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【背景】鏡視下で使用する事を目的とし凝固、切開、剥離を一つで行える安全な器具は無く、完全鏡視下肝切 除には 複数の disposable 凝固器具を用いる必要があるのが現状である。【目的】Bipolar Irrigation System (Silicone Jacket Irrigator(SJI)) による腹腔鏡下肝切除の安全性と有用性を検討する。【方法】1. ブタ肝切離を Bipolar scissors(BS)でVIO effect 4(≑110V), <40Wの設定で行い、SJIを用いてSaline Irrigation(SI)の有無に よる、電流量、温度測定および組織学的検討をおこなった。2.BSにSJIを装着しSI下に腹腔鏡下肝切除を行っ た 30 例とその他の disposable 器具を用いて行った 81 例の手術成績を比較した。【結果】1. 肝臓の Wedge 約 2cmの切離時の総電流量、最高温 度はSI有:SI無=8653±506:396±233 (mA)、87.3±7.2:85.7±5.3℃で 組織学的にはSI無群では明らかに切離面に凝血塊を認めたのに対して、SI有群では認められなかった。 2.腹 腔鏡下肝切除症例の手術成績では平均出血量でSI有:SI無=104 g (0-340g) : 248g (0-2700g)で有意差(P=0.043) を認めた。SI無群の大腸同時切離症例1例で肝切離部の膿瘍を認めたが、術後出血や胆汁漏等の合併症は両 群 とも認められなかった。【まとめ】腹腔鏡下肝切除においてSilicone Jacket Irrigatorによる持続的Saline IrrigationはBipolar Scissorsの機能を安全に有効に利用出来る方法と考えられた。

九州大学大学院 外科集学的治療学

井口友宏、池田哲夫、松本佳大、中川原英和、木村光一、吉屋匠平、二宮瑞樹、山下洋市、赤星朋比古、

池上 徹、吉住朋晴、川中博文、調 憲、前原喜彦

完全腹腔鏡下肝切除に対するBipolar Irrigation System

(Silicone Jacket Irrigator)の安全性と有用性の検討

8-6

【目的】two-surgeon techniqueは出血量・手術時間の軽減に寄与すると報告され(Aloiaら、2005年)、当院 の開腹術においても導入している。今回われわれは、 two-surgeon techniqueを腹腔鏡下肝切除術に導入し、

それに合わせたセッティングにより手術を施行しているので紹介する。

【方法】患者を 左半側臥位とし、臍上部に第一トロッカーを挿入する。カメラポートを中心として、患者の 右側に 2 本第 1 術者用トロッカー、左側に 2 本の第 2 術者用トロッ カーを挿入。第 1 術者は左手に把持鉗子、

右手に CUSA(または他のエネルギーデバイス)を持ち、第 2 術者は左手に吸引、右手にソフト凝固電気メ スを持つ。Pringle法を用いて全肝阻血下に手術を行う。ビデオを供覧する。

【結果】1.本法の導入により、系統的切除における pure laparoscopic hepatectomyが可能となり、適応拡大 に繋がった。2013年1月からは系統的切除も腹腔鏡下手術の適応としたため、肝切除全体の50%以上を腹 腔 鏡下手術が占めるようになった。2.これまで腹腔鏡下肝切除術では第1助手を務めていた若手医師の術者数 が40%以上に増加した。

【結語】two-surgeon techniqueは出血量減少、手術時間短縮に有効とされているが、腹腔鏡下肝切除術の適 応拡大、若手医師の術者トレーニングにおいても有用な方法と思 われた。今後、症例数を増やしてその有効 性を検討して行く予定である。

大分大学医学部 消化器・小児外科

岩下幸雄、内田博喜、渡邉公典、川崎貴秀、川野雄一郎、小森陽子、矢田一宏、太田正之、猪股雅史、

北野正剛

ソフト凝固電気メスとCUSAを用いたtwo-surgeon techniqueの腹腔鏡下肝切除術への応用

8-5

一般演題〈Session8〉

57 [はじめに]当科では主肝静脈を露出する肝離断を標準化して行っている。

[症例]43歳男性。14cm大の肝細胞癌に対して腹腔鏡下肝右葉切除術を予定した。右葉は拳上可能であったが 副腎は強固な癒着のため剥離を後に回し、hanging tapeは置かなかった。巨大腫瘤のため肝門が深かったが、

