第 2 章 環境経済性評価手法の構築
2.3 バンコク首都圏の廃棄物処理の環境経済性評価手法
豊かさや利便性を受け入れる代償として廃棄物は,少なからず排出される。また,人 口が密集すれば廃棄物の発生密度も高まり,効率的に廃棄物を処理する必要が生まれる。
すなわち,現代社会において廃棄物処理問題は避けることができない。また,廃棄物を 処理処分していくうえで環境への影響をまったく無視して実施することはできない。
実際,廃棄物処理問題に対処するためには,次のようなことを考える必要がある。
2.2.4 中間処理・最終処分の過程
( 1 ) 中間処理の環境影響度の定量化
中間処理を行った際に環境負荷は発生する。中間処理の環境経済性評価の定量化にお
いて, 2.2.4 では中間処理施設稼働に伴って排出される CO
2排出量をもとに算出を行う。
CO
2排出係数には先ほどの NPP 算出の時と同様に国土交通省が発表している値を用い,
それに CO
2排出量に乗じることで環境影響度を以下の式( 2-10 )( 2-11 )として算出す る
2-9)。中間処理の環境影響度は一日当たりの中間処理量に比例すると考える。また,津 波堆積物の最終処分を行うための処理は中間処理ですべて行われるとする。最終処分を 行うための中間処理を行うための中間処理は異なると考えられるので,中間処理施設稼 働に伴う環境影響度に不確実性を与え,幅を持たせる。
t C
E
i CO
2貨幣価値原単位 円/ CO
2 ( 2-10 )
エネルギー使用量 排出係数
CO
2C ( 2-11 )
ここで, C : CO
2排出量( t-CO
2)である。
( 2 ) 最終処分の環境影響度の定量化
最終処分に関する環境経済性評価の定量化においては,有害物質の汚染による環境経 済性を考える。津波堆積物は中間処理を行うことで有害物質が減少するが完全に有害性 を除去することは困難と考えられるので,除去しきれなかった有害性による環境影響を 定量化する。最終処分量は基本的に中間処理量に準ずるものとして考える。また,中間 処理によって,津波堆積物中の有害物質が処理される度合いを処理度 a とおく。処理度 は中間処理の処理レベルを表している。処理度が大きいほど,津波堆積物の有害性は除 去される。また,処理度は中間処理コストに線形に比例するものとし,中間処理コスト を高くすると処理度は大きく,低く設定すると小さくなるものとする。処理度の中央値 と最大値・最小値の差は 0.25 とする。
) 1 ( ) (
1
y z t a
E
ni
i i
f
( 2-12 )
t n m t
z
i( ) ( 2-13 )
ここで, y
i:環境負荷係数(円 /kg ), z
i( t ) : t 時点での最終処分堆積物中の有害物質 含有量( kg ), a :処理度, n :一日当たりの中間処理量( t/ 日)を指し, i は物質の種類 を表す。
( 3 ) 他県受入れの環境経済性評価の定量化
他県受入れに関する環境経済性評価を定量化する場合においては,運搬時の環境経済 性を考える。広域的な処理を行う際に,津波堆積物を仮置き場から離れた地域の中間処 理場(施設),最終処分場まで輸送するには運搬車両を用いる。運搬車両を利用した場 合,様々な大気汚染物質が排出されるが, 2.2.4 では CO
2に着目して, CO
2排出量を輸送 に伴う環境影響度として以下の式( 2-14 )として算出する。国土交通省が発表する 1t の 荷物を 1km 輸送するのに排出される CO
2排出量に関する輸送排出原単位を用いて環境 影響度の算出を行う
2-10)。輸送手段ごとの輸送排出原単位を表 -2.2 に示す。また,他県受 入れ量は津波堆積物の受入れ可能量によって変化する。
表 -2.2 1t の荷物を 1km 運ぶために排出する CO
2排出量 輸送手段 CO
2排出原単位
営業用普通トラック 178g-CO
