2. 概念
2.11 モード連携
2.11.3 モード連携の状態
2.11.3.1 モード切替要求キューの状態
モードマシンインスタンスのモード切替要求キューの状態遷移を以下に定義する【nrte_sws_0316】.
キューイング不可状態 キューイング可能状態
モード切替通知 [キューイング数+1==キュー長]
モード切替終了
モード切替通知 モード切替通知 [キューイング数+1<キュー長]
モード切替終了
図 2-25 モード切替要求キューの状態遷移図
表 2-25 モード切替要求キューの状態
キュー状態 説明
キューイング可能状態 新しい要求を追加できる状態.
キューイング不可状態 キューが一杯のため,新しい要求を追加できない状態.
表 2-26 モード切替要求キューの遷移
遷移イベント 説明
モード切替通知 モード切替通知が発生した.
モード切替終了 モード切替が終了した.
表 2-27モード切替要求キューの状態遷移表
遷移イベント
キューの状態 モード切替通知 モード切替終了
キューイング可能状態 [キューイング数+1==キュー長]
・ エクスキュータブルが起動中は,各モード宣言グループプロトタイプのモードは,1つのモード または1つのモード遷移のみがアクティブであることを前提とする【rte_sws_ext_2542】.これは,
モードマシンインスタンスがネストされたモードを持たないことを意味する.
・ モードマシンインスタンスの初期化終了後,モード宣言グループプロトタイプの初期モードへの 遷移が実行される〔rte_sws_2544〕.このモード遷移では,モード依存無効化制御およびモード入 場時起動エクスキュータブルの起動も実行される.
モード連携では,モード切替の手順として,以下の手順がある.
・ 同期モード切替手順
・ 非同期モード切替手順
モード切替手順は,モードユーザのコンフィギュレーションにより決まる.
モードユーザの非同期モードサポートのコンフ
ィギュレーション状態 選択されるモード切替手順 全モードがサポートしない
同期モード切替手順【rte_sws_7150】
一部モードユーザがサポートする
全モードユーザがサポートする 非同期モード切替手順【rte_sws_7151】
AUTOSAR仕様との違い
AUTOSAR仕様では,同期モード切替手順〔rte_sws_7150〕を規定しているが,本SCHMでは同期
モード切替手順はサポートしない【nrte_sws_0318】.
2.11.4.1 モード切替通知
SCHMは,モードマネージャ毎に,モード切替通知のためのAPI(SchM_Switch)を提供する.モー ドマネージャは,提供されたAPIを使用することができる.要求モードと現在のモードが同じ場合で もモード切替通知は実行される【rte_sws_2669】.モード切替は非同期で通知される【rte_sws_2508】.
モード切替通知の挙動(非同期モード切替手順)
SchM_Switchによりモード切替が開始された場合の挙動は以下の通りである.
(1) モードマシンインスタンスのモード切替要求キューの状態,およびキューイング数に応じて以 下の処理を行う【rte_sws_2667】.
キューの 状態
キューイ ング数
処理
キューイング 可能状態
0 要求モードをキューイングし,〔nrte_sws_0316〕に従って 状態遷移する(遷移イベント:モード切替通知).
1以上 要求モードをキューイングし,〔nrte_sws_0316〕に従って 状態遷移する(遷移イベント:モード切替通知).
以降の処理は実施せず,処理終了する.
キューイング 不可状態
(関係なし) 以降の処理は実施せず,エラーを返す〔rte_sws_7259〕.
(2) 以下の処理を実行する【rte_sws_2667】【rte_sws_2665】.
処理 順
処理内容 現在の
モード
遷移先の モード
起動するエクスキュ ータブル
1. 遷移先のモードを変更
【rte_sws_2661】
(変更なし) 要求モード (なし)
2. エクスキュータブル起動
【rte_sws_2562】
(変更なし) (変更なし) モード退場時起動エ
クスキュータブル 3. エクスキュータブル起動
【rte_sws_2707】
(変更なし) (変更なし) モード遷移時起動エ
クスキュータブル 4. エクスキュータブル起動
【rte_sws_2564】
(変更なし) (変更なし) モード入場時起動エ
クスキュータブル 5. 現在のモードを変更
【rte_sws_2563】
要求モード (変更なし) (なし)
(3) 要求モードをキューから削除し,〔nrte_sws_0316〕に従って状態遷移 (遷移イベント:モード 切替終了)後,キューイング数に応じて以下の処理を行う【rte_sws_2668】.
キューイ ング数
処理
0 処理終了する.
1以上 キューの先頭要素を要求モードとして,(2)から処理を再実施する.
2.11.4.2 エクスキュータブル起動
SCHMは,2.5.4節の実現方式に従ってエクスキュータブルを起動する.ただし,モード依存無効化 制御を設定しているエクスキュータブルは,以下に示す条件の場合,エクスキュータブルの起動を抑止 する【rte_sws_7530】.
モード依存無効化制御対象モードとの一致有無 エクスキュータブル起動 現在のモード 遷移先のモード
一致しない 一致しない 起動する 一致しない 一致する 起動しない
一致する 一致しない 起動しない
一致する 一致する 起動しない
エクスキュータブルの起動抑止では,SCHMは実行中のエクスキュータブルの停止は行わない
【rte_sws_7531】.
RTEGENは,以下の条件を満たす場合,モード切替通知でのエクスキュータブルの直接関数起動を
サポートする【rte_sws_7173】.
・ モード切替の手順が非同期モード切替手順である〔rte_sws_7151〕
・ モードマネージャとモードユーザが同じパーティションに配置されている
・ 直接関数呼び出し条件を満たしている〔rte_sws_a_0064〕
複数のエクスキュータブルを起動する場合の実行順番
モード宣言(ModeDeclaration)を参照する複数の異なるモード切替イベント(BswModeSwitchEvent) が存在する場合,エクスキュータブルの起動順番は以下とする【nrte_sws_0333】.
起動 順番
起動対象 詳細条件
1 直接関数起動するエ クスキュータブル
モード切替イベント(BswModeSwitchEvent)のエクスキュ ータブルの名前順(アルファベットの昇順).
2 OS タスクにマッピ ングされているエク スキュータブル (OSタスク単位で起 動する)
OSタスク内のエクスキュータブルの起動順番は,
〔rte_sws_a_0059〕に従う.OSタスク間の起動順番は以下 とする.
起動 順番
詳細条件
1 OSタスク優先度が高い順
2 同じ優先度のOSタスクが存在する場合は,OSタ スクの名前順(アルファベットの昇順)
2.11.4.3 モード取得
SCHMは,モードマシンインスタンスのモード取得のためのAPI(SchM_Mode)を提供する.モード マネージャ,およびモードユーザは,提供されたAPIを使用することができる.
モード取得の挙動
SchM_Modeによりモード取得が開始された場合,SCHMはモードマシンインスタンスのモードと
して以下の値をAPIの返り値に設定する〔rte_sws_7262〕.
現在のモードと遷移先モードとの一致有無 APIの返り値
一致しない モード遷移中のステータス
〔rte_sws_7293〕
一致する 現在のモード〔rte_sws_7294〕
2.11.4.4 モードマシンインスタンスの初期化
SCHMは,SchM_Init において,全てのモードマシンインスタンスを初期モードへ遷移させる.
【rte_sws_7532】.マルチコア構成のECUの場合,初期化対象は,SchM_Initの呼び出し元のコアに マッピングされているモードマシンインスタンスである【nrte_sws_0336】.
モードマシンインスタンスの初期化の挙動
すべてのモードインスタンスに対して,以下の処理を実行する.
処理 順
処理内容 現在の
モード
遷移先の モード
起動するエクスキュ ータブル
1. 遷移先のモードを変更
【rte_sws_2661】
初期モード 初期モード (なし)
2. エクスキュータブル起動
【rte_sws_2564】
(変更なし) (変更なし) モード入場時起動エ
クスキュータブル
2.11.5 モード連携の実現方式
2.11.5.1 モード切替通知
BSWM間の連携パターン BSWM所属 パーティションの権限
サポート有無
モードマネージャ モードユーザ
パーティション内連携 非信頼 (同左) ×
信頼 (同左) ○
パーティション間連携 (コア内)
非信頼 非信頼 ×
信頼 ×
信頼 非信頼 ×
信頼 ×
コア間連携 - - ×
ECU間連携 - - ×
【rte_sws_a_0065】
2.11.5.2 排他方式
モードマシンインスタンスを実現する場合の排他方式は実装定義とする【nrte_sws_0319】.A-RTE の排他方式はOS割込みのブロックである【irte_sws_0025】.
2.11.6 モード連携の設定 2.11.6.1 モード宣言
モード宣言は,モード宣言グループ(ModeDeclarationGroup) のモード宣言(modeDeclaration)によ り指定する.
2.11.6.2 モード宣言グループ
モード宣言グループは,モード要求型マップ (ModeRequestTypeMap) のモードグループ (modeGroup)により指定する.
2.11.6.3 モード宣言グループの型
モード宣言グループの型は,モード要求型マップ (ModeRequestTypeMap) の実装データ型 (implementationDataType)により指定する.
2.11.6.4 モード要求型マップ
モード要求型マップは,内部振る舞い(InternalBehavior)のデータ型マッピング(dataTypeMapping) のモード要求型マップ(modeRequestTypeMap)により指定する.
2.11.6.5 モード宣言グループプロトタイプ(SCHM)
SCHMのモード宣言グループプロトタイプは,BSWMディスクリプション(BswModuleDescription)
の提供モードグループ(providedModeGroup)または要求モードグループ(requiredModeGroup)により 指定する.RTEGENは,提供モードグループ(providedModeGroup)により指定されたモード宣言プロ トタイプ毎に,モードマシンインスタンスを割り当てる【rte_sws_7534】.
モードマネージャは,提供モードグループ(providedModeGroup)のBSWMである.モードユーザは,
要求モードグループ(requiredModeGroup)のBSWMである.モードマネージャが使用するモード宣言 は,常に遷移先のモードを表す【rte_sws_ 7541】.
2.11.6.6 モード切替の接続関係(SCHM)
RTEGENは,提供モードグループ(providedModeGroup)と要求モードグループ
(requiredModeGroup)がBSW要求モードグループ接続(RteBswRequiredModeGroupConnection)で接 続されている場合,モード連携の接続があると判断する【rte_sws_7538】.
モードマシンインスタンスのモード切替のアクセス設定は,BSWMエンティティ
(BswModuleEntity)のモードグループ管理(managedModeGroup)により指定する.モードマシンインス タンスのモード取得のアクセス設定は,BSWMエンティティ(BswModuleEntity)のモードグループ参 照(accessedModeGroup)により指定する.
2.11.6.7 モード切替通知によるエクスキュータブル起動設定(SCHM)
SCHM の モ ー ド 切 替 通 知 で 起 動 す る BSW ス ケ ジ ュ ー ラ ブ ル は ,モ ー ド 切 替 イ ベ ン ト (BswModeSwitchEvent)のイベント起動対象 BSW スケジューラブル(startsOnEvent)で指定する.起 動要因モードは,モード切替イベント(BswModeSwitchEvent)の起動(activation),およびモード(mode) で指定する.
2.11.6.8 モード依存無効化制御(SCHM)
モード依存無効化制御で指定するモードは,BSWイベント(BswEvent)の無効化モード (disabledInMode)により指定する.
2.11.6.9 初期モード
初期モードは,モード宣言グループ(ModeDeclarationGroup) の初期モード(initialMode)で指定する.