右肝動脈、右門脈は露出可能で個別にクリップした。Cantlie線よりやや左葉側で肝離断を 開始し中肝静脈を 探したが術中USを行わなかったことと巨大腫瘍による変位の影響もあり結果的にそのまま内側区域側を切り 進んだ。肝門板の頭側が十分に割 れた後に残りの右 Glisson 茎をクリップし、肝門板を離断した。IVC 腹側 で尾状葉を離断し、中・右肝静脈および左副腎癒着部を各々自動縫合器で離断し結果的に拡大右葉切除となっ た。臍の切開創を下腹部に延長して腫瘍を摘出した。手術時間 7 時間 44 分、肝血流遮断時間 81 分、出血量 170gであった。 術後は腹水貯留と肝合成能の回復が遅延し、10日目頃から右Glisson断端からの胆汁瘻を来 たした。ドレナージで軽快し、術後3か月目には肝機能も回 復した。

[考察]巨大肝腫瘍ではdislocationを起こしやすく術中USを活用すべきであった。また、右肝管の安全離断レ ベルも判断し難く、クリップを末梢側に掛けなおした事が胆汁瘻の原因と考えられた。

がん・感染症センター都立駒込病院 外科 小林 信、本田五郎、倉田昌直、坂元克考

巨大肝腫瘍に対するLap右葉切除の反省点

9-2

2011年より導入した当院での腹腔鏡下肝切除術を経年的に検討した。

【方法】年間肝切除 約25例の一般病院で、安全・経済性に配慮して短期間での定型化を目指した。開腹既往 の無い症例を対象とし、補助下(Hyb)切除で開始して手技向上と共 に完全鏡視下(Pur)切除を導入する方針と した。肝切離はMCTによるプレ凝固の後に血流遮断下でCUSAを使用し、脈管処理は主にHemolokを用 い て肝門部先行を原則とした。

【結果と考察】1年目:肝切除26例中12例に適用した。全例Hyb切除で5-12cmの皮切で大きな トラブル無く 施行し得たが、5例で2cmの皮切延長を要し、3例で無理な圧排による肝実質裂傷を認めた。2年目:31例中 12 例に適用し、うち 5 例で Pur 切除を施行した。手技は概ね安定したが、Hyb の右葉切除 1 例で IVC の裂傷 により多量の出血を来した。Hyb切除は肝切離の際に鏡視下手術の利点 である拡大視効果を活かせない点を 再認識した。3 年目 (- 本年 9 月 ):22 例中 8 例に施行し、7 例で Pur 切除、1 例で HALS を行った。手術時間は 179-733(中央値399)分、出血量10-600(同200)mlであった。手技の向上に伴い、系統的亜区域切除(3例:S5,S6,S6) を導入 し、S7・S8症例では経横隔膜ポートを用いてPur切除を行った。Pur切除の利点としてHyb切除と異 なって肝の授動が最小限で済むことが挙げられ る。ICG40% 以上の高度硬変肝 2 例で部分切除を行ったが、

