6. 予備実験
6.3 ライン認識
ライン認識はグランド 上の選手やボールを誤認識しないため、選手やボールの 位置を決定するパラメータとしてライン同士の交点やサークルの頂点を求めるた めに必要である。ライン認識のためにハフ変換を試したが有効でなかったので、
円形度を使用した。
6.3.1 ハフ変換
ハフ変換とは、エッジ検出法の一つで、点の集合で表された画像中における線 分を抽出する処理である。人工の物体の幾何的な規則性(直線や円など )を検出
することができる。具体的には、与えられた画像上で多くの点がのっている直線 を見つけ出し 、元の画像を直線だけで表される画像に変換する処理を行う。一般 に雑音の多い直線や途切れた直線の検出に強いとされる。
x-y平面上のある直線は、
y=ax+b (6)
として表現できる。また、原点から下ろした垂線の長さ、x軸となす角を用 いると
=xsin+ycos (7)
で表せる。この関係を図22に示す。
図 22 x-yと-の関係
デジタル画像の中にn個の点で構成された直線があれば 、それらは- 平面上 ではn個の三角関数が交わったところを表す。さらに- 平面で交わる点の数が 多い部分から
y=0 x
tan +
cos
(8)
によって取り出してくることで 、長い直線を順番に検出する方法がハフ変換で ある。
また、ハフ変換の一般式を使えば円や楕円を取り出すことも可能である。つま り、タッチラインやエンド ラインなどの直線だけでなくセンターサークルやペナ
ルティーアークの楕円や円弧も検出できるとされている。
実際にサッカー画像に対して直線に対するハフ変換を行った。図 23は輝度を 用いた白黒画像で、この画像を2値化したものが図 24である。この2値化で与 えられた画素に対して式 7を適応し - 平面へ展開したものが図 25である。三 角関数の交点が20個以上の部分をグレーで表示し 、120個以上の部分を黒で表示 する。さらに、閾値値を上げ180個以上の交点に対して式 8を適応しx-y平面へ 展開したものが図26である。
タッチラインやペナルティエリアなど比較的長い線分は抽出可能であるが、ゴー ルエリアなどの短い線分は取り出すことができなかった。閾値を下げることによ り短い線分も抽出可能となるが、線分だけでなく選手やボールも反応してしまい、
抽出される線分が錯綜する結果となる。タッチラインやセンターラインを含む画 像(図 15)に対してハフ変換を用いた場合は比較的長い線分で構成されるカメラ アングルなので実用的であることが判った。
6.3.2 ライン認識の問題点
ハフ変換の問題点が3つあることが判った。
交点の数が多いところから取り出すので長い線分には対応できるが 、短い 線分を取り出せない
量子化誤差によって厳密な線分を取り出せない。取り出された直線は数本 の直線が束になるため元画像以上のある幅を持つことになる
楕円を検出するには5つのパラメータを用いた5次元空間のピーク検索が 必要となため、計算量が増大する
上記の問題点を解決する方法を実装できなかったので、ハフ変換によるライン 認識に対して有効ではなかった。
図 23 輝度を用いた結果 図 24 2値化の結果
図 25 ハフ変換 図 26 逆ハフ変換
6.3.3 円形度
ハフ変換によるライン認識に対して有効ではなかったことの対応策として先に 求めた周囲長や円形度の利用を考える。周囲長が100ピクセル以上をラインとす る。上下のユニホームの色が異なる場合は正しく認識できる。しかし 、上下が同 一色のユニホームの選手を誤認識することがあったので、周囲長を用いた方法を 採用しなかった。円形度が0.1以下の画素をラインと見なして選手認識やボール 認識の際に除外する。周囲長や円形度を用いる方法は簡単な処理なため、直感的 に判りやすく効果が高いと言える。その結果は、図17に存在するタッチライン とセンターラインが円形度を用いた方法により図18 のラインを外すことができ たことから、円形度を用いた方法が有効であることが判る。