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症例は20歳代女性、主訴は腹痛。既往歴に特記すべきことなし。平成23年5月腹痛にて近医受診。造影CT、

MRIで肝左葉から突出する6×8cmの腫瘤を認めた。他院で2 ヶ月に1回程度画像検査で経過観察されたが、

増大傾向を認めAFPも上昇傾向であったた め、平成24年6月当院受診となった。造影CTで肝外側区域に多 結節が集族したような巨大腫瘤を認め、12×8cmと以前と比較して増大傾向を認めた。悪性新生物の可能性 も否定できず、9月da Vinciを使用し肝外側区域切除術を施行した。アランチウス板をテーピングし、続いて 肝円索より門脈臍部腹側に向かい臍静脈板を肝実質より剥離する形で アランチウス管門脈合流部に向かい剥 離を進め、2,3グリソンを一括テーピング。その後2、3グリソンを別々にテーピングした後にリニアステイ プラでグリソンをそれぞれ離断。実質切離を進め、左肝静脈を離断し肝摘出となった。手術時間5時間28分、

出血量159mlであった。術後経過は良好で第8病日退院 となった。病理学的には高分化型肝細胞癌であった。

da Vinciは鉗子の自由度が高くグリソン一括アプローチによる肝切除術が容易であり、系統的肝切除に有用 と考えられる。

藤田保健衛生大学 肝・脾外科1)、藤田保健衛生大学 上部消化管外科2)

棚橋義直1)、棚橋義直1)、加藤悠太郎1)、所 隆昌1)、新田隆士1)、香川 幹1)、竹浦千夏1)、杉岡 篤1) 宇山一朗2)

外側区域に発生した巨大肝腫瘍に対しロボット 肝切除を施行した1例

6-4

【はじめに】腹腔鏡下外側区域切除はほぼ定型化されているが、鏡視下肝部分切除は部位によりアプローチ方 法およ び難易度が異なる。今回腹腔鏡下に切除したS7頭側病変と、胸腔鏡下に切除したS8ドーム下病変の2 例を提示する。【症例1】24歳女性。肝左葉の腫瘍切 迫破裂にて緊急肝拡大左葉切除術を施行、最終病理で未 分化肉腫であった。当初より認められたS7頭側1.5cm大の血管腫疑い病変に対し、肝内転移を否定する目的 で二期的に切除を行った。側臥位、肋弓下4ポートに加え、経胸腔ポートを1本追加し、腹腔鏡下にアプロー チ。部分切除で腫瘍を摘出した。術後経過 は良好で術後 6 日目に自宅退院となった。最終病理は血管腫で あった。【症例2】77歳女性。6年前に直腸癌手術歴有り。経過観察中肝S8ドーム下に 1.7cm大の腫瘍が出現 した。精査にて肝細胞癌と診断した。側臥位、肋間の 4 ポートで胸腔鏡下にアプローチ。エコーで経横隔膜 的に腫瘍を確認、腫瘍直上 の横隔膜を切開し部分切除を行った。術後経過は良好で術後13病日に紹介医へ転 院となった。最終病理は高分化型肝細胞癌であった。【まとめ】S7頭側病変 やS8ドーム下病変に対しては腹 腔鏡でアプローチするか胸腔鏡でアプローチするか悩むことが多い。今回異なった経路でアプローチを行っ た2例を経験したので報告する。