腹水貯留を来すことなく経過良好であった。S6亜区域切除例のビデオを供覧する。

NTT西日本大阪病院 消化器外科

東野 健、橋本和彦、藤田正一郎、西田謙太郎、柳川雄大、藤江裕二郎、藤田淳也、吉田哲也、大西 直、

今岡真義、門田卓士

当院における腹腔鏡下肝切除術の現況-系統的亜区域 切除の導入

9-1

一般演題〈Session9〉

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【背景】鏡視下で使用する事を目的とし凝固、切開、剥離を一つで行える安全な器具は無く、完全鏡視下肝切 除には 複数の disposable 凝固器具を用いる必要があるのが現状である。【目的】Bipolar Irrigation System (Silicone Jacket Irrigator(SJI)) による腹腔鏡下肝切除の安全性と有用性を検討する。【方法】1. ブタ肝切離を Bipolar scissors(BS)でVIO effect 4(≑110V), <40Wの設定で行い、SJIを用いてSaline Irrigation(SI)の有無に よる、電流量、温度測定および組織学的検討をおこなった。2.BSにSJIを装着しSI下に腹腔鏡下肝切除を行っ た 30 例とその他の disposable 器具を用いて行った 81 例の手術成績を比較した。【結果】1. 肝臓の Wedge 約 2cmの切離時の総電流量、最高温 度はSI有:SI無=8653±506:396±233 (mA)、87.3±7.2:85.7±5.3℃で 組織学的にはSI無群では明らかに切離面に凝血塊を認めたのに対して、SI有群では認められなかった。 2.腹 腔鏡下肝切除症例の手術成績では平均出血量でSI有:SI無=104 g (0-340g) : 248g (0-2700g)で有意差(P=0.043) を認めた。SI無群の大腸同時切離症例1例で肝切離部の膿瘍を認めたが、術後出血や胆汁漏等の合併症は両 群 とも認められなかった。【まとめ】腹腔鏡下肝切除においてSilicone Jacket Irrigatorによる持続的Saline IrrigationはBipolar Scissorsの機能を安全に有効に利用出来る方法と考えられた。

九州大学大学院 外科集学的治療学

井口友宏、池田哲夫、松本佳大、中川原英和、木村光一、吉屋匠平、二宮瑞樹、山下洋市、赤星朋比古、

池上 徹、吉住朋晴、川中博文、調 憲、前原喜彦

完全腹腔鏡下肝切除に対するBipolar Irrigation System

(Silicone Jacket Irrigator)の安全性と有用性の検討

8-6

【目的】two-surgeon techniqueは出血量・手術時間の軽減に寄与すると報告され(Aloiaら、2005年)、当院 の開腹術においても導入している。今回われわれは、 two-surgeon techniqueを腹腔鏡下肝切除術に導入し、

それに合わせたセッティングにより手術を施行しているので紹介する。

【方法】患者を 左半側臥位とし、臍上部に第一トロッカーを挿入する。カメラポートを中心として、患者の 右側に 2 本第 1 術者用トロッカー、左側に 2 本の第 2 術者用トロッ カーを挿入。第 1 術者は左手に把持鉗子、

右手に CUSA(または他のエネルギーデバイス)を持ち、第 2 術者は左手に吸引、右手にソフト凝固電気メ スを持つ。Pringle法を用いて全肝阻血下に手術を行う。ビデオを供覧する。

【結果】1.本法の導入により、系統的切除における pure laparoscopic hepatectomyが可能となり、適応拡大 に繋がった。2013年1月からは系統的切除も腹腔鏡下手術の適応としたため、肝切除全体の50%以上を腹 腔 鏡下手術が占めるようになった。2.これまで腹腔鏡下肝切除術では第1助手を務めていた若手医師の術者数 が40%以上に増加した。

【結語】two-surgeon techniqueは出血量減少、手術時間短縮に有効とされているが、腹腔鏡下肝切除術の適 応拡大、若手医師の術者トレーニングにおいても有用な方法と思 われた。今後、症例数を増やしてその有効 性を検討して行く予定である。

大分大学医学部 消化器・小児外科

岩下幸雄、内田博喜、渡邉公典、川崎貴秀、川野雄一郎、小森陽子、矢田一宏、太田正之、猪股雅史、

北野正剛

ソフト凝固電気メスとCUSAを用いたtwo-surgeon techniqueの腹腔鏡下肝切除術への応用

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一般演題〈Session8〉

59 藤田保健衛生大学 肝脾外科加藤悠太郎、棚橋義直、新田隆士、所隆昌、香川幹、杉岡篤(緒言)当科にお ける腹腔 鏡下肝左葉切除術における基本アプローチは、肝門での左グリソン一括処理、および肝外側区域の 脱転により左・中肝静脈根部~中肝静脈本幹を露出しながらの 肝切離である。(症例)直腸癌肝転移症例。門 脈臍部 (UP) に接する S2/3 径 4cm 大の転移巣。(手技)アランチウス板 (Ar) を確保する。UP の立ち上がり右 側からArの臍静脈板付着部腹側に鉗子を通すことで左グリソンを根部で一括確保した後、これをStaplerで 切 離する。外側区域を脱転し、Arの肝静脈付着部を指標に左・中肝静脈共通管~本幹を剥離すると、腹側か ら順に浅左肝静脈、左肝静脈、裂静脈、中肝静脈、 V4 や V8 が垂直な面として視認できる。これにより肝実 質が障碍とならずに血管処理や静脈壁露出が安全に行える。予め肝表面の切離線はLCSで切れ込みを 入れて おく。肝静脈根部より尾側方向に、また背側→腹側方向に、さらに肝切離面を肝表切離線に向かって徐々に 右側に傾けながら頭左側から尾右側の方向に行う。(考察)本法は、①グリソン先行離断による流入血遮断と 左肝根部の解放による視野確保、②肝静脈根部~本幹の確実な露出や血管処理を良好な視野で行 う、ことを 目的としており、腹腔鏡下肝左葉切除術においては有用な方法と考える。

