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レベル 0 HV ターゲット

3.4 HV ターゲットの実装

3.4.1 レベル 0 HV ターゲット

表3.2において最も単純なHVターゲットの実装は,光反射率が時間的に変動し ない単数または複数の再帰光反射素子で構成されるものである.これをレベル0 HVターゲットと呼ぶ.再帰光反射素子には何が適しているかを調べるために3種 の再帰光反射素子について評価を行った.実験装置の構成を図3.12に示す.

図3.11: 強誘電性液晶の周波数応答特性と代表的な各周波数でのアイダイヤグラム

図3.12: レベル0 HVターゲットの測定系

照射するレーザはアモコレーザー社の半導体レーザ励起のNd:YAGレーザ  (ALC1320-25P発振波長1.32μm,出力13.9mW)を用いた.コーナーキューブお よびフォトディテクタは図3.4と同じものを使用した.

端末の正確な追尾動作を行うためには,光反射体の絶対位置を高速かつ精密に 計測するか,追尾している方向に対する光反射体の位置の誤差信号が得られれば 良い.前者の信号を得るには,照射する光ビームと光反射体の直径が小さい必要 がある.また,後者の信号を得る場合には,光反射体の反射強度が高くかつ単峰 性の反射特性を示すことが望ましい.

そこで,レーザビームの位置ずれに対する反射光強度の変化を計測した.実験 は直径50mmのコーナーキューブをレーザから1470mm離れたXY自動制御移動 ステージ上に取りつけて二次元に移動し,平面全体の反射光出力変動を測定した.

結果を図3.13に示す.コーナーキューブの中心で反射光出力値が最大になり,縁に 近づくに従い同心円状になだらかに反射光出力値が低くなっていることがわかる.

これと比較するため,同じ条件で再帰光反射シートの反射光出力特性を調べた.図 3.14は反射シートの反射光出力特性を3次元で示したグラフである.反射シート は住友スリーエム社製スコッチライトT Mハイグロス反射トリム モデル6160を 用いた.反射シートは微細なコーナーキューブの集合体がシート状になっている ため,シート構造を支持するためのリブの部分は反射強度が落ちるが,ほぼ均一 な再帰反射特性を示す.反射シートの反射光出力はコーナーキューブの1/100ほど であった.

再帰光反射体の精密追尾を行うには,光反射体への光照射位置の中心からの誤 差信号を得る必要がある.誤差信号を得るには,信号強度の変化が単峰性でかつ 反射率が高いことが望ましい.その点でコーナーキューブの光反射性能は格段に 優れている.しかしながら素子の体積,重量,コストが共に大きく携帯端末に搭 載するには適していない.一方,再帰光反射シートはシート内で平坦な反射特性を 有するため,レーザビーム光がシートよりも小さい場合には,位置ずれの誤差信 号をシートから外れるまで得ることができない.ただし,レーザビームの強度分 布は一般にガウス型形状の単峰性であるので,ビームの直径がシートの直径より も大きければ同様な単峰性の誤差信号を得ることができる.そこで,携帯情報端 末には反射信号強度が十分に取れるのであれば再帰光反射シートを採用しても問

題はないことがわかった.

図3.13: コーナーキューブの入射位置に対する反射出力特性

図3.14:再帰光反射シートの入射位置に対する反射光出力特性