5. 提案手法
5.4 チーム戦略の分析
スコアブックからチーム戦略の分析するために、ボールキープ時間、時間ごと のXY成分のボール位置、地域(グランド 上の位置)別プレー回数、ボールの移動 軌跡、ボールタッチ回数、シュートチャンスの模式図を作成した。元データは手 作業で作成した表3のスコアブックである。
時間に関する模式図として、図8にチーム別の毎分ボールキープ時間、図9に 時間ごとのXY成分に分割したボール位置を示す。
図 8 ボールキープ時間 図 9 時間ごとのXY成分のボール位置 チーム別の毎分ボールキープ時間は、上側がカメルーンで下側が日本の1分間 ごとのボールキープ時間を表している。2分までの日本はあまりボールキープで きていないが、3〜4分は30秒以上キープしカメルーンを圧倒している。4〜5分 は日本がゴ ールを決めたため、カメルーンはボールを触ることが出来なかった。
サッカーの試合を相手より有利に進めるために、できるだけ自分のチームがボー ルの支配力を高めボールをキープすることが大切である。図8はボールの支配力 を知ることができる。
時間ごとのXY成分に分割したボール位置は、上側の図がX成分を表し 、下側 がY成分を表す。X成分は上から下、Y成分は右から左へ攻めているhomeチー ムがカメルーンである。X成分が下から上、Y成分が左から右へ攻めているaway チームが日本である。日本がゴールを決める前にカメルーンが日本に対して波状 攻撃をしていることがX成分から判る。また、カメルーンと日本ともグランド の 奥でプレーをしていることがY成分から判る。サッカーの試合ではどれだけ相手 陣に攻め込んだか、どれだけグランドの幅を使ったかでゲーム内容を評価できる。
図9は時間の経過とともにどのようにグランドを使って攻撃していたかを客観的 に知ることができる。
場所に関する模式図として、図10にグランドを12分割した地域別プレー回数、
図11にボールの毎分ごとの移動軌跡を示す。
グランド を12分割した地域別プレー回数は、右側にカメルーン 、左側に日本 のプレー回数に応じた円をグランド を12分割場所へ展開した。図10より、日本 の左サイド の中盤のプレー回数が多くなっていることが判る。これは日本チーム
図 10 地域別プレー回数 図 11 ボールの移動軌跡
左サイドからの攻撃が強く、右サイドは守りに徹している戦略に合致する。図10 は分割した地域ごとにどのようにグランドを使って攻撃していたかを俯瞰的に知 ることができる。
ボールの毎分ごとの移動軌跡は、グランド を真上から見た図で3〜4分の1分 間の軌跡である。日本チームは左サイド を起点にして攻撃を続けているものの、
攻めあぐねて後方向や横方向のパスが目立っている。ボールキープ時間は増える ものの、相手ペナルティエリアに入ることができず決定力不足が見て取れる。図
11はサッカーの攻撃を再現できるので、ゴールに至ったパスはもちろん途中のパ スも流れを再現できるのでチームの攻撃の形や戦術を知る上で役に立つ。
図12に毎分ボールタッチ回数、図13にゴールする確率が高いシュートチャン スの模式図を示す。
ボールタッチ回数は上側がカメルーンで下側が日本の1分間ごとのボールタッ チ回数を表している。1〜3分の2分間はカメルーンがダ イレクトパスを多様して ダ イナミックに攻めているのに対して、3〜4分の1分間は日本が比較的多くト ラップを行い慎重に攻めているのが伺える。図12はサッカーにおけるリズムを 表し 、ダ イレクトパスが増えるほどテンポが速くなっていることが判る。
シュートチャンスは、視聴者にとってエキサイティングなシーンを抽出するた めに、ゴールする確率が高い場所とプレーの組み合わせをポイント化し 、それを 時間を軸に表示している。大橋ら[42]やチャールズヒューズ[19]の研究より以下 の4つの傾向が与えられている。縦軸はそれぞれの傾向を1pointとして、最高
図 12 ボールタッチ回数 図 13 シュートチャンス
4pointを与えている。
シュートの80%はペナルティエリア内で行われる
ゴ ールの80%はダ イレクトシュートあるいは1トラップシュートである
ゴ ールの80%は2本以下のパス回しでシュートまで行われる
ゴ ールの46%はセットプレーから発生する
このことから、カメルーンは4回あったシュートチャンスをことごとく外し 、 日本は1回しかなかったチャンスをものにして得点をあげたことになる。
このように、これらの模式図から、チームの特徴や戦略を理解することが可能 となる。また、シュートチャンスはサッカーのみどころそのものであるため、ダ イジェスト番組や電子番組表に活用できる。例えば 、ダ イジェスト番組編集する 場合にシュートチャンスのポイントに応じてシーンを組み合わせればよい。また、
視聴者が複数のサッカー番組の選択に困った時にはシュートチャンスの多いサッ カー試合を選べばおもしろいものを選べることになる。
これらの模式図は手作業で抽出したスコアブックからであるが、メタデータ作 成のため映像内容を理解し構造化している。よって、ここから先は、画像解析に サッカーの知識を加えることにより、映像解説のためのプレー認識を自動化し 、