藤田保健衛生大学 消化器外科 加藤悠太郎

肝門グリソン一括処理と外側区域脱転位での肝静脈 剥離・肝切離による腹腔鏡下肝左葉切除術

9-5

一般演題〈Session9〉

58

【目的】2013.8までの腹腔鏡下肝右葉後区域切除8例の手術成績に関して検討し、定型術式確立への問題点に ついて検討した。【対象】肝転移 6 例、肝細胞癌 2 例。【方法】第一段階(n=3):上腹部正中小開腹 HALS に て肝右葉脱転、IVC前面の処理を行い、直視下に右肝静脈根部と後区域グリソンの剥離、リフティング(高 湾曲小型鉗子使用)、超音波凝固切開装置による実質切離を行った。第二段階 (n=2):HALS創を右季肋下切 開に、右肋間ポート追加。第三段階(n=3):右肋間ポート(リガシュア)と心窩部ポート(バルーンデバイス を使用) を使用して、完全鏡視下に肝右葉脱転、下大静脈前面の剥離露出、肝門での右(前後)グリソンの 剥離、右肝静脈根部前面の剥離露出を施行。リフティング手技 は完全鏡視下(2/3例)、もしくは小開腹創か ら(1/3例)施行した。肝実質切離は直視下・リフティング手技下に、リガシュア・キューサー等にて右肝静 脈 を露出する切離面にて施行した。【結果】第一段階では1/3例で開腹移行、2/3例で1500ml以上の出血を認め た。第二段階以降では出血量は600㎖以下に改善、手術時間は5-6時間となった。【考察】実質切離直前までの 操作を完全鏡視下で施行しうるようになったが、さらに鏡視下実質切離時の迅速・ 確実な出血コントロール と肝静脈根部近傍の手術視野確保を達成することにより、完全鏡視下手術を安全に施行しうると考える。

琉球大学大学院 消化器・腫瘍外科学(第一外科)

白石祐之、石野信一郎、宮城良浩、西巻 正

腹腔鏡(補助下)右葉後区域切除術式の定型化への 試みと問題点

9-4

腹腔鏡下肝切除は高難易度肝切除へと適応拡大がなされつつある。区域切除では肝外での区域グリソン鞘処 理と demarcation line の確認、肝静脈面での肝実質切離が必須であるが、亜区域切除の場合には水平方向の 肝離断が必要となる。尾側亜区域グリソン鞘と異なり頭側亜区域枝は肝門部 から奥まった部位での操作が必 要となる。S8切除を例に安全・確実に肝切除を行うための手技について考察する。プリングル法のためのテー ピングを行う。胆 嚢を摘出しプリングル用のテープを尾側に牽引して、肝とグリソン鞘が剥離し易いよう心 掛け前区域グリソン鞘左側よりS8腹側枝を処理し、続いて同背側枝の 確保を試みる。困難な場合には肝表面 に現れたS8/S4間の demarcation line でまず肝実質切離を行い中肝静脈に到達してから肝門からの視野でも 方向を確認しつつS8グリソン鞘根部に至る。肝静脈に沿った操作の際には中枢から末梢側 へと行い、小分枝 を損傷しないよう留意する。S8グリソン背側枝の確認は肝表面側から容易となりS8背側領域の肝切離へと進 むことが可能となる。後の肝切 離はグリソン鞘根部と demarcation line を結ぶ面として進め、S8切除を完 了する。際部からの視野の場合には肝静脈根部の視野確保が難点であるが、S8切除は腹腔鏡下においても可 能な手術手技で あると考えている。

東京都立多摩総合医療センター 外科 高西喜重郎、森田泰弘

腹腔鏡下肝亜区域切除を安全に行うための考察

9-3

一般演題〈Session9〉

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