の既往を有した(手術歴あり 群)。手術歴あり群の1例は大腸ストマも有したが、完全鏡視下 に肝S6部分切除が施行できた。別の1例では正中の小切開で癒着剥離を行った後に気腹し、鏡視下に肝S2部 分切除を行った。残る6例では小開腹と鏡視下操作を併用して癒着剥離と肝授動を行った後に、正中(n=4)ま たはJ 字(n=2) 切開で開腹 し、肝部分切除 (n=2)、系統的亜区域切除(n=2)、後区域切除 (n=2)を行った。手術 歴あり群における肝離断までの手術時間[中央値(範囲)]は 113(85-151)分、総出血量は420(50-1270)mLであり、

手術歴なし群と同等であった[105(45-123)分, P=0.19; 550(95-1260)mL, P=0.94]。【結論】上腹部手術既往例に腹 腔鏡下肝切除を適用する際には、手術創を癒着剥離と腹腔鏡補助下手術における肝離断に活用することがで き る。

東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科

石沢武彰、長谷川 潔、山本訓史、清水篤志、河野義春、西岡裕次郎、國土貴嗣、宮田明典、冲永裕子、

市田晃彦、竹村信行、金子順一、青木 琢、阪本良弘、菅原寧彦、國土典宏

上腹部手術の既往のある患者に腹腔鏡下肝切除を 適用する際の工夫

10-5

一般演題〈Session10〉

65 はじめに】腹腔鏡下肝切除において肝S6、S7といった背側領域の切除は一般的に難易度が高く、経胸経横隔 膜的 アプローチを試みている報告もみられる。我々はこれらの領域に対して半腹臥位による腹腔鏡下肝切除

(Ikeda T, et al. JHBPS, 2012)を導入した。【目的】腹腔鏡下肝切除における半腹臥位体位の有用性について 検討する。【半腹臥位】左側臥位からさらにうつ伏せにした体位で体側 支持器は用いていない。【肝切除】

First port は optical method で行っている。右季肋下を中心に trocar を挿入、1 本は必要に応じて肋間より 5mmのballoon付trocarを使用している。【結 果】これまで肝S6~7の肝腫瘍に対して半腹臥位にて8例施行、

手術時間中央値 143 分、出血量中央値 57g で術後合併症なく術後在院日数(中央値)6 日 であった。【考察】

当院では腹臥位による鏡視下食道切除をすでに導入していたため、手術室看護師、麻酔科医師にもスムース に受けて入れてもらえ、術後患者 さんの愁訴も認めなかった。これまで腹腔鏡下肝切除では難渋していた背 側領域における肝腫瘍に対しても体位を工夫した半腹臥位にて安全に難しくなく行うこ とができる。

国立がん研究センター東病院

後藤田直人、高橋進一郎、小西 大、加藤祐一郎

肝右背側領域に対する腹腔鏡下肝切除の工夫

~半腹臥位の有用性~

11-5

一般演題〈Session11〉

64

(背景)内視鏡手術支援ロボットの能力を最大限に活かすためには, アームや鉗子の干渉を最小限にするための ポート配置とpatient cartドッキング, 重力を最大限に利用しうる体位が最重要である.

(目的)肝S6・S8に位置する腫瘍を体軸に対して0時方向かつda Vinciの軸(Patient cartの支柱の矢状面)上に 位置させるドッキング法(軸理論)の有効性について検討した.

(方法)体位を頭高位半腹臥位とし, 鎖骨中線の臍部レベルに設置したカメラポートと, 右肝静脈根部(肝授動 時)・切離線右縁(腫瘍切離時)とを結ぶ直線上にda Vinciの軸を合わせてpatient cartをドッキングした. 軸に 対して弧状に右背部外側に2ndアーム(R2), 右肋弓下外側に1stアーム(R1), 右肋弓下内側に3rdアーム(R3), 第 10肋間に助手用ポートを配置, 肝切離の際にはR1と助手用ポートを入れ替えた.

(結果)肝S6・S8領域の切除は, 従来仰臥位では手術操作に難渋する傾向があったが, 頭高位半腹臥位での軸理 論に基づいたドッキングにより, アーム同士の干渉は最小限となり, 重力の恩恵を最大限に活かした効率の良 い手術操作が可能であった.

(結語)軸理論はロボット支援腹腔鏡下肝部分切除術の体位およびpatient cartドッキング法の決定に有効であ ると考えられた.

藤田保健衛生大学 上部消化管外科1)、藤田保健衛生大学 肝・脾外科2)

木口剛造1)、須田康一1)、石田善敬1)、香川 幹2)、棚橋義直2)、新田隆士2)、所 隆昌2)、加藤悠太郎2) 杉岡 篤2)、宇山一朗1)

内視鏡手術支援ロボットを用いた半腹臥位腹腔鏡下 肝部分切除術の導入経験

11-4

Belghitiはhanging maneuverを用いて腫瘍細胞のもみ出しにつながる授動操作を行わずに前方アプローチ右 肝切除を行うことを提唱したが、完全腹腔鏡下肝切除では肝臓の 腹側に腹壁が存在し、この方法を行うこと は困難である。また、右葉系完全腹腔鏡下肝系統切除において最も困難な部分は重量と容積の大きな肝臓の handlingであり、肝切離面の展開により安全に出血コントロールを行える良好な視野を作ることが課題であ る。特に、肝後区域切除術においては切離面 が水平面となり展開が不良となる。腹腔鏡下手術の利点の一つ は、体位を変換しても腹腔鏡の位置調整によって視野が確保でき重力を利用した視野展開が可能な ことであ る。また、尾側から頭側への視野方向の中で肝背側の視野が良好なことも利点であり、われわれは、後腹膜 へのアッタチメントを切離しないことで切除 肝を固定し、体位変換で重力を利用して残肝を左側に落とすこ とで肝切離面を展開する。下大静脈周囲の良好な視野の元下大静脈および肝切離面上の区域間主肝静脈を頭 側に向かって露出しながら尾側から頭側に向かって一方向性に切離をすすめる。術式を考案した。これによ り肝切離面は重力により良く展開され、安全 に出血コントロールを行える良好な視野を作ることが可能であ るのと同時に、Oncologicalな面でもBelghitiの前方アプローチ右肝切除と同 等のメリットが得られる。本法 の実際についてビデオで供覧する。

藤田保健衛生大学 坂文種報徳會病院 一般消化器外科学

川瀬 仁、守瀬善一、伊勢谷昌志、吉田梨恵、荒川 敏、永田英俊、川辺則彦、冨重博一

肝非脱転尾側アプローチ完全腹腔鏡下肝右葉系統的

11-3 切除術

一般演題〈Session11〉

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