2/t ・ km 営業用小型トラック 819g-CO
2/t ・ km 営業用軽トラック 1,933g-CO
2/t ・ km
鉄道 21g-CO
2/t ・ km 船舶 39g-CO2/t ・ km
] [ ] [ ]
CO / [
CO
2t
2W t L km
E
a
貨幣価値原単位円
輸送排出原単位
a ( 2-14 )
ここで, W
a:輸送される重量( t ), L :輸送距離( km )を指す。
また,他県受入れを行う際には,現地での処理・処分における環境影響度と別々に算 出する。変数は現地と他県で独立に与え,環境影響度と終了時間を算出する。
2.3 バンコク首都圏の廃棄物処理の環境経済性評価手法
豊かさや利便性を受け入れる代償として廃棄物は,少なからず排出される。また,人 口が密集すれば廃棄物の発生密度も高まり,効率的に廃棄物を処理する必要が生まれる。
すなわち,現代社会において廃棄物処理問題は避けることができない。また,廃棄物を 処理処分していくうえで環境への影響をまったく無視して実施することはできない。
実際,廃棄物処理問題に対処するためには,次のようなことを考える必要がある。
2.2.4 中間処理・最終処分の過程
( 1 ) 中間処理の環境影響度の定量化
中間処理を行った際に環境負荷は発生する。中間処理の環境経済性評価の定量化にお
いて, 2.2.4 では中間処理施設稼働に伴って排出される CO
2排出量をもとに算出を行う。
CO
2排出係数には先ほどの NPP 算出の時と同様に国土交通省が発表している値を用い,
それに CO
2排出量に乗じることで環境影響度を以下の式( 2-10 )( 2-11 )として算出す る
2-9)。中間処理の環境影響度は一日当たりの中間処理量に比例すると考える。また,津 波堆積物の最終処分を行うための処理は中間処理ですべて行われるとする。最終処分を 行うための中間処理を行うための中間処理は異なると考えられるので,中間処理施設稼 働に伴う環境影響度に不確実性を与え,幅を持たせる。
t C
E
i CO
2貨幣価値原単位 円/ CO
2 ( 2-10 )
エネルギー使用量 排出係数
CO
2C ( 2-11 )
ここで, C : CO
2排出量( t-CO
2)である。
( 2 ) 最終処分の環境影響度の定量化
最終処分に関する環境経済性評価の定量化においては,有害物質の汚染による環境経 済性を考える。津波堆積物は中間処理を行うことで有害物質が減少するが完全に有害性 を除去することは困難と考えられるので,除去しきれなかった有害性による環境影響を 定量化する。最終処分量は基本的に中間処理量に準ずるものとして考える。また,中間 処理によって,津波堆積物中の有害物質が処理される度合いを処理度 a とおく。処理度 は中間処理の処理レベルを表している。処理度が大きいほど,津波堆積物の有害性は除 去される。また,処理度は中間処理コストに線形に比例するものとし,中間処理コスト を高くすると処理度は大きく,低く設定すると小さくなるものとする。処理度の中央値 と最大値・最小値の差は 0.25 とする。
) 1 ( ) (
1
y z t a
E
ni
i i
f
( 2-12 )
t n m t
z
i( ) ( 2-13 )
オを設定する必要がある(ベースラインシナリオと呼称する)。さらに,基本情報や処 理処分方法の違いによる別のシナリオを定め,ベースラインシナリオと比較検討を行う
(別のシナリオを対策シナリオと呼称する)。対策シナリオは基本情報の違いや処理処 分方法の違いによって構成され,検討対象によって幾通りも設定することが可能である。
2.3.3 収集運搬過程
先進国と途上国では行政が行う廃棄物の収集サービスにも大きな差がある。例えば,
廃棄物の収集率,収集の時間帯や頻度,および収集車の種類等である。 2.3.3 においては,
収集サービスが対象地域全域において行われ,且つ廃棄物の収集率が限りなく 100% に 近い状態であるという前提のもと推計を行う。
