以上のことから,Post -FFT型アダプティブアレーにおける低D/Uマルチパス耐性改 善手法として図6.5に示す,重み係数に対する逆数フィルタおよび逆数補間を用いた参照 信号の候補値算出を行う係数最適化アルゴリズムを提案する.
FFT
Reference MMSE
MMSE Reciprocal
Filter
Reciprocal Interpolation
w w
Reciprocal Filter
w w
図6.5 提案する重み係数制御アルゴリズム
6.3.1 重み係数に対する逆数フィルタ
時刻 n,サブキャリヤ番号k,ブランチ番号l における重み係数をwk,l(n)とし,それ ぞれの逆数からなるブランチ番号lに関するベクトルをvl(n)とする.
vl(n) = [ 1
w0,l(n), 1
w1,l(n), . . . , 1 wK−1,l(n)
]T
(6.1) ここで,T は転置を,K は全サブキャリヤ数を示す.逆数を取ることにより平滑化された ベクトルvl(n)に対して,LPF(Low Pass Filter)処理を施す.
v˜l(n) = LPF [vl(n)] (6.2) これにより,最適値に収束していないサブキャリヤについての重み係数による不要な成分 を除去する.さらに,再度逆数を取ることで重み係数を求め直す.以上を図で示すと,図 6.6のようになる.
ˆ
wk,l(n) = 1
˜
vk,l(n) (6.3)
-1
LPF
-1
-1 -1
-1
LPF
-1
-1 -1
Weight Coefficients
#1 Received
Signal
#1
Reference
MMSE FFT
FFT Received
Signal
#L
Weight Coefficients
#L
図6.6 重み係数に対する逆数フィルタ
Normalized Frequency
Amplitude
0.125 0.5 ( = GI Ratio)
図6.7 LPFの周波数特性
以上のような逆数フィルタ処理後の重み係数wˆk,l を用いて受信信号および参照信号に基 づいて最適化を行う.
w(n+ 1) = ˆw(n) +µx(n)e∗(n) (6.4) ここでe(n)は誤差信号を示す.
なお,重み係数における周波数特性歪み補正のための成分は,重み係数の逆数の時間領 域表現におけるマルチパスの遅延時間と一致することから,LPFの周波数特性としては,
図6.7に示すように,通過帯域端が正規化周波数でGI比と同じである周波数特性とした.
Reciprocal Interpolation
Symbol Regen
MER
Reference Input
Vector
wk+1 k-1 wk
w
w k =
wk+1 wk-1
1 1
+
^ 2 Weight Coefficients
Array Combine
Array Combine
Symbol Regen
MER
MAX Select
Compare Combine
図6.8 逆数補間を利用する合成–比較–選択に基づく最尤シンボル判定
6.3.2 逆数補間を用いた参照信号の候補値算出
第3章では,図3.7に示した合成–比較–選択に基づく最尤シンボル判定を提案した.
これは参照信号としてシンボル判定値を生成する際に,当該サブキャリヤおよび隣接する サブキャリヤの合わせて3サブキャリヤについての重み係数を用いてアレー合成を行い,
これらのシンボル判定値のうちMERが最大であるものを選択するという方式である.第 3章では隣接するサブキャリヤにおける重み係数をそのまま用いて重み合成を行うように したが,これに逆数領域における補間を適用する.重み係数を逆数領域において補間する と以下のようになる.
˜
wl,k = 2 1 ˆ wl,k−1
+ 1
ˆ wl,k+1
= 2 ˆwl,k−1·wˆl,k+1 ˆ
wl,k−1+ ˆwl,k+1
(6.5) これを用いると,最尤シンボル判定アルゴリズムは以下のように修正される.
合成: 当該サブキャリヤおよびこれに隣接するサブキャリヤを逆数補間した重みを用い て,アレー合成信号を生成する.
ˆ
yk,0 = ˆwHk xk (6.6)
MER
BER
δt D/U
Desired
Interference ISDB-T
Mod
ISDB-T
Mod Delay ATT
Phase
Shift Noise
Noise Adaptive Array
Direction of arrival C/N
Delay ATT
Phase Shift Multipath
図6.9 計算機シミュレーション系統
ˆ
yk,1 = ˜wHk xk (6.7)
比較: この二つのアレー合成信号yˆk,iのそれぞれに対して次式のシンボル判定を行い,判 定値dˆk,iを生成する.
dˆk,i = dec(ˆyk,i) (6.8)
さらに次式によりそれぞれのアレー合成信号についてMERRk,i を算出する.
Rk,i =
dˆk,i2 dˆk,i −yˆk,i2
(6.9)
選択: Rk,i を確からしさとし,これが最大となるi をj として,dˆk,j をシンボル判定値 dkとする.
dk = ˆdk,j, j = arg max
i Rk,i (6.10)