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磁石の材質  フェライト系  (Ba系、Sr系)  希土類ネオジム系  (Ne-Fe-B) 

希土類サマリウム・コバルト系  (Sm-Co) 

残留磁束密度(mT) 

300〜500 

1100〜1500 

1000〜1200 

温度係数(%/℃) 

約−0.18% 

約−0.11% 

約−0.03% 

価格 

◎ 

○ 

△ 

82

図1  角柱状磁石の磁束密度計算の方法 

図2  円柱状磁石の磁束密度計算の方法 

B=──  tan-1──────── − tan-1─────────────── 

2ℓ 4ℓ2+a2+b2 2(ℓ+Lm)  4(ℓ+Lm)2+a2+b2 ab

Br π

ab

B=──  ───────── − ────── 

(ℓ+Lm2+D2/4

(ℓ+Lm) ℓ Br

2 ℓ2+D2/4

φD

磁化  Lm

b

a Lm

磁化 

82

    Br(60)=Br(20)×{1+Kt×(60-20)÷100}

=1142.4[mT]

 なお、温度が戻れば特性も元に戻ります。次に不可逆変化について述べます。

<高温減磁>

 磁石は一般的に負の温度係数を持つため、高温になるに従って磁力が弱くなりますが、ネオジム磁石など希土類磁石の中には、高 温域に不可逆変化があるものがあるため注意が必要です。高温での不可逆減磁は、材質特性とパーミアンス係数に依存し、パーミア ンス係数が小さいほど減磁しやすくなります。判断には、その磁石材料の減磁曲線(B-H曲線)が必要ですので磁石メーカへお問い 合せください。

 なお温度上昇により磁石が完全に磁力を無くしてしまう時の温度を、キュリー温度と呼びます。一旦キュリー温度に達した磁石 は、常温に戻しても磁力は回復しません。

<低温減磁>

 負の温度特性を持つ磁石は、基本的に温度が下がると磁石磁力は大きくなります。しかしフェライト磁石には、低温域に不可逆変 化があるものがあります。

 低温での不可逆減磁は、材料特性とパーミアンス係数に依存し、パーミアンス係数が小さいほど減磁しやすくなります。判断に は、その磁石材料の減磁曲線(B-H曲線)が必要ですので磁石メーカへお問い合せください。

磁石の発生する磁束密度の計算方法

 「ある材質・サイズの磁石について表面中央から○○mm離れた所の磁束密度○○mTを知りたい」という場合に便利な式を図1,2 に示します。

 磁石のサイズと残留磁束密度Br、及び磁極面からの距離を代入すると、その位置での磁束密度が得られます。(ここで使用するの は“残留”磁束密度であり、“表面”磁束密度ではないので注意してください。)

 これらの式は磁極面に磁化が一様に分布しているという前提で電磁気学の方程式を解くことによって得られたものですが、フェ ライト系や希土類系の磁石では磁石の至近距離を除いて、たいていの場合は非常に良く一致します。

 磁石の形状によっては、高温または低温において不可逆減磁する場合があるので、磁石の形状を決定する時は注意が必要です。

詳しくは磁石メーカにお問い合せください。

磁場解析

 永久磁石やコイルによって空間に発生する磁束密度を求めることを磁場解析といいます。

 上記のような単純な磁石ではなく複雑な形状をしたものや、ヨーク等の存在する多数の磁性体を同時に取り扱う場合は電磁気学 の方程式を直接に解くことは困難です。

 この場合は『有限要素法』や『積分要素法』という数値解析手法を用います。複雑な形状の磁性体を小さな磁性体要素の集まりと みなして最適解をコンピューターによって求めます。

 弊社では磁場解析を用いてお客様の要望に合わせた最適な磁気設計のサポートもしています。

参考資料

磁石に関する用語の説明及び単位 磁石に関する用語の説明

用 語 説  明

磁界  磁石や電流の周りに存在する力のベクトル場。物理学分野では「磁場」、工学分野では「磁界」と呼ばれ ますが同じ概念です。磁界の強さHの単位は、SI単位系ではアンペア毎メートル[A/m]、cgs単位ではエ ルステッド[Oe]を使います。

磁化  磁界の影響下で磁性体が磁性を持つこと。磁石材料を磁化させることを着磁と言います。

消磁  磁性を無くすことを消磁または脱磁と言います。消磁のための道具として簡易消磁器と言うものもあ ります。原理は、消磁したいものに交流磁界をかけ、この交流磁界を次第に小さくしていくことで磁化を 小さくしていくものです。例えばCRT(ブラウン管)ディスプレイに付いているデガウス機能は、画面内部 のアパーチャグリルなど金属部品の消磁を行っていました。

磁性体  磁界の影響下で磁化される物質を磁性体と言います。より強く磁化されるものを強磁性体といい、鉄 や磁鉄鉱、永久磁石の材料となる物質があります。磁界の影響下でも磁化されない物質を非磁性体とい い、紙やプラスチック、金属では金・銀・銅・アルミニウム・マグネシウムなどが代表的な物質です。

 現物が磁性体か非磁性体かを簡単に見分ける方法は、磁石を近づけてみることです。くっつけば磁性 体、くっつかなければ非磁性体です。

 また強磁性体の材料には、一旦磁化させると磁界が無くなっても磁性を保ち続ける硬磁性と、外部磁 界が無くなると磁性も失ってしまう軟磁性とがあります。硬磁性ではフェライトなどの永久磁石材料、

軟磁性では軟鉄やパーマロイがその代表的なものです。軟磁性体は、トランスの磁心や磁気ヨーク、磁気 シールド等に使われます。

磁力線  磁界は、大きさと方向を持つベクトル場です。この方向成分を仮想的な線で表したものが磁力線です。

磁力線は、磁石N極から出てS極へ戻るように表し、決して交わることはありません。この磁力線の間隔 が狭くなると磁力が強いことを示します。

 ある点における磁力の方向は、その点にコンパス等を置くことで目視で確認ができます。また磁石周 囲に砂鉄などをばらまく事によっても、おおよその方向性を含めた磁界の様子が確認できます。

磁束密度  磁界の方向成分を仮想的に表したものを磁力線と呼び、その集まりを磁束と言います。単位面積当た りの磁束を磁束密度といい、磁界のある点の磁力(これもベクトル量;強さだけではなく方向も持つ)を 表すときに使います。磁束密度Bの単位は、SI単位系ではテスラ[T]、cgs単位系ではガウス[G]を使いま す。

ヒステリシス曲線  ある材料に対し、外部磁界(H)と材料の磁化(J)・磁束密度(B)の関係を表した曲線をヒステリシス曲線 (磁化曲線)と言います。ヒステリシス曲線には材料の磁化と磁界の関係を示す曲線と、磁束密度と磁界 の関係を示す曲線とがあります。

 ヒステリシス曲線のグラフにおいて、第2象限のみは特に減磁曲線(B-H曲線)とよばれ、磁石の材料 特性を表す代表的な曲線です。磁束密度は磁石の磁化に外部磁界を加えたトータルの値であり、以下の 式で表されます。

    B=μ0H+J

 ここでBは磁束密度、Hは磁界、Jは磁化、μ0は真空の透磁率です。

最大エネルギー積  磁石の強さを表すパラメータの一つ。減磁曲線(ヒステリシス曲線の第2象限)において、B-H曲線上 の動作点と原点を対角とする四角形の面積(B×H)をエネルギー積と言い、その最大値を最大エネル

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