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ミスジマイマイ

ドキュメント内 東京の環境指標種100 (ページ 63-66)

 関東地方の大型カタツムリの中で最 もよくみられる種です。低地の人家の 庭から山地の樹林内にまで生息します が、都心部では非常に少なくなってお り、まとまった樹林のある大きな公園 以外ではほとんどみられなくなってし まいました。

減少著しい身近なカタツムリ

 同様の環境にはヒダリマキマイマイ

(p.60)もみられますが、都心に近づ くほど両種ともにいる所は少なくなり、

どちらか 1 種だけのことが多くなりま す。両種が住む場所ではミスジマイマ イは樹上などの高い所に、ヒダリマキ マイマイは地上側の低い場所を中心に 活動していますが、ヒダリマキマイマイ がいない所ではミスジマイマイがより 低い場所も利用するようになるという 研究結果もあります。

[ 形態・生態など ]

右巻き。成 貝は殻口が反り返 る。普通は黄褐色〜褐色の地 に黒い帯を持つが、帯の本 数 は個体ごとに変化し、全くない こともある。また帯と交わる 淡色の縞があり、山地の個体 で特に目立つ。主に植物 質の ものを食べる。雌雄同体で腐 葉 土 層などに産卵し、冬は落 葉下などで冬眠する。

[ 大きさ ] 殻

かくけい

径 30 〜 35 mm [ 分布の概要 ]

関東地方〜中部地方東部 [ みられる時期 ]

春〜秋(冬 は落 葉 下などで冬 眠)

マイマイ目 オナジマイマイ科

めずらしさ

★ ★ ★

ミスジマイマイ(左)。殻の筋模様の本数は個体や地域によって異 撮影:丹下和仁

撮影:丹下和仁

撮影:内野秀重 撮影:内野秀重

東京の固有植物

長池公園園長

  内野 秀重

 大地に生きる植物の中には、全 国どこに行ってもみられる広範分 布 種 が ある一方、移 動 能 力が 低 かったり、その土地の地史との関 係等により、限られた地方や地域 でしかみることのできない固有種 もあります。東京には、本州中部 の固有種であるタマノカンアオイ やマメザクラといった、フォッサ・

マグナ要素の植物(糸魚川-静岡 構造線東側の地溝帯における富士 箱根火山帯の造山活動の影響を受 けた植物群)が分布するという特 徴がありますが、東京都(本土部)

だけにしかみられない固有植物は というと、そう多くはありません。

 ただ、その中でも花が美しく府 中市浅

せんげん

間山の林縁だけに群生する

ムサシノキスゲは、最もよく知ら れた東京の固有種と言って間違い ないでしょう。ニッコウキスゲの低 地型と言われるムサシノキスゲは、

台地が大昔の多摩川などによって 削られたとき、現在の浅間山付近 が丘陵のなごりとして浸食を免れ、

今では都市公園

として環境が保全 されてきたために、この地だけに 見ることができる植物なのです。

 また、最近では、2004 年に八

王子市東部の多摩丘陵からタマノ

ホシザクラという新種の桜が発表

されましたが、この植物も、町田

市、八王子市、そして多摩市だけ

にしか見つかっていない、東京の

立派な固有種です。タマノホシザ

クラは、エドヒガンとマメザクラ

撮影:内野秀重

を両親種にもった雑種起源の新し い植物と考えられていますが、不 思議なことに片親のエドヒガンは すでに丘陵域には自生していませ ん。そして、その分布は多摩丘陵 北西部の大栗川に沿った地層、御 殿峠礫層低位面の分布域と重なり ます。古多摩川、すなわち相模川 の流路跡と言われるこの礫層とタ マノホシザクラの生成にどのよう なドラマが隠されているのかを明 らかにするのは今後の課題です。

 さらに、2012 年に八 王子市 東 南部で見つかった新 種のアザミ、

ハチオウジアザミは、ブナ帯を本 拠におくカガノアザミ群に属し、

多摩丘陵の谷戸

という湿潤な閉 鎖環境が残されてきたことで現代 まで生き残ってきた遺存的な植物 であり、これも関東南部の固有種 と言えそうです。

 こうしてみると、地域に固有な 植物ほど、その存続の背景には必 ず や地 域の固有 な 地 史=自然と 人々の営みの歴史が隠されている と言っても過言ではないでしょう。

もしかしたら、固有植物の重要性 は、生物としての希少性だけにと どまらず、歴史の証人としての希 少性にこそあるのかもしれません。

ムサシノキスゲ

撮影:内野秀重

丘陵台地低地

水 域 山 地 森   林 都 市 部

草地・耕作地

河   川 池 沼 ・ 水 田 河 口 ・ 干 潟

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