• 検索結果がありません。

槽の加工(図11)

 槽に関わっては組立段階で腹板と接着するので、槽の縁にあたる部分 を意識しながら紫檀材をまず鉋で削り平面に仕上げた。次に実物の槽と 同じ大きさの型紙を作り、それにあわせて紫檀材を鉄鋼用の刃をつけた ジグソーによって現物とほぼ同じ大きさに切断(2mm程度大13)した。

槽の厚みは今回は行わないが「螺釧の嵌入」のことを考えるとをあまり 薄くできないと考え、15mmを基本数値とした。槽の底にあたる部分 の測定は外パスが使えないので外パス様のものを作り目盛りを打って対 応していった。(資料図版15参照)

 切り終えた杓子型の紫檀材にベルトサンダーを利用して磯と落帯の傾 斜角である約75。を付け、その後、墾を利用して中をくり抜いた。

 背面の加工であるが注意した点はその膨らみである。側面から見ると 五絃琵琶は極めて有機的で複雑な2本の曲線によって構成されている。

腹板の方向の一本は丁度桿機の上端部あたりが最もふくらんでいるよう に見える曲線である。背面の膨らみは遠山まではゆるく、遠山を過ぎる 辺りから急に鹿頸に向かって細くなる曲線である。また、中央部が槽の 縁より緩やかに膨らんでいるフォルムである。これを作るために落帯の 下端から鹿頸との繋ぎまでのカーブのゲージを作りそれに合わせて上下 の膨らみを作っていった。磯には測定図の側面の曲線を描き背面全体を 升目に分割してそれぞれの点を取り、それらを繋いでいき横の膨らみを 作っていくという方法をとった。また、鹿頸の繋ぎ部分ができた段階で 繋ぎの入る溝を彫り込んだ。繋ぎにあたる部分の長さ及び太さの割合は 次の槽と二三とのつながりの部分で述べる。

紫檀を槽の形に切り取る

側面図をもとに磯の形を描く 背面のヴォリュームに注意しながら 背面を削っていく

ボール盤で磯に合わせて 槽の深さの穴を開ける

鹿頸の繋ぎが

入る溝を彫.る

磯にベルトサンダーを 利用して角度をつける

腹板の接着面を残すこ ととボール盤の下塗に 注意しながら槽を彫る 渡しを固定する場所を槽の横に 柱が立つ穴を槽の底にあける

背面に遠山を彫り込む

槽の完成

図11槽の加工

鹿頸から海老尾の加工(図ユ2)

 鹿頸から海老尾までの部品は一木作りで行うこととし、木取りの方法 を色々考え検討した。絃藏の強度を優先した(具体的には木目を縦に使 用する)構造にすると海老尾の頭の部分に木ロが出て来ることになり、

湾曲部が構造的に弱くなる可能性があるが最終的にはこの取り方とした。

 この後、角墾盤を使用して絃蔵の大まかな溝をほり、それに転手の中 心となる穴をボール盤を利用してあけた。転手を固定する絃蔵の穴の大 きさに関しては転手のテーパーとの関係が大きく関係する。大きい穴と 小さい穴との差がありすぎると転手は極めてゆるみやすくなるし、逆に 差が小さすぎるとゆるみにくい反面、調節がしにくい。試作を繰り返す 中で実物の割合がこのことを考慮したものであることがわかった。絃蔵 と転手の関係は断面図が示すとおりである。(資料図版16参照)

 絃藏の左右の傾きは材にガイドを固定し、ルーターをそのガイドに沿 わせて作っていった。側面から見ると乗絃の部分でこの五絃琵琶は山回 と絃藏に角度が付いているので、鉋で二二を削り角度を付けた。

 槽に差し込む繋ぎの部分は1〜2mm程度大きく作り墾や鎗を利用し て少しずつ加工していった。

 一般的な図版では海老尾の湾曲部に隠れていて側面からの図にしか表 れてこない突起物に今回特に注意を払った。半球を変形させたような、

しかも複雑な形態、付き方であったが東京博物館の模造品を観察するこ とで掘回することができた。(図13)

図13 海老尾の湾曲部の内側の小突起

設    計    図

@紫檀材に側面図をえがく

@バンドソーで切り抜く

ュ頸と絃門の角度をつくる

転手の位置を決めボール盤でト穴をあける 絃二二のルーター

@ガイドを作る

角馨盤で絃藏 フ溝を彫る

三門をルーター ナ削り出す

海老尾の細部を仕上げる       槽との繋ぎを作る

絃藏の背面及び鹿頸の細部を仕上げる

転手の太さに合わせた穴をボール盤であける

二二・海老尾の完成

図12 鹿頸から海老尾の加工

絃蔵については途中までの断面が五角形であり、鹿頸に向かう途中か ら四角形に近いものとなるといった複雑な様相を呈しているがこれに関 しても模造品の観察から形態のつながり方が理解できた。

