6. 人工バリア試験を想定した炭素鋼腐食再現試験
6.2.1 腐食促進試験
図 6-1 腐食促進予備試験詳細図
図 6-2 腐食促進試験における加圧電位説明図
腐食促進予備試験終了後は,ベントナイトと炭素鋼をエポキシ樹脂にて固定し,切断後に腐 食面を含む供試体の断面を観察した.腐食状況や腐食生成物に関しては,SEM-EDXとRaman 分光法により確認した.SEMで腐食面の構造を確認し,EDX 分析では得られた Feイオン分 布により腐食された領域判断した,腐食生成物の特定としてRaman分光法を実施した.
(2) 腐食促進本試験
炭素鋼腐食の腐食現象を解明するために,小型モデルを作製し室内試験で解明する.内部の 腐食量を含む状況観察を観察するために,通常は供試体を切断し断面を観察する必要があるが,
切断作業による影響を極力発生させないために,非破壊による内部観察を行った.低出力の非
破壊装置では,対象となる分析位置の分解能が悪くなるため,高出力の X線を発生させ非破壊 で観測可能な高輝度放射光施設(SPring-8)4)を利用した分析を採用した.数 μm の画像分解 能を得るためには,供試体のサイズを直径3.5 mm以下にする必要があり,図 6-3に示す供試 体とした.FEBEX試験において,岩盤内から供給される酸素は,酸素濃度計測結果2)から試験 開始800日以降に減少していることから(図 6-4),外気との接触が無い密閉型容器とした.使 用した材料は,炭素鋼(SWRS82, carbon content 0.82%)鋼線で直径0.1 mmを腐食側作用 極,対極の2本を2 mm間隔で平行に設置,その炭素鋼鋼線周辺にはFEBEX試験でも使用し たベントナイト(Serrata Clay)5)を使用した.なお,表面の酸化化学組成を表 6-1に示す.ベ ントナイトは乾燥密度1.60 Mg/m3に圧縮し,含水比はFEBEX試験における800日以降の酸 素が減少した状態で岩盤から湧水が侵入してきた状態を模擬し,高含水比の21%とした.
図 6-3 腐食促進試験用供試体
図 6-4 FEBEX試験中の酸素濃度変化2)
表 6-1 Serrata Crayベントナイト材料の化学組成 (mass%)
Name Ca Mg Na K
Serrata Cray 42 33 23 22
腐食促進試験では,設置した炭素鋼ワイヤーをポテンショスタットに接続し,与える電流値 を計算式(6.1)から試験時間約 10 日間で鋼線が全腐食する条件と,ポテンショスタットで制御 できる最小電流を考慮し,2.5 μAを2本の鋼線間に生じさせることとした.この時の腐食電流 密度は鋼線の表面積から計算すると約 1 A/m2である.第 4章の酸素拡散での試験において,
図 4-5に示す腐食電流密度が,同密度同含水比で0.08 A/m2であったことから,約10倍の速 さで腐食促進したことになる.
𝜔 = 𝐾𝐼t = 𝐾𝑄 (6.1)
ω(g)= 腐食量,K= 電気化学当量(比例定数),I (A)= 電流,t (s)= 時間,Q (C)= 電気量
6.2.2 腐食量観察