第 4 章 ラジカル重合によるビニル系ポリマーを用いた
4.3 ポリビニルアミンを用いたセンサチップの作製
センサチップの作製にはSIA Kit Au(GEヘルスケアバイオサイエンス)
を用いた. このチップはガラス基板上に約2nmの Crとその上に約50nm の金 の薄膜があり, この金薄膜上にセンサ表面を作製する. その作成手順を図 4-3 に示す. まずチップをアセトン, エタノール, 2-プロパノール, 純水の順番で超 音波洗浄を行った. 次に水:アンモニア水:過酸化水素水=5:1:1 の割合の混合 液に浸漬し90℃20分の処理を行った(SC-1: StandardClean-1, RCA洗浄の前 工程). 次に純水でリンスした後, 1 mM PEG6-COOH aromatic dialkanethiol in エタノール溶液に18℃24時間浸漬し金表面上にカルボキシル基末端のSAM を形成した. その後, エタノールでの超音波洗浄の後, 純水でリンスしたチップ
を0.4 M EDC水溶液と0.1 M NHS水溶液を1:1で混合した溶液に1時間浸漬
し SAMのカルボキシル基をNHSエステルとして活性化させた. 次に純水でリ ンスした後, 50 mg/mlのpoly-VAm水溶液に1時間浸漬することでpoly-VAm のアミノ基が表面の活性化カルボキシル基と反応し poly-VAm がセンサ表面に 固 定 され た. また この 作業 と同 時に 10 mM ジ ニ トロ フェ ニル グリ シ ン (dinitrophenylglycine; DNP-Gly) (in DMF; dimethylformamide)溶液と0.4 M
EDC水溶液と0.1 M NHS (in DMF)溶液をそれぞれ1:1:1の割合で混合させて
DNP-Gly のカルボキシル基を NHS 活性化させ活性化 DNP-Gly 溶液を作製し
た. 次にpoly-VAmが固定されたチップをこの活性化DNP-Gly溶液に1時間浸
漬しDNP-Glyをpoly-VAmのアミノ基と反応させた. これらの作製ステップか
らTNT抗体が特異的に結合するDNP-Glyが3次元的に存在する表面を作製で きた.
この poly-VAm 表面の TNT 抗体の吸着量を評価した. 比較対象として
第4章 ラジカル重合によるビニル系ポリマーを用いたTNTの高感度検出
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poly-VAm の代わりに両端に一級のアミノ基を持つ低分子化合物のエチレンジ
アミン(ethylenediamine;EDA)を用いてセンサチップを作製した. これらを比 較した結果を図 4-4に示す. poly-VAm表面のチップはEDA表面のチップに比 べて5倍程度の高い抗体吸着量が得られた. 一方で, このpoly-VAm表面に対し て本来吸着しないはずのビオチン抗体を流通させたところ, TNT 抗体の吸着量 の約3割の吸着が観測された(図 4-5). そこでBSAとリゾチームを用いて非 特異吸着性の評価を行った. その結果を図 4-6に示す. 図に示してあるZpはゼ ータ電位でリゾチームと BSA の水溶液に対して測定を行った. この値からそれ ぞれ正と負に帯電していることが分かる. この結果から poly-VAm 表面に対し てリゾチームは吸着しにくいがBSAは吸着しやすいことが分かった. poly-VAm はポリマー鎖中に多数のアミノ基を持っている. このアミノ基を用いてSAM表
面と DNP-Gly と結合している. しかし未反応のアミノ基が残っており, これが
プロトン化(-NH3+)することで正に帯電し, 負に帯電している BSA が吸着し たと考えられる. これを抑制するにはプロトン化しているアミノ基を減らす必 要がある.
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図 4-3 ポリビニルアミンを用いたポリマー表面の作製工程
図 4-4 poly-VAm表面とEDA表面のSPRセンサグラム
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000
0 20 40 60 80 100 120
SensorResponse [R.U.]
Time [s]
polyVAm + DNP-Gly polyVAm + DNP-Gly flow 25 ppm anti-TNT-IgG
for 2min
EDA + DNP-Gly
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図 4-5 poly-VAm表面へのTNT抗体・ビオチン抗体吸着量
図 4-6 poly-VAm表面の非特異吸着性評価 0
2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000
Sensor Response [ R.U.]
25ppm anti-TNT-IgG 2min
(specific /non-specific adsorption)
25ppm anti-Biotin-IgG 2min
(non-specific adsorption)
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000
SensorResponse [R.U.]
1000ppm Lysozyme 2min Ζp = +22.3 mV
(pH:7 25℃)
1000ppm BSA 2min Ζp = -20.2 mV (pH:7 25℃)
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