腹板の加工(図14)

       は

 腹板の加工は図版の五絃琵琶をよく見ると三枚の柾目板を接いである。

これは楽琵琶の腹板を作るのと同様の方法であり、厚みの作り方も楽琵 琶と同様の考え方であると判断した。まず、腹板になるヤチダモの角材 を帯鋸を利用して、柾目板が取れる方向に20mmの厚さの板に挽き、

回忌を使用し18mmの厚さまで削った。長さは腹板の最大長が600mm

程度:なので余裕を持って約700mmとした。次にクランプを利用して三 枚の板を芋接ぎ14という方法で接いで三枚接ぎの板を作った。その板に 腹板の形を描き、仕上げの寸法に2mmの余裕を持たせるためにワッシ

ャを利用して切取線を描いた。

 バンドソーを利用して切り取った板を最終的な仕上がり図に向けて鉋、

反鉋で削った。この工程は腹板の形態が丸いだけでなく、表裏の両方を 削るという作業であり、特に裏面の加工は平面にクランプなどで固定し て行うことが難しかったので先行研究者のアドヴァイスで板に固定用の 凸部を貼り付けそれに腹板を固定して切削加工をしていった。また、こ の作業においては槽と同様であるが腹板の裏面の周縁部は接着のことを 考え、糊しろとして平面のまま残すよう配慮した。厚みは外パスで測定 しながら加工していった。この時に腹板の中央部に重みを持たせること に配慮し、断面図においては中央部分が最も厚みを持つようにすること

(先行研究者から板の振動はこの方がよいという助言をもらった)、ま た、鹿頸に向かって漸次薄くなっていくという条件を満たすように加工

していった。

ヤチダモの角材を   板材に挽く

高高を利用して同じ厚みに削る 接着剤をつけ、クランプで固定し 三枚接ぎの板を作る

設計図から作った腹板の型紙に合わせて 板に腹板の切り取り線を描く

ワッシャを利用して切り 取線に余裕を持たせる 板を切り取る

固定板の 製作

桿擾の上部あたりのカーヴ、上下左右 の断面の厚さに注意しながら反鉋を 利用して腹板を削り出す

外パス様のもので 厚みを計測する

背面は渡しとの接着を考えて削る 腹板の完成

図14 腹板の加工

柱の加工

 檜の柱は二二の心材を使用し、大まかに切った後に鎗を利用して傾き

を作った。また、五個の柱の高さはほぼ6rnmから8mmの間の値であ

り、第一柱から第五柱までの間においては例えば第三柱が突出するなど の凹凸があることは押絃という観点から考えても不適当であるので細い 角材の上に第一柱から第五柱までを三番に並べ、その高さの調節と絃が 当たる柱の上部を平坦に仕上げた。先行研究者によると楽琵琶では柱は 絃と共に消耗品と考えており、交換を前提としているということである。

渡しと柱の加工

 エックス線撮影などが行われていないのでこの琵琶の内部構造は不明 であり、渡しと柱の有無については断言できない。この渡しと柱が持つ 機能は丁度ヴァイオリンの二二と同じはたらきと考えられ、ある方がよ り響きが期待できるということと腹板の大きな膨らみが薩摩琵琶におけ る渡しと柱のようなものを示すものではないかと考え、本復元ではこれ を用いたものにした。

 材料は、槽の構成材である紫檀を使用した。接着の位置は、腹板の一 番盛り上がった部分である揮嬢の上部とした。幅30mm、厚さ20mm、

長さは槽の幅である約300mmのものに鉋と鎗を使用して組立時に腹板 に接着できるよう腹板の裏健のアールを持たせた。また、この渡しを槽 に固定するために槽の内側をこの渡しの形に合わせて欠いた。渡しを槽 に固定した後に槽と渡しを繋ぐ柱を立てるために渡しの中央、及び槽の

対応する箇所にほぞ穴を開けた。20mm×20mmの紫檀材の上部と下

部をほぞの形にし、渡しと槽の問に立つように加工した。

乗絃の加工

 乗絃の加工は厚さ10mm程度の紫檀材を絃蔵の上部の長さに切り、

正面から見ると丁度、二士山のような形にすることから始めた。絃の乗 るところには6mm程度の幅の溝を彫り、絃がその上である程度固定さ れるよう鎗でくぼみをつけた。側面は、中心角がほぼ90。の扇形に近

関連したドキュメント