収集運搬過程は,各地点に廃棄された廃棄物を収集し基地施設まで運搬する過程と,
基地施設から埋立地まで運搬する過程であるとし,収集運搬車両の燃料消費等から環境 負荷量および処理コストを推計する。そして主な推計手順は次のとおりである。
( 1 ) 収集運搬車両の作業状況の推計
( 2 ) 必要人員等の推計
( 3 ) 処理コストの推計
( 4 ) 環境負荷量の推計 ( 1 ) 廃棄物の収集
対象地域において,ある決められた収集日に各収集地点から廃棄物を収集し,基地施 設まで運搬する過程で要する処理コストや排出される温室効果ガスを推計する。
( 2 ) 基地施設から埋立地までの運搬
対象地域において収集された廃棄物や基地施設で中間処理を行った後の中間処理残渣 を基地施設から埋立地まで運搬する過程で要する処理コストや排出される温室効果ガス を推計する。
2.3.4 中間処理過程
収集日に回収された廃棄物をそのまま埋立地で最終処分してしまうと瞬く間に埋立地 が満杯になってしまうので,できるだけ埋立地で最終処分する量を減らす必要がある。
そのためには,廃棄物をリサイクルしたり焼却したり何らかの中間処理を行う必要があ る。また,量を減らすことだけではなく廃棄物自体を自然にゆだねやすいよう処理する
( 1 ) 現状の廃棄物処理における,全体として処理コストの占める割合
( 2 ) 現状の廃棄物処理における,二酸化炭素やメタン等環境負荷物質の排出程度
( 3 ) 導入が検討されている処理対策を導入した際における,処理コストや環境負荷量 の低減,抑制効果
環境経済性ならびに処理コストを考慮し得る廃棄物処理システムの評価モデルを構築 することで,環境負荷ならびに処理コストを定量的に評価し,最終的には環境コストな らびに処理コストを総合的に最適化する廃棄物処理システムを検討する。
2.3.1 環境経済性評価モデル
廃棄物を処理する際には,環境負荷を可能な限り抑制した処理方法を選択する必要が ある。しかしながら,廃棄物処理の運営費用(処理コスト)は多くの場合,住民から徴 収された税金が投入されている。すなわち,限りなく環境負荷の小さい処理方法であっ ても,莫大な処理コストが必要であれば,実現する可能性は限りなくゼロに近い。一般 的に「環境負荷が小さい」且つ「処理コストが安い」が廃棄物処理システムの理想では あるが,両者は別の次元であるため,単純に比較することができない。よって,廃棄物 処理システムを評価する際には,環境負荷の削減に対して要した処理コストの妥当性を 検討するため,環境負荷量を貨幣換算し,処理コストと同じ次元(コストベース)にお いて両者を比較する必要がある。
2.3 においては,環境経済性を考慮した廃棄物処理システムを評価するために以下の 評価モデルを構築する
2-11)。
( 1 ) 対象地域における廃棄物処理フローを設定する。
( 2 ) 廃棄物処理フローを,収集運搬過程,中間処理過程,および最終処分過程の 3 つの 過程に区分する。
( 3 ) 各過程における収集車両の走行距離,中間処理施設の稼働状況,および最終処分さ れる廃棄物量等,各作業状況を推計する。
( 4 ) 各過程において推計された作業状況から燃料消費量や処理施設規模を推計する。
( 5 ) 各過程において推計された作業状況から処理コストを算出する。
( 6 ) 各過程において推計された燃料消費量,処理施設規模,および最終処分量に対し,
環境負荷物質の排出係数を乗じることで,各過程における環境負荷量を算出する。
( 7 ) 各過程において算出された環境負荷量および処理コストを加算することで廃棄物 処理フロー全体の環境負荷量および処理コストとする。
2.3.2 処理シナリオ
評価モデルを用いて廃棄物処理システムを評価する際には,まずベースとなるシナリ
ドキュメント内
廃棄物の処理・再利用における環境経済性評価に関する研究
(ページ 34-40)