鹿児島大学 消化器外科

樋渡清司、迫田雅彦、飯野 聡、上野真一、夏越祥次

肝右葉S7およびS8病変に対する鏡視下切除経路

6-3 の工夫

一般演題〈Session6〉

51

【目的】腹腔鏡独特の視野, 拡大視効果と最近の肝臓シミュレーション技術を組み合わせて虚血・鬱血領域を 最小限とする過不足ない解剖学的肝切除を実践している.【工夫のポイント】 (1) 肝切除シミュレーションによ る切離領域の決定 (2) 脈管の詳細な画像構築と切離ライン上の脈管の事前同定(3)グリソン一括先行処理の画 像ナビゲーション (4) 環状の切離ラインに綿テープを巻き牽引するHarness Traction Technique (HTT) を用 いた切離ラインの誘導【手技の実際】(1) Lesion growing法で切離領域を決定,あるいは腫瘍周囲の脈管の位 置関係から阻血・鬱血域を最小限とする過不足ない切離ラインを設定 (2) CTデータからグリソン第5~6分岐, 肝静脈第3分岐まで描出 (3) 肝門部から実質に入り込むグリソン鞘の位置・角度(特にP point)を3D画像構築 で把握 (4) 術中の肝切離面の適切なコントロールのためにHTTを用いて適切な切除ラインを維持.切離面は常 に綿テープにより適切なラインに誘導される.【成績】ナビゲーション併用肝腹腔鏡下肝切除を今年から開始 し、直近6 ヶ月では胆管切除を伴わない34例の肝切除の26例(77%)を腹腔鏡にて施行した。うち系統的切 除 15 例中 13 例(87%)が腹腔鏡手術となった。【ビデオ】前区背側+ S6 切除:肝門側 より S6a,S6b,S8 背側 枝,S5背側枝の順で亜区域未満の担癌グリソン枝を先行処理. 阻血域を肝切除した.

慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

阿部雄太、板野 理、篠田昌宏、北郷 実、八木 洋、日比泰造、門多由恵、香月優亮、田中真之、

北川雄光

担癌グリソン枝の先行処理を用いた複数の亜区域未満の領域に またがる解剖学的肝切除における腹腔鏡手術のメリット

7-2

【背景】鏡視下肝蔵手術の自由度制限の補完および安全性・確実性の向上を目的に教室で施行している術前手 術計 画・手術環境の工夫を供覧する。【方法】(1)手術計画:術前CT画像から3D再構築画像(VE)・臓器造 形モデル(RP)を作成し、仮想離断面・局所脈管を確認(2)手術機器:Air Seal(SurgiQuest)により良好な 鏡視下視野を維持。画像専用モニターに肝局所解剖を示した VE を供覧。肝切離時の precoagulation に手術 専用ラジオ波凝固装置(Habib4x: Angiodynamic)・肝離断に超音波凝固切開装置 (Harmonic Scalpel: Ethicon Endo-Surgery) を 使 用 し 2013 年 よ り Pringle を 併 用。 磁 場 セ ン サ ー 搭 載 超 音 波 装 置(LOGIQ E9::GE healthcare)のGPS機能(VN)を応用し腫瘍・肝内脈管の局在をvirtual CT画像上にreal timeに表示。【結 果】VE・RPは、術前・術中に3次元局所解剖の確認を支援。エネルギーデバイスを用いた鏡視下肝切除術の 平均出血量は106g、高 度肝硬変症例は176gであった。VNの腫瘍・肝内脈管同定率は92%(11/12)で腫瘍・

脈管の同定に寄与。【結語】VE・RP による手術支援、術中 良好な視野の確保とエネルギーデバイスと Pringle法を用いた出血コントロール、VNを用いた術中Navigationは、鏡視下肝切除術の安全性・ 確実性の 向上に寄与する。

昭和大学 消化器・一般外科

古泉友丈、村上雅彦、青木武士、藤森 聡、榎並延太、小池礼子、三田村圭太郎、草野智一、松田和広、

山田宏輔、渡辺 誠、大塚耕司、加藤貴史

鏡視下肝臓手術における術前計画・手術環境の工夫

7-1

一般演題〈Session7〉

50

症例は20歳代女性、主訴は腹痛。既往歴に特記すべきことなし。平成23年5月腹痛にて近医受診。造影CT、

MRIで肝左葉から突出する6×8cmの腫瘤を認めた。他院で2 ヶ月に1回程度画像検査で経過観察されたが、

増大傾向を認めAFPも上昇傾向であったた め、平成24年6月当院受診となった。造影CTで肝外側区域に多 結節が集族したような巨大腫瘤を認め、12×8cmと以前と比較して増大傾向を認めた。悪性新生物の可能性 も否定できず、9月da Vinciを使用し肝外側区域切除術を施行した。アランチウス板をテーピングし、続いて 肝円索より門脈臍部腹側に向かい臍静脈板を肝実質より剥離する形で アランチウス管門脈合流部に向かい剥 離を進め、2,3グリソンを一括テーピング。その後2、3グリソンを別々にテーピングした後にリニアステイ プラでグリソンをそれぞれ離断。実質切離を進め、左肝静脈を離断し肝摘出となった。手術時間5時間28分、

出血量159mlであった。術後経過は良好で第8病日退院 となった。病理学的には高分化型肝細胞癌であった。

da Vinciは鉗子の自由度が高くグリソン一括アプローチによる肝切除術が容易であり、系統的肝切除に有用 と考えられる。

藤田保健衛生大学 肝・脾外科1)、藤田保健衛生大学 上部消化管外科2)

棚橋義直1)、棚橋義直1)、加藤悠太郎1)、所 隆昌1)、新田隆士1)、香川 幹1)、竹浦千夏1)、杉岡 篤1) 宇山一朗2)

外側区域に発生した巨大肝腫瘍に対しロボット 肝切除を施行した1例

6-4

【はじめに】腹腔鏡下外側区域切除はほぼ定型化されているが、鏡視下肝部分切除は部位によりアプローチ方 法およ び難易度が異なる。今回腹腔鏡下に切除したS7頭側病変と、胸腔鏡下に切除したS8ドーム下病変の2 例を提示する。【症例1】24歳女性。肝左葉の腫瘍切 迫破裂にて緊急肝拡大左葉切除術を施行、最終病理で未 分化肉腫であった。当初より認められたS7頭側1.5cm大の血管腫疑い病変に対し、肝内転移を否定する目的 で二期的に切除を行った。側臥位、肋弓下4ポートに加え、経胸腔ポートを1本追加し、腹腔鏡下にアプロー チ。部分切除で腫瘍を摘出した。術後経過 は良好で術後 6 日目に自宅退院となった。最終病理は血管腫で あった。【症例2】77歳女性。6年前に直腸癌手術歴有り。経過観察中肝S8ドーム下に 1.7cm大の腫瘍が出現 した。精査にて肝細胞癌と診断した。側臥位、肋間の 4 ポートで胸腔鏡下にアプローチ。エコーで経横隔膜 的に腫瘍を確認、腫瘍直上 の横隔膜を切開し部分切除を行った。術後経過は良好で術後13病日に紹介医へ転 院となった。最終病理は高分化型肝細胞癌であった。【まとめ】S7頭側病変 やS8ドーム下病変に対しては腹 腔鏡でアプローチするか胸腔鏡でアプローチするか悩むことが多い。今回異なった経路でアプローチを行っ た2例を経験したので報告する。

鹿児島大学 消化器外科

樋渡清司、迫田雅彦、飯野 聡、上野真一、夏越祥次

肝右葉S7およびS8病変に対する鏡視下切除経路

6-3 の工夫

一般演題〈Session6〉

53

【目的】soft cadaverを用いた腹腔鏡下臨床解剖ならびに手術手技トレーニングを導入したので報告する。【方 法】2012年より日本外科学会・日本解剖学会による ガイドラインに基づき、学内倫理委員会の承認を得て開 始した。対象は、県内各施設から研修医・レジデントを中心に指導医クラスにも広く参加可能とし、看護 部 の協力を得てオペ室ナースも参加を募った。御遺体はThiel固定4体を用いた。内容は、生体手術とほぼ同様 の CO2 気腹下腹腔鏡手術システムのもと、 肝部分切除から肝葉切除までを所定時間内に終えることとした。

参加者にアンケート調査を行い集計した。【結果】1.Cadaverを用いた気腹下での手術 手技トレーニングが 可能であった。特に、膜構造の認識は容易で生体とほぼ同様であった。2.固定状態が御遺体により異なり、

今後の課題と思われた。3.参 加者は、医師・看護士ともに満足度が高かった。【結語】Cadaverを用いた腹 腔鏡下手術手技実習は有用である。

愛媛大学 肝胆膵・乳腺外科

髙井昭洋、串畑史樹、羽田野雅英、竹林孝晃、水本哲也、泉 俊男、田村 圭、佐藤 創、伊藤英太郎、

影山詔一、井上 仁、渡邊常太、亀井義明、藤山泰二、高田泰次

Cadaver surgical training導入の試み

7-5

一般演題〈Session7〉

52

【はじめに】当科ではこれまでに119例の腹腔鏡下肝切除術を経験し、葉切除やリンパ節郭清を伴う手術に適 応を 拡大しつつあるが、開腹肝切除に劣らない手術の質の担保を最優先に考えている。今回、当科における 腹腔鏡下肝切除術の安全性や確実性の向上のための工夫に つき報告する。【症例】疾患は、肝細胞癌 71 例、

肝内胆管癌3例、転移性肝癌33例、その他12例で、術式は肝部分切除92例、外側区域切除12例、右葉 切除 5 例、左葉切除 8 例、後区域切除 1 例でこのうち HALS は 10 例で腹腔鏡補助下は 51 例、完全腹腔鏡下が 58 例 であった。【方法】術前CTデータから Synapse VINCENT(富士フィルムメディカル)を用いてシュミレー ション画像を作成し、切除ラインを決定している。系統的な切除の場合は、腫瘍の支配門脈域切 除後の阻血 域から切離線を設定し、切離面に出現する脈管の位置関係を術前に把握し安全性や確実性を担保している。

【手術手技】8から10mHg気腹下、4 または5ポートにて手術施行。超音波凝固切開装置およびCUSAを用い て肝切離施行した。止血にはバイクランプを使用した。出血コントロールには Pringle 法を用い、腫瘍の位 置確認には造影超音波を用いた。【結語】画像シュミレーションを用いて支配グリソンの先行処理を安全に行 うことにより、 開腹術に劣らない腹腔鏡下系統的肝切除術も施行可能であった。今後、葉切除やリンパ節郭 清を伴う術式も標準化可能であると考えている。

京都大学外科学 肝胆膵・移植外科学

瀬尾 智、波多野悦朗、福光 剣、田浦康二朗、安近健太郎、森 章、海道利実、上本伸二

当科における腹腔鏡下肝切除術の安全性や確実性の 向上のための工夫

7-4

(緒言)鏡視下肝切除術(Lap-H)は,保険収載後,劇的に発展,普及しているが,安全性と確実性を向上させ るため の手術法や器具の工夫などの積み重ねが必要である.当科で開発した種々 Deviceによる手術手技と腹腔鏡補 助下 (HLR), 用手補助下 (HALS), 完全鏡視下 (PLLR) 手技の特性を生かした使い分けを Video にて供覧する .( 症 例/手技)1999年1月~ 2013年9月に計85例 に,PLLR 67例,HLR 14例,HALS 4例に施行.(結果)PLLRは,部分 切除術 , 外側区域切除 , 肝葉切除まで適応を広げている . 肝離断は CUSA を主体とし ,IO 電極による Pre coagulation を心掛け前立ちとの協調動作を心がけている .HLR は再手術症例や S4a+5/ 胆管空腸吻合術など に,HALSは奥行の視野が悪く なる後区域切除術などに適応している.これらの手技を当科で開発された汎用 性鏡視下手術用スポンジスペーサー (セクレア)と共に吸引管/鉗子に加工したセ クレアを装着することによ る愛護的かつ有効な術野の展開と圧迫止血操作を行い,Endomini retractにネラトンと糸を装着することによ る脈管剥離と確実な結紮操作 ,Hanging maneuver 用の牽引テープの容易な Enciracle などにより施行してい る.さらに、術後癒着予防にセプラフィルムを当科独自の方法で貼付してい る.(結語)Lap-Hは,さらに適応拡 大していくものと考えられるが, 病態にあった術式選択,デバイス/手技などの改良/工夫と多施設での経験や 知識の共有が重要となる.

日本医科大学 消化器外科

川野陽一、谷合信彦、中村慶春、吉岡正人、松下 晃、水口義昭、清水哲也、柿沼大輔、神田知洋、

上田純志、高田英志、住吉宏樹、吉田 寛、内田英二

鏡視下肝切除術の安全性と確実性の向上を目的とした 当科での様々な工夫

7-3

一般演題〈Session7〉

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