関東地方の大型カタツムリの中で最 もよくみられる種です。低地の人家の 庭から山地の樹林内にまで生息します が、都心部では非常に少なくなってお り、まとまった樹林のある大きな公園 以外ではほとんどみられなくなってし まいました。
減少著しい身近なカタツムリ
同様の環境にはヒダリマキマイマイ
(p.60)もみられますが、都心に近づ くほど両種ともにいる所は少なくなり、
どちらか 1 種だけのことが多くなりま す。両種が住む場所ではミスジマイマ イは樹上などの高い所に、ヒダリマキ マイマイは地上側の低い場所を中心に 活動していますが、ヒダリマキマイマイ がいない所ではミスジマイマイがより 低い場所も利用するようになるという 研究結果もあります。
[ 形態・生態など ]
右巻き。成 貝は殻口が反り返 る。普通は黄褐色〜褐色の地 に黒い帯を持つが、帯の本 数 は個体ごとに変化し、全くない こともある。また帯と交わる 淡色の縞があり、山地の個体 で特に目立つ。主に植物 質の ものを食べる。雌雄同体で腐 葉 土 層などに産卵し、冬は落 葉下などで冬眠する。
[ 大きさ ] 殻
かくけい径 30 〜 35 mm [ 分布の概要 ]
関東地方〜中部地方東部 [ みられる時期 ]
春〜秋(冬 は落 葉 下などで冬 眠)
マイマイ目 オナジマイマイ科
めずらしさ 〉〉
★ ★ ★
ミスジマイマイ(左)。殻の筋模様の本数は個体や地域によって異 撮影:丹下和仁
撮影:丹下和仁
撮影:内野秀重 撮影:内野秀重
東京の固有植物
長池公園園長内野 秀重
大地に生きる植物の中には、全 国どこに行ってもみられる広範分 布 種 が ある一方、移 動 能 力が 低 かったり、その土地の地史との関 係等により、限られた地方や地域 でしかみることのできない固有種 もあります。東京には、本州中部 の固有種であるタマノカンアオイ やマメザクラといった、フォッサ・
マグナ要素の植物(糸魚川-静岡 構造線東側の地溝帯における富士 箱根火山帯の造山活動の影響を受 けた植物群)が分布するという特 徴がありますが、東京都(本土部)
だけにしかみられない固有植物は というと、そう多くはありません。
ただ、その中でも花が美しく府 中市浅
せんげん間山の林縁だけに群生する
ムサシノキスゲは、最もよく知ら れた東京の固有種と言って間違い ないでしょう。ニッコウキスゲの低 地型と言われるムサシノキスゲは、
台地が大昔の多摩川などによって 削られたとき、現在の浅間山付近 が丘陵のなごりとして浸食を免れ、
今では都市公園
*として環境が保全 されてきたために、この地だけに 見ることができる植物なのです。
また、最近では、2004 年に八
王子市東部の多摩丘陵からタマノ
ホシザクラという新種の桜が発表
されましたが、この植物も、町田
市、八王子市、そして多摩市だけ
にしか見つかっていない、東京の
立派な固有種です。タマノホシザ
クラは、エドヒガンとマメザクラ
撮影:内野秀重
を両親種にもった雑種起源の新し い植物と考えられていますが、不 思議なことに片親のエドヒガンは すでに丘陵域には自生していませ ん。そして、その分布は多摩丘陵 北西部の大栗川に沿った地層、御 殿峠礫層低位面の分布域と重なり ます。古多摩川、すなわち相模川 の流路跡と言われるこの礫層とタ マノホシザクラの生成にどのよう なドラマが隠されているのかを明 らかにするのは今後の課題です。
さらに、2012 年に八 王子市 東 南部で見つかった新 種のアザミ、
ハチオウジアザミは、ブナ帯を本 拠におくカガノアザミ群に属し、
多摩丘陵の谷戸
*という湿潤な閉 鎖環境が残されてきたことで現代 まで生き残ってきた遺存的な植物 であり、これも関東南部の固有種 と言えそうです。
こうしてみると、地域に固有な 植物ほど、その存続の背景には必 ず や地 域の固有 な 地 史=自然と 人々の営みの歴史が隠されている と言っても過言ではないでしょう。
もしかしたら、固有植物の重要性 は、生物としての希少性だけにと どまらず、歴史の証人としての希 少性にこそあるのかもしれません。
ムサシノキスゲ
撮影:内野秀重
丘陵台地低地
水 域 山 地 森 林 都 市 部
草地・耕作地河 川 池 沼 ・ 水 田 河 口 ・ 干 潟
ドキュメント内
東京の環境